パーフェクト種牡馬辞典


2015年の種牡馬傾向を振り返る(後)


芝とダートの距離別成績を見てみます。順位の右にあるカッコは前年順位、勝利数の右にあるカッコは前年との勝利数増減です。

■芝1000〜1300m
1位(1)サクラバクシンオー 29勝(+1)
2位(3)ダイワメジャー   20勝(+5)
3位(2)アドマイヤムーン  15勝(−3)
4位(28)キンシャサノキセキ 13勝(+9)
5位(12)ディープインパクト 12勝(+4)
■芝1400〜1600m
1位(1)ディープインパクト 73勝(+5)
2位(2)ダイワメジャー   40勝(+6)
3位(3)キングカメハメハ  34勝(+5)
4位(12)ステイゴールド   25勝(+16)
5位(9)アドマイヤムーン  18勝(+6)
■芝1700〜2000m
1位(1)ディープインパクト 97勝(−7)
2位(2)キングカメハメハ  62勝(+7)
3位(4)ステイゴールド   50勝(+14)
3位(3)ハーツクライ    40勝(−4)
5位(10)ハービンジャー   38勝(+22)
■芝2100m〜
1位(1)ディープインパクト 22勝(+3)
2位(3)ステイゴールド   19勝(+6)
3位(2)ハーツクライ    17勝(+3)
4位(4)キングカメハメハ  16勝(+4)
5位(…)ハービンジャー   13勝(+13)

ディープインパクトが昨年に続いて3部門で首位。これまで縁がなかった1000〜1300mでも5位に食い込んでいます。この部門ではサクラバクシンオーが11連覇達成。2歳世代がいなかったにもかかわらずこの成績は立派です。全体ではステイゴールド、ハービンジャーが伸びています。とくに後者は初年度産駒が今年4歳なので、世代が増えることによる伸びしろがあります。今年はさらに躍進するでしょう。

■ダ1000〜1300m
1位(1)サウスヴィグラス  35勝(−5)
2位(5)ゴールドアリュール 19勝(+2)
3位(3)ダイワメジャー   18勝(+1)
4位(20)パイロ       18勝(+13)
5位(19)プリサイスエンド  16勝(+10)
■ダ1400〜1600m
1位(1)ゴールドアリュール 23勝(−3)
2位(2)クロフネ      20勝(+1)
3位(4)ダイワメジャー   15勝(+2)
4位(3)キングカメハメハ  14勝(−3)
5位(41)エンパイアメーカー 14勝(+11)
■ダ1700〜2000m
1位(1)キングカメハメハ  64勝(+11)
2位(2)ゴールドアリュール 38勝(−6)
3位(3)クロフネ      32勝(−1)
4位(7)ネオユニヴァース  29勝(+4)
5位(4)ゼンノロブロイ   28勝(−4)
■ダ2100m〜
1位(6)キングカメハメハ  10勝(+8)
2位(9)ゼンノロブロイ    5勝(+3)
3位(3)ハーツクライ     5勝(+1)
4位(40)タイムパラドックス  3勝(+3)
5位(1)シンボリクリスエス  2勝(−4)

短距離のサウスヴィグラス、マイル前後のゴールドアリュール、中長距離のキングカメハメハ、という図式は変わりません。1700m以上のキングカメハメハは独走態勢です。




2015年の種牡馬傾向を振り返る(前)


元日の夜は下北沢の新年会に出席し、2日はいつもどおり家で仕事をしていたのですが、3、4日は体調を崩して寝込んでいました。正月で病院がやっていないため、ユンケルを飲んでたっぷりと睡眠を取ったら現在はほぼ回復。元日を除いて酒を飲まなかったので、今年はかえって健康的だったかもしれません。

2016年の競馬が始まる前に、2015年の種牡馬傾向(JRA)をおさらいします。平地総合、芝、ダートの三種に分けて集計しました(障害は除きました)。この企画の意図は「トレンドの変化」を捉えることにあるため、賞金額ではなく勝利数の増減に注目しています。順位の右にあるカッコは前5年の順位(左から14年、13年、12年、11年、10年)、勝利数の右にあるカッコは前年との勝利数増減です。

【総合】
1位(1←1←1←2←26)ディープインパクト 221勝(−4)
2位(2←2←2←1←1)キングカメハメハ  218勝(+31)
3位(4←3←4←31←…)ダイワメジャー   132勝(+25)
4位(3←9←8←16←44)ハーツクライ    121勝(−13)
5位(11←14←13←12←18)ステイゴールド   108勝(+30)
6位(5←12←15←13←11)ゼンノロブロイ    99勝(+1)
7位(8←6←9←3←8)ネオユニヴァース   90勝(−1)
8位(10←7←12←8←5)マンハッタンカフェ  85勝(−7)
9位(6←8←10←14←12)ゴールドアリュール  84勝(−12)
10位(5←10←7←5←2)クロフネ       83勝(−10)
【芝】
1位(1←1←1←1←13)ディープインパクト 204勝(+5)
2位(2←2←2←2←1)キングカメハメハ  118勝(+15)
3位(5←5←7←4←10)ステイゴールド    97勝(+37)
4位(4←3←3←20←…)ダイワメジャー    78勝(+7)
5位(3←4←4←8←27)ハーツクライ     76勝(−10)
【ダート】
1位(2←2←1←1←3)キングカメハメハ  100勝(+16)
2位(1←1←2←6←5)ゴールドアリュール  80勝(−8)
3位(3←3←3←3←1)クロフネ       65勝(+1)
4位(4←7←10←22←14)サウスヴィグラス   54勝(+3)
5位(10←8←11←58←…)ダイワメジャー    54勝(+18)

総合ランキングはディープインパクトが4連覇を達成。キングカメハメハは3勝差まで追い上げましたが届きませんでした。障害を入れると双方224勝で並びます(2着の差でディープが1位)。

大きく勝ち星を伸ばしてきたのはキングカメハメハ、ダイワメジャー、ステイゴールドの3頭。いずれも種付け頭数の増加、繁殖牝馬の質の向上が好成績の原動力となっています。たとえばキングカメハメハは11、12、13年生まれの血統登録頭数が平均195頭。数だけでなく繁殖牝馬の質も最高です。ただ、今年デビューする14年生まれは、種付け頭数が少なかったため、現時点で血統登録頭数が50頭。16年の成績が15年を上回れるかどうかは微妙なところです。

ダイワメジャーはダートの好成績が目につきました。14年は芝とダートの勝利数の差が35勝でしたが、15年は24勝と縮まり、連対率ベースで見るとダートが芝を上回りました。いまのところダートの勝ち星は下級条件が中心ですが、少しずつ傾向が変化していく可能性はあります。

このランキングの上位の常連で、09年には総合トップに立った経験もあるシンボリクリスエスがベストテン外に落ちました。上位の層が厚くなっている証拠でしょう。総合ベストテンのなかで最年少はディープインパクト(02年生まれ)。全体的に高齢化しているので、オルフェーヴルやロードカナロアといった新しい世代が産駒を送り込んでくると、ランキングが大幅に入れ替わるのではないかと思います。




2013年の英愛リーディングサイアーは Galileo(後)


4位 Teofilo は「Galileo×デインヒル」の配合馬。昨年の17位から大きく順位を上げました。代表産駒の Trading Leather は愛ダービーを勝ち、キングジョージや英インターナショナルSで2着、愛チャンピオンSで3着と健闘しました。4歳を迎えた今年もG1戦線で安定した成績を残すでしょう。

5位 Dansili は古馬牝馬の強豪 The Fugue(愛チャンピオンS、ヨークシャーオークス)の働きが大きかったですね。そのほか Winsili(ナッソーS)がG1を勝ちました。

6位 Pivotal は前年2着続きだった Farhh が目覚め、ロッキンジSとチャンピオンSを勝ちました。同馬は13年、この2戦しかしていません。すでに引退しており、14年からイギリスのダルハムホールスタッドで種牡馬入りします。母方がドイツ血統なのでおもしろく、Pivotal の子ですでに種牡馬入りして結果を出している Kyllachy 以上の成功は望めるのではないかと思います。Nureyev 系はまだまだ続きそうです。
http://www.pedigreequery.com/farhh



7位 New Approach は前年42位からジャンプアップ。4位 Teofilo と同じく Galileo の息子です。Dawn Approach(英2000ギニー、セントジェームズパレスS)、Talent(英オークス)が躍進の原動力です。13年の3歳世代が初年度産駒で、出走頭数が少ないにもかかわらずこの順位は立派です。Galileo は自身のみならず、息子たちも種牡馬として優れた能力を備えていることを、Teofilo と New Approach の成功によって示しています。

8位 Dark Angel は10位 Acclamation の子で、現役時代はミドルパークS(英G1)、ミルリーフS(英G2)など9戦4勝。大方の予想を上回る成功を収めています。芦毛の Lethal Force(ジュライC、ダイヤモンドジュビリーS)が短距離路線で活躍しました。
http://www.pedigreequery.com/lethal+force



9位 Montjeu は2位から転落。しかし、St Nicholas Abbey(ドバイシーマクラシック、コロネーションC)、Chicquita(愛オークス)、Leading Light(英セントレジャー)がG1を勝っており、内容は決して悪くありません。産駒の Motivator は凱旋門賞馬 Treve の父となって仏リーディングサイアーに輝き、Authorized も2頭のG1馬(Ambivalent、Seal of Approval)を出して19位にランクを上げてきています。

10位 Acclamation はG1馬こそ出さなかったものの、安定した活躍ぶりで自身二度目のベスト10入りを果たしました(前回は07年10位)。その父 Royal Applause も似たようなキャラクターのスプリント種牡馬でした。手堅くスピードを伝えるので安定しており、子の Dark Angel も種牡馬入りしてすでにG1馬を出しています(13年8位)。この系統は地味ではありますが長く存続しそうです。




2013年の英愛リーディングサイアーは Galileo(前)


日本においてはサンデーサイレンスが時代を画す種牡馬であり、それ以前と以後では生産界の風景が違います。近年のヨーロッパでそれに該当するのは Sadler's Wells でしょう。90年に初めて英愛リーディングサイアーに輝き、計14回その座に就きました。

現在は息子の Galileo 時代が到来しています。13年も2位 Dubawi に2倍近い賞金差をつけて英愛リーディングサイアーに輝きました。10年から4年連続、08年の1回を加えると計5回目の戴冠です(順位のあとのカッコは昨年順位)。

1位(1)Galileo(1998・Sadler's Wells)       £4,733,222
http://www.pedigreequery.com/galileo4
2位(9)Dubawi(2002・Dubai Millennium)      £2,527,515
http://www.pedigreequery.com/dubawi
3位(7)Oasis Dream(2000・Green Desert)      £2,429,152
http://www.pedigreequery.com/oasis+dream
4位(17)Teofilo(2004・Galileo)          £2,336,927
http://www.pedigreequery.com/teofilo2
5位(5)Dansili(1996・デインヒル)         £2,261,906
http://www.pedigreequery.com/dansili
6位(6)Pivotal(1993・Polar Falcon)        £1,972,062
http://www.pedigreequery.com/pivotal
7位(42)New Approach(2005・Galileo)        £1,917,757
http://www.pedigreequery.com/new+approach
8位(14)Dark Angel(2005・Acclamation)       £1,722,039
http://www.pedigreequery.com/dark+angel9
9位(2)Montjeu(1996・Sadler's Wells)       £1,632,616
http://www.pedigreequery.com/montjeu
10位(13)Acclamation(1999・Royal Applause)     £1,555,896
http://www.pedigreequery.com/acclamation2

Galileo が繋養されているアイルランドのクールモアスタッドには、毎年同馬の種を求めて選りすぐりの良血牝馬が集まっており、この支配体制は当分続きそうです。Frankel に代表されるようにデインヒル牝馬との配合が成功しているのが大きいですね。13年は Ruler of the World(英ダービー)、Magician(愛2000ギニー、BCターフ)が出現しました。後者にはデインヒルが入っています。Galileo の絶対王政を脅かすのは息子の Frankel まで待たなければならないかもしれません。



2位 Dubawi は優秀な若手種牡馬ですが、10年以降8、10、9位と、もうひとつ上位に行けないもどかしさがありました。昨年はG1を3勝した Al Kazeem の働きにより2位に浮上しています。わずか1世代を残して急逝した Dubawi Millennium の忘れ形見。現役時代にジャックルマロワ賞、愛2000ギニーなどG1を3勝した名馬で、種牡馬としても Makfi(英2000ギニー、ジャックルマロワ賞)、Lucky Nine(香港スプリント)、Poet's Voice(クイーンエリザベス2世S)、Monterosso(ドバイワールドC)など数多くの活躍馬を送り出しています。上位10頭中唯一の Mr.Prospector 系種牡馬です。

3位 Oasis Dream は現役時代、カルティエ賞最優秀スプリンターに選ばれた快速馬で、Northern Dancer 3×4、Sir Ivor≒Drone 3×4、Never Bend 4×4ですから父母相似配合です。優れた影響力をしっかり伝えられる、という長所はこのあたりに秘密がありそうです。産駒は仕上がり早のスピードタイプが多いのですが、母方にスタミナ血統を入れれば Midday(BCフィリー&メアターフ、ヴェルメイユ賞、ヨークシャーオークス、ナッソーS[3回])のような中距離馬も出します。このあたりが Oasis Dream の奥の深さです。13年は Jwala(ナンソープS)がG1を勝ちました。

ちなみに、2位 Dubawi と Oasis Dream は血統構成が似ています。



いずれも母方にダンシングブレーヴと Mill Reef を持つほか、前者の父 Green Desert と後者の父の母の父 Shareef Dancer はいずれも「Northern Dancer 系×Sir Ivor」という構成です。

ダンシングブレーヴは種牡馬入り早々マリー病という奇病に冒され、イギリスではわずか5世代、約150頭程度の産駒しか残しませんでした。昨今の人気種牡馬なら1世代で上回る数字です。しかし、その血を受け継いだ Dubawi や Oasis Dream が種牡馬として大成功を収めました。影響力の強さをいまさらながら思い知らされます。




2013年の米リーディングサイアーは Kitten's Joy


アメリカの年度代表馬の発表は10日ほど先ですが、2013年のリーディングサイアーはすでに決定しています。昨年19位の Kitten's Joy が初の栄冠を獲得しました。

1〜10位のリストは以下のとおり。順位のあとのカッコは昨年順位で、馬名のあとのカッコは生年と父名です。集計は『BloodHorse.com』なども採用している Equineline 社のもの(対象は北米繋養の種牡馬で、集計範囲は北米に加えてヨーロッパ主要国、UAEを含む)。北米に限った集計方法ではまた違ったランキングになります。

1位(19)Kitten's Joy(2001・El Prado)       $11,326,203
http://www.pedigreequery.com/kittens+joy
2位(3)Speightstown(1998・Gone West)      $11,255,181
http://www.pedigreequery.com/speightstown
3位(1)Giant's Causeway(1997・Storm Cat)    $10,763,745
http://www.pedigreequery.com/giants+causeway
4位(6)Malibu Moon(1997・A.P.Indy)       $10,129,794
http://www.pedigreequery.com/malibu+moon
5位(67)War Front(2002・Danzig)          $9,834,961
http://www.pedigreequery.com/war+front
6位(33)Unbridled's Song(1993・Unbridled)     $9,506,659
http://www.pedigreequery.com/unbridleds+song
7位(4)Tapit(2001・Pulpit)            $9,184,114
http://www.pedigreequery.com/tapit
8位(11)Harlan's Holiday(1999・Harlan)      $9,136,624
http://www.pedigreequery.com/harlans+holiday
9位(18)Awesome Again(1994・Deputy Minister)   $8,770,282
http://www.pedigreequery.com/awesome+again
10位(12)Macho Uno(1998・Holy Bull)        $8,339,023
http://www.pedigreequery.com/macho+uno

1位 Kitten's Joy と2位 Speightstown との差はわずか7万ドルちょっと。『BloodHorse.com』では毎日情報を更新しているので、10月ぐらいから3日と空けずチェックしていたのですが、最後の最後まで逆転を許さず Kitten's Joy が逃げ切りました。8月17日にセクレタリアトS(米G1・芝10f)、アーリントンミリオン(米G1・芝10f)、ソードダンダー招待H(米G1・芝12f)と芝G1を3勝したのが大きかったですね。この3レースの1着賞金の合計だけで119万7000ドルですから、年間獲得賞金の10分の1以上を1日で得たことになります。

父 El Prado も02年に米リーディングサイアーに輝いているので、親子二代での戴冠です。Sadler's Wells 系は、英・愛の Galileo、フランスの Motivator、そして北米の Kitten's Joy と、13年は主要3地域を制覇したことになります。
http://www.pedigreequery.com/kittens+joy



父 El Prado は、その母 Lady Capulet が Attica≒Cap and Bells 2×1という特殊な凝縮の持ち主です。Kitten's Joy の Tom Fool 4×5はその核心部分を継続するものなので効果的でしょう。
http://www.pedigreequery.com/lady+capulet2



8月17日にG1を勝った Admiral Kitten、Real Solution、Big Blue Kitten はいずれも Roberto クロスの持ち主。活躍馬の配合を調べるとこのクロスがかなりの確率で施されていることが分かります。日本でこのクロスが走るとは限りませんが、わかりやすいニックスではあるので、アメリカの生産者にとっては配合のしやすい種牡馬だと思います。芝向きの種牡馬が米リーディングサイアーに輝いたのは珍しいことです。
http://www.pedigreequery.com/real+solution



年齢が若く、順位を急激に上げてきているのは5位の War Front。デインヒルや Green Desert を通じて世界の主流ラインとなっている Danzig 系で、この馬を通じて新しい幹が育ちそうな予感がします。

ヨーロッパで Declaration of War(インターナショナルS、クイーンアンS)、War Command(デューハーストS)がG1を制し、アメリカでもヴァージニアダービー(米G2・芝10f)を勝った War Dancer、ウィズアンティシペーションS(米G2・芝8.5f)を勝った Bashart など芝での活躍馬が目立ちます。Kitten's Joy と似たタイプですね。ヨーロッパではこれからさらに人気が高まり、セールで買われて大西洋を渡る産駒が増えそうです。スーパーダービー(米G2・ダ9f)を勝った Departing のような産駒もおり、芝一辺倒というわけでもないので先々が楽しみです。14年の種付料「15万ドル」は Tapit と並んで全米ナンバーワン。すでにアメリカの最重要種牡馬と位置付けられています。
http://www.pedigreequery.com/war+front



血統屋ホームページの「データ」には、血統ファンに楽しんでいただける資料がいろいろ取り揃えてあります。「各国別リーディングサイアー」というコーナーには、日・米・英愛・仏・豪の上位50頭のランキングが掲載されており(09年以降)、血統表のリンクもあるので、現代のトレンドが一目瞭然です。また、父系の国別勢力表というグラフもなかなか興味深いものです。ぜひ一度ご覧いただければ幸いです。2013年分も近々アップする予定ですのでもう少々お待ちください。
http://www.miesque.com/data.html




2013年の種牡馬傾向を振り返る(3)


今回はダートを振り返ります。

JRAで組まれた15のダート重賞のうち、3分の1にあたる5つをキングカメハメハ産駒が制しました。具体的な馬名を挙げるとベルシャザール(ジャパンCダート、武蔵野S)、ホッコータルマエ(アンタレスS)、アドマイヤロイヤル(プロキオンS)、グランドシチー(マーチS)の4頭。地方競馬で行われるダート交流重賞でも同産駒は大活躍し、前出のホッコータルマエがJBCクラシック、東京大賞典、かしわ記念、帝王賞、佐賀記念、名古屋大賞典と6勝を挙げたほか、ハタノヴァンクールが川崎記念とブリーダーズゴールドCを、タイセイレジェンドが東京盃を、ソリタリーキングがマーキュリーCを制しました。中央と地方を合わせたダート限定の種牡馬ランキングではキングカメハメハがトップです。

しかし、中央のダート戦のみに限定した勝利数ランキングでは、これまで2年連続首位だったキングカメハメハ(78勝)を上回り、ゴールドアリュール(83勝)がトップに立ちました。中央ではひとつも重賞を勝てなかったものの、地方競馬ではエスポワールシチー(JBCスプリント、南部杯)、クリソライト(ジャパンダートダービー)、コパノリッキー(兵庫チャンピオンシップ)の3頭が勝利を挙げました。

距離別の解説に移ります。下表のなかの左カッコは前年順位、右カッコは前年との勝利数増減です。

■ダ1000〜1300m
1位(1)サウスヴィグラス  28勝(+4)
2位(7)ゴールドアリュール 21勝(+8)
3位(4)キングカメハメハ  19勝(+2)
4位(6)クロフネ      16勝(+1)
5位(12)ダイワメジャー   15勝(+4)

ダート短距離といえばサウスヴィグラスが信頼できます。前年に続いてのV2を達成。ダート1600m以下では単勝回収率159%、複勝回収率108%ですから、ベタ買いしても十分儲かる計算です。連対率ベースで見ると、ダート1000mで26%を記録し、とくに札幌、函館の成績が優秀です。地方競馬ではラブミーチャンが東京スプリントとクラスターCを勝ちました。ゴールドアリュールが前年から8勝を上積みして2位に浮上してきたのが目に付きます。これまでこのカテゴリーではシルクフォーチュンとトーホウチェイサーぐらいしか目立った産駒はいなかったのですが、若い世代から伸びてくる馬がいるかもしれません。

■ダ1400〜1600m
1位(5)ゴールドアリュール 19勝(+7)
2位(2)フジキセキ     18勝(+2)
3位(4)シンボリクリスエス 17勝(+5)
4位(1)クロフネ      17勝(−2)
5位(6)キングカメハメハ  14勝(+4)

上位拮抗の大激戦を制したのはゴールドアリュール。前年から7勝を上積みしてトップに立ちました。過去5年間、1、1、1、2、1位と連対を外していなかったクロフネは4位に落ちました。ただ、ゴールドアリュールとはわずか2勝差です。2位フジキセキ、3位シンボリクリスエスも常連で、例年どおり安定した力を発揮しました。ちなみに前者の子ミラクルレジェンドは地方競馬に遠征してエンプレス杯を制しています。

■ダ1700〜2000m
1位(2)ゴールドアリュール 42勝(+2)
2位(1)キングカメハメハ  40勝(−24)
3位(3)シンボリクリスエス 35勝(+2)
4位(4)クロフネ      29勝(+4)
5位(6)ネオユニヴァース  28勝(+5)

ここもゴールドアリュールが制して二階級制覇達成。ただ、前年首位だったキングカメハメハが24勝減と自爆しており、その結果としてゴールドアリュールに勝利が転がり込んできた印象が強いですね。キングカメハメハは12年にこのカテゴリーで505走しているのですが、13年は389走。この路線で戦う馬の層が薄くなったことが原因でしょう。地方競馬のダート交流重賞に回った馬もいました。ここで落ち込んだ分を他の路線でカバーできず、ダート全体の勝ち星でゴールドアリュールに抜かれてしまいました。3位シンボリクリスエス、4位クロフネはダートではきわめて安定しています。前者の子ランフォルセは浦和記念を勝っています。

■ダ2100m〜
1位(15)ロージズインメイ   6勝(+5)
2位(1)キングカメハメハ   6勝(+1)
3位(2)アグネスタキオン   5勝(+2)
4位(31)ジャングルポケット  4勝(+3)
5位(6)マンハッタンカフェ  4勝(+2)

この部門はサンプルが少ないので、1頭の成績に左右されやすく、参考程度に見るのがいいでしょう。ロージズインメイとキングカメハメハが6勝で並びましたが、2着の差で前者が1位。後者の3連覇を阻みました。ロージズインメイはドリームバレンチノ(兵庫ゴールドトロフィー)の父でもあります。(この項終わり)




2013年の種牡馬傾向を振り返る(2)


今回は芝の距離別成績。カテゴリーを4つに分け、それぞれについて解説します(表の左カッコは前年順位、右カッコは前年との勝利数増減)。

■芝1000〜1300m
1位(1)サクラバクシンオー 22勝(−6)
2位(2)キングカメハメハ  18勝(−9)
3位(7)フジキセキ     16勝(+7)
4位(5)ダイワメジャー   12勝(−1)
5位(4)アドマイヤムーン  12勝(−4)

トップのサクラバクシンオーは05年から9年連続トップ。ただ、ピークだった10年は55勝を挙げており、それに比べると半分以下の数字となっています。高齢による活力の衰え、産駒数の減少が原因として考えられます。12年にトップまで1勝と迫ったキングカメハメハが9勝減の18勝で2位。ロードカナロアという超大物を擁し、13年こそはトップを奪い取るかに思われたのですが、全体の厚みがイマイチでした。1、2位はいずれも非サンデー系です。昨年3位だったクロフネが5勝しか挙げられず23位に転落し、かつてはサクラバクシンオーの2位が定位置だったタイキシャトルは9位です。1世代しか産駒がいないヨハネスブルグが10勝を挙げて10位に食い込んでおり、今年はさらなる躍進が期待されます。ただ、2歳世代がわずか28頭しかいない(去年は84頭)のが痛いですね。

■芝1400〜1600m
1位(1)ディープインパクト 56勝(±0)
2位(2)ダイワメジャー   38勝(+3)
3位(7)ネオユニヴァース  21勝(+4)
4位(6)キングカメハメハ  19勝(−1)
5位(5)フジキセキ     18勝(−3)

1位ディープインパクトは12年と同じく56勝を挙げてトップ。基本的には中距離タイプなので、距離の内訳をみると1400mが18勝、1600mが38勝と格差があります。ただ、前年は13勝と43勝だったので、かつては苦手としていた1400mで進境をみせています。前年3位だったアグネスタキオンが産駒数減少により11位に去り、ネオユニヴァース、キングカメハメハ、フジキセキが繰り上がって順位を上げてきました。

■芝1700〜2000m
1位(1)ディープインパクト 97勝(+1)
2位(2)キングカメハメハ  43勝(+1)
3位(4)ハーツクライ    35勝(+2)
4位(3)シンボリクリスエス 29勝(−9)
5位(5)ステイゴールド   25勝(−3)

12年に引き続きディープインパクトが2位にダブルスコアをつけてトップ。このカテゴリーは競走数が多く、日本競馬の中核を形成しています。種牡馬の序列は、総合種牡馬ランキングではなく、むしろこのカテゴリーの順位に近いのではないかとさえ思います。ディープインパクトがわが国の生産界をリードする存在となっているのは、ここで圧倒的な強さを示していることが大きいでしょう。距離の内訳は1800m48勝、2000m49勝と拮抗しています。東京コースで12勝→23勝とほぼ倍増している一方、京都・阪神コースではそれぞれ20勝→14勝、24勝→17勝と減少しています。新馬戦だけで13勝を挙げ、連対率は42%に達しています。2位キングカメハメハ、5位ステイゴールドは前年と同じで、3位と4位が入れ替わっただけ。上位の顔ぶれはほぼ固定しています。

■芝2100m〜
1位(2)ステイゴールド   21勝(+6)
2位(1)ディープインパクト 18勝(−11)
3位(5)キングカメハメハ  15勝(+5)
4位(6)ハーツクライ    13勝(+4)
5位(16)マンハッタンカフェ 12勝(+9)

ステイゴールドがディープインパクトの2年連続の三階級制覇を阻止しました。前年より6つ勝ち星を上乗せして21勝。ただ、連対率ベースでみると数字は下がっており、1着21回、2着10回、という偏りで数を稼いだ形です。中山と阪神の成績がとくに優秀で、有馬記念と宝塚記念で強いのには理由があります。ディープインパクトは前年の29勝から18勝に急減。連対率も下がっているのですが、1着18回、2着26回と、勝ち損ねたレースが多かったことも響きました。とくに東京コースでは10勝→4勝と減っています。このカテゴリーの重賞は23レースあるのですが、ステイゴールドが5勝、ディープインパクトが6勝しているので、2頭合わせて約半分の重賞を勝っていることになります。




2013年の種牡馬傾向を振り返る(1)


あけましておめでとうございます。西暦で末尾「4」の年は強い3歳馬が出現するというジンクスがあります。

1964年 シンザン
1974年 キタノカチドキ
1984年 シンボリルドルフ
1994年 ナリタブライアン
2004年 キングカメハメハ

今年の勢力図はまだ混沌としていますが、春風が吹くころにはスーパースター候補が現れている……かもしれません。

さて、毎年恒例の企画です。2014年の競馬が始まる前に2013年の種牡馬傾向をおさらいしておきたいと思います。毎年同じように見えて各種牡馬とも少しずつトレンドが変化しています。微かな違いをとらえることで馬券や生産に役立つ何かを見いだすことができれば、と思います。ちなみに過去2年はこちら(2011年2012年)。

以下は2013年の種牡馬別JRA勝利数ランキングです。総合(平地)、芝、ダートの三種に分けました。左カッコは過去4年の順位(左から12年、11年、10年、09年)、右カッコは前年との勝利数増減です。この企画の意図は「トレンドの変化」を捉えることにあるため、賞金額ではなく勝利数の増減に注目しています。ちなみに、2013年の総合種牡馬ランキング(収得賞金順)は、1位ディープインパクト、2位キングカメハメハ、3位シンボリクリスエス、4位ダイワメジャー、5位ハーツクライ、6位ステイゴールド、7位マンハッタンカフェ、8位クロフネ、9位ネオユニヴァース、10位フジキセキの順で確定しました。

【総合】
1位(1←2←26←…)ディープインパクト 198勝(−17)
2位(2←1←1←2)キングカメハメハ  173勝(−22)
3位(4←31←…←…)ダイワメジャー   113勝(+2)
4位(3←6←4←1)シンボリクリスエス 106勝(−8)
5位(6←9←3←8)フジキセキ     101勝(+1)
6位(9←3←8←14)ネオユニヴァース   98勝(+13)
7位(12←8←5←4)マンハッタンカフェ  98勝(+35)
8位(10←14←12←12)ゴールドアリュール  96勝(+17)
9位(8←16←44←…)ハーツクライ     93勝(+7)
10位(7←5←2←3)クロフネ       90勝(−8)
【芝】
1位(1←1←13←…)ディープインパクト 182勝(−11)
2位(2←2←1←4)キングカメハメハ   95勝(−4)
3位(3←20←…←…)ダイワメジャー    71勝(−8)
4位(4←8←27←…)ハーツクライ     69勝(+1)
5位(7←4←10←12)ステイゴールド    62勝(+8)
【ダート】
1位(2←6←5←4)ゴールドアリュール  83勝(+17)
2位(1←1←3←5)キングカメハメハ   78勝(−18)
3位(3←3←1←1)クロフネ       62勝(+1)
4位(4←4←2←2)シンボリクリスエス  60勝(+10)
5位(6←2←7←21)ネオユニヴァース   47勝(+3)

2年連続でトップに立ったのはディープインパクト。収得賞金「53億7932万1000円」は昨年の「50億1964万3000円」を更新する自己新記録です。ただ、勝利数は昨年よりも17も減っています。稼働世代が増えたにもかかわらず勝利数が減ったのは意外でした。

12年は東開催64勝、西開催121勝と、東西でほぼダブルスコアの成績でしたが、13年は東開催82勝、西開催94勝と、急速に格差が是正されています。中央開催に絞ると以下のような動態です。

    12年  13年
東京  33勝  42勝(+9)
中山  16勝  22勝(+6)
京都  53勝  34勝(−19)
阪神  41勝  32勝(−9)

12年から13年にかけて、関東圏の東京と中山では15勝増ですが、関西圏の京都と阪神では28勝減です。とくに京都の19勝減は目立ちます。京都コースといえばディープ産駒の十八番でしたが、昨年は例年の強さが見られませんでした。東西の入厩馬の質や馬場コンディションに変化があったのかもしれませんが、はっきりとしたことは分かりません。

2位キングカメハメハも安定しています。ディープインパクトがほぼ芝専用であるのに対し、ダートで稼げるのが強みです。全体の勝利数は12年よりも22勝減。そのうちダートで18勝減らしています。収得賞金も前年に比べて4億8000万円ほど減っていますが、この集計は地方競馬を除外しているので致し方ありません。ホッコータルマエなどが地方競馬で重賞を勝ちまくっており、これらを加算すると収得賞金はほぼ前年並みとなります。

3位ダイワメジャーはほぼ前年並みの成績。ただし、2歳戦では苦戦しました。11、12年と、2歳種牡馬ランキングでディープインパクトに次ぐ2位をキープしてきたのですが、昨年は8位に順位を落としており、3年目の落ち込みが見られました。産駒の質が低下しがちな3、4年目にさしかかり、その影響が思いのほか大きいようだと今年、来年と順位を下げるかもしれません。

4位以下では、昨年まで上位の常連だったアグネスタキオンが現役世代減少により圏外に去り、その穴を埋めるようにマンハッタンカフェ、ゴールドアリュール、ネオユニヴァースが順位を上げてきました。前年、ネオユニヴァースは43勝減、マンハッタンカフェも33勝減と酷かったので、持ち直してきた形です。ゴールドアリュールは着実に順位を上げており、昨年は自己最高を記録しました。ダート勝利数では2年連続トップだったキングカメハメハを5勝上回る83勝を挙げて初のトップに立ちました。この成績は立派です。

2歳種牡馬ランキングは以下のとおり。ディープインパクトがV4を達成しました。初年度産駒から41勝→35勝→39勝→38勝と高いレベルで安定しています。キングカメハメハが3年ぶりに2位に浮上し、繁殖牝馬の質が急上昇したゼンノロブロイが前年比25勝増で3位に食い込みました(12年はわずか3勝……)。新種牡馬はヨハネスブルグのみランクインしています。

【2歳】
1位(1←1←1←…)ディープインパクト  38勝(−1)
2位(6←7←2←2)キングカメハメハ   30勝(+10)
3位(47←21←16←8)ゼンノロブロイ    28勝(+25)
4位(3←13←10←9)ネオユニヴァース   26勝(+4)
5位(…←…←…←…)ヨハネスブルグ    23勝(新種牡馬)
6位(15←9←21←23)ゴールドアリュール  20勝(+9)
7位(7←16←7←…)ハーツクライ     19勝(±0)
8位(2←2←…←…)ダイワメジャー    16勝(−10)
9位(36←…←…←…)チチカステナンゴ   16勝(+11)
10位(17←5←4←4)フジキセキ      15勝(+6)




選びたかったけれど選べなかったディープ産駒


要するにPOG指名候補馬のことです。すでに20頭の2歳馬リストは確定し、あとはコメントを書くだけとなりました。30頭ぐらいのリストから20頭に絞ったので、10頭程度は熟慮の末に切りました。リストから除外した理由はさまざまです。

配合について語りはじめると長くなるので、それ以外の基準について簡単に説明したいと思います。母親の年齢と、生まれた月です。

ディープインパクトはこれまでに出した重賞勝ち馬は22頭。それらを母親の出産年齢別にまとめてみました。

5歳:1頭
6歳:2頭
7歳:1頭
8歳:4頭
9歳:2頭
10歳:1頭
11歳:2頭
12歳:2頭
13歳:1頭
14歳:2頭
15歳:2頭
16歳:1頭
17歳:0頭
18歳:0頭
19歳:1頭

5〜10歳のレンジで半数の11頭を占めています。15〜16歳の3頭は、ビワハイジの子が2頭にエアグルーヴの子が1頭ですから、どちらも日本を代表するクラスの名繁殖牝馬です。つまり、そのレベルでなければ15歳以上の繁殖牝馬の子は選びづらい、ということです。

若い繁殖牝馬がいい、ということはディープインパクト産駒に限った話ではなく、どの種牡馬にもいえることです。上が走っている馬はたしかに安心感があって選びやすいのですが、気が付けば母親の年齢が15歳を超えている、というケースは珍しくありません。全きょうだいでも母親の加齢によるリスクはあるので、できれば5〜14歳の繁殖牝馬から選びたいところです。その年齢を超えてしまった繁殖牝馬の子を選ぶなら、配合の優れた若い繁殖牝馬に期待したほうがいいでしょう。ちなみに、19歳の繁殖牝馬から誕生したのはヒストリカル。半兄にカンパニー、レニングラード、ニューベリーがいるのですからこれも相当なレベルです。

今年、この基準に引っ掛かって切ったのはビービージンガ(オールザチャットの2011)。母が17歳時の産駒です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011101122/



母オールザチャットはニュージーランド産のスピード血統。もともとノーザンファームが日本に輸入した馬で、現在は平取町の坂東牧場に繋養されています。これまでにビービーガルダン(阪急杯、キーンランドC)を産んだ実績があります。母の父の父 Grosvenor はリーディングサイアーの経験こそないものの、オーストラリアとニュージーランドの双方で優れた産駒実績を挙げました。3代以内に Sir Ivor、Round Table、Aureole を持っており、いかにもディープインパクトに合いそうな血統です。オールザチャットがスピードタイプ、というのも好ましいところでした。

生まれた月で気になるのはやはり6月です。カワカミプリンセスやノーリーズンのように、能力さえあれば春のクラシックを勝つこともありますが、その数は少なく、やはり稀な例といえるでしょう。ディープインパクト産駒でもいまだに6月生まれの重賞勝ち馬は出ていません。

この基準に引っ掛かって切ったのがミュゼリトルガール(レインデートの2011)。6月2日生まれです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105496/



父と相性のいい血で構成された素軽いマイラー配合。なかなかいいな……と思ったのですが、6月生まれでは手が伸びません。名前からして馬体が小さいのかなという気もします。ちなみに、前出のビービージンガは5月29日生まれ。この点からも取りづらい馬です。

付け加えれば、ノーザンファームの生産馬が圧倒的に優れています。重賞を勝った22頭中14頭を占めます。残りの8頭のうち4頭が社台ファームで、それ以外が4頭です。

配合を抜きにしても、さまざまなデータを駆使して良駒に迫ることは可能です。今回ご紹介したのはごく初歩的なものです。過去のデータを解析して独自の尺度を見つけ、それを2歳世代に当てはめてみると、これまで見えなかったものが見えてくることがあります。これといった方針もなく評判だけを頼りに選ぶよりも、当たりを掴む精度ははるかに高まるのでオススメです。




2012年の米リーディングサイアーは Giant's Causeway


2012年の米年度代表馬は Wise Dan に決定しました。芝マイル路線で活躍した馬で、秋にブリーダーズCマイル(G1・芝8ハロン)を含めてG1を3連勝、年間6戦5勝(2着1回)という成績は立派です。

ただ、アメリカは言うまでもなくダート競馬が中心で、建前はともかく路線の軽重は確かにあります。Wise Dan の受賞に異議を唱えるつもりは毛頭ありませんが、ダート王道路線にそれなりの馬がいれば、おそらくそちらが選ばれていたでしょう。今回の決定の背景には、要するに王道路線のタレント不足があります。

考えてみれば Curlin 以降、誰もが認めるような牡馬のチャンピオンが見当たりません。これはと思う大器が故障したり……といった不運は確かにあるのですが、昔に比べて全体的に粒が小さくなってきているようにも感じます。それ以前から、ヨーロッパにおけるアメリカ産馬のプレゼンス低下は囁かれていました。カルティエ賞の年度代表馬は01年のファンタスティックライトを最後に10年以上も出ていません。

たまたまなのか、あるいは構造的な問題をはらんでいるのか。仮に後者だとすると、生産レベルの低下=血統レベルの低下ということですから、回復するには少々時間がかかるかもしれません。

昨年の種牡馬ランキングは以下のとおり。順位のあとのカッコは昨年順位で、馬名のあとのカッコは生年と父名です。集計は『BloodHorse.com』なども採用している Equineline 社のもの(対象は北米繋養の種牡馬で、集計範囲は北米に加えてヨーロッパ主要国、UAEを含む)。北米に限った集計方法ではまた違ったランキングになります。

1位(4)Giant's Causeway(1997・Storm Cat)    $10,104,608
http://www.pedigreequery.com/giants+causeway
2位(8)エンパイアメーカー(2000・Unbridled)   $10,008,705
http://www.pedigreequery.com/empire+maker
3位(7)Speightstown(1998・Gone West)       $9,989,690
http://www.pedigreequery.com/speightstown
4位(3)Tapit(2001・Pulpit)            $9,305,068
http://www.pedigreequery.com/tapit
5位(2)Smart Strike(1992・Mr.Prospector)     $8,460,973
http://www.pedigreequery.com/smart+strike
6位(5)Malibu Moon(1997・A.P.Indy)        $8,181,674
http://www.pedigreequery.com/malibu+moon
7位(28)City Zip(1998・Carson City)        $8,178,282
http://www.pedigreequery.com/city+zip
8位(1)Distorted Humor(1993・フォーティナイナー) $8,044,321
http://www.pedigreequery.com/distorted+humor
9位(42)E Dubai(1998・Mr.Prospector)       $7,972,476
http://www.pedigreequery.com/el+dubai
10位(34)Lion Heart(2001・Tale of the Cat)     $7,731,601
http://www.pedigreequery.com/lion+heart2

1位の Giant's Causeway は通算3回目のタイトル。Storm Cat 系のエースです。現役時代はアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属し、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝して“アイアンホース”の異名を取りました。ヨーロッパで超一流の実績を挙げたことが信頼性の高い能力検定だった、といえるでしょう。このレベルの実績を挙げたアメリカ産馬はここ最近では見当たりません。アメリカ生産界を引っ張る種牡馬はこのレベルでないと難しいのかもしれません。数の力で順位を維持しているという見方もできますが、裏を返せば丈夫に堅実に走るということでもあります。生産者にとっては頼りになる種牡馬といえるでしょう。日本ではエイシンアポロン(マイルCS)、スズカコーズウェイ(京王杯SC)、エーシンジーライン(小倉大賞典)が代表産駒で、母の父としてはディープインパクトとの配合から Beauty Parlour(仏1000ギニー)が誕生しています。



2位のエンパイアメーカーはゴール直前までトップだったものの、最後に差されて2位。ただし、北米のみの集計ではトップです。2000年以降に生まれた種牡馬でベスト10に入っているのは3頭。そのうち、2位のこの馬は日本へ、10位の Lion Heart はトルコへ売却されており、アメリカにはもういません。これからのアメリカ生産界を担うであろう若くて優秀な種牡馬にかぎって国外に売ってしまっているわけですから、他人事ながらアメリカ生産界の今後に懸念を抱かざるを得ません。逆に、日本はいい買い物をしました。産駒のデビューは来年夏です。



3位の Speightstown も日本向きです。これまで日本で走った6頭中5頭が勝ち上がるという堅実ぶりで、ドスライス(クラスターC)、エーシンジェイワン(OP)、グリフィンゲート(準OP)が出ているように粒も揃っています。



3頭の血統表を見比べると、Giant's Causeway と Speightstown は Storm Cat を持ち、エンパイアメーカーと Speightstown は Mr.Prospctor 系です。アメリカ生産界のドンは、80年代が Mr.Prospector、90年代が Storm Cat なので、それらを血肉としているということです。

血統屋ホームページの「データ」には、血統ファンに楽しんでいただける資料がいろいろ取り揃えてあります。「各国別リーディングサイアー」というコーナーには、日・米・英愛・仏・豪の上位50頭のランキングが掲載されており(09年以降)、血統表のリンクもあるので、現代のトレンドが一目瞭然です。また、父系の国別勢力表というグラフもなかなか興味深いものです。ぜひ一度ご覧いただければ幸いです。2012年分も近々アップする予定ですのでもう少々お待ちください。「世界のG1勝ち馬父系図」は昨年分まで完成しております。表制作・解説は南原文洋氏です。
http://www.miesque.com/data.html






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