パーフェクト種牡馬辞典


2012年の種牡馬傾向を振り返る(3)


1月4日、5日に過去2回のエントリーを掲載しました。
http://kuriyama.miesque.com/?eid=567
http://kuriyama.miesque.com/?eid=568

今回は3回目。ダートです。

芝ではディープインパクトが2位にダブルスコアに近い大差をつけていますが、ダートではキングカメハメハが2年連続トップ。両雄のキャラクターの違いが鮮明になりつつあります。

キングカメハメハは芝でも2位ですから万能型といったほうがいいでしょう。以前からダートは上手いと評判でしたが、JRAの重賞はなかなか勝てませんでした。1月にタイセイレジェンドが根岸S(G3)を勝つと、ソリタリーキング(東海S)、ホッコータルマエ(レパードS)、ナイスミーチュー(シリウスS)と堰を切ったように次々とダート重賞を制覇していきました。地方競馬でも、ハタノヴァンクール(ジャパンダートダービー)とタイセイレジェンド(JBCスプリント)がビッグタイトルを手にしています。リーディングサイアーの座はディープインパクトに譲ったものの、ダート界で大ブレイクした年といえます。下表のなかの左カッコは前年順位、右カッコは前年との勝利数増減です。

■ダ1000〜1300m
1位(5)サウスヴィグラス  24勝(+8)
2位(29)ファスリエフ    23勝(+18)
3位(1)サクラバクシンオー 19勝(−12)
4位(8)キングカメハメハ  17勝(+5)
5位(14)フレンチデピュティ 16勝(+5)

サクラバクシンオーが3位に退き、サウスヴィグラスとファスリエフが台頭しました。前者はローカルのダ1000m、後者はダ1200mと、得意分野が多少違います。ファスリエフの伸びが急激なので、今年はトップに立つかもしれません。この距離のファスリエフ産駒は新馬戦と初ダートの馬を買っていれば儲かります。

■ダ1400〜1600m
1位(2)クロフネ      19勝(+5)
2位(7)フジキセキ     16勝(+6)
3位(5)ネオユニヴァース  13勝(−1)
4位(8)シンボリクリスエス 12勝(+3)
5位(5)ゴールドアリュール 12勝(−1)

クロフネ産駒はダート全体で勝ち星が急減しています。ここ3年間の推移は、115勝→71勝→61勝。10年に115勝を挙げたときは2位以下をぶっちぎっていたのですが、11、12年と3位に甘んじています。ただ、この分野ではトップ。トウショウカズンとタイセイシュバリエが重賞で馬券になっています。キングカメハメハはダート4部門のうちここだけベスト5に入れませんでした(6位)。たまたま2着が多かったのが原因です。東京ダ1600mで注目したい種牡馬はエンパイアメーカー。武蔵野S(G3)のイジゲンを含めて11戦9勝という驚異的な成績を挙げました。

■ダ1700〜2000m
1位(1)キングカメハメハ  64勝(+6)
2位(7)ゴールドアリュール 40勝(+18)
3位(3)シンボリクリスエス 33勝(−8)
4位(4)クロフネ      25勝(−15)
5位(5)アグネスタキオン  25勝(−2)

11年は2位ネオユニヴァースに2勝差と僅差の勝利だったキングカメハメハ。12年はネオが33勝減の23勝で6位に転落したため、2位以下を引き離して悠々トップの座を守りました。重賞でも大活躍したので、賞金額の比較をすると2位の倍以上を稼いでいます。ゴールドアリュールが7位から2位に躍進しているのが目を惹きます。とくに京都ダ1800mでたびたび穴をあけています。

■ダ2100m〜
1位(1)キングカメハメハ   5勝(−3)
2位(24)アグネスタキオン   3勝(+2)
3位(72)スズカマンボ     3勝(+3)
4位(20)スパイキュール    2勝(+1)
5位(98)ハーツクライ     2勝(+2)

この部門はサンプルが少ないので、1頭の成績に左右されやすく、参考程度に見るのがいいでしょう。キングカメハメハが前年に引き続きトップを維持しました。(この項終わり)




2012年の種牡馬傾向を振り返る(2)


今回は芝の距離別成績。カテゴリーを4つに分け、それぞれについて解説します。ダートは来週後半あたりにやる予定です(表の左カッコは前年順位、右カッコは前年との勝利数増減)。

■芝1000〜1300m
1位(1)サクラバクシンオー 28勝(−15)
2位(2)キングカメハメハ  27勝(+11)
3位(4)クロフネ      16勝(+3)
4位(15)アドマイヤムーン  16勝(+10)
5位(16)ダイワメジャー   13勝(+8)

トップのサクラバクシンオーは55勝→43勝→28勝と、わずか2年で勝利数が半減しています。一昨年の4月に死亡しているものの、競走年齢に達した世代が減っているわけではないので、死ぬ以前から活力が衰えていたことが分かります。逆に、キングカメハメハは13勝→16勝→27勝という躍進ぶり。1200mのみの集計ではすでにサクラバクシンオーを上回っています。出走回数がサクラバクシンオーの380回に対しキングカメハメハは184回。内容的には後者のほうがはるかに濃く、代表産駒のロードカナロアはスプリンターズS(G1)を制したほか、香港スプリント(G1)を勝って世界的な名声を獲得しました。1位から4位まで非サンデー系が占めています。

■芝1400〜1600m
1位(2)ディープインパクト 56勝(+24)
2位(9)ダイワメジャー   35勝(+21)
3位(1)アグネスタキオン  24勝(−8)
4位(12)ハーツクライ    24勝(+13)
5位(3)フジキセキ     21勝(−4)

上位5頭をサンデー系が占めています。1位ディープインパクトは、以前は1400mをやや苦手としていたのですが、昨年の成績を見るとそうした面は見られなくなりました。ダイワメジャー、ハーツクライ、表には載っていませんがネオユニヴァースなども躍進しています。逆に、ロージズインメイ、ジャングルポケット、スペシャルウィークなどは急落しています。

■芝1700〜2000m
1位(1)ディープインパクト 96勝(+25)
2位(2)キングカメハメハ  42勝(+2)
3位(8)シンボリクリスエス 38勝(+13)
4位(6)ハーツクライ    33勝(+7)
5位(3)ステイゴールド   28勝(−11)

ディープインパクトが2位にダブルスコアをつけてトップ。このカテゴリーはディープの本丸だけあっての強さが突出しています。ダイワメジャーは5位ステイゴールドと同じく28勝を挙げたものの2着の差で6位。一昨年はこのカテゴリーでわずか4勝だったので、24勝を上積みしました。シンボリクリスエスの躍進も目につきます。ステイゴールド、ジャングルポケット、マンハッタンカフェなどは大きく勝ち星を減らしました。

■芝2100m〜
1位(4)ディープインパクト 29勝(+18)
2位(1)ステイゴールド   15勝(−1)
3位(7)ゼンノロブロイ   11勝(+2)
4位(8)シンボリクリスエス 10勝(+3)
5位(3)キングカメハメハ  10勝(−3)

2位ステイゴールドはほぼ前年並みの成績を残したのですが、ディープインパクトが異次元の脚で抜き去っていきました。条件戦から重賞までまんべんなく強いですね。ハーツクライは2着が多かったので6位に甘んじたものの、連対率ベースで見るとディープの次に優秀です。長距離に強いジャングルポケットが振るわず、10勝→5勝と半減。芝全体でも72勝→33勝と半分以下に減っているように昨年は不振を極めました。




2012年の種牡馬傾向を振り返る(1)


同じ種牡馬でもファーストクロップからラストクロップまで産駒傾向がずっと変わらないわけではありません。年を経るごとにトレンドに変化が生じることは珍しくなく、その原因は、繁殖牝馬の質であったり、他の種牡馬との相対的な関係であったりさまざまです。それを定期的にフォローしつつ、認識のメンテナンスを図ることが大事です。2013年の競馬が始まる前に昨年のJRA成績を振り返ってみましょう。

以下は昨年1年間の種牡馬別勝利数ランキングです。総合(平地)、芝、ダートの三種に分けてみました。左カッコは前年順位、右カッコは前年との勝利数増減です。

【総合】
1位(2)ディープインパクト 215勝(+80)
2位(1)キングカメハメハ  195勝(+14)
3位(6)シンボリクリスエス 114勝(+6)
4位(31)ダイワメジャー   111勝(+80)
5位(4)アグネスタキオン  101勝(−15)
6位(9)フジキセキ     103勝(+13)
7位(5)クロフネ       98勝(−15)
8位(16)ハーツクライ     86勝(+24)
9位(3)ネオユニヴァース   85勝(−43)
10位(14)ゴールドアリュール  79勝(+12)
【芝】
1位(1)ディープインパクト 193勝(+78)
2位(2)キングカメハメハ   99勝(+9)
3位(20)ダイワメジャー    72勝(+56)
4位(8)ハーツクライ     68勝(+14)
5位(9)シンボリクリスエス  64勝(+12)
【ダート】
1位(1)キングカメハメハ   96勝(+5)
2位(6)ゴールドアリュール  66勝(+11)
3位(3)クロフネ       61勝(−10)
4位(4)シンボリクリスエス  50勝(−6)
5位(11)フジキセキ      50勝(+15)

種牡馬の優劣は正規の種牡馬ランキングを見れば済むことで、この企画の意図は「トレンドの変化」を捉えることにあります。そのために勝利数の増減を主眼としています。

初のトップに立ったのはディープインパクト。この表にはありませんが収得賞金額でも50億円を超えて首位に立ちました。11年よりも81勝上積みして215勝。サンデーサイレンス以外で初めて年間200勝に到達しました。サンデーは04年に322勝(障害を除く)という大記録を樹立したほか、産駒数が増えたキャリア後期は毎年250勝以上を挙げる活躍ぶりでした。ディープインパクトはまだ3世代しかデビューしていないので、もう少し伸びしろがあります。今年以降、父と同じく250勝前後で安定するのではないでしょうか。相変わらず勝ち星は芝に偏っており、全勝利数の約9割を占めています。サンデーでも8割前後だったので、父よりもさらに芝型に特化しています。

2位キングカメハメハは安定の万能型ですね。芝99勝、ダート96勝とほぼ拮抗しており、前者では2位、後者では1位です。どちらも前年より勝利を上積みしていますが、伸びはわずかなので、このあたりが最高到達点ではないかと思います。

それ以下は団子状態の混戦。3位のシンボリクリスエスは、ストログリターン、サンカルロ、エピファネイア、アルフレード、サトノギャラントなど、芝向きの手駒が活躍したおかげで順位を上げました。芝の勝ち星がダートを上回ったのが目を引きます。ダートから芝へ、という静かな潮流の変化が見られます。

4位ダイワメジャーは2世代で111勝。これは立派な数字です。同時期のディープインパクトは135勝、キングカメハメハは119勝だったので、それらにはわずかに及ばないものの、これらは現在の種牡馬トップ2なので十分な成績です。将来的にはキングカメハメハと並んでディープインパクトを追いかける存在になりそうです。この3頭がベスト3を形成するランキングが当分続くでしょう。

大きく順位を下げているのはネオユニヴァース。前年の128勝(3位)から85勝(9位)に急降下しています。減った43勝中40勝がダート。11年はダート部門首位のキングカメハメハと争う存在でしたが、12年はベスト5にも入れませんでした。芝・ダートを合わせて重賞を勝てなかったのも寂しいですね。




2011年の米リーディングサイアーは Distorted Humor


 Frankel というスーパースターが出現して盛り上がったヨーロッパ競馬に比べ、昨年のアメリカ競馬はもうひとつ盛り上がりを欠いた印象があります。秋に行われたブリーダーズCも「フォローしなくては……」と思いつつ、気が付けばタイミングを逸して触れずじまいでした。サイアーランキングはさすがに無視するわけにはいかないので今回やっておきます。

集計は『BloodHorse.com』なども採用している Equineline 社のものです(対象は北米繋養の種牡馬で、集計範囲は北米に加えてヨーロッパ主要国、UAEを含む)。

1位 Distorted Humor(1993年生・byフォーティナイナー)$10,371,534
           http://www.pedigreequery.com/distorted+humor
2位 Smart Strike(1992年生・by Mr.Prospector)    $9,446,526
           http://www.pedigreequery.com/smart+strike
3位 Tapit(2001年生・by Pulpit)           $9,229,483
           http://www.pedigreequery.com/tapit
4位 Giant's Causeway(1997年生・by Storm Cat)     $8,506,849
           http://www.pedigreequery.com/giants+causeway
5位 Malibu Moon(1997年生・by A.P.Indy)       $7,594,642
           http://www.pedigreequery.com/malibu+moon
6位 More Than Ready(1997年生・by Southern Halo)   $7,473,859
           http://www.pedigreequery.com/more+than+ready
7位 Speightstown(1998年生・by Gone West)      $7,195,605
           http://www.pedigreequery.com/speightstown
8位 エンパイアメーカー(2000年生・by Unbridled)   $7,022,968
           http://www.pedigreequery.com/empire+maker
9位 Medaglia d'Oro(1999年生・by El Prado)      $6,882,615
           http://www.pedigreequery.com/medaglia+doro
10位 Kitten's Joy(2001年生・by El Prado)       $6,801,569
           http://www.pedigreequery.com/kittens+joy

リーディングサイアーの座についたのは Distorted Humor。ブリーダーズCクラシック(G1・ダ10f)を8番人気で制した Drosselmeyer の父です。05年以降、2、6、3、4、2、2位と上位の常連で、昨年ついに首位に立ちました。


基本的にはダートのスピードタイプですが、配合によっては中長距離もこなし、芝で活躍する子も少なくありません。絵に描いたような万能型ですね。日本には息子のフォーティナイナーズサンが導入されており、すでに産駒が走り始めています(現3歳が初年度産駒)。

3位 Tapit は躍進が著しい若手種牡馬。28位→12位→3位と猛烈な勢いで上昇しています。日本ではフェブラリーSに出走するテスタマッタの父として知られています。A.P.Indy 系には次代を担うと期待されている Bernardini という種牡馬がおり、この2頭はいずれも母の父が Fappiano 系である、という共通点があります。


「A.P.Indy×Mr.Prospector」は、Tapit の父 Pulpit をはじめ、Mineshaft、Malibu Moon、Congrats、Tempera、Tomisue's Delight、Accelerator、Little Belle などが出ておりニックスといえます。A.P.Indy と Fappiano の組み合わせはそこから派生した関係で、昨日のエントリーでも触れたとおり、ここ最近よく目にします。1月29日のホーリーブルS(米G3)を5馬身差で勝って通算成績を3戦3勝とし、クラシックの有力候補に名乗りをあげた Algorithms は、Bernardini 産駒で Fappiano を継続しています。この配合は日本の芝で素軽い伸びを期待できるものではありませんが、海外のトレンドとして注目したいところです。


ちなみに、Tapit の母 Tap Your Heels は、8位エンパイアメーカーと配合構成が酷似しており、その中核は Unbridled に含まれる Dr.Fager と In Reality のニックスの継続にあります。この威力はさすがです。これについては昨年6月2〜4日のエントリー「Dr.Fager と In Reality のニックス(1)〜(3)」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/drfager-in-real-08b5.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/drfager-in-real-2886.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/drfager-in-real-71c3.html


2年連続トップだった Giant's Causeway は4位転落。少数の大物に依存するのではなく大量の産駒が広く賞金を稼いでくるタイプなので、毎年の成績は安定しています。獲得賞金を見ると、前年とほぼ同水準なので、11年がとくに不振だったわけではありません。Giant's Causeway よりも多く稼いだ種牡馬が3頭いたということです。

トップ10の父系勢力図は、Mr.Prospector 系が4頭、A.P.Indy 系と Sadler's Wells 系が2頭、Storm Cat 系と Halo 系が1頭ずつ。昨年3頭いた Storm Cat 系が1頭に減ったのが目につきます。





2011年の種牡馬傾向を振り返る(3)


本日はダートです。

この分野は一昨年までクロフネの独壇場でした。08年から3年連続で勝利数トップに立ち、10年は驚異の115勝で後続をぶっちぎりました。2位シンボリクリスエスが60勝だったのでほぼダブルスコア。もし仮に、11年のトップを当てる馬券が売り出されていたとしたら、クロフネは1.1倍ぐらいのグリグリ人気だったはずです。

ところが、11年の競馬が終わってみれば第3位。前年比44勝減という大苦戦を強いられ、キングカメハメハ、ネオユニヴァースに追い抜かれてしまいました。この王朝交代劇が昨年のダート競馬のハイライトだったといえるでしょう。

■ダ1000〜1300m
【勝利数】
1位 サクラバクシンオー    31勝(+4)
2位 ストラヴィンスキー    20勝(+5)
3位 ゴールドアリュール    19勝(+5)
4位 アフリート        17勝(+4)
5位 サウスヴィグラス     16勝(−1)
【連対率】
1位 ストラヴィンスキー  24.7%(+5.3)
2位 サクラバクシンオー  19.6%(+2.3)
3位 アフリート      19.5%(+6.2)
4位 マンハッタンカフェ  19.1%(+5.3)
5位 クロフネ       18.1%(−0.3)

短距離はサクラバクシンオーがさすがの強さ。06年以降の6年間で5回目の首位です。ダートでは芝ほどの凄味はなく、過去にJRAのダート重賞で馬券になった馬はタイセイアトムしかいません。未勝利、500万下でマメに勝ち星を拾いました。2位のストラヴィンスキーは地味な種牡馬だけに注目したいですね。連対率では1頭だけ抜きんでた数値を記録しています。ローカルのダ1000mで狙い撃ちたい馬です。

■ダ1400〜1600m
【勝利数】
1位 アグネスタキオン     19勝(+11)
2位 クロフネ         14勝(−12)
3位 ネオユニヴァース     14勝(+8)
4位 キングカメハメハ     13勝(−1)
5位 ゴールドアリュール    13勝(+6)
【連対率】
1位 アグネスタキオン   28.6%(+14.1)
2位 ブライアンズタイム  25.8%(+10.8)
3位 フレンチデピュティ  24.7%(+12.5)
4位 フジキセキ      23.8%(+0.7)
5位 ネオユニヴァース   19.5%(+1.2)

アグネスタキオンはアイアムアクトレス(4勝)、アルゴリズム(3勝)がポイントゲッターとなり首位に立ちました。連対率でもトップなので文句なしの成績です。この部門は4年連続でクロフネが首位でしたが、昨年は12勝減で2位に落ちました。連対率は22.7%から13.5%に急降下しています。

■ダ1700〜2000m
【勝利数】
1位 キングカメハメハ     58勝(+26)
2位 ネオユニヴァース     56勝(+24)
3位 シンボリクリスエス    41勝(−5)
4位 クロフネ         40勝(−24)
5位 アグネスタキオン     27勝(+13)
【連対率】
1位 ネオユニヴァース   24.4%(+4.7)
2位 キングカメハメハ   22.4%(+1.1)
3位 シンボリクリスエス  20.9%(−0.3)
4位 ゼンノロブロイ    20.9%(+3.6)
5位 マンハッタンカフェ  20.3%(+1.0)

昨年のダート競馬でキングカメハメハとネオユニヴァースが躍進したのは、この部門で大きく伸びたことが寄与しています。競走数が多いカテゴリーなので、ここで数字を伸ばせば全体でも上へ行きます。前者が+26勝、後者が+24勝ですから勢いを感じますね。両馬とも得意としているのはダ1800mで、ローカルで行われるダ1700mはシンボリクリスエスが盤石の強さです。クロフネは前年比24勝減で首位から4位に落ちました。

■ダ2100m〜
【勝利数】
1位 キングカメハメハ      8勝(+5)
2位 ネオユニヴァース      3勝(+2)
3位 アフリート         3勝(±0)
4位 マーベラスサンデー     2勝(+2)
5位 シンボリクリスエス     2勝(−1)
【連対率】
1位 アフリート         75.0%(+19.4)
2位 キングカメハメハ      42.3%(+28.0)
3位 スウェプトオーヴァーボード 40.0%(+40.0)
4位 ゼンノロブロイ       30.0%(+30.0)
5位 マーベラスサンデー     24.1%(+14.1)

この部門はサンプルが少ないので、1頭の成績に左右されやすく、参考程度に見るのがいいでしょう。キングカメハメハの8勝は、1頭に依存した数字ではないので信頼できます。芝では無冠に終わったもののダートは二冠。ダートの中長距離では頼りになります。(この項終わり)





2011年の種牡馬傾向を振り返る(2)


 昨日のエントリーでは馬場別の種牡馬傾向について分析しましたが、本日と明日は距離別。本日は芝、明日はダートの予定です。

距離を分析する際に悩むのは“どの距離で区切るか”ということ。いちばんいいのは1000、1200、1400……と、200m単位で細かく見ることです。ただ、あまり細かすぎると個々のサンプルが少なくなってイレギュラーが発生しやすくなり、かえって傾向を見誤ってしまいます。

ここは長いものに巻かれろ方式で「TARGET frontier JV」の区分けに従うことにします。2500m以上のカテゴリーはあまりにもサンプルが少ないので、2100〜2400mのカテゴリーと合わせます。昨日と同じくカッコ内は昨年との増減です。「連対率」の対象となるのはその距離の勝利数10位以内の種牡馬のみです。

■芝1000〜1300m
【勝利数】
1位 サクラバクシンオー    43勝(−12)
2位 キングカメハメハ     16勝(−3)
3位 フジキセキ        16勝(+9)
4位 クロフネ         13勝(+1)
5位 ジャングルポケット    12勝(−2)
【連対率】
1位 クロフネ       24.8%(+1.9)
2位 キングカメハメハ   23.0%(+2.9)
3位 フジキセキ      19.3%(+9.1)
4位 ファルブラヴ     18.0%(−4.1)
5位 キングヘイロー    17.7%(−1.2)

1位のサクラバクシンオーは定位置を守りました。ただ、一昨年に比べて内容は大幅に悪化しています。勝利数はトップを守ったものの12勝も減らし、連対率に至っては前年比6.9%減の17.2%で、首位からランク外に転落しました。グランプリボスのNHKマイルC制覇、イギリス遠征……という派手な話題もありましたが、本業のスプリント路線では例年ほどの圧倒ぶりは見られませんでしたね。自身が昨年4月に22歳で死亡したように、年齢的な衰えという見方は否定できないでしょう。となれば、今年も同様の傾向が続くと思われます。

■芝1400〜1600m
【勝利数】
1位 アグネスタキオン     32勝(+11)
2位 ディープインパクト    28勝(+8)
3位 フジキセキ        25勝(+2)
4位 キングカメハメハ     21勝(−21)
5位 ロージズインメイ     17勝(+11)
【連対率】
1位 ダイワメジャー    27.2%(前年なし)
2位 ディープインパクト  25.8%(−15.4)
3位 アグネスタキオン   24.2%(+2.2)
4位 クロフネ       21.5%(+6.4)
5位 ロージズインメイ   20.5%(+7.2)

昨日のエントリーでキングカメハメハの芝の勝ち星が前年比30勝減、と記しました。その元凶はこのカテゴリーです。一昨年は42勝でトップ。昨年は21勝と半減しています。一方、目立って増えたのはアグネスタキオンとロージズインメイで、いずれも11勝ずつ上積みしています。とくに後者はこういったランキングとは縁が薄いイメージがあるので注目したいところです。ディープインパクトの連対率が大幅に減ったのは、前年が産駒出走の初年度で、高めの数値が出やすい2歳戦のみの成績だったからです。しかも41.2%という驚異的な成績だったのでこの結果も致し方ありません。昨年の連対率部門は、初年度産駒の2歳戦のみの成績でダイワメジャーがトップに立ちました。初年度に勝利数ベスト10に入るのは大したものです。

■芝1700〜2000m
【勝利数】
1位 ディープインパクト    71勝(+54)
2位 キングカメハメハ     40勝(−3)
3位 ステイゴールド      39勝(+13)
4位 ジャングルポケット    35勝(+16)
5位 マンハッタンカフェ    32勝(−6)
【連対率】
1位 ディープインパクト  27.6%(−7.8)
2位 ステイゴールド    22.1%(+4.7)
3位 ハーツクライ     20.7%(−11.5)
4位 キングカメハメハ   18.9%(−1.6)
5位 ジャングルポケット  17.6%(+2.9)

このカテゴリーの注目はなんといってもディープインパクト。前年からじつに54勝を上積みし、2位に約1.8倍の差をつけて断然トップに立ちました。まだ2世代しか走っていないにもかかわらずこの成績ですから空恐ろしいですね。じつは、このカテゴリーは我が国の競走体系のなかで賞金総額が最も多く、たとえばダート競馬全体と比較してみるとその半分強に達しています。ディープインパクトがダート戦で影が薄いにもかかわらずサイアーランキング上位に躍進しているのは、大票田であるこの部門を押さえているから、ともいえます。とくに芝1800mの成績が素晴らしいですね。リーディングサイアー奪取に向けて着々と態勢を整えつつあるといえるでしょう。ディープインパクトとハーツクライの連対率が減っているのは心配いりません。比較となる前年の成績が高めの数値が出やすい2歳戦のみのものだったからです。

■芝2100m〜
【勝利数】
1位 ステイゴールド      16勝(+9)
2位 ハーツクライ       13勝(前年データなし)
3位 キングカメハメハ     13勝(−3)
4位 ディープインパクト    11勝(前年データなし)
5位 ジャングルポケット    10勝(−1)
【連対率】
1位 ハーツクライ     32.9%(前年データなし)
2位 ディープインパクト  24.1%(前年データなし)
3位 ゼンノロブロイ    23.3%(+5.1)
4位 スペシャルウィーク  20.7%(+4.0)
5位 ステイゴールド    19.5%(+3.7)

もともと中長距離に適性のあるステイゴールドが勝利数でトップに立ちました。四冠馬オルフェーヴルが4戦4勝でポイントゲッターです。当カテゴリーは芝2100m以上ですが、やや短い芝2000mでもきわめて優秀な成績を挙げています。2位のハーツクライも立派です。出走頭数がステイゴールドの約6割しかありません。連対率は32.9%でトップ。最も得意とする東京芝2400mでは連対率が46.7%に達しています。今年の青葉賞、オークス、ダービーでは要注目ですね。キングカメハメハは前年首位から3位に落ちました。芝で三部門トップ(芝1400〜1600m、芝1700〜2000m、芝2100m〜)だった一昨年はやや出来すぎの感があったのも事実で、昨年は芝無冠とはいえ、やはりどの距離でも安定して上位に食い込む万能ぶりは見事です。(つづく)





2011年の種牡馬傾向を振り返る(1)


 種牡馬のトレンドは毎年少しずつ変化します。うっかりすると古い認識のまま馬券を買う羽目になって痛い目に遭います。2012年の競馬が始まる前に昨年のJRA成績を振り返ってみましょう。


以下は昨年1年間の種牡馬別勝利数ランキングです。総合(平地)、芝、ダートの三種に分けてみました。カッコ内は昨年との増減です。


【総合】
1位 キングカメハメハ   181勝(+2)
2位 ディープインパクト  135勝(+94)
3位 ネオユニヴァース   128勝(+32)
4位 アグネスタキオン   116勝(+16)
5位 クロフネ       113勝(−39)
6位 シンボリクリスエス  108勝(−5)
7位 サクラバクシンオー   96勝(−9)
8位 マンハッタンカフェ   96勝(−14)
9位 フジキセキ       93勝(−21)
10位 ジャングルポケット   91勝(+18)
【芝】
1位 ディープインパクト  115勝(+76)
2位 キングカメハメハ    90勝(−30)
3位 ジャングルポケット   72勝(+20)
4位 ステイゴールド     63勝(+17)
5位 アグネスタキオン    61勝(−9)
【ダート】
1位 キングカメハメハ    91勝(+32)
2位 ネオユニヴァース    84勝(+42)
3位 クロフネ        71勝(−44)
4位 シンボリクリスエス   56勝(−4)
5位 アグネスタキオン    55勝(+25)


総合成績で目立った増減はディープインパクトの+94。2世代目がデビューした種牡馬は初年度の3〜4倍ぐらい勝つのは普通のことです。2世代だけでこのポジションに上り詰めるのは異例であり驚くべきことですが、ポテンシャルを考えればこのぐらいの数字は出して当然といえます。イメージどおり芝で勝ちまくっており、この部門でキングカメハメハを抑えてトップに立ちました。


ネオユニヴァースも勝利数が+32と伸びています。当ブログで何度か取り上げたのですが、最近の同馬はダート向きの種牡馬にシフトしています。ダートで+42は圧巻です。一昨年まではダートよりも芝の勝利数が多かったのですが、昨年はほぼダブルスコアでダートが圧倒しています(ダート84勝、芝44勝)。


同じようにダートの勝ち星が増えているのが総合首位のキングカメハメハ。勝ち星は昨年とほぼ同数なので、これだけでは何も起こっていないように見えますが、中身は大きく変わっています。芝は−30、ダートは+32。ダートの王者クロフネを抜き去ってこの部門のトップに立ちました。計181勝の内訳をみると芝90勝、ダート91勝で、ダートが大きく伸びて芝をわずかに上回りました。このクラスの種牡馬がこういう動きを見せるというのはいい兆候とはいえません。


芝とダート、それぞれのレース数をクラス別に分析すると、ダートが芝を上回っているのは未勝利戦と500万下だけで、1000万下より上のクラスはすべて芝がダートを凌駕しています。クラスが上がれば上がるほどその傾向は強まり、たとえば重賞では芝108レースに対してダートはたった16レースです。このように、日本の競走体系は芝がメインなので、芝→減、ダート→増という種牡馬は、メインストリームからやや距離を置きつつあるという見方もできます。


原因として考えられるのは、芝で強烈な強さを発揮するディープインパクトのような種牡馬の台頭でしょう。上記の表にはありませんが新種牡馬のダイワメジャーとアドマイヤムーンもこのカテゴリーに入ります。ステイゴールド、ハーツクライ、ジャングルポケットも芝の強さに定評があります。要するに、ネオユニヴァースとキングカメハメハは、芝路線でこれらに対抗するのがしんどくなっているのでしょう。じつはアグネスタキオン、マンハッタンカフェ、ゼンノロブロイも、昨年は大幅な芝減、ダート増という結果でした。ダート方向に追いやられつつある種牡馬は1、2年で巻き返しがきかないと今後苦しくなります。


キングカメハメハとネオユニヴァースがダートで躍進し、その割を食ったのがクロフネ。−44は酷いですね。昨年はカレンチャンやホエールキャプチャが頑張ったイメージがあり、芝に限れば37勝から42勝に増えたのですが、ダートの落ち込みが厳しく、この部門で首位から滑り落ち、総合でも2位から5位にダウンしました。ダート戦のクロフネは以前ほど信用できません。


種牡馬の世界は優勝劣敗です。何かがシェアを伸ばせば、別の何かがシェアを減らします。ディープインパクトが猛烈な勢いで芝のレースを勝ちまくった影響で、キングカメハメハやネオユニヴァースがじわりとダート色を強め、それらに追い立てられる形でクロフネがダートの王座から転落する……。単純化するとこんな図式で種牡馬界の玉突きが起こっているように感じます。(つづく)







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