パーフェクト種牡馬辞典


朝日杯フューチュリティSはアジアエクスプレス


勝負どころで馬群を縫ってポジションを上げたアジアエクスプレス(4番人気)が直線で大外に持ち出して差し切りました。
http://youtu.be/lcW7tL7WBBM

勝ちタイム1分34秒7は00年以降では2番目に遅いタイム。ただ、レベルは例年並みだったと思います。良馬場ではあっても時計のかかるコンディションだったので、速い決着にはならないだろう、ということは事前に予測されていました。

同じ距離で行われた前日の古馬1000万特別の勝ちタイムは1分35秒3。それよりも0秒6上回っています。レースレコードと同タイムの1分33秒4で決着した昨年は、古馬1000万特別も1分34秒0という速いタイムが計時されました。差は今年と同じ0秒6です。

11年は古馬1000万特別が超スローペースとなったので勝ちタイムが遅く、朝日杯が2秒4も上回ったのですが、10年は0秒2、09年は0秒5、08年は0秒2、いずれも朝日杯が少しだけ上回っています。あくまでもザックリとした比較ではありますが、今年は0秒6差だったので、タイムが遅いからといってレベルが低い、ということにはならないのではないかと思います。

では、土曜日に同コースで行われたひいらぎ賞(500万下)が1分34秒2で決着した事実をどう評価するのか、ということになります。これはもう単純にミッキーアイルが強すぎた、としか考えられません。同馬は除外されて朝日杯には出られませんでした。もし出ていたとしたら、同型馬との兼ね合いがあるので軽々に勝っていたとは言えないものの、高確率で勝ち負けに持ち込んでいたのでは、と思います。

レースから引き揚げてきたライアン・ムーア騎手は、かつてのレスター・ピゴット騎手ほどではありませんが、つねにクールな物腰で感情を表に出すことが稀です。馬から下りると手塚貴久調教師にアジアエクスプレスのレースぶりを冷静に報告していました。



口取り写真にはノーザンファームの吉田勝己さんが収まっていましたが、その理由は、今年3月にフロリダで行われたOBSマーチセールで本馬を落札したのがノーザンファーム(代理人は Narvick International)だからです。価格は23万ドル(約2200万円)。それを馬主の馬場幸夫さんがお買いになったという形だと思います。



画像手前が馬場さんご夫妻で、馬の向こう側が手塚貴久調教師、吉田勝己さんです。馬場さんは広島市で眼科医院を経営されており、今年67歳。88年に馬主資格を取られたベテランです。G1は初制覇。今年の2歳世代にはバンドワゴン(2戦2勝)、ベストルーラー(3戦2勝)という期待馬をお持ちです。ベストルーラーもアジアエクスプレスと同様にOBSマーチセールで落札された馬です(価格は30万ドル)。

予想はかすりもしませんでした。1〜3着馬はすべて無印。勝ったアジアエクスプレスについては、競馬スピリッツの「血統の裏庭」でこのように記しました。

「アジアエクスプレスは決して芝をこなせない血統ではないが、芝でスパッと切れるタイプでもない。控える競馬をすればラストの切れ味勝負で分が悪い。先に行った場合、今回は同型馬が多いので、そのあたりをどう捌くかが鍵となる。」

時計が掛かり、上がりも掛かる展開が向いたのは確かでしょう。しかし、芝のパフォーマンスは想像をはるかに上回るものでした。現在の中山とは対照的なレースとなりやすい東京コースではそう簡単な競馬にはならないとは思いますが、クロフネ、アグネスデジタル、エルコンドルパサーのような芝・ダート兼用の大物に育ってほしいものです。ダート戦しか使ったことがなく芝のG1で連対した馬といえばロッキータイガー(ジャパンC−2着)やホクトビーナス(桜花賞−2着)などがいます。もっといるかもしれませんが、記憶に残っているのはこの2頭です。

11月28日のエントリー「モノが違うアジアエクスプレス」から血統に関する部分を転載します。

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http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011110091/



新馬戦(ダ1400m)が5馬身差、今回が7馬身差と、圧倒的な力差をみせて2連勝。まさに満州の大平原を高速で突っ走るあじあ号のような力強さでした。

父ヘニーヒューズは現役時代、ヴォスバーグS(米G1・ダ6f)、キングズビショップS(米G1・ダ7f)など6〜7ハロンの重賞を4勝。日本における代表産駒はケイアイレオーネ(兵庫ジュニアグランプリ、シリウスS)とヘニーハウンド(ファルコンS)。日本に入ったわずか11頭中9頭が勝ち上がり、うち2頭が重賞を勝っているのですから優秀です。本馬もいずれ重賞を勝つでしょう。来年から新冠の優駿スタリオンステーションに繋養される予定です。この産駒成績ですから相当人気が出そうですね。

母の父 Running Stag はヨーロッパでデビューしたあとアメリカに移籍し、香港やドバイにも遠征した国際派。ヨーロッパの芝でもアメリカのダートでも重賞を勝っています。ただしG1は勝てませんでした。「Orsini×アイアンリージ」という母方の血の影響か、Cozzene 産駒でありながらピリッと切れる脚はなく、先行して粘るタイプの競走馬でした。だからこそアメリカのダート競馬にもフィットしたのでしょう。99年のマサチューセッツH(米G2・ダ9f)ではゴール直前まで粘って強豪 Behrens の2着。前年の二冠馬 Real Quiet に先着したのですから大したものです。翌年の同レースは横綱相撲で勝ちました。
http://www.pedigreequery.com/running+stag



英・仏・独の豊富なヨーロッパ血統を含んでおり、基本的にはパワー型でありながらアメリカ血統とは毛色が違います。このあたりが血統全体に奥行きを与えているような気がします。フランスの名生産者マルセル・ブサックが育てた牝系で、母の父 Orsini はドイツ血統です。スタミナと底力、そして成長力も十分でしょう。

2代母の父 Notebook はやや一本調子なところがありますが、El Prado の従兄弟で、Drone の甥にあたる良血。その2代母 Cap and Bells は 「Tom Fool×Mahmoud」というきわめて良質な血統。本馬の2代父に含まれる Tom Cat も同じ組み合わせなので、本馬は Tom Cat≒Cap and Bells 5×5という組み合わせのクロスを持ちます。このあたりも好影響を与えているのではないかと思います。
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◎アトム(1番人気)はインに閉じ込められて勝負どころで動けなかったのが痛かったですね。あれだけ追い出しが遅れてしまっては直線の短い中山では挽回できません。

○プレイアンドリアル(2番人気)は前半折り合いを欠き、頭を上げるシーンがありました。ラストの追い比べでそのロスが響いてきました。内枠で前に馬を置く競馬ができれば違った結果になっていたかもしれません。

日曜日の競馬が終わったあと、久々に中山でお会いした宇田川淳さんと市川大野の蕎麦屋で歓談。そば焼酎をそば湯で割ってボトル1本空けて帰宅しました。木枯らしの季節はホット系のアルコールが身体に沁みます。



コメント
正直前日のひいらいぎ賞と比べてしまうとうーん・・・って感じですね
ミッキーアイルとは末脚のレベルがまるで違いました
  • あっちそん
  • 2013/12/16 2:09 AM
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