パーフェクト種牡馬辞典


ファンタジーSはミスエルテ


出遅れて後方に控えた○ミスエルテ(1番人気)が直線で外から伸び、逃げ粘るショーウェイ(12番人気)をとらえて重賞タイトルを手にしました。
https://youtu.be/aMiX7ee7uGk?t=14s

最内枠で出遅れたときは、1400m戦だけに厳しいと思ったのですが、外から楽々と突き抜けてしまいました。数字には表れない凄みがあったと思います。

デビュー戦でも感じたのですが、後肢のバネが他の馬と違うので、1頭だけ動く歩道の上を走っているかのような錯覚を覚えます。ディープインパクトに代表されるサンデー系の柔らかな切れ味とはまた別の、年長馬が1頭だけ混じっているかのような、体力の優位性を武器に他馬をねじふせている――といった感があります。フィニッシュラインを駆け抜けたときにふと思い出したのは、2つのG1を含めて重賞を5勝したファインモーションの姿です。デビュー戦から連戦連勝していたころはこんなレースぶりでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014106174/



父 Frankel は英愛リーディングサイアー Galileo の最高傑作で、現役時代はイギリスのマイル路線を中心に走って14戦全勝。ワールドサラブレッドランキングでは史上最高の「140」というレーティングを獲得しています。
http://www.pedigreequery.com/frankel3



今年から走り始めた初年度産駒は好調で、レーシングポスト紙の集計によると、現時点における英愛ファーストシーズンサイアーランキングでは第3位。1位 Sir Prancealot は327走、2位 Helmet は149走しているのに対し、Frankel は62走と数が少なく、この点で劣勢を強いられています。ただし、62走して22勝を挙げているので勝率は35%、デビューした28頭中15頭が勝ち上がっているので勝ち上がり率は54%ときわめて優秀です。内容的にはナンバーワンといえるでしょう。

ミスエルテの他に、Queen Kindly(ロウザーS−英G2)、Fair Eva(プリンセスマーガレットS−英G3)、Frankuus(コンデ賞−仏G3)、Toulifaut(オマール賞−仏G3)が重賞を勝っています。イギリスの2頭はスプリンターで、フランスの2頭は9ハロンと8ハロンの勝ち馬ですからマイラー〜中距離馬です。ミスエルテを含めた5頭中4頭が牝馬ですが、まずは仕上がりの早い牝馬から目立つ産駒が出てきたという印象で、来年のクラシックが近くなれば Frankel の牡馬も話題に上ることでしょう。

新馬−アイビーS(OP)を連勝したソウルスターリングは、母スタセリタが仏オークス(G1)、ヴェルメイユ賞(G1)、フラワーボウル招待S(米G1)などフランスとアメリカで6つのG1を制した名牝。Frankel が「Galileo×デインヒル」という Northern Dancer 系の主流血統同士の組み合わせなので、母方の Monsun が異系色の強いドイツ血統であることは好感が持てます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014105535/



ミスエルテの場合、母ミスエーニョがデルマーデビュタントS(米G1・AW7f)、ソレントS(米G3・AW6.5f)の勝ち馬。「Pulpit×ヘネシー×Saratoga Six」というパワー満点のアメリカ血統だけに、正直なところデビュー前は適性が見えづらく、日本の速い芝に対応できるのかどうか懐疑的でした。それだけに、芝1600mのデビュー戦で余裕綽々の勝ちっぷりを目の当たりにしたときには、いい意味でショックを受けました。Frankel は想像以上に凄い種牡馬かもしれない、と。

Frankel の父 Galileo は、先月行われた高速馬場の凱旋門賞でワン・ツー・スリーを決めたものの、日本に入ってきた産駒は鈍重さが否めず、日本でデビューした30頭のうちJRAで勝ち上がったのは半数以下のわずか12頭。ミスエルテ、ソウルスターリング級の産駒は見当たりません。Frankel は、2代父 Sadler's Wells、父 Galileo とは完全に別物といえます。馬体を見ると、母の父デインヒルにどんどん似てきており、とくに巨大なトモは特徴的です。ちなみに前出のファインモーションはデインヒル産駒です。

ノーザンファームは、ミスエルテの育成やデビュー戦で非凡さを認識したのか、凱旋門賞の直前にシャンティイで行われたアルカナアークセールで、オマール賞を含めて3戦全勝だった Frankel 産駒 Toulifaut を190万ユーロ(約2億1000万円)で落札ました。セリの翌日に行われたマルセルブサック賞(仏G1)では大外枠が響き、道中まったく伸びない外を回らされたあげく、直線で挟まれるという散々な競馬で8着。しかし、敗因がはっきりしているので評価を下げる必要はなく、オマール賞で見せた末脚は高い将来性を感じさせます。
http://www.pedigreequery.com/toulifaut



Frankel は高速馬場をこなす素軽さを秘めているので、たとえば「ディープインパクト×Frankel」の組み合わせは、「ディープ×Sadler's Wells」「ディープ×Galileo」に比べてはるかに日本向きの産駒を作りやすいでしょう。それを見越して、Frankel 牝馬はこれからどんどん輸入されることになると思います。

ミスエルテとソウルスターリングは、順調に行けば阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で対決します。今年の2歳牝馬は豊作で、それ以外にも大物感あふれる馬がそろっています。きっとおもしろいレースになるでしょう。サンデー系VS Frankel 産駒は今後の日本競馬のテーマのひとつになりそうです。

◎ドロウアカード(5番人気)は6着。スローの独り旅を期待したのですが今回は行く気がなかったようです。



コメント
現役の頃からデインヒルの後継は、父直系ではなく、母父デインヒルのFlankelではなかろうかと期待していたのですが、産駒が日本の芝で走りそうなので楽しみが膨らみました。
母父似で牝馬が活躍すると、フィリーサイアー?!と思ってしまいます。
  • ゆーな
  • 2016/11/10 11:00 PM
ちなみに、Flankelの母Kindは同一牝系・Blushing Groom・デインヒルとハービンジャーと似ているんですよね。
あと、Backpasserは偉大ですね。
  • ゆーな
  • 2016/11/10 11:02 PM
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