パーフェクト種牡馬辞典


『THE SUFFRAGETTE DERBY』


本日夜、第234回英ダービーが行われます。本命馬 Dawn Approach(父 New Approach)が勝てば8戦全勝での二冠達成となります。昨日行われた英オークスを、同じ New Approach 産駒の Talent が勝ったので、さらに人気が集まるかもしれません。
http://www.pedigreequery.com/talent9



ちょうど100年前、1913年6月4日に行われた第134回英ダービーは、歴史に残る騒動が発生したレースとして知られています。婦人参政権運動の過激派「サフラジェット」の女性メンバーが、レース中にコースに飛び出し、国王の持ち馬にぶつかって死亡したのです。その瞬間の映像が残っています。
http://youtu.be/TH_r6-JpO9Q

このレースを描いた『THE SUFFRAGETTE DERBY』(Michael Tanner 著、The Robson Press)という単行本が5月15日にイギリスで発売になりました。364ページと分量が多く、本の中程に写真を集めたパートがあります。



この年の英クラシックは、前代未聞の出来事が立て続けに起こりました。まず、2000ギニーでは、先頭でゴールしたかに見えた Craganour が2着と判定されました。続くダービーでは、サフラジェットメンバーの乱入騒動に加え、1位入線した Craganour の失格です。

Craganour のオーナーは、大手船会社ホワイトスターライン社の社長の実弟チャールズ・バウアー・イズメイ。前年春、同社が所有する豪華客船タイタニック号が沈没し、約1500名の犠牲者を出すという大惨事を引き起こしました。まるで“絶対に優勝させない”という意思が働いたかのように Craganour に不可解な判定が続いたのは、悲惨な沈没事故の影響があったのでは、という見方があります。当時、ホワイトスターライン社への風当たりは相当強かったようです。

以下の映像は、事故の場面だけでなく、100年前のダービー当日のさまざまなシーンが収められています。見ていて飽きません。
http://youtu.be/wVrlLKAR1S0




『配合パズルでアタリはわかる』


配合を扱った同人誌をご紹介します。当ブログや望田潤さんのブログの読者でもある「くりがしら」さんという方が、このほど『配合パズルでアタリはわかる』という同人誌を上梓されました。

一読して熱心に血統を研究していらっしゃることが伝わってきました。配合の解釈は人それぞれですが、同書の長所は、成績に表れる数値をベースとし、その視点でさまざまな配合パターンを語っている点です。客観的な数値を根拠としているので説得力があります。その理解を助けるのが豊富な図表とイラスト。ビジュアルの勝利、という言葉が浮かびました。

今年のPOGを題材に具体的な馬選びにも言及されています。走る馬を選ぶための強力な参考書となるでしょう。オススメの一冊です。なお、くりがしらさんが運営されているブログのURLは以下のとおりです。
http://sfreak.blog24.fc2.com/




エイブラム・S・ヒューイット著『名馬の生産』


「血統や配合について勉強したいのですが、いい本ありませんか?」という質問を受けることがあります。

配合なら、笠雄二郎さんの『サラブレッド配合史』『血統論』です。前者は84年に『日本サラブレッド配合史』というタイトルで出版されました。ただ、現在は古本屋市場で値段が高騰しており入手困難です。そうした事態を憂慮し、11年に『サラブレッド配合史』とタイトルを変え、電子書籍版を血統屋ホームページにて販売しております。『血統論』は電子書籍版のみの発売です。
http://www.miesque.com/shopping.html

配合を正確に読み解くには、過去の血統についての知識が必要です。それを知る手がかりとして挙げたいのが『名馬の生産』(エイブラム・S・ヒューイット著、佐藤正人訳/1985年・サラブレッド血統センター)です。サラブレッドの歴史を彩った27人の名生産者に焦点を当て、それぞれの生産手法や生産馬について、豊富なエピソードを交えて描き出しています。フェデリコ・テシオ、マルセル・ブサック、アガ・カーン、ダービー卿……などなど。

この30年間に競馬関係の書籍は何百冊と買いましたが、『名馬の生産』は本棚の手を伸ばせばすぐ取れる位置に10代のころから変わらず鎮座している数少ない一冊です。背表紙は日に灼け、ページは手垢にまみれており、何度読み返したか分かりません。サラブレッド血統センターのオンラインショップではもう扱っていないので、入手するには古書を探すしかありません。いずれ入手できなくなる可能性があるので、値段がいくらであろうと、この本に関しては買いだと思います。それほどの良書です。




『金メダル遺伝子を探せ!』『黒人はなぜ足が速いのか』


ロンドンオリンピックが終了して早一週間。なかなかじっくり観る機会はなかったのですが、いざ終わってしまうと一抹の寂しさも……。

ふだん見られない競技を楽しむことができるのもオリンピックならではです。フェンシング男子団体で銀メダルを獲得した太田雄貴選手が、オリンピック終了後にある番組で、フェンシングという競技を自虐的に“マイナースポーツ”と定義しつつ、世に知らしめようと熱弁を振るっている姿を見て、いささか共感するところがありました。「おもしろい」と思ってもらえることが第一歩というのはまさにそのとおりでしょう。たまたま劇的な逆転勝ちとなった準決勝のドイツ戦をリアルタイムで観ていたのですが、文句なしに日本オリンピック史上有数の名勝負でした。あれを目の当たりにした子供たちはフェンシングを始めたくなると思います。

翻って、競馬のなかでややマイナーな血統という分野の、さらに間口が狭い配合について世に宣伝しなければならない立場の自分が、配合っておもしろい!と思っていただけるようなことを書いているのかと問われると、う〜ん……という感じですね。もっと頑張らねばいかんなぁと背筋が伸びる思いでした。

オリンピック中に2冊の本を読みました。
『金メダル遺伝子を探せ!』(善家賢著・角川書店)
『黒人はなぜ足が速いのか』(若原正己著・新潮選書)

2冊とも同じような問題を扱っています。世界のトップアスリートたちは凄まじい努力を重ねてそのポジションにあるのは言うまでもありません。たとえば、NHKの『ロンドンオリンピック総集編』で、陸上男子100m、200m、4×100mリレーで金メダルを獲得したウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)はこう語りました。みんなおれが苦もなく走っていると言うけれど、来る日も来る日も死ぬほど練習しているんだ――と。

しかしながら、日本人が死ぬほど練習したとして、ウサイン・ボルト選手のようになれるかといえば、まず難しいでしょう。陸上のトラック競技は黒人選手が強い、ほかの人種はとても敵わない、と誰もが漠然と感じています。そのあたりを科学的なアプローチから解明したのが前記2冊です。アスリートの能力は、生まれつきの素質、生育環境、トレーニング、精神力、努力など、さまざまな要素が絡み合って決定します。先の2冊は、このうちの“生まれつきの素質”、すなわち遺伝子にスポットライトを当てています。

同じ黒人でも、短距離に強いランナーは西アフリカに、長距離に強いランナーは東アフリカに遺伝的なルーツがあります。短距離王国ジャマイカは、先祖の多くが西アフリカから奴隷として運ばれてきたという歴史的背景があります。ケニア、エチオピアなどの東アフリカ勢は伝統的に長距離に強く、ロンドンオリンピックの男子5000mと10000mの二冠を達成したモハメド・ファラー選手は、国籍こそイギリスですが、生まれた場所はケニアとエチオピアに国境を接するソマリアです。

筋肉の質を遺伝的に解析すると、西アフリカの人々は短距離・瞬発力系を得意とする型であることが多く、一方、東アフリカの人々は長距離・持久力系を得意とする型であることが多いことが判明します。短距離と長距離という活躍の場の違いは、好みや伝統だけの問題ではなく、遺伝的にも理由があるわけです。

『黒人はなぜ足が速いのか』では、サラブレッドの血統、具体的にいえばサンデーサイレンスに触れた章があります。内容に関しては正確かつ的確なので、決して付け焼刃の知識で書かれたものではありません。著者の若原氏は競馬に関して造詣が深いのではないかと想像します。競走馬の世界は人間よりもはるかにむき出しに遺伝的な適性が競走結果に反映します。血統こそが能力を決定する最大要因です。

それに比べると人間の競走は、はるかに複雑な要素が絡み合い、それゆえに先天的な適性以外の部分で優劣が決定する割合が多いといえるでしょう。ただ、仮にトレーニングや技術に関するノウハウが行き渡り、その部分では差が出なくなると、最終的にはサラブレッドのように、遺伝子の違いがストレートに差となって表れることになります。

フィールド競技の男子ハンマー投げで銅メダルを獲得した室伏広治選手、やり投げで決勝に進出したディーン元気選手は、いずれも父母のひとりがヨーロッパの白人です。お二人とも血みどろの努力と自己管理を重ねて世界的なアスリートに上り詰めたことはいうまでもありませんが、一方で血の影響の大きさを感じさせる結果であるのも確かです。

ロンドンオリンピックのトラック競技でいちばんスリリングだったのは、個人的には男子800mですね。ケニアのデイヴィッド・ルディシャ選手が1分40秒91の世界記録で優勝したレースです。
http://www.youtube.com/watch?v=2f7HFT2tvcQ

長すぎず短すぎず、このぐらいの距離が最も競馬に近い雰囲気があるので好みです。ルディシャ選手はハイペースで先行して逃げ切るという、マルゼンスキーのようなレースぶりでした。父ダニエルさんは68年のメキシコオリンピック男子4×100mリレーにケニア代表選手として出場し、銀メダルを獲得した経歴の持ち主です。血統的には超良血ですね。




『門外不出!投票データから分かった!WIN5の鋭い買い方』


須田鷹雄さんと伊吹雅也さんの共著です。WIN5で驚異的な的中頻度を誇る“須田メソッド”の解説がその内容。この方式の斬新さと威力は驚くべきものですが、さらに驚くべきは、手の内を完全にバラしていることです。いいんでしょうか?

これが売れないわけがなく、発売日に amazon で見てみたところ、売り切れになっていて買えませんでした。土曜日のイベントで須田さんとご一緒したときに貴重な本を一冊いただき、帰りの電車のなかでさっそく目を通しました。凄い内容です。じっさいにご覧になれば、どう凄いのかご理解いただけると思います。

昨年のジャパンC当日、東京競馬場のセンターコートで行われたオープン型レーシングセミナーで、須田さんは衆人環視のなか361万円の配当を見事的中。集まっていたお客さん全員(数十人)にカクテルを振舞ったという話は半ば伝説となっています。

この本を買った方はさっそく今週からWIN5と格闘することになるでしょう。みんなが須田メソッドを真似し始めたら配当はどうなるのか、それにも関心があります。






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