パーフェクト種牡馬辞典


シリウスシンボリ死す


 85年7月に行われたキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)は、日本時間の深夜にフジテレビで生中継されました。5月に日本ダービーを勝ったばかりのシリウスシンボリの海外遠征初戦。何日も前からスポーツ新聞で特集記事が組まれるなど注目度の高い一大イベントで、さすがに勝つとは思いませんでしたが、重馬場のダービーを3馬身差で完勝していたので、ヨーロッパの深い芝でもそれなりに善戦してくれるのではと考えていたのですが……。


現実は厳しいものでした。道中早々と岡部騎手の手が激しく動き、最終コーナーにたどり着く前に集団から脱落するという手合い違いのレースぶり。同い年の3歳馬がワンツーフィニッシュを決め、2着馬が牝馬(Oh So Sharp)だったこともショックでした。まさに衝撃体験アンビリーバボー。日本とヨーロッパはこんなにレベルが違うのかと途方に暮れる思いでした。


約2年にわたる長期遠征で一度も勝利を挙げることはできませんでしたが、日本のホースマンに与えた影響は小さくありませんでした。“このままではダメだ”という危機感が共通意識となり、海外とのレベル差を埋めるためにどうすればいいかということを、それまで以上に真剣に考えるようになったと思います。


80年代後半から海外の一流血統が続々と日本に輸入され、日本馬のレベルを押し上げていきました。プラザ合意に端を発する円高が表向きの原因ですが、その裏側にはシリウスシンボリがヨーロッパのトップクラスに歯が立たなかったという危機感もあったと思います。


シリウスシンボリのヨーロッパにおける最高着順はフォワ賞(仏G3・芝2400m)の2着。遠征初期は注目を集めていたものの、だんだん存在感が薄れていき、最後のほうはテレビの競馬番組で「フランス遠征中のシリウスシンボリは○○賞で△着でした。がんばってほしいですね」とわずか5秒ほどで消息が伝えられる程度になっていました。天才と言われたサッカー選手が海外チームに移籍してベンチ要員となってしまったような、微妙なもの悲しさがありました。


日本に帰国したときには、競走馬としてのピークを過ぎており、しかも走りがヨーロッパ仕様で重くなっていたせいか、若武者のように溌剌とした以前の活気は見られませんでした。種牡馬としても、気性の悪さと鈍重さを伝えるモガミ産駒であったため、目立った活躍馬を送り出すこともなく用途変更となりました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1982103448/



このような事情で同期のミホシンザンやサクラユタカオーなどに比べると影が薄いのですが、日本競馬の端境期にあって、我が国のレベルを正確に知らしめるという重要な役割を果たした馬でした。シリウスシンボリが照らした座標を手掛かりに、その後、我が国の競馬は前進していくことになります。




コメント
シリウスは旧3歳時の失格したレースと旧・府中3歳Sでつぇーと思ったなぁ〜また転厩とかあったり、ダービー勝ったと思ったら日本から居なくなっちゃって、評価が微妙になったんだよな(笑)

ダービー馬としては先輩に及ばないとしても当時のシンボリ牧場の実績から見て、社台のダービー馬と一緒にレースをして欲しかった。

それから当時の欧州競馬自体、オイルマネーが入ってきて高いレベルだったろうし、馬場も現在より時計の掛かる時代で条件的に厳しかったと思う。

栗山さんのおっしゃる通り、国外における世界との差を認めさせたことが、シリウスの存在意義だったことは否めないですね。
  • ウオッカ帽
  • 2012/04/14 11:04 AM
>ウオッカ帽様

デビューから何の波風もなく無敗で勝ち進んで、ダービーを制覇したらどうなっていただろうか――と考えることがあります。どのみち海外遠征はしたと思うのですが、あれほどの長期遠征になっていたかどうか……。少なくともダービーまでは同世代とまともに組み合って負ける予感がしない馬でしたね。

ダイナガリバーとは87年の毎日王冠で一度だけ対戦していますが、両者とも万全とはいいがたく条件的にもベストではなかったので参考にはなりません。完調で対戦していたらおもしろいレースになったはずです。80年代のヨーロッパ競馬はおっしゃるとおりハイレベルでしたね。憧れが高じてわたしもイギリスに留学したいなぁなどと考えていました(しませんでしたが)。
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