パーフェクト種牡馬辞典


『石川ワタル、世界をワタル』


著者の石川ワタルさんはよくダジャレを口にされます。10年ほど前、アメリカのクラシック戦線に「コンガリー」という名の強豪が現れました。そのとき、まっさきに頭に浮かんだのは石川さんです。それから間もなく石川さんを交えて幾人かで飲んだとき、ひょっとして言うのかな、あまりにもベタだが……? という軽い緊張感がありました。そして、飲み始めて3分も経たないうちに、満面の笑みで石川さんは言いました。「コンガリーの皮膚はコンガリと灼けていい色してるんだよ〜(笑)」。期待を裏切らぬ豪速球を投げ込んできたので思わず爆笑してしまいました。

石川さんは『優駿』の海外競馬コーナーを30年以上執筆されています。わたしはあのコーナーを読んで育ちました。初心者にもわかりやすく海外の競馬事情を紹介していただいたおかげで世界の競馬に興味を持てたのは幸せでした。教科書のようなものでしたね。ですから、この世界に入ってまもなく(当時20代前半でした)、石川さんと初めてお会いしたとき、思わず背筋が伸びて自己紹介がやっとという状態でした。石川さんはちっとも偉ぶったところがなく、冒頭に記したように気さくで冗談好きな方だったので、緊張が解けて救われた気持ちになったものです。

その石川ワタルさんが新著を上梓されました。『石川ワタル、世界をワタル』(東邦出版・1800円+税)。タイトルからしてシャレになっています。しかし、内容は正統派。さまざまな媒体に執筆された海外競馬に関する33篇のコラムを集めたものです。こんな本が読みたかったのだ――と、喉の渇きを癒してくれる一冊です。

『優駿』75年6月号に掲載されたデビュー作「レッドラムの悲哀」から今年書かれたものまで幅広く収められています。33篇すべてに対となるような描き下ろしのコラムが付されており、今昔が対比できる構成となっています。勉強になって、なおかつおもしろい。こんな本はなかなかありません。どれも素晴らしいのですが、33篇のなかであえて1篇を選ぶとすれば「エプソム貧乏日記」でしょうか。鮮やかに深く心に残ります。

仕事場の本棚には、石川さんの『世界名馬ファイル』と『世界ワンダーホース列伝』の2冊が最前列に鎮座しています。ここには仕事でよく使う本やお気に入りの本しか並べていません。『石川ワタル、世界をワタル』は早速その横に置くことにしました。



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