パーフェクト種牡馬辞典


ヤマニンゼファー死す


安田記念(G1)を連覇し、天皇賞・秋(G1)も制したヤマニンゼファーが老衰のため死亡しました。前日まで変わった様子はなかったそうですが、5月16日の朝、逝きました。29歳。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1988101069/



派手な追い込み勝ちを決めた3歳春の新馬戦(ダ1200m)は、16頭立ての12番人気だったので、展開がハマっただけかなと思ったのですが、配合を調べてみて相当な器ではないかと思い直しました。

父ニホンピロウイナーは80年代を代表するマイル王。Habitat 系は70〜80年代にイギリスで一世を風靡したスプリンター〜マイラー血統で、スピード豊かなアメリカ血統で構成されていたので重厚なヨーロッパ血統とうまく合いました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980106362/



Habitat の息子スティールハートは、母の父に Hyperion と Son-in-Law を併せ持つ Abernant を持ち、その息子ニホンピロウイナーも同様の配合構成のチャイナロックを母の父に持ちます。要するに Abernant≒チャイナロック3×2です。



いずれも2代父が Hyperion で、母の父が Rustom Pasha(その父 Son-in-Law)。Lady Josephine の牝系から生まれた Abernant はスピードタイプ、そうではないチャイナロックはスタミナタイプ、という個性の違いはあるものの、よく似た配合構成です。

ちなみに、ニホンピロウイナー以外のスティールハートの代表産駒、タカラスチール(マイルCS)とナルシスノワール(重賞3勝)は、いずれも Swaps を抱えています。Swaps は Hyperion と Son-in-Law の組み合わせから成る代表的な血なので、ニホンピロウイナーと似た配合構成といえるでしょう。

ヤマニンゼファーの母の父は Blushing Groom。80年代に Rainbow Quest(凱旋門賞)や Nashwan(英ダービー、英2000ギニー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)といった息子たちがヨーロッパのビッグレースを制覇し、Northern Dancer 系に対抗する新たな血脈になるのではないか、という期待が盛り上がっていたころです。ヤマニンゼファーと同じ91年にデビューしたアラジは、グランクリテリウム(仏G1)とブリーダーズCジュヴェナイル(米G1)を制し、欧米双方の2歳チャンピオンに輝きました。

Blushing Groom の2代母の父 Tudor Minstrel は、Abernant(スティールハートの母の父)とよく似た構成です。もちろん、Hyperion と Son-in-Law が骨格となっているので、チャイナロックとも似ています。つまり、ヤマニンゼファーは Abernant≒チャイナロック≒Tudor Minstrel 4・3×5です。



さらにいえば、ヤマニンゼファーの4代母の父 Epigram は Son-in-Law×Flying Orb+St.Simon という構成なので、Abernant とチャイナロックの母の父 Rustom Pasha とよく似ています。Rustom Pasha≒Epigram 6・5×5です。



かなりよく出来た配合ではないか、というのが当時の印象で、欧州最新型の Blushing Groom の活力も取り入れています。したがって、のちにヤマニンゼファーがクラスの壁を突破して重賞戦線で活躍を始めたとき、とくに意外さはありませんでした。これだけの配合なのだから活躍して当然だろう、と。

それでも、芝2000mの天皇賞・秋を勝ったときは驚きました。父ニホンピロウイナーと同じくマイラーだろうと考えていたので、距離延長に耐えて4角先頭から長い直線を粘り抜いたレースぶりは感動的でした。あの頑張りは Hyperion と Son-in-Law の底力だったのかもしれません。
https://youtu.be/KlPwWE6a7_8?t=1m35s

種牡馬としては残念ながら成功したとはいえず、武蔵野S(G3)を勝ったサンフォードシチーがJRAの平地重賞を勝った唯一の産駒です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995100892/



同馬の母テイムズシチーは、Hyperion と Son-in-Law の組み合わせから成る Aureole とテューダーペリオッドを抱えていました。ヤマニンゼファーの配合的核心である Abernant≒チャイナロック≒Tudor Minstrel 4・3×5を継続した配合から代表産駒が出たことは、おそらく偶然ではないでしょう。

とくに Aureole はチャイナロックと、テューダーペリオッドは Abernant とよく似ています。このほかプリメロ=Harina 6×5・7を含めて素晴らしい配合構成だったので、当時、雑誌の取材を受けたときなどに、好きな配合馬としてサンフォードシチーの名を挙げていたのは懐かしい思い出です。





ヤマニンゼファーの血は、日高の生産馬のなかにもあまり見かけなくなりました。ここ最近では10年の小倉2歳S(G3)を勝ったブラウンワイルドが目立つぐらいです。こうした名血が生産界にわずかな爪痕を遺しただけで消え去るのは寂しいかぎりです。



コメント
ヤマニンゼファーの血統を見ていて、産駒が走らなかったのは、グッパイヘイローやビワハイジみたいな血統の牝馬と交配させて、上がり3ハロン33秒台で走れる馬を作る方向性を、生産者が見いだせなかったにあると思いました。
結局、サンデーVSキングマンボの時代を生き延びたサクラバクシンオーの場合、牡牝に限らず産駒を持ったオーナーの大多数が、「バクシンオーは短距離オンリーでいいや」という意識を共有していて、安定してリーディング上位にいたおかげで、後継種牡馬に3頭(1頭は予定ですが)も恵まれましたから、種牡馬の成功と失敗は、そこに関わる人達の考え方に左右されやすいのだと思います。
  • Y子
  • 2017/05/17 1:10 PM
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