パーフェクト種牡馬辞典


南米の非主流血統が効果的に働くエイシンブルズアイ


土曜京都6Rの新馬戦(芝1600m)は、3番手を追走した○エイシンブルズアイ(1番人気)が直線で楽々と抜け出して快勝しました。
http://youtu.be/ze9_GjPKlwM

1分37秒4は平凡ですが、スローペースだったので気になりません。ラスト3ハロンは11秒7−11秒6−11秒1。尻上がりに速くなるラップを楽々と突き抜け、ゴール前では鞍上が手綱を抑える余裕がありました。大物感にあふれています。ふとエピファネイアの新馬戦が脳裏に蘇ってきました。あちらも11秒6−11秒3−11秒1という上がりだったので似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011110099/



今年4月、米フロリダ州オカラで行われたトレーニングセールで栄進堂が17万ドル(約1600万円)で落札しました。このセールで栄進堂は6頭購買しており、エイシンブルズアイは4番目の価格でした。

父 Belgravia は2歳時にハリウッドプレヴューS(米G3・AW7f)を勝ち、4戦2勝の成績で引退しました。フロリダに繋養され、現3歳世代が初年度産駒となります。まだこれといった大物は出していません。2013年の種付け料は5000ドル(Live Foal)。ただし現在、今年種付けを行った牧場(Hartley/De Renzo Thoroughbreds)の繋養リストには入っておらず、ブラッドホースのサイトでも2014年の情報が出ていないので、すでに種牡馬を引退したか国外に売却されたか死亡した可能性もあります。

米二冠を達成した Afleet Alex と同じ一族。南米アルゼンチンからアメリカに渡った Sensitivo の血が入っています。

母の父 Siphon も南米ブラジルからアメリカに渡り、サンタアニタH(G1)やハリウッドゴールドC(G1)などを制しました。現役時代の記憶はいまだに鮮明に残っています。地球上にこんな血統が存在するのかと驚いたほどの非主流血統で、Irish Song≒Eridan 3×3という、パッと見で何系かも分からない謎の組み合わせのクロスを持ちます。その父 Itajara はブラジル三冠を含めて7戦全勝の成績を残した同国の歴史的名馬です。
http://www.pedigreequery.com/siphon



ドバイに遠征してきたときに間近で見たことがあります。筋肉の鎧をまとった堂々たる巨漢馬でした。外ラチに凭れながら追い切りを眺めていたのですが、次第に近づいてくる同馬はまるで暴走機関車のような、あるいは鎧の巨人のようなド迫力で、思わず恐怖を感じて後ずさりしたのを覚えています。日本にはいないタイプだなぁ、世界は広いなぁと感心しました。その動きを見てこれはモノが違う、ドバイワールドCは勝てるだろう、と思ったのですが、結果は Singspiel の2着でした。

Siphon の母の父 Kublai Khan は前出の Sensitivo と相似な血なので、エイシンブルズアイは Sensitivo≒Kublai Khan 4×4です。ちなみに、血統表には表れない5代前以前も両者は似たような構成となっています。



エイシンブルズアイの2代母の父 Summer Squall は名種牡馬 A.P.Indy の半兄にあたる良血で、現役時代に米三冠レースのひとつプリークネスS(米G1)を勝ちました。「Storm Bird×Secretariat」は Storm Cat と同じです。

ここ最近のアメリカ血統は、母の父に Secretariat を持つ種牡馬群(Storm Cat、A.P.Indy、Gone West、Chief's Crown、デヒア、Lion Cavern など)が絡み合い、Secretariat のクロスを作りつつ良駒が誕生しています。Gone West と Summer Squall を併せ持つ本馬はその典型です。Belgravia 産駒のこれまでの稼ぎ頭である Bricks and Clicks は母方に Storm Cat を持ち、父の種牡馬広告の宣伝文句となっていた1戦1勝の Bel Dancing は Chief's Crown を持っています。いずれも母の父に Secretariat を持つ種牡馬であり、Secretariat クロスが生じます。本馬もこのパターンに当てはまります。

2代母 Puddlejump は Secretariat≒Natashka 3×3で、なおかつ Nasrullah≒Royal Charger 5・7×4・5・5です。血が偏っています。これに交配した Siphon は Nasrullah と Royal Charger どころか Lady Josephine すら持たない非主流血統なので、絵に描いたようなアウトクロスとなります。

母 Miss Fear Factor は現役時代3戦未勝利に終わったものの、エイシンブルズアイのような大物を産んだので、繁殖牝馬としては非凡なものを伝えるタイプなのでしょう。父 Belgravia は Secretariat≒Sir Gaylord 4×4。2代母が持つ Secretariat≒Natashka 3×3を継続する形となります。このあたりはアメリカの主流血統が濃厚に詰め込まれた部分なので、母の父にブラジル血統の Siphon が入り、Sensitivo≒Kublai Khan 4×4が生じる配合は、主流血統にはない新たな活力を加えるという点で効果的なのだと思います。

追い切りで抜群の動きを披露していたのですが、血統面からは日本の芝にフィットするのかどうか判断しづらかったので○としました。勝ちっぷりを見るかぎりどうやら大物のようです。距離が延びても問題ないでしょう。トレーニングセール出身馬なので馬体の完成度は高く、これから先の伸びしろが問題になるタイプだと思います。とはいえ、南米血統が効果的に働いたこの配合はなかなか素晴らしく、気の早い話ですが、仮に将来種牡馬となったときには面白味があります。



コメント
生Siphon を現役時代にご覧になられたんですね、羨ましいです。そういうイカツイ馬体だったんですか。本邦輸入のSicambre系種牡馬の産駒でクラシックホースとなったものはほぼ例外なくFairwayを持つ繁殖との間に誕生していますが、その約束のFairway をSiphonも有しており、このエイシンブルズアイにはSideralのクロスが。エイシンらしいけったいな(失礼)、しかし味わい深い血統の彼には是非大成を願います。
Sicambre、大好きなSea Birdのダムサイアでもあり、その父系継承は気になっていました。Western Playboyあたりからバニシングポイントの領域に入ってきており、心もとなく寂しい中、当時のSiphonの活躍は印象に残ります。それから十数年が経過してエイシンのマル外にその名を見るとは驚き、ドバイではSingspiel、Siphon、Sandpit(これも巨漢だったかな)でしたか、懐かしいメンバーと血統です。
  • ヒデハヤテ
  • 2013/11/23 9:32 AM
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