2016ケンタッキーダービー展望


日本のラニが挑む第142回ケンタッキーダービー(米G1・ダ10f)は、5月7日(日本時間8日朝)、米ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場で行われます。

出走メンバーを見て思ったのは“Uncle Mo 産駒が多い”ということ。同産駒は現3歳がファーストクロップで、昨年フレッシュマンサイアーチャンピオンと北米2歳種牡馬チャンピオンとなった注目の若手有望株です。まだ1世代しか稼働していないにもかかわらず、現在北米サイアーランキングの第3位につけています。14年から首位の座にある Tapit も安閑としていられませんし、やがて Uncle Mo 時代が来るかもしれません。

Uncle Mo 自身は現役時代、ブリーダーズCジュヴェナイル(G1)を制して米2歳王者となったものの、ケンタッキーダービーは内臓疾患によりレース前日の朝に出走取消となりました。自身が果たせなかったダービー制覇の夢を実現すべく、初年度から4頭の産駒(Nyquist、Outwork、Mo Tom、Laoban)を出走メンバーに送り込んできたのは立派です。ちなみに、Tapit 産駒は3頭(Mohaymen、Creator、ラニ)です。

1番人気が予想される7戦全勝の Nyquist(BCジュベナイルフロリダダービーなど4つのG1を制覇)は Uncle Mo 産駒。母が持つ Ribot 5×5はケンタッキーダービー向きのスタミナと底力の根拠となります。綺麗な配合構成で、無傷の8連勝で戴冠する可能性も十分あるでしょう。
http://www.pedigreequery.com/nyquist



Uncle Mo 産駒で狙ってみたい馬はほかにもいます。Mo Tom。カタカナで書くと「モートム」。他人とは思えません^^

ブリーダーズCジュヴェナイルフィリーズ(米G1)の2着馬 Beautician(父デヒア)の半弟で、「Uncle Mo×Rubiano」だけを見ると距離はギリギリといったところですが、母 Caroni は Nijinsky 3×3(Bull Page≒Kinfolks 5×5・5)で、これがスタミナ面のサポートとなっています。
http://www.pedigreequery.com/mo+tom



Uncle Mo の母方には Kris S.、Dixieland Band、Cyane といった重厚な血が並び、Alibhai〜Warfare や Heliopolis など、Dixieland Band の構成要素の中核を成す Hyperion のラインをしっかりクロスさせているので、大レース向きの底力が期待できます。

父系はもともと Grey Sovereign にさかのぼるのですが、アメリカ競馬への適性、具体的にはパワーや大きな馬格といった要素を代々取り入れて、この系統が本来持っていた繊細さや切れ味は希薄になっています。本馬は Caro 5×3。Grey Sovereign 的な特長を強化したせいか、アメリカのダート馬にしては珍しく追い込み一辺倒です。

3歳になってルコントS(G3)で初めて重賞を勝ち、前々走のリズンスターS(G2)では1番人気に推されたものの直線でふらつく馬を交わす際にロスがあり、勝った Gun Runner から1馬身半差の3着。前走のルイジアナダービー(G2)はまたもや1番人気に推されたものの、直線に入って行き場がなく、思い切って最内を突いたらまともに挟まれてしまい、再度 Gun Runner の4着。ここ2走は力を出し切っていません。ケンタッキーダービーが後ろから届く展開となり、馬群をスムーズに捌くことができれば一発があっても不思議はないでしょう。現在、10番人気前後です。

もう1頭挙げるとすれば Giant's Causeway 産駒の Brody's Cause でしょうか。2歳時にブリーダーズフューチュリティS(G1)を勝ち、ブリーダーズCジュヴェナイル(G1)は3着。今季は休み明け2戦目となるブルーグラスS(G1)を勝って本番に臨みます。後者はさほどレベルが高くなかったのですが、血統的には魅力があります。
http://www.pedigreequery.com/brodys+cause



Roberto 4×3は、同じ Giant's Causeway 産駒でアスコットゴールドC(英G1・芝20f)を勝った Rite of Passage と同じ。本馬はほかに Sadler's Wells も抱えています。スタミナの裏付けがあるので距離は合うはずです。ただし、19番枠はかなりキツいですね。腹をくくって後ろから行くしかないでしょう。現在、5番人気前後です。

◎Mo Tom
○Nyquist
▲Brody's Cause
△Exaggerator
△Gun Runner
△Creator




アンライバルドの成功パターンに合致するアドナルシー


月曜日の京都9R福寿草特別(3歳500万下・芝2000m)に出走するアドナルシーは、新種牡馬アンライバルド産駒。

アンライバルドは現役時代に皐月賞(G1)を1分58秒7という好時計で勝ったものの、その後は一度も勝てずに引退しました。配合的に評価していた馬だったので、皐月賞では◎を打ちましたし、不振の泥沼にはまっていた時期の有馬記念でも中山適性に期待して◎を打ちました。15着と惨敗して馬券も外れ、競馬場の出口で買った日刊競馬のカレンダーを握りしめながら、しみじみとした気持ちで黄昏のおけら街道を歩いて帰ったのを思い出します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103308/



フサイチコンコルド(日本ダービー)、グレースアドマイヤ(リンカーンとヴィクトリーの母)、ボーンキング(京成杯)の半弟にあたる良血ですが、初年度産駒にあたる現3歳世代の血統登録頭数はわずか23頭。尻すぼみの成績で引退したことが響いている印象です。ただ、産駒成績は悪くなく、京王杯2歳S(G2)で5着となったトウショウドラフタをはじめ4頭が勝ち上がっています。

トウショウドラフタは Sadler's Wells≒Number 3×3、暮れの未勝利戦(芝1200m)を半年ぶりの実戦で勝ち上がったハートイズハートは Sadler's Wells≒ウェルシュマフィン3×3。いずれも Sadler's Wells を強化した配合となっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013104550/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013106425/







11月に京都の新馬戦(芝1600m)を勝ち上がり、月曜日の福寿草特別に出走するアドナルシーは、Sadler's Wells≒Nureyev 3×3。上記の2頭と同じパターンといえるでしょう。母の父スピニングワールドはヌーヴォレコルト、エーシンダックマン、ステラウインドなどの母の父でもあり、自身の種牡馬成績以上に母の父として成功しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013103567/



Roberto なども入るので配合的には小回り向き。将来的に楽しみな馬であり、今回もいい競馬になるのでは、と思われるので馬券を買って応援しようと思います。




6月24日は帝王賞


帝王賞(Jpn1・大井ダ2000m)は実力馬がしっかり上位に来るレースです。大井競馬場は直線が386mあるので京都や阪神よりも長く、実力が反映されやすいため、それなりのメンバーが体調に問題なく出走してくれば、展開面のまぎれがないかぎり大きな波乱は起きません。過去10年間で1番人気馬が8回連対し、1−2番人気の決着が4回、1−3番人気の決着が3回ですから、いわゆる銀行レースといっていいでしょう。

◎ホッコータルマエ
○ワンダーアキュート

馬単1点勝負、といきたいところですが、先週のユニコーンSでドバイ帰りのゴールデンバローズが馬券に絡めなかったことを考えると、ホッコータルマエが大井4戦3勝といっても絶対的な信頼感はありません。馬連でいきたいと思います。

ちなみに前日売りの単勝人気は以下のとおりです。

1番人気 ホッコータルマエ(2.1倍)
2番人気 クリノスターオー(3.2倍)
3番人気 ワンダーアキュート(6.6倍)
4番人気 ハッピースプリント(8.0倍)
5番人気 クリソライト(8.1倍)




2015ケンタッキーダービー有力馬


今年は例年以上に粒が揃ったメンバー構成で、5月2日(土)のレースを早く見たい、待ち遠しい!といった気分で毎日カレンダーを眺めています。同日に行われるプロボクシングの世紀の決戦「パッキャオVSメイウェザー」のほうが注目度は格段に高いとは思いますが、いやいや競馬もなかなかですよ、といいたいですね。

英ブックメーカーのウィリアムヒルは、以下のような単勝オッズを付けています。

American Pharoah  3.5
Dortmund      6
Carpe Diem     9
Mubtaahij      13
Materiality     15
Firing Line     15
Frosted       17
International Star 21
Upstart       21

1番人気 American Pharoah は昨年の米2歳牡馬セン馬チャンピオン。通算成績は5戦4勝です。デビュー戦こそ5着に敗れたものの、そこからグレードレースばかり4連勝。うち3つがG1で、いずれもワンサイドの楽勝。晴雨を問いません。前走のアーカンソーダービー(米G1・ダ9f)は持ったままで後続に8馬身差をつけました。勝ち時計が優秀で、2着はG3を勝って臨んできた馬ですから、決して相手が弱いわけでもありません。
http://www.pedigreequery.com/american+pharoah



2番人気 Dortmund は6戦全勝。昨年暮れのロスアラミトスフューチュリティ(米G1・ダ8.5f)から重賞4連勝中で、サンフェリペS(米G2・ダ8.5f)→サンタアニタダービー(米G1・ダ9f)という西海岸の王道を連勝して臨んできます。前走は4・1/4馬身差の楽勝でしたが、さほど強いメンバーではありませんでした。
http://www.pedigreequery.com/dortmund3



3番人気 Carpe Diem は通算5戦4勝。昨年秋のブリーダーズCジュヴェナイル(米G1・ダ8.5f)で2着に敗れたのが唯一の敗戦で、キーンランドのブルーグラスS(米G1・ダ9f)を3馬身差で勝って臨みます。ブリーダーズCは Texas Red の追い込みがハマったレースなので致し方ありません。
http://www.pedigreequery.com/carpe+diem20



以下、UAEダービーを8馬身差で圧勝した Mubtaahij、フロリダダービー(米G1・ダ9f)を勝つなど3戦全勝の Materiality、サンランドダービー(米G3・ダ9f)を14・1/4馬身差で勝った Firing Line、ウッドメモリアルS(米G1・ダ9f)を勝った Frosted、ルイジアナダービー(米G2・ダ9f)を勝った International Star、ホーリーブルS(米G2・ダ8.5f)を勝った Upstart、といったところが上位人気です。

実績は American Pharoah が抜けています。相手が難しいですね。6戦全勝の Dortmund は接戦をモノにしてきた勝負強さはあるのですが、力量的には Firing Line とさほど変わりませんし、Carpe Diem も同程度の実力ではないかと思います。Materiality は血統的には優れているのですが、フロリダダービーの勝ちタイムがもうひとつです。となると未知の魅力で Mubtaahij、ということになります。ただ、ドバイからの転戦ですから完調に持って行けるかどうかでしょう。

American Pharoah の父 Pioneerof the Nile は、エンパイアメーカーの代表産駒の1頭で、現役時代にサンタアニタダービー(米G1)、キャッシュコールフューチュリティ(米G1)を含めて重賞を4勝しました。ケンタッキーダービーは Mine That Bird の2着。種牡馬成績は優秀で、コンスタントに活躍馬を出しており、American Pharoah は2年目の産駒。北米における初のG1勝ち馬です。

母 Littleprincessemma は未勝利ですが、その4分の3兄 Storm Wolf は米G2を、4分の3姉 Misty Rosette は米G3を制しています。2代母 Exclusive Rosette は、3代母 Zetta Jet の Olympia 3×4・4を継続する形で Heliopolis 5×5・6・6としています。Olympia はスピードを伝える速い血ですが、英二冠馬 Hyperion の孫で、父 Heliopolis は12ハロン前後で活躍したイギリス産馬ですから、単なるスピードではありません。
http://www.pedigreequery.com/exclusive+rosette



母の父 Yankee Gentleman は小テークスを勝った程度の競走成績ながら種牡馬としては地味に活躍馬を送り続けており、知名度以上にポテンシャルのある種牡馬といえるでしょう。その母 Key Phrase は、Hyperion と Son-in-Law の組み合わせを持つ Tudor Minstrel≒Flower Bowl≒Swaps≒Rich and Rare 4×4・4・3で、Determine≒Flower Bowl 4×4でもあります。
http://www.pedigreequery.com/key+phrase



一見、何の変哲もないアメリカ血統に見える母 Littleprincessemma は、Hyperion や Son-in-Law などスタミナや底力に秀でた血を大量に抱えており、父 Pioneerof the Nile もアルゼンチンの怪物 Lord at War を母の父に持つ重厚な血統構成で、Littleprincessemma が持つ Swaps、Olympia を継続します。ハイペースで展開する大レースではさらに強いタイプでしょう。距離の不安はなく12ハロンでもOKです。

ビクター・エスピノーザ騎手はケンタッキーダービーを過去2勝しているベテランで、ボブ・バファート調教師は過去3勝の名伯楽。抜かりなく仕事をしそうなコンビです。




東京大賞典で有馬の仇を


有馬が終われば東京大賞典。3連単を1点で的中させた昨年(といっても560円の低配当でしたが……)に続き、今年もビシッと決めたいと思います。東京は雨。昼頃には止むそうですが、発走時刻の16時30分の馬場がどうなるのか現時点では読めません。

◎6ホッコータルマエ
○7コパノリッキー
▲14ワンダーアキュート

馬場が湿って外差しの傾向が強まれば、やはり逃げるコパノリッキーよりも追うホッコータルマエが有利でしょう。ワンダーアキュートの前走は展開に恵まれませんでした。右回りで馬場状態が重または不良のコンディションでは、8戦して一度も複勝圏を外していません。




英2000ギニー有力馬紹介


5月3日に行われる英2000ギニー(G1・芝8f)。そのプレップレースであるグリーナムS(英G3・芝7f)とクレイヴンS(英G3・芝8f)が終わり、勢力図がだんだん見えてきました。

4月12日、イギリスのニューバリー競馬場で行われたグリーナムSは、1番人気に推された Kingmam が4馬身半差で圧勝。同馬主(アブデュラ殿下)で4年前に当レースを勝った Frankel を彷彿させる圧倒的な末脚でした。
http://youtu.be/mYoALYq_C94

勝ちっぷりの鮮やかさからブックメーカーの人気も急騰し、ウイリアムヒルでは現在単勝2倍の1番人気です。世界中の大レースを制してきたジョン・ゴスデン調教師はまだ英2000ギニーを勝っていません。このチャンスはモノにしたいところでしょう。
http://www.pedigreequery.com/kingman4



昨年7月29日にデビュー戦(芝7f)を快勝し、8月31日のソラリオS(英G3・芝7f16yds)を勝って2歳シーズンを終えました。休み明けのグリーナムSを勝って戦績は3戦全勝。Frankel の再来、という見方も出てきているようですが、アブデュラ殿下のレーシングマネージャーのグリムソープ卿は、そうした過熱した賛辞に踊らされることはなく、あくまでも冷静にフランケルはフランケル、キングマンはキングマン、という態度です。

母 Zenda は仏1000ギニー馬で、その父 Zamindar は女傑 Zarkava の父として知られています。Zenda の半弟は名種牡馬 Oasis Dream。本馬の父は Oasis Dream と同じ Green Desert 系なので、両者は血統構成の半分が同一という関係になります。Oasis Dream には Green Desert 系のニックスである Never Bend クロスが施されているのですが、Kingman にも同じクロスがあります。将来、種牡馬として成功しそうです。この血統ですから英ダービーには出ないでしょう。



4月17日、ニューマーケット競馬場で行われたクレイヴンSは、先頭を併走した1番人気の Toormore が残り300mでスパートし、後続を突き放しました。
http://youtu.be/tmW-9wOImxE

通算成績はこれで4戦全勝。2歳時に愛ナショナルS(G1・芝7f)、ヴィンテージS(英G2・芝7f)を勝っています。ウィリアムヒルの単勝オッズは5.5倍の3番人気。名門として知られた父の厩舎を今年から引き継いだリチャード・ハノン・ジュニアは、幸先のいいスタートを切りました。

父 Arakan は Nureyev 系で、現役時代は7ハロンのG3を2勝。2年前の当レースの勝ち馬 Trumpet Major や、Dick Turpin(ジャンプラ賞、ヴィットリオディカプア賞、英2000ギニー−2着、仏2000ギニー−2着)などスピードタイプの良駒を出しています。いかにもギニー向きの血統なので、Kingman と同様、12ハロン路線には向かわないでしょう。
http://www.pedigreequery.com/toormore



現在、英2000ギニーの前売りオッズで5倍の2番人気に推されているのは Australia。父 Galileo、母 Ouija Borad という良血馬です。母は英・愛オークスを連勝したほか、ブリーダーズCフィリー&メアターフを2回、香港ヴァーズなど、世界を股にかけて7つのG1を制した名牝。ディープインパクトが勝ったジャパンCで3着と頑張ったレースも記憶に鮮やかです。「Galileo×Cape Cross」ですから、Galileo とその半弟 Sea the Stars を混ぜたような配合です。
http://www.pedigreequery.com/australia19



クールモア&オブライエン軍団の1頭で、昨年6月のデビュー戦こそクビ差2着に敗れたものの、2戦目に勝ち上がり、9月に行われた3戦目のBCジュヴェナイルターフトライアルS(愛G3・芝8f)を6馬身差で圧勝しました。この勝ちっぷりと血統が評価され、Kingman がグリーナムSを勝つまで英2000ギニーの前売りでは1番人気でした。距離が延びても問題ない血統なので、英ダービーの前売りでは現在単勝3.5倍と、1頭抜けた人気に推されています。

過去10年間の英2000ギニー勝ち馬のうち7頭は年明け初戦のレースでした。今年は役者が揃っているのでおもしろいレースになりそうです。




東京大賞典3連単1点買い


いまでこそ中央のトップクラスが集う年末恒例のオシャレなビッグレースになりましたが、昔の東京大賞典、とくに昭和時代のダート3000mだったころは、南関東の砂の猛者がスタミナと底力でぶつかりあう殺気立ったレースでした。ほのぼの感ゼロのハードボイルドな殴り合い。重々しいスローペースのなか騎手同士が牽制しあう息づまる心理戦を懐かしく思い出します。スタンド前を通過する馬群を眺めながら思わず膝頭が震えてきたのは、寒さのせいばかりではなかったと思います。たとえば、85年のスズユウ、87年のテツノカチドキは個人的には歴史に残る名騎乗だと思うのですが、現在その映像を見るのは困難です。地方競馬の名勝負物語、といったDVDを発売したら売れないでしょうか?(売れないか……)

昔はよく荒れたので穴馬を探す楽しみがあり、乏しい資金でしか勝負できない当時の若者たちにとって予想のしがいのあるレースでした。

ただ、現在は違います。トップクラスの中央馬が強すぎるためガチガチの銀行レースとなっており、まとまった資金を少ない点数に突っ込まないと面白味がありません。

今年もそうです。どうみてもワンダーアキュート、ホッコータルマエ、ニホンピロアワーズ、ローマンレジェンドの4頭立てで、この4頭をボックス買いすれば当たりますが、もちろん儲かりません。東京大賞典を少ない点数で当てるコツは「無理にひねらない」こと。カネヒキリやスマートファルコンには素直に従う、ということです。

今年は案外難しいですね。上位4頭はさほど実力差がなく、それぞれ強みも弱みも抱えているので、展開や騎手の手腕に左右される領域が例年よりも大きいのではないかと感じます。

◎ホッコータルマエは、本質的には大井の長い直線よりは小回りコースのほうが合っているタイプだと思いますが、6月の帝王賞では問題なく勝っているのでそのあたりは問題になりません。今年負けた2戦はいずれも理由があります。南部杯は休み明けの上にエスポワールシチーの絶妙なスパートにしてやられ、前走のジャパンCダートは直線でソラを使ってしまいました。二度続けて同じ失敗はしないでしょう。地力の高さはナンバーワン。素直にひねらず頭に据えます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100921/



○ワンダーアキュートは右回りのG1(Jpn1)では[0・5・2・2]。頭では買えませんが2着なら。▲ニホンピロアワーズは前走よりも状態は上がっているものの、まだ絶好調とはいえないような気がします。3着争いでしょう。

年末の夢をこの1点で勝負してみたいと思います。発走は12月29日の16時30分です。




日曜日の東京新馬戦(芝2000m)は豪華メンバー


天皇賞・秋が行われる日曜東京は、午前中にもうひとつの楽しみがあります。いや、なかにはこちらのほうが楽しみという方もいるでしょう。POGで人気を集めたディープインパクト産駒3頭、ゼウスバローズ、ベルキャニオン、ラングレーが第4Rの新馬戦(芝2000m)で激突します。

これらはいずれも血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』で◎評価とし、『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で推奨した馬たちです。電子書籍で◎を打った馬が同一レースで3頭デビューするのは初めてです。

3頭のなかから勝ち馬が出るとは限りませんが、同着がなければ少なくとも2頭は負けます。仮に負けたとしても、稽古の動きから非凡な資質を秘めているのは間違いなく、すぐに勝ち上がれるでしょう。アンライバルド、リーチザクラウン、ブエナビスタ、スリーロールスが一堂に会した新馬戦のように……。

『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』に記したコメントを転載します。

■ゼウスバローズ
ダービー馬ディープブリランテの全弟。セレクトセール2012に出場予定だったが直前で欠場し、猪熊広次氏に購買された。全兄は一生懸命走りすぎるところがあり、そうした気性面の弱点を抱えながら日本ダービーを制したので、能力の高さはかなりのもの。弟の気性は分からないが、精神的に余裕があり、苦も無く折り合えるようなら、相当な活躍が見込める。底力あふれる血で構成され、Lyphard と Busted のクロス、Mr.Prospector と Nureyev の組み合わせなど、好パターンが詰め込まれている。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011106377/



■ベルキャニオン
母方に入る Caerleon、Vaguely Noble は父とニックス。母の父フレンチデピュティも相性がいい。ボレアス、マウントシャスタ、カミノタサハラが連続で走ったのは偶然ではなく、この馬もまともに出れば兄同様に重賞級の活躍が見込める。上記三兄弟のなかで最も能力が高いと思われたカミノタサハラは馬体重が518kg(皐月賞時)。ディープインパクト産駒全般に言えることだが、馬体重と能力はおおむね正の相関関係にあり、兄弟のなかで最も大きいカミノタサハラが最も素質に恵まれていた。この馬がどれくらいの大きさに出たのかぜひチェックしたい。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103836/



■ラングレー
「ディープ×Storm Cat」は桜花賞馬アユサン、毎日杯を勝ったキズナ、青葉賞を勝ったヒラボクディープと同じ。2代母 Monevassia は Kingmambo の全妹なので、母は短距離王ロードカナロアの配合をひっくり返したような構成だ。母系の奥は底力あふれる血で構成され、これが底力の担保となって大レースでも頑張れるだろう。仕上がり早で手堅く走るスピードタイプで、芝2000mがベスト。気性次第で2400mもこなせる。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104097/



どの順番で印を打つか、という点が悩ましいですね。将来性は甲乙つけがたいので、馬場適性、新馬戦適性を加味しつつ決めたいと思います。レースはぜひ競馬場で見たいものです




今夜、ニエル賞とフォワ賞が行われます


日本時間の今夜、パリのロンシャン競馬場で注目の2レースが行われます。ニエル賞は21時30分、フォワ賞は23時10分の発走。テレビはグリーンチャンネル、ラジオはラジオNIKKEI第1で生中継されます。ニエル賞はTBSの『半沢直樹』と時間帯が被っているのでご注意を。

レーシングポストの馬場予想は「Soft」。7段階あるイギリス式の馬場発表の6番目なので、日本でいえば重〜不良といったところですが、本日のパリは晴れ時々曇りの予報で降水確率は10%。Good to soft あるいは Good ぐらいには回復しそうです。この時期のロンシャンではごく普通の馬場状態です。

9月15日のロンシャンは、G1、G2、G3がそれぞれ2レースずつ行われます。G1はムーランドロンシャン賞(芝1600m)ヴェルメイユ賞(芝2400m)の2つで、前者がメインレース扱いです。ただ、マイル戦なので凱旋門賞との繋がりはありません。後者には仏オークスをコースレコードで圧勝した Treve(3戦全勝)が出てきます。硬い馬場に強いこの馬が軟らかい馬場でどれだけやれるか、というのがレースの焦点で、ここも圧勝するようなら凱旋門賞の本命に浮上する可能性があります。

3歳馬によって争われるニエル賞(G2・芝2400m)は、7月13日のパリ大賞(G1・芝2400m)を楽勝した地元馬 Flintshire が1番人気。英ブックメーカーのウィリアムヒルが付けた単勝オッズは以下のとおり。

Flintshire     2.75倍
http://www.pedigreequery.com/flintshire
キズナ       5.5倍
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010105827/
Triple Threat    6.0倍
http://www.pedigreequery.com/triple+threat6
Ruler of the World 6.5倍
http://www.pedigreequery.com/ruler+of+the+world
Vancouverite    7.0倍
http://www.pedigreequery.com/vancouverite
(以下略)

Flintshire の前走はゴール前で手綱を抑える楽勝。しかも今回と同じコースで行われたレースなので、1番人気に推されるのは当然でしょう。4番人気 Ruler of the World は英ダービー馬。これらの強豪相手にキズナがどれだけやれるか、日本競馬のレベルを知る意味でも興味深い一戦です。

母方に Storm Cat を持つディープインパクト産駒、という配合は仏1000ギニー(G1・芝1600m)を勝った Beauty Parlour と同じ。母キャットクイルは「Storm Cat×Damascus×Acropois」とパワフルな構成で、雨が降って馬場が悪かった昨年秋の黄菊賞(2歳500万下・芝1800m)を問題なく勝っているように、重い芝にも適性はあると思います。あとは慣れと、久々がどうか。

京都外回りコースは、3コーナーの坂の頂上から4コーナーにかけて下り坂となっており、勝負どころで手応えが悪くなるキズナはそこで勢いを付けられるため、3戦全勝と好成績を残しています。ロンシャンは京都外回りを大きくしたようなコース。キズナには合うと思います。

個人的には勝ち負けになると思っていますが、3年前のヴィクトワールピサは4着だったので、それより上の3着以内なら上々でしょう。本番前の試走ですから、むしろ頑張りすぎて疲労が残ることのほうが心配です。そのあたりは武豊騎手も分かっていると思うので、がむしゃらに勝ちに行くことはしないはずです。いつものように後方につけて脚を計るでしょう。

古馬のフォワ賞(G2・芝2400m)はオルフェーヴルが断然人気に推されています。

オルフェーヴル   1.83倍
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/
Camelot       7.0倍
http://www.pedigreequery.com/camelot20
Dunaden       7.0倍
http://www.pedigreequery.com/dunaden
Mandour       8.5倍
http://www.pedigreequery.com/mandour
(以下略)

ここは勝ってほしいですね。幸い体調は良さそうなので、期待に応えてくれるのではないかと思います。

参考までに、ニエル賞、フォワ賞、凱旋門賞に出走した過去の日本馬の成績を以下に示します。

■ニエル賞
10年 ヴィクトワールピサ  4着
11年 ナカヤマナイト    6着

■フォワ賞
86年 シリウスシンボリ   2着
97年 サクラローレル    8着
99年 エルコンドルパサー  1着
10年 ナカヤマフェスタ   2着
11年 ヒルノダムール    2着
11年 ナカヤマフェスタ   4着
12年 オルフェーヴル    1着
12年 アヴェンティーノ   5着

■凱旋門賞
69年 スピードシンボリ   着外(11着以下)
72年 メジロムサシ    18着
86年 シリウスシンボリ  14着
99年 エルコンドルパサー  2着
02年 マンハッタンカフェ 13着
04年 タップダンスシチー 17着
06年 ディープインパクト  失格(3位入線)
08年 メイショウサムソン 10着
10年 ナカヤマフェスタ   2着
10年 ヴィクトワールピサ  7着
11年 ヒルノダムール   10着
11年 ナカヤマフェスタ  11着
12年 オルフェーヴル    2着
12年 アヴェンティーノ  17着

※【19時30分追記】
Camelot は馬場が柔らかくなりすぎたとのことでクールモアから回避が発表されました。




明日未明に愛チャンピオンS発走


日本時間の9月8日午前2時50分、アイルランドのレパーズタウン競馬場で愛チャンピオンS(G1・芝10f)が行われます。ヨーロッパ競馬の秋の重要レースなので、ここを経由して凱旋門賞を勝つ馬も少なくありません。たとえば、07年の Dylan Thomas、09年の Sea the Stars がそうです。

今年は8頭立て。ウィリアムヒルの単勝オッズは以下のとおり。点線の右側は前走成績です。

Al Kazeem(3.5倍)……英インターナショナルS3着
Declaration of War(3.75倍)……英インターナショナルS1着
The Fugue(4.5倍)……ヨークシャーオークス1着
Trading Leather(6.5倍)……英インターナショナルS2着
Kingsbarns(7倍)……レーシングポストトロフィー1着
(以下略)

英インターナショナルS(G1)で3着に敗れた Al Kazeem が見捨てられることなく1番人気に推され、そのレースを勝った Declaration of War よりも上の評価となっています。とはいえ僅差。それ以外の有力馬を含めて大きな力差はないと思われるので、いい競馬になりそうです。

目を惹くのは5番人気の Kingsbarns。2歳時にレーシングポストトロフィー(英G1)を勝って以来の実戦で、通算2戦2勝。英2000ギニーやダービーの前にも名前が取り沙汰されました。クールモアの Galileo 産駒でオブライエン厩舎。これだけでも怖いと思わせるものがあります。久々でこの相手ですから常識的には苦しいでしょう。しかし、もし勝つようなら一気に凱旋門賞の有力候補に浮上します。
http://www.pedigreequery.com/kingsbarns2








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