パーフェクト種牡馬辞典


桜花賞はアユサン


直線半ばで先頭に立った△アユサン(7番人気)を残り100mで◎レッドオーヴァル(2番人気)が交わし、これで決まったと思ったのですが、ゴール前でアユサンが差し返しました。
http://youtu.be/bWF9RQr9viU?t=1m3s

国内のG1でこれほど鮮やかなファイトバックは久しぶりです。古い話で恐縮ですが、88年の日本ダービーを思い出しました。メジロアルダンをサクラチヨノオーが執念で差し返したレースです。レッドオーヴァルの手綱を取ったミルコ・デムーロ騎手の談話を読むと、ソラを使ったわけではなさそうなので、単純にゴール前で力尽きたということなのでしょう。

日曜日の阪神競馬場は強風が吹いていました。直線で抜け出すまで馬群のなかに紛れ、風の影響を最小限にとどめたこともアユサンの勝因のひとつではないかと思います。出走馬中2番目に重い484kgという馬体重もプラスに作用したはずです。レッドオーヴァルは430kgと50kg以上軽く、その分、風の影響を受けやすかったのではないでしょうか。

1勝馬の桜花賞制覇は95年のワンダーパヒューム以来のこと(02年のアローキャリーもJRAでは1勝)。2戦目のアルテミスS(重賞)ではスタートで挟まれ、最後方から大外ブン回しという大味な競馬ながら僅差の2着でした。キャリアの浅さを考えれば強い内容だったと思います。3戦目の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)は大外枠だったため終始外を回らされる競馬で7着。前走のチューリップ賞は休み明けで完調手前ながら3着と頑張りました。桜花賞はディープインパクト産駒の得意とする舞台。切ることはできないと思い△を打ちました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010100487/



「ディープインパクト×Storm Cat」は毎日杯(G3)を勝ったキズナと同じ。ディープインパクト産駒は小柄で華奢なところがあるので、馬格や筋肉量を補う配合が成功しています。アメリカ馬は総じて大柄で馬力があり、Storm Cat はまさにそんなタイプです。見栄えのする筋肉質な馬体ですから、ディープインパクトに欠けた部分を補完する働きがあるのでしょう。キズナは482kg、アユサンは484kgと、ディープインパクト産駒にしては大きく出ています。

もちろん、血統的な相性の良さもあります。ハーツクライ、マンハッタンカフェ、ダンスインザダーク、スペシャルウィークなどにも言えることですが、芝の中長距離に実績のあるサンデー系種牡馬は総じて Storm Bird と相性が良好です。息子の Storm Cat は、母の父が Secretariat なので、それと相似な血である Sir Gaylord を持つディープインパクトとフィットするのではないかと思います。

母バイザキャットは「Storm Cat×Affirmed」という組み合わせ。Affirmed は米三冠馬で、種牡馬としては芝向きの適性を示しています。Storm Cat との相性も上々で、ゴスホークケンの父 Bernstein はこの組み合わせから誕生しています。また、Bernstein の全姉の子には Sky Mesa がいます。

日本ではショウナンマイティの母ラグジャリーが Storm Cat と Affirmed を持っています。“サンデーサイレンス、Storm Cat、Affirmed”のトライアングルを持つ馬は意外なほど走っており、アユサンとショウナンマイティのほか、アルキメデス、エンリル、アストロロジーなどがいます。



「ディープインパクト×Storm Cat」から誕生した馬のなかで、明らかに距離がもたないのは2代母の父に Mr.Prospector 系が入るイントゥザストームだけです。Affirmed は現役時代、ベルモントS(米G1・ダ12f)やジョッキークラブゴールドC(米G1・ダ12f)を制しているように、スタミナには不安のないタイプ。アユサンが2400mでパタッと止まるシーンは想像できません。もともと左回りが得意という触れ込みだったので、オークスでも楽しみです。

◎レッドオーヴァルはクビ差2着。冒頭に記したように、ゴール前100mでは完全に先頭に立っていました。力を出し切り、完全な勝ち態勢を覆されて負けたわけですから勝ち馬を褒めるべきでしょう。「栗山ノート」や「一口馬主好配合馬ピックアップ」、『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編(2012)』など、あらゆる媒体でプッシュしてきた好配合馬です。馬体に実が入り、本当に良くなってくるのは古馬になってからかもしれません。半兄ストロングリターンが初めてG1を勝ったのは6歳春でした。

3着プリンセスジャック(14番人気)はまったくノーマークでした。後方に控えた位置取りが正解で、距離ロスを抑えて進出した騎乗も上手かったと思います。

4着○クロフネサプライズ(1番人気)は先行馬が総崩れとなるなかでよく粘っています。競馬は往々にして人気を背負った馬の位置取りがレースの流れを作ります。チューリップ賞では人気を集めたレッドオーヴァルとローブティサージュが後方に控えたため、逃げたクロフネサプライズのマークが甘くなり、マイペースで逃げることができました。今回は自身が人気を背負う立場ですから、当然マークはきつくなり、前走のような楽な競馬は望めません。今回のメンバー相手に少々不利な流れをものともせずねじ伏せる、という芸当ができるほどの実力はなかった、ということでしょう。

予想は△◎で的中。買い目はマルチ設定だったので馬単9350円的中です。



コメント
桜花賞は、ディープ産駒の3連覇&2年連続ワンツーでしたね。ディープ産駒は谷間の3世代目でしたが、父サンデーも果たせなかった3世代目の産駒によるクラシック獲得に成功しました。
アユサンは、直前の土曜に主戦の丸山騎手が落馬して骨折したため、クリスチャン・デムーロ騎手に乗り替わりとなりましたが、完璧なエスコートで、兄のミルコ・デムーロ騎手との叩きあいを制しました。
ディープ産駒3連覇やデムーロ兄弟ワンツーの陰にかくれた形ですが、ここ最近の桜花賞でのエスカッシャン牝系の大暴れも特筆に値するでしょう。栗山さんのデニムアンドルビーの記事への投稿でも書いたのですが、ディープ×エスカッシャン牝系の配合からは、すでにマルセリーナが桜花賞に勝っており、その前年にはアパパネが桜花賞馬となっているので、最近4年間で桜花賞3勝の猛威をふるっていることになります。エスカッシャン牝系といえば、これまではトゥザヴィクトリーやエリモピクシーの周辺が話題にのぼることが多かったのですが、アパパネ、マルセリーナ、アユサンは、それぞれが別の分枝から出ており、日本でも一大勢力へと拡大しつつあります。以前、栗山さんがロイヤルサッシュ牝系の記事を書かれた時、ラトロワンヌ牝系やドイツ牝系のように「優れたファミリーを複数創り出し、それらが代を経て絡み合うことで優れた効果を発揮」することを期待したいと述べておられましたが、エスカッシャン牝系にも同じような期待がかけられるでしょう。
アユサンの体型については、ディープ産駒には珍しいガッチリとした胴長な馬体で、しいて言えば、リアルインパクトが近いかと思います。リアルインパクトの体型は、明らかにインリアリティの影響が濃厚ですが、アユサンの場合は、レイズアネイティヴ〜アファームドの影響でしょうか。アユサンにもインテンショナリーの血がありますが、ゴツくて岩のようなインテンショナリーの体型と、フェアプレイ〜マンノウォー的なインリアリティの体型とでは、以前投稿させていただいたとおり大きな違いがあります。しかし、リアルインパクトにもレイズアネイティヴの血があり、レイズアネイティヴの胴長な体型は、フェアプレイ5×5のクロスに由来するものだと思われるので、レイズアネイティヴとインテンショナリーの組み合わせが、フェアプレイの血を増幅しているとも考えられ、そのあたりがアユサンの胴長な馬体にも反映されているとは言えるかもしれません。ただ、体型は似ているものの、先行粘り込みのリアルインパクトと、差しても切れるアユサンとでは、レースぶりにかなりの違いがあるのも事実で、その違いは、リアルインパクトの母方にはマムタズマハル関連の血が非常に乏しいのに対して、アユサンは母の側にもそこそこマムタズマハル関連の血がある(母バイザファームはマームード≒マムタズビガム6・6×6・6)ことによるのではないかと思います。今回改めてインテンショナリー、インリアリティ、レイズアネイティヴなどの馬体画像を見直したのですが、インリアリティとレイズアネイティヴの体型は実にそっくりです。インテンショナリーとインリアリティが親仔というより、インリアリティとレイズアネイティヴが親仔だったほうがしっくりきます。

2着のレッドオーヴァルは惜しかったですが、最後の最後で差し返されたのは、中間の順調度の差としか言いようがありません。馬体細化に悩まされたレッドオーヴァル陣営は、直前こそビシッと追い切りましたが、先週までは軽めの調教に終始していました。アユサンが栗東留学で自身にとって過去最高の調整を行ない、マイナス12キロときっちり絞ってきたのとは対照的だったと思います。

アユサン
http://www.keibado.com/keibabook/itw/photo07.html (桜花賞)
http://www.keibado.com/keibabook/130408/photo07.html (桜花賞バックナンバー)
リアルインパクト
http://www.keibado.com/keibabook/110509/photo11.html (NHKマイルC)
レイズアネイティヴ
http://www.sporthorse-data.com/horse/100589/164/Horse_Raise_A_Native-_2big.jpg
インリアリティ
http://www.sporthorse-data.com/horse/613134/840/Horse_In_Reality-big.jpg
インテンショナリー
http://www.sporthorse-data.com/horse/663921/361/Horse_Intentionally-_3big.jpg
  • toku
  • 2013/04/08 2:26 AM
デビュー戦の切れ味を観た時にただものじゃないと思いましたし、アルテミスステークスでも能力の高さを見せていましたが、関西に遠征した2戦は今一歩の競馬だったのでちょっと評価を下げました。

 しかし騎手の力もあったと思いますが、勝ち切ったのにはびっくりしました。ディープ産駒の成長力は本当に凄いです。ストームキャット牝馬との相性も抜群ですし。
  • azemin
  • 2013/04/08 7:35 PM
ディープ×BMSストームキャットについて、これまで見落としていたことを追加させてください。見落としていたというより忘れていたというべきかもしれませんが、栗山さんの旧ブログにおける「ディープインパクト×Storm Cat 系を占うサクセスシルエット」という記事についてです。
その記事では、サクセスシルエットの母フィアレストケープと、ヨハネスブルクやテイルオブザキャットが、4分の3同血であるという指摘がなされています。
今から振り返って記事の内容をさらに掘り下げてみるなら、ヨハネスブルクもテイルオブザキャットも、ラウンドテーブルの全妹モナーキーから出たアロウ〜フェオラの一族だったわけです。
つまり、ディープの母系とストームキャットの相性のよさというのは、テイルオブザキャットのような世界的な大種牡馬を生み出すレベルのものだったということになります。
テイルオブザキャットに、ディープ〜サンデーの系統と相性の良いホワットアプレジャーの血があるのも示唆的です。
そして、テイルオブザキャットの日本での代表産駒エーシントップには、モナーキー=ラウンドテーブルの全兄妹クロスや、ディープと相性のよいアンブライドルドの血があります。
さらに、エーシントップの半兄ジェネラルクォーターズの父スカイメサは、プルピット×BMSストームキャットですが、プルピットはテイルオブザキャットの近親、すなわちアロウ〜フェオラ牝系ですから、スカイメサとテイルオブザキャットは裏返しのような関係にあるわけです。
ディープとストームキャットの相性のよさは、もう少し突っ込んで考える必要があるかもしれませんね。
  • toku
  • 2013/04/09 7:00 AM
2日連続の 惜敗・・・。


一旦は、勝ったと思ったんですが・・・
あまりの悔しさに、ゴール直後に、頭を抱えました。


しかし、VTRを何度か確認すると、
ゴール寸前で、再度オーヴァルが伸び返しています。
アユサンとの距離を縮めているので、
もう100mほど、戦いが見たかったですね。

次は、オークス予定だそうですので、
なんとしても、リベンジしたいです。
  • brokken
  • 2013/04/09 6:38 PM
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