パーフェクト種牡馬辞典


京都2歳Sはカデナ


後方につけた▲カデナ(3番人気)が直線で大外から伸び、残り100mで◎ヴァナヘイム(1番人気)を交わしました。
https://youtu.be/k0fBuvZCp1A

前走の百日草特別(2歳500万下)は、直線で前が壁になって追い出しを待たされ、その分の2着という印象でした。今回はヴァナヘイムをマークするように進み、直線でディープインパクト産駒らしい瞬発力を発揮して完勝しました。同産駒の2歳世代では初の重賞勝ち馬となります。

ニューマーケットのセリ場にノースヒルズの福田洋志ゼネラルマネージャーがいらっしゃったので、「おめでとうございます」と声をおかけしたところ、「セレクトセールに出てきた当歳のディープインパクト産駒のなかでいちばん安かったんですよ」とお顔をほころばせました。カデナが落札されたのは2014年。調べてみたところ確かにそうでした。税抜きで3500万円。安く手に入れた馬が走るということは、選んだ側に見る目があったということです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014104449/



「ディープインパクト×フレンチデピュティ」はショウナンパンドラ(ジャパンC、秋華賞、オールカマー)、マカヒキ(日本ダービー、弥生賞、ニエル賞)、カミノタサハラ(弥生賞)、ウリウリ(CBC賞、京都牝馬S)、ボレアス(レパードS)が重賞を勝っており、ニックスといえるでしょう。

Seattle Slew はスピードの持続力に秀でており、その反面、瞬発力には欠けるところがあります。要するにワンペースながらしぶとさで勝負する血です。この血が母方の2〜3代目に入ったディープインパクト産駒は、これまで障害のタイセイドリームしか重賞を勝っていませんでした。カデナの場合、「ディープ×フレンチ」のニックスが強く主張しているのか、決め手に乏しい部分が見られません。これはいいですね。来年が楽しみです。

◎ヴァナヘイム(1番人気)は2着。勝ち馬の決め手に屈した形です。もう少し馬がしっかりしてくれば最後の伸びも違ってくるはずです。




ジャパンCはキタサンブラック


仕事でイギリスに来ています。レース時はちょうどフライトの最中で、機内では結果を確認する術がありませんでした。ヒースロー空港に着陸してすぐスマートフォンでレース映像を観たところ、思わず「おおーっ!」と声が出ました。△キタサンブラック(1番人気)の逃げ切り勝ち。1番人気の勝利は過去10年間でもディープインパクト、ウオッカ、ジェンティルドンナが記録していますが、逃げ切り勝ちはごく稀です。03年のタップダンスシチーは重馬場だったので、良馬場の逃げ切り勝ちは84年のカツラギエース以来32年ぶりとなります。武豊騎手は通算4勝目。逃げ切りが難しい舞台での逃げ切り勝ちは絵になりますね。いいものを観た、と思いました。
https://youtu.be/51YzfORD-Dw?t=3m38s

木曜日に降雪があった影響で、土曜日の競馬は良馬場まで回復したものの、それなりに水分を含んだ馬場でした。あるジョッキーは「ビシャビシャ」と表現していたそうです。気温が低かったので日曜日もさほど回復しなかったのではないでしょうか。そして、第9レースの前から小雨が落ちてきました。こうなると馬格、パワー、スタミナに恵まれたキタサンブラックは相対的に有利になります。前述のタップダンスシチーは510kgでしたが、それよりもひとまわり大きい536kg。オールブラックスの2m超えのフォワードが相手バックスを引きずりながらトライを決めたような、そんな迫力がありました。

配合については10月15日のエントリー「京都大賞典はキタサンブラック」から引用します。

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この馬の走りを見るたびに“心臓の強さ”というものを感じます。終盤の苦しいところでもうひと伸び、ふた伸びできるのが最大のセールスポイントで、捕まりそうに見えてなかなか捕まりません。日本ダービー(G1)と皐月賞(G1)を除けば、負けたレースでも僅差の勝負に持ち込んでおり、レースを重ねるたびにしぶとさに磨きが掛かっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102013/



父ブラックタイドはディープインパクトの全兄で、現6歳世代が初年度産駒。デビューした5世代で4頭の重賞勝ち馬を出しており、重賞は計8勝目。そのうち5勝はキタサンブラックによるものです。

重賞勝ち馬は他にテイエムイナズマ(デイリー杯2歳S)、マイネルフロスト(毎日杯)、タガノエスプレッソ(デイリー杯2歳S)の3頭。しなやかな瞬発力を武器とする弟ディープインパクトに比べると少々パワー寄りに出ており、筋力をベースとした持続力タイプです。馬場別の通算勝利数は芝784勝、ダート54勝ですが、連対率は芝10.8%、ダート11.8%。芝の成績が圧倒的に優れているディープとはタイプが異なります。

母シュガーハートは不出走馬で、4分の3兄ショウナンバッハ(父ステイゴールド)は2000m以上で3勝。長めの中距離馬といった感じです。2代母オトメゴコロは Cee's Tizzy(米年度代表馬 Tiznow の父)の半妹で、4代母 Tizna はアメリカで3つのG1を含めて重賞を8勝したチリ産の名牝です。キタサンブラックにしてもショウナンバッハにしても、母の父にサクラバクシンオーを持ちながら2000m以上で実績を残しているのは、南米にルーツを持つこの牝系が強力なスタミナを伝えているのかもしれません。

キタサンブラックは手脚が長く、馬体も雄大なので、1回のストライドで距離が稼げるという面は大きいと思います。その分、アクションの回数は少なくて済むので、スタミナの消耗を防ぐことができます。大きな馬体をしっかり全身運動させているのはブラックタイドの筋力の強さでしょう。「ディープ×サクラバクシンオー」はブランボヌール(函館2歳S、キーンランドC)、アデイインザライフ(新潟記念)が出ており、血統構成が似ています。溜めて切れるタイプではないサクラバクシンオーを取り込んでも追い込み型にしてしまうディープインパクトとは異なり、ブラックタイドは素直に先行タイプを出しました。
………………………………………………………………………………………

2着△サウンズオブアース(5番人気)は重賞で2着7回目。今回の末脚を見ても、非凡なものを持っているのは間違いありません。しかし、なぜか勝ちきれません。G1では菊花賞(G1)、有馬記念(G1)に次いで3回目の2着です。

◎リアルスティール(2番人気)は5着。スタミナタイプが上位を占めたようにパワーを必要とする馬場だったことが影響したのかもしれません。




東京スポーツ杯2歳Sはブレスジャーニー


後方のインに控えた▲ブレスジャーニー(2番人気)が直線で大外に持ち出し、先に抜け出した○スワーヴリチャード(4番人気)をクビ差とらえました。
https://youtu.be/F0_3lNhQRDM

雨の影響で稍重のコンディション。1000m通過60秒6はこのクラスとしては速くもなく遅くもなくといったところでしょうか。馬群は縦長となったので後方に控えた組はスローな流れで、ラストは決め手勝負となりました。直線半ばではスワーヴリチャードの楽勝かと思いましたが、結果的には仕掛けが早かったですね。馬の成長を考えてまだ一杯に仕上げたことがなく、それが最後まで伸びきれなかった要因です。ただ、伸びしろを考えると来年が楽しみです。

勝ったブレスジャーニーはサウジアラビアロイヤルC(G3)に続いての重賞連勝。持ち前のカミソリのような鋭い脚を今回も繰り出しました。今年の2歳戦線では函館2歳S(G3)を勝ったレヴァンテライオン(父 Pioneerof the Nile)、萩S(OP)を勝ったプラチナヴォイス(父エンパイアメーカー)が同じ父系に属しています。エンパイアメーカーの系統はダート巧者なので、芝で走る子もスピードの持続力で勝負タイプがほとんどですが、ブレスジャーニーは瞬発力の塊。異端児といえます。昨年のサマーセールでわずか250万円(税抜)で落札された馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014106404/



父バトルプランは米3歳牝馬チャンピオン Surfside の半弟で、母 Flanders は米2歳牝馬チャンピオンという良血。自身は通算6戦4勝で米G2を勝ちました。2着に逃げ粘ったスティーヴンフォスターH(G1)のレース中に故障して引退したのですが、このレースで3/4馬身差先着して優勝した Blame は、その年のブリーダーズCクラシックで Zenyatta を破って優勝した強豪。バトルプランの実力はかなりのものだったと思います。オーヴァーブルックファームが解散しなければ日本に入らなかったかもしれません。父エンパイアメーカーと同じく2011年から日本で供用を開始しました。

これまでの代表産駒は札幌2歳S(G3)で2着となったマイネルシュバリエ。本馬はJRAで初の重賞勝ち馬となりました。2016年はアロースタッド(新ひだか町)で70万円の種付料。今年の種付け頭数はまだ出ていませんが、11年から15年までは50〜70頭台で推移しています。

母エルフィンパークは不出走馬ですが、兄弟はフェニーチェ(4勝)、ウイングビート(3勝)、ナイトアットオペラ(3勝)をはじめコンスタントに走っています。2代母エルフィンフェザー(3勝)は年度代表馬エアグルーヴの半妹で、3代母ダイナカールはオークス馬です。

アメリカ血統に由来すると思われる回転の速いピッチ走法に、日本的な芝適性と切れ味がうまく融合したというイメージです。父はアメリカの主流血統でカッチリと作り込まれた血統構成なので、母方には少し遊びのある血がほしいところです。「タニノギムレット×サンデーサイレンス+ダイナカール」の母は、ヨーロッパ血統あり日本在来血統ありという構成ですから、おおむねそれに合致しています。

すでにダービーまで出走できる賞金を稼いだので、年内は休養に充てるようです。これまでの4戦はいずれも東京コース。右回りさえ問題なければ2400mよりは2000mのほうがいいと思うので、皐月賞(G1)が楽しみです。

◎ムーヴザワールド(1番人気)は3着。勝ち馬からクビ、ハナ差なのでほとんど差はありません。トビが大きいためギアチェンジが苦手で、流れが速くなると置かれ気味になってしまいます。それでもラストまでバテることなく着実に伸びてきます。まだ馬がゆるく、いかにも未完成といった雰囲気。これから成長していけば機敏さも増してくるはずです。ダービー向きでしょう。予想はマルチ設定だったので▲○◎で3連単8270円的中です。




マイルチャンピオンシップはミッキーアイル


16番枠からすんなりハナに立った△ミッキーアイル(3番人気)がマイペースに持ち込み、◎イスラボニータ(3番人気)の追撃をアタマ差しのいで逃げ切りました。
https://youtu.be/80D6PFAkKNE?t=1m33s

ゴール前で勝ち馬が外斜行し、数頭の進路を妨害したものの、審議の結果着順が入れ替わることなく確定。3歳春のNHKマイルC(G1)以来久々のG1制覇となりました。このところ1200〜1400m路線に専念していたため、距離延長がどうかという懸念はあったのですが、一方ですんなりハナを切ればしぶとい馬でもあります。マイル以下では日本屈指の実力馬であることを示しました。天皇賞馬モーリスがここではなく香港に矛先を向けたことも良かったですね。血統屋の企画『2013〜14年種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』で望田潤さんが推奨した馬でもあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103916/



母スターアイルは現役時代13戦2勝。勝った2戦はいずれもダート1000m戦でした。母の半弟キングレオポルド(父フジキセキ)はOPクラスまで出世したスプリンターで、2歳時にはベゴニア賞(500万下・芝1600m)で1分34秒1という東京競馬場の2歳レコードを樹立しています。

母の父ロックオブジブラルタルは「ザ・ロック」の愛称で親しまれ、ヨーロッパのマイル戦線を中心にG1を7連勝するという偉業を成し遂げた名馬です。日本の軽い馬場ではピリッとした瞬発力に欠け、やや一本調子なところが見られます。日本では過去1シーズンだけ供用され、エイシンオスマン(ニュージーランドT)、プレイ(弥生賞−2着)、タガノロックオン(ジャパンダートダービー−3着)、ピュアオパール(関東オークス−2着)などを出しました。先に行って粘り強いタイプが多いですね。

Danzig は競走意欲旺盛なスピードタイプで、筋肉量豊富な馬体から繰り出すパワフルなピッチ走法が持ち味です。細身で大トビなディープインパクトとは対照的な個性といえます。両者を組み合わせたときにいいとこ取りができれば申し分なく、ジェンティルドンナやサトノダイヤモンドがそれに成功しています。

ミッキーアイルの母スターアイルと、ジェンティルドンナの母ドナブリーニは配合構成がよく似ています。



Danzig、Alydar、My Bupers という血のコンビネーションはポピュラーなものではないので、ディープインパクト産駒の配合に関する重要な鍵が隠されているような気がします。デインヒル、Be My Guest、Nureyev と、Hyperion 色の強い Northern Dancer 系種牡馬が集められていることも目に付きます。これがG1でも位負けしない持続力と底力の支えでしょう。

前述のとおり母の父ロックオブジブラルタルは「ピリッとした瞬発力に欠け、やや一本調子なところが見られ」、「先に行って粘り強いタイプが多い」のですが、ディープインパクトと組み合わせることで、そうした特長を残しつつ日本向きに洗練された、というイメージです。

今回のレースに出走したフィエロとも配合構成がよく似ています。同馬の母ルビーが Northern Dancer 3×3。同馬はロックオブジブラルタルの全妹です。



フィエロは14、15年のこのレースで2着となっているので、同じような配合構成の馬が3年連続で連対したことになります。ただ、フィエロはG1勝ちどころか重賞勝ちもありません。もう7歳なのでチャンスは残りわずかです。

◎イスラボニータ(2番人気)は2着。完璧な位置取りで、直線も不利を被ることなく、ベストのレースができたと思います。勝ち馬が一枚上でした。予想はマルチ設定だったので、△◎で馬単3390円的中です。




11月19、20日の血統屋コンテンツ推奨馬の結果速報


■『2013〜14年種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』で望田潤が推奨したミッキーアイル(牡5歳)が日曜京都11RのマイルCS(G1・芝1600m)を勝ちました。コメントは以下のとおり。

◎ミッキーアイル(牡・母スターアイル)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103916/
キングレオポルドの姪。3代母ステラマドリッドは北米G1を4勝した一流馬でダイヤモンドビコーの母。DanzigやNureyevやAlydarやBusandaのパワーを受けた母は、現役時代は500キロ超の巨体を誇りダ1000mで2勝した。そこにディープのしなやかさが加わって、中山を力強く捲れる皐月賞向きの配合といえる。(望田)

■『2016〜17年種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』で望田潤と栗山求がダブル推奨したハナレイムーン(牝2歳)が日曜東京6Rの新馬戦(芝1600m)を勝ちました。コメントは以下のとおり。

○ハナレイムーン(牝、ハウオリ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014105608/
キロハナの全妹で、母母ノースフライトは安田記念やマイルCSに勝った女傑。母母はHyperion4・6・6×5、母父はNorthern Dancer4×4・6で、母はトニービンとSpecialとMill ReefとHornbeamを通じるナスペリオンのクロス。ディープインパクト×キングカメハメハはデニムアンドルビーと同じで、ああいう頑強な斬れ味を見せてほしい。(望田)

★ハナレイムーン(牝・母ハウオリ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014105608/
一昨年推奨した全兄キロハナは、2戦2勝としてクラシック戦線に名乗りをあげた矢先、骨折が判明して3歳春を棒に振った。復帰後2戦し、再度骨折。素質は高いものの体質の弱さがある。母ハウオリは芝1600〜2000mが守備範囲で準OPまで出世した。2代母ノースフライトは安田記念、マイルチャンピオンシップを制した名牝。「ディープ×キングカメハメハ」「父ディープ、2代母の父トニービン」はいずれも成功パターンで、配合的には文句なし。体質の弱さがなければおもしろい。(栗山)

■土曜東京11R東京スポーツ杯2歳S3着 ムーヴザワールド(ディープ・望田&栗山)
■日曜福島3R500万下 コートシャルマン(POG・望田)
■日曜京都7R500万下 エマノン(POG・望田)




福島記念はマルターズアポジー


すんなりハナに立ったマルターズアポジー(7番人気)が○ゼーヴィント(1番人気)以下の追撃を振り切って逃げ切りました。
https://youtu.be/3korNKgq7Yg

これで1000万、1600万、重賞と3連勝。前後半61秒0−59秒8というスローペースに持ち込み、なおかつ後続からのプレッシャーもなかったので、この馬の良さが最大限に活きました。武士沢騎手の好騎乗です。3歳夏に同じ福島のラジオNIKKEI賞(G3)で12番人気ながら3着。それを含めて福島芝では[3−0−1−0]ですから小回りコースの鬼といえるでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012100939/



父ゴスホークケンは Storm Cat 系の Bernstein を父に持つ外国産馬で、現役時代に朝日杯フューチュリティS(G1)を制覇しました。斎藤誠調教師が米フロリダのトレーニングセールで選んだ馬です。朝日杯を勝ったあと、6歳まで走って一度も勝てずに終わったため、繁殖牝馬を集めるのに苦労しているのですが、少ないチャンスから重賞ウィナーを送り出したのですから見事です。ゴスホークケンのオーナーのバックアップによりマルターズヒートという優秀な繁殖牝馬(現役時代にフェアリーSを勝つ)を宛がわれたことが大きいですね。

Storm Cat 系×A.P.Indy 系という組み合わせに Roberto クロスを持っているので、切れ味よりもスピードの持続力で勝負するタイプであるのは容易に見て取れます。デビュー戦からすべて逃げ続けているという、いまどき珍しい馬です。

◎ダイワドレッサー(3番人気)は3着。ペースが遅いなかよく差してきました。小回りコースでは目が離せない馬です。




武蔵野Sはタガノトネール


2番手追走から直線入口で先頭に立った△タガノトネール(8番人気)が▲ゴールドドリーム(2番人気)以下を寄せ付けず、そのまま押し切りました。
https://youtu.be/PwQErur5_hE

勝ちタイム1分33秒8はレコードタイム。雨の影響が残る脚抜きのいい馬場だったとはいえ立派です。昨年のこのレースでハナ差2着に粘ったように相性のいいレースです。重賞は昨年のサマーC(Jpn3)に次いで2勝目。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010105768/



父ケイムホームはアメリカでホープフルS(G1)、サンタアニタダービー(G1)など12戦9勝。同国で種牡馬となり、5年間供用されたあと、08年から日本で種付けを開始しました。初年度は175頭の繁殖を集める人気でしたが、昨年は49頭に減っています。

JRAの重賞を勝ったのはサウンドリアーナ(ファンタジーS)に次いで2頭目。このほか、アメリカ時代に種付けをした持込馬のケイアイライジンがプリンシパルS(OP)を勝っています。

母の父キングカメハメハは、ディープインパクトとその全兄ブラックタイドと相性がよく、デニムアンドルビー(ローズS、フローラS)、タガノエスプレッソ(デイリー杯2歳S)、テンダリーヴォイス(フェアリーS−3着)と、タガノトネールを除いて重賞で馬券になった3頭はすべてこのパターンです。キングカメハメハは芝とダートの双方でG1馬を送り出しています。タガノトネールに続く馬はこれから増えてくるでしょう。

「Gone West×Clever Trick」という組み合わせのケイムホームは、やや底力に欠けるパワー型のアメリカ血統です。母タガノレヴィントンは、それとは対照的なイギリス血統 Hyperion(スタミナ、底力、成長力などを伝える)の強い影響を受けた血(Nureyev、トニービン、Terrble Tiger など)を大量に抱えており、父の弱点を補っています。

旧ブログ2011年7月8日のエントリー「配合的に見極めやすいケイムホーム産駒」に、「ケイムホームの2代母の父 Full Out は、Mill Reef、Riverman と相似な血の関係にあるので、このふたつの血とは相性がいいでしょう」「アメリカ時代の産駒を調べると、Graustark と His Majesty の全兄弟と好相性を示しています」と記しましたが、タガノトネールの母の父キングカメハメハには Mill Reef と Graustark が含まれているので、この2つを満たした配合パターンです。



6歳ですがセン馬なのでまだまだ元気に走り続けるでしょう。来年のフェブラリーS(G1)が脚抜きのいい馬場になったらおもしろいですね。

◎モーニン(1番人気)は7着。初めて背負う59kgと、馬群に揉まれてスムーズな競馬ができなかったことが敗因でしょう。時計勝負になると小さなロスが大きく響いてきます。チャンピオンズC(G1)では巻き返せるはずです。




デイリー杯2歳Sはジューヌエコール


好位のインを追走した○ジューヌエコール(2番人気)がゴール直前で逃げ粘るボンセルヴィーソ(8番人気)をクビ差とらえました。
https://youtu.be/gVytBcslASk

800m通過48秒4は、良馬場で行われた直近10回のデイリー杯のなかで3番目に遅い流れ。前残りとなって差し馬には厳しい競馬となりました。勝ち馬は折り合いを欠くことなくうまくレースを運び、これでデビュー以来3連勝。レースぶりの上手さも競走馬の能力の重要な要素です。スローペース専門の馬ではありませんが、似たような展開になれば同じように好走できるでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014106231/



母ルミナスポイントはダート短距離を中心に5勝を挙げた活躍馬で、ノーザンリバー(東京盃など重賞5勝)やノットアローン(ラジオNIKKEI賞−2着)の全姉、ランフォルセ(ダイオライト記念など重賞4勝)の半姉、モンローブロンド(ファンタジーS−2着)、アコースティクス(ダービー馬ロジユニヴァースの母)の半妹にあたる良血。

3代母 Sonic Lady は現役時代、ムーランドロンシャン賞(仏G1)、サセックスS(英G1)、愛1000ギニー(愛G1)を勝ったマイルの名牝。1歳下の Miesque があまりにも凄かったのでその存在が霞みがちですが、80年代後半のヨーロッパでは Nureyev 牝馬の二枚看板、といった感がありました。Sonic Lady は13歳の若さで死亡し、牝馬を2頭しか産まなかったので、その血を受け継ぐファミリーは貴重です。

全兄ルミナスウイングは、牡馬ということもあってパワーが前面に出たのか、ダート短距離で準OPまで出世しました。本馬は芝向きの素軽さを持っています。「クロフネ+サンデーサイレンス+Mr.Prospector」は安定感があります。

◎タイセイスターリー(1番人気)は8着。出遅れた上に終始外に行きたがるという気の難しさを見せ、競馬をしていません。能力はあると思うので立て直しに期待したいですね。




エリザベス女王杯はクイーンズリング


中団のインを追走した◎クイーンズリング(3番人気)が直線で馬群を割って抜け出し、内で粘るシングウィズジョイ(12番人気)をゴール直前でクビ差とらえました。
https://youtu.be/t4CDUDNIpMc?t=1m29s

1000m通過61秒8。良馬場で行われたレース史上3番目に遅く、ラスト1000m58秒5は2番目に速いものです。要するに、極端な後傾ラップとなったレースであり、クイーンズリングの上がり3ハロンはメンバー中最も速い33秒2でした(上がり2位は33秒5)。基本的には前残りの、位置取りで着順が決したレースですが、クイーンズリングは掲示板に載った馬のなかでは最も後ろに位置していたので、内容的には完勝だったと思います。

予想は◎だけ的中。予想文を転載します。

「◎クイーンズリングは『マンハッタンカフェ×アナバー』という組み合わせ。母アクアリングは仏1000ギニー馬トレストレラの半妹で、母の父アナバーはカルティエ賞最優秀スプリンターに輝いた名馬。アナバー産駒には「リヴァーマンのクロスを持つ産駒から大物が出る」という際立った配合的特徴がある。ゴルディコヴァ(カルティエ賞年度代表馬でG1を14勝)、アナバーブルー(仏ダービー)、トレヴィセ(凱旋門賞を2連覇したトレヴの母)、アナバンダナ(NZ2歳チャンピオン)、そして本馬の母アクアリングもこれに該当する。リヴァーマンは仏リーディングサイアーに二度輝いた名血で、中距離向きのスピードと瞬発力がセールスポイント。本馬はサンデーサイレンスとリヴァーマンに由来する瞬発力を武器とし、スローペースの上がり勝負となった前走の府中牝馬S(G3)で鋭い末脚を繰り出して3つめの重賞を制覇した。以前は感じられた線の細さは影を潜め、本格化を思わせる安定感がレースぶりから滲み出ていた。直線平坦の京都コースは得意としており、京都牝馬S(G3)を制しているほか、昨年の秋華賞(G1)では終始外を回りながらミッキークイーンにクビ差と迫る2着。昨年のエリザベス女王杯(G1)は8着だったが、直線で挟まれる致命的な不利を被りながら勝ち馬から0秒3差。スムーズなら勝ち負けに持ち込んでいたことは間違いない。前哨戦を一度叩いた臨戦過程も理想的で、今回はG1初制覇のチャンスだろう」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104105/



予想文に記したとおり、母アクアリングは Torrestrella(仏1000ギニー)の半妹。母の父 Anabaa はカルティエ賞最優秀スプリンターに輝いた名馬で、ジュライC(英G1・芝6f)とモーリスドゲスト賞(仏G1・芝1300m)を制しています。

Anabaa 産駒は Riverman クロスが成功しています。Goldikova(カルティエ賞年度代表馬でG1を14勝)、Anabaa Blue(仏ダービー)、Trevise(凱旋門賞を2連覇した Treve の母)、Anabandana(ニュージーランド2歳チャンピオン)などはこのパターンから誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/goldikova



ドイツ牝系から誕生した Anabaa Blue を除く3頭、Goldikova、Trevise、Anabandana はいずれも Lyphard を併せ持っています。母アクアリングは Riverman クロスに加えて Lyphard を持っているので、Anabaa 産駒の成功パターンに合致しています。現役時代は新馬戦を勝っただけでその後はいいところなく終わってしまったのですが、配合的なポテンシャルの高さが繁殖牝馬として活かされたようです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005102283/



2着シングウィズジョイもマンハッタンカフェ産駒なので、同産駒のワンツーフィニッシュです。この世代には他に、ルージュバック(毎日王冠)、アースライズ(フラワーC−2着)、ダノングラシアス(ファンタジーS−2着)、クインズミラーグロ(紫苑S)などがいます。

3着○ミッキークイーン(2番人気)は休み明けで完調ではなく、▲マリアライト(1番人気)は1コーナーで大きな不利がありました。競馬場、距離、直線の長さが違えば着順は入れ替わるはずです。




競馬道OnLine G1スペシャル予想〜エリザベス女王杯


3月に発売された『パーフェクト種牡馬辞典 2016−2017』(自由国民社)の関連企画として、同書の編集を担当した競馬道OnLineのサイトにて、この秋もスプリンターズSから有馬記念まで栗山求と望田潤がG1レースを交代で予想いたします。今週のエリザベス女王杯は栗山求の担当。有力馬分析は無料公開、予想は有料会員のみ閲覧できます。血統分析で取り上げた3頭がそのまま予想の順位となるわけではありません。よろしければご覧くださいませ。
http://www.keibado.ne.jp/sp2016/






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