パーフェクト種牡馬辞典


選びたかったけれど選べなかったディープ産駒


要するにPOG指名候補馬のことです。すでに20頭の2歳馬リストは確定し、あとはコメントを書くだけとなりました。30頭ぐらいのリストから20頭に絞ったので、10頭程度は熟慮の末に切りました。リストから除外した理由はさまざまです。

配合について語りはじめると長くなるので、それ以外の基準について簡単に説明したいと思います。母親の年齢と、生まれた月です。

ディープインパクトはこれまでに出した重賞勝ち馬は22頭。それらを母親の出産年齢別にまとめてみました。

5歳:1頭
6歳:2頭
7歳:1頭
8歳:4頭
9歳:2頭
10歳:1頭
11歳:2頭
12歳:2頭
13歳:1頭
14歳:2頭
15歳:2頭
16歳:1頭
17歳:0頭
18歳:0頭
19歳:1頭

5〜10歳のレンジで半数の11頭を占めています。15〜16歳の3頭は、ビワハイジの子が2頭にエアグルーヴの子が1頭ですから、どちらも日本を代表するクラスの名繁殖牝馬です。つまり、そのレベルでなければ15歳以上の繁殖牝馬の子は選びづらい、ということです。

若い繁殖牝馬がいい、ということはディープインパクト産駒に限った話ではなく、どの種牡馬にもいえることです。上が走っている馬はたしかに安心感があって選びやすいのですが、気が付けば母親の年齢が15歳を超えている、というケースは珍しくありません。全きょうだいでも母親の加齢によるリスクはあるので、できれば5〜14歳の繁殖牝馬から選びたいところです。その年齢を超えてしまった繁殖牝馬の子を選ぶなら、配合の優れた若い繁殖牝馬に期待したほうがいいでしょう。ちなみに、19歳の繁殖牝馬から誕生したのはヒストリカル。半兄にカンパニー、レニングラード、ニューベリーがいるのですからこれも相当なレベルです。

今年、この基準に引っ掛かって切ったのはビービージンガ(オールザチャットの2011)。母が17歳時の産駒です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011101122/



母オールザチャットはニュージーランド産のスピード血統。もともとノーザンファームが日本に輸入した馬で、現在は平取町の坂東牧場に繋養されています。これまでにビービーガルダン(阪急杯、キーンランドC)を産んだ実績があります。母の父の父 Grosvenor はリーディングサイアーの経験こそないものの、オーストラリアとニュージーランドの双方で優れた産駒実績を挙げました。3代以内に Sir Ivor、Round Table、Aureole を持っており、いかにもディープインパクトに合いそうな血統です。オールザチャットがスピードタイプ、というのも好ましいところでした。

生まれた月で気になるのはやはり6月です。カワカミプリンセスやノーリーズンのように、能力さえあれば春のクラシックを勝つこともありますが、その数は少なく、やはり稀な例といえるでしょう。ディープインパクト産駒でもいまだに6月生まれの重賞勝ち馬は出ていません。

この基準に引っ掛かって切ったのがミュゼリトルガール(レインデートの2011)。6月2日生まれです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105496/



父と相性のいい血で構成された素軽いマイラー配合。なかなかいいな……と思ったのですが、6月生まれでは手が伸びません。名前からして馬体が小さいのかなという気もします。ちなみに、前出のビービージンガは5月29日生まれ。この点からも取りづらい馬です。

付け加えれば、ノーザンファームの生産馬が圧倒的に優れています。重賞を勝った22頭中14頭を占めます。残りの8頭のうち4頭が社台ファームで、それ以外が4頭です。

配合を抜きにしても、さまざまなデータを駆使して良駒に迫ることは可能です。今回ご紹介したのはごく初歩的なものです。過去のデータを解析して独自の尺度を見つけ、それを2歳世代に当てはめてみると、これまで見えなかったものが見えてくることがあります。これといった方針もなく評判だけを頼りに選ぶよりも、当たりを掴む精度ははるかに高まるのでオススメです。



コメント
栗山さんも触れておられますが、オールザチャットの祖父グローヴナーは、フェオラ5×5なので、惹かれますね。
グローヴナーの近親で、同じサートリストラム系のロンロは、フェオラ7×7ですが、競走馬としても種牡馬としても大活躍ですし、ロンロの全弟ニエロもG1を3勝、グローヴナーの4分の3同血の姪マハヤ(フェオラ5×6)もAJCオークスに勝っていますから、フェオラの血の威力はオーストラリアでも発揮されていますね。
ちなみに、マハヤは他にも母にフォックスローがあり、ロンロには父と母とに1本ずつフォックスローがあります。
とはいえ、これだけだと、サートリストラムとグローヴナーの牝系が相性がいいだけかもしれませんので、他のサートリストラム産駒も少し調べてみると、グローヴナー&マハヤを含めて6頭のG1馬がフェオラのクロスを持っていました。
また、アロエやフォックスローを持っているG1馬は、マハヤや後継馬のザビールを含めて8頭いました。
  • toku
  • 2013/03/16 7:16 PM
すみません、書き忘れを補足させてください。
サートリストラム産駒のG1勝ちは、JBISサーチによると、39頭になりますが、そのうち13頭(マハヤがフェオラとフォックスローで重複するので)にアロエ関連のクロスがあることになります。
サートリストラム産駒のG1馬の3分の1という、ちょっと途方もない確率です。
さらに、現在のサートリストラム系を一身に背負って立つロンロが、フェオラ2本+フォックスロー2本を持つというのは、象徴的と言えるかもしれませんね。
  • toku
  • 2013/03/16 7:52 PM
栗山さん、こんばんは^^

僕もすでに11年産ディープの選定はしましたが、6頭ほどです。
これに栗山さんがチョイスされたものを加えて考えたいと思います(^_^;)(笑)
しかし、繁殖牝馬の年齢というのは僕もかなり重視しますね。
僕の場合は6〜11歳をベースにプラマイ2歳ぐらいでしょうか。
ただ、おっしゃるように名牝と呼ばれる牝馬に関しては、その限りではありませんが(−_−)
今日勝ったエアグルーヴしかり、トーセンソレイユしかり。
ただ、そのへんの馬は誰でも知ってて、妙味がないので外しますが(>_<)
では今年も競馬王のPOG本に栗山さんのピックアップが載るんですね。
楽しみにしてます〜(^^)/〜
  • レプティリア
  • 2013/03/16 10:34 PM
加齢により産駆の成績が下降する理由は、出産を繰り返すことで、母体のカルシウムが減るためだと、私は考えています。
私が今まで見てきた名馬は、骨太な印象が強いので、案外骨密度も競走能力に関係しているのかなと、思うときがあります。
  • Y子
  • 2013/03/17 1:35 PM
遺伝子が経年によって極端に劣化するとはあまり考えられませんが、繁殖牝馬の晩年は
その遺伝子の設計図通りに産駒を組み立てられなくなるのかもしれませんね。
しかしその設計図はきちんと持っていれば次代には受け継がれるわけで、生産者が繁殖牝馬の晩年に牝馬を望むのは
こうした経験則なのかもしれませんね。
  • Y介
  • 2013/03/18 1:37 PM
昨日はセミナーでいろいろと興味深いお話をいただきましてありがとうございました。
ちょうど質問したいと思っていたことが、こちらに回答がありました。(本当は最後の質問コーナーで伺いたかったのですが、血統とは微妙にずれているので遠慮してしまいました。)
社台さんなどでちょっと高齢になった繁殖牝馬が日高の牧場に移されていますが、やはり高齢は厳しいようですね。牧場系の一口馬主クラブで募集になることが多いので気になっておりました。
ライアンの件ですが、調べてみましたら11年生まれが3頭登録するようです。大変数は少ないですが、ライアンファンとしては何とか活躍してくれると嬉しいです!!見守りたいと思います。
  • ぴぐれっと
  • 2013/03/18 3:23 PM
>toku 様

Sir Tristram は基本的な能力が高かったことに加えて、さまざまな引き出しがあり、それが有効に働いたからこそ、あれだけの成功を収めたのだと思います。Sir Ivor の母の父 Round Table と、母の母 All My Eye が鍵となる血脈です。Sir Tristram 以外でも、たとえば93年のジャパンCに出走したニュージーランドのザファントムチャンス(The Phantom Chance)は、Aloe を使った名配合として忘れられません。Aureole≒Alcide 4×3がカッチリ決まり、全兄の The Phantom も活躍馬でした。ご存知かと思いますが父 Noble Bijou は Allez France の半弟で、Vaguely Noble の子です。オセアニア血統はイギリスの重厚な血がベースとなっています。それだけにディープインパクトの血統とも脈絡する部分が多いと思います。
>レプティリア様

こんにちは。先週のラストグルーヴの予想印は○で、勝たれたときはゴメンナサイという感じでした。強いですね〜。『競馬王のPOG本』は昨年と同じ分量で掲載いたします。何卒よろしくお願いいたします。
>Y子様

おそらく原因はいくつかあるでしょう。カルシウムの減少もそのひとつかもしれませんね。
>Y介様

たとえば人間でも、父母が高齢ですといくつかの疾患のリスクが上昇するという研究もあるので、おっしゃるとおりのことが起きているのでしょう。19世紀を代表する大繁殖牝馬 Pocahontas(Stockwell、Rataplan、King Tom などの母)は、25歳という異例の高齢で最後の産駒 Araucaria を産み、この馬は Wellingtonia という名種牡馬の母となりました。Wellingtonia は Omnium(Ksar は Omnium 3×2)、Ajax(Teddy の父)、Tracery、Childwick などの血統形成に大きな役割を果たしています。Pocahontas が24歳で繁殖牝馬を引退していたらサラブレッドの歴史は変わっていました。
>ぴぐれっと様

中山のセミナーにいらっしゃってたんですね。いや〜お恥ずかしいかぎりです。「ステイゴールド×メジロライアン」はどうなりますか。マックイーン牝馬と同じように走ったら……。そんな夢を見てみたいです。
>栗山様

コメントありがとうございました!
セミナーの際は12レースのウッドシップを見事的中いただき、私も馬連でご相伴に預かりました!ありがとうございました<(_ _)>
母父ライアンは思ったほど多くないのですね。父ステイゴールドで登録予定の3頭は母系がやや厳しい感じです(^_^;)メジロドーベルクラスだったら…などと思ってしまいます。でも夢をもって応援しますよ♪
  • ぴぐれっと
  • 2013/03/25 6:13 PM
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