パーフェクト種牡馬辞典


昇級戦でも即通用ガーネットチャーム


 ■土曜京都5Rの新馬戦(芝1600m)は、△エーシンフルマーク(3番人気)が好スタートから逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=Deym_bQjZ64

レースの際、京都競馬場には強い雨が降っており、馬場コンディションは不良。これが明暗を分けました。エーシンフルマークは掻き込みの強いパワフルなフットワークで、マイペースに持ち込んで後続を寄せ付けませんでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100232/


母エイシンレマーズは阪神3歳牝馬S(G1)2着馬。アメリカで繁殖入りし、現在は日本に戻っています。母の父 Phone Trick は早熟で一本調子なところが見られるパワー型の血です。2歳馬ながら米年度代表馬に輝いた Favorite Trick が代表産駒で、日本における産駒成績を見ると、芝の不良馬場では2戦2勝。稍重〜不良馬場に範囲を広げてみても連対率50%です。極悪馬場をこなしたのはこの血の影響が大きいのではないかと思います。
http://www.pedigreequery.com/phone+trick



◎ジェンティルドンナ(1番人気)は2着。全姉ドナウブルーが同日最終レース(芝1800m)を圧勝しているように道悪適性はあります。もちろん良馬場でも走れるので次走は確勝でしょう。

■土曜東京4Rの新馬戦(芝1400m)は、出遅れて後方追走となった◎ガーネットチャーム(2番人気)が直線大外から豪快に差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=qxNAdyUpwZQ

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ガーネットチャームは『ファルブラヴ×サンデーサイレンス』。この組み合わせは新馬戦で連対率31%と走っており、東京コースに限ると43%と抜群の成績。ファンタジーS(G3)を制したアイムユアーズと配合構成がやや似ており、このぐらいの距離の2歳戦は合っている。手堅く上位争いができるはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106579/



予想文に記したとおりアイムユアーズと配合構成が似ています。ガーネットチャームは Fairy King≒Nureyev 2×3で、母方にサンデーサイレンスが入ります。アイムユアーズは Fairy King≒Sadler's Wells 2×4で、母方にサンデーサイレンスが入ります。「Fairy King≒Nureyev」の4分の3同血クロスはパワフルなので、雨を含んだ馬場では頼りになります。


父ファルブラヴは牡馬よりも牝馬を走らせる傾向があるフィリーサイアーで、産駒の収得賞金を多い順に並べると、1位から10位までを牝馬が独占しています。また、これまでに新馬勝ちした17頭中11頭が牝馬です。したがってファルブラヴ牝馬、というだけで安心感があります。素質の高さを感じさせる馬なので昇級戦でも即通用しそうです。





マイルチャンピオンシップはエイシンアポロン


 朝から晴れていたものの、大量に降った雨の影響が残り、先に行った馬、内を回った馬が上位を占めました。1着△エイシンアポロン(5番人気)、2着フィフスペトル(11番人気)はまさにそうした競馬をした馬です。
http://www.youtube.com/watch?v=QRCqtRKB_zY

3着△サプレザ(4番人気)は上位勢のなかで唯一の二桁ゼッケンで、1頭だけ大外に回して飛んできました。もったいない競馬でした。

勝ったエイシンアポロンは「Giant's Causeway×Sadler's Wells」という組み合わせ。ヨーロッパ的なパワーに恵まれ、切れ味には欠けるものの粘り強いというキャラクターです。今回のような馬場や展開はぴったりでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110020/


父 Giant's Causeway は現役時代、アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属し、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝(セントジェームズパレスS→エクリプスS→サセックスS→英インターナショナルS→愛チャンピオンS)。“鉄の馬(アイアン・ホース)”の異名を取りました。種牡馬としてはヨーロッパと北米の双方でトップクラスの産駒を送り出し、『BloodHorse.com』の集計では09、10年と連続して北米繋養種牡馬のトップに立っています。ただ、産駒数の多さがモノを言っている部分も確かにあり、初期の産駒群に比べると質の面でやや低下してきているような印象もあります。今年は現時点で4位です。

レース後、松永昌博調教師と馬主側が報道陣に囲まれながら次走について立ち話をしていました。香港交際競走への出走を問われた松永昌博調教師は、芝2000mの香港カップにしか予備登録がないことを気にしている様子でしたが、馬主側は「主催者から招待されれば予備登録は必要はないはず」と語り、マイルに招待されることを期待している様子でした。エイシンアポロンは香港の粘っこい芝に向きそうなイメージがあります。同馬主のエイシンプレストンが01年に勝っているゲンの良さも見逃せません。期待したいですね。

池添騎手に関して週刊誌に書かれたことは、一方の言い分だけなので真偽は不明です。ただ、こういう騒動になると、どうしても気力が萎えてくると思いますし、じっさいにパドックでは野次られていました。このネガティヴな状況を跳ね返してアッサリG1を勝つのですから卓越した精神力です。やはり大舞台に強いジョッキーはひと味違います。

◎リアルインパクト(1番人気)は5着。福永騎手は「(馬場は)ノメるまではいかなかったけど、こういう馬場は初めてだし……」と語りました。ペースが遅かったので結果的にはもう少し前で競馬を進めるのがよかったのかもしれません。





東京スポーツ杯2歳Sはディープブリランテ


 不良馬場であることを考慮してもペースは遅かったと思います。そのため序盤は折り合いを欠く馬が続出しました。2番手を追走した○ディープブリランテ(1番人気)もその1頭。残り400m地点まで岩田騎手がなんとか辛抱し、ここでGOサインを出すと、解き放たれた猟犬のように加速し「11秒5」のラップを刻みました。不良馬場でこのスピードですから追いすがる馬はいません。最後の1ハロンは半分流しながら12秒2。後続に3馬身差をつける完勝でした。
http://www.youtube.com/watch?v=JVoxVDFQG7Q

心身ともに未成熟な2歳馬は、こういう酷い馬場になるとフォームがバラバラになってしまうことも珍しくないのですが、ディープブリランテは重心の低い安定したフォームを崩すことなくゴールを駆け抜けました。これは見事ですね。道悪が上手いのは確かですが、それ以前に単純に能力が抜けていたと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105084/


全姉ハブルバブルはフラワーC(G3・芝1800m)の2着馬。新馬戦を5馬身差で圧勝したあとの2戦目(500万下・芝1400m)は、距離不足に加えてイレ込みがキツく、これが4着凡走の敗因となりました。今回、ディープブリランテが行きたがったのは、スローペースのみに起因するものではなく、姉が一度使ってテンションが高くなったように、内面に何かしら高揚するものがあったのかもしれません。それでも楽勝するのですから器の大きさは歴然としてます。来春のクラシックに向けて世代の中心馬が登場した感が強いですね。

配合については、ハブルバブルが新馬戦を勝った直後の3月3、4日に、「ハブルバブルとブサック血統(前・後)」という2回にわたるエントリーを記しました。詳しい説明はそちらをご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/03/post-bd37.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/03/post-dc7f.html

といいつつ、それだけで流してしまうのも素っ気ないので、ごく簡単に数行にまとめてご説明します。

母ラヴアンドバブルズには、アガ・カーン四世殿下の Akarad と、彼が寵愛した Never Bend が近い世代に含まれています。この2つの血を結び付けているのはフランスの伝説的な名生産者マルセル・ブサックが創り出した血統です。ヨーロッパの重厚なスタミナ血統が豊富に織り込まれたラヴアンドバブルズは、本邦輸入種牡馬コンデュイット(ブリーダーズCターフ2回、キングジョージ六世&クイーンエリザベスSなど)とよく似ており、スタミナと底力に関しては申し分ありません。ダービー向きの堂々たるクラシック配合です。


重厚感を感じさせるフットワークは大物感たっぷり。2代母の父 Akarad は重馬場の凱旋門賞を勝った女傑 Akiyda の全兄で、高い道悪適性を伝えます。水かきがついているかのような今回の走りはこのあたりの影響ではないでしょうか。Crepello−Busted のラインをクロスさせたディープインパクト産駒は、現在5戦4勝のムーンリットレイクや2瀬1勝のダノンムーンなどと同じ。注目したい配合パターンです。
http://www.pedigreequery.com/akarad


配合的に高く評価している馬なので、『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で取り上げ、白夜書房で行われた「POG公開ドラフト」で指名し、netkeiba.com の「私のオススメ10頭」にも入れました。血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では○評価です。出走15頭中最も遅い5月8日生まれですから、まだまだ成長の余地は大きいでしょう。
http://www.miesque.com/c00005.html

◎エネアド(4番人気)は5着。良〜稍重の切れ味勝負ならディープブリランテを上回るだろう、との見立てでした。不良馬場まで悪化し、切れ味が削がれる馬場になってしまったのは残念でした。福永騎手は折り合いを欠いたことを敗因に挙げています。不本意な競馬ながら掲示板を外さなかったのは高い能力の証しです。この馬の実力はいずれ別の機会に証明されることでしょう。





きょうだいで重賞V


 ■11月16日(水)に船橋競馬場で行われた2歳重賞の平和賞(ダ1600m)は、ホッカイドウ競馬所属の牝馬エンジェルツイート(7番人気)が逃げ切って優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=GhXSTJFQ7xs

10月5日の鎌倉記念(川崎ダ1500m)もホッカイドウ競馬所属のニシノファイターが勝っており、南関東の2歳重賞は北海道勢強し、です。そのニシノファイターは今回の平和賞では4着でした。

平和賞は牝馬のワンツーフィニッシュでしたが、10月12日のハイセイコー記念(大井ダ1600m)も牝馬のワンツーフィニッシュだったので、今年の2歳世代は牝馬上位かもしれません。ちなみにハイセイコー記念を勝ったドラゴンシップは、平和賞ではなく11月11日に行われた牝馬限定のローレル賞(川崎ダ1600m)に回り、難なく快勝しています。エンジェルツイートとドラゴンシップの激突はおそらく大晦日の東京2歳優駿牝馬(大井ダ1600m)でしょう。エンジェルツイートはこのあと南関東に転厩するようです。

エンジェルツイートはタイキシャトル産駒で、半兄は兵庫の雄オオエライジン(黒潮盃、兵庫ダービー、岐阜金賞など9戦全勝)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101312/


母フシミアイドルは繁殖牝馬として優秀ですね。現役時代は船橋で走り1戦1勝。2着を9馬身ちぎる大楽勝でした。無事に競走生活をまっとうしていればかなりの活躍が期待できたのではないでしょうか。2代母フシミラッキーは道営の北海優駿(岩見沢ダ2600m)を制しています。

父タイキシャトルはどちらかといえば芝向きですが、配合次第ではメイショウボーラー(フェブラリーS)やサマーウインド(JBCスプリント)のようなダートの猛者も送り出しています。エンジェルツイートは母の2代目に Alydar とブレイヴェストローマンが並び、このあたりがパワーの源です。距離的にはマイル前後がベストでしょう。

■11月12日(土)に仏サンクルー競馬場で行われた2歳重賞のクリテリウムドサンクルー(G1・芝2000m)は、デビュー戦を勝ってここに臨んだ Mandaean(1番人気)が2馬身半差で優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=K3yYjHcJdqQ

逃げ切った10月16日のデビュー戦(芝1800m)は、鞍上が直線で何度も後ろを振り返り、最後は手綱を抑える大楽勝。その勝ちっぷりと、半姉にサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)を勝った Wavering がいるという良血が評価され、ここは圧倒的な1番人気でした。

直線で先頭に立つと、右へ左へ蛇行するというお行儀の悪さを見せましたが、内容的には完勝といえるものでした。
http://www.pedigreequery.com/mandaean2


父 Manduro はドイツで誕生し、フランス移籍後にイスパーン賞(仏G1・芝1850m)、プリンスオブウェールズS(英G1・芝10f)、ジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)などを制覇。1600mから2400mまで幅広い距離をこなしました。今年の2歳世代が初年度産駒で、秋になっても一向に活躍馬が現れず心配していたのですが、シーズン最後にG1を獲りました。クリテリウムドサンクルーは2000m戦なのでスピード検定としては機能せず、勝ち馬のその後を見るとやや苦戦の傾向が見られます。

前述のとおり Mandaean は半姉にG1馬 Wavering を持ちます。そして、Be My Guest≒Zawaahy 3×2というおもしろいクロスを持つので期待したいところです。来年は2400m路線でしょう。

■土曜日の東京スポーツ杯2歳S(G3・芝1800m)は、雨の影響が勝負を分けそうです。朝方のこの時間から降り始めたので、レース時の馬場状態は重に近い稍重ぐらいでしょうか。内伸びなのか外伸びなのか、前残りなのか差しが利くのか、といった馬場コンディションを確認してから馬券を買いたいところです。

上位人気馬の血統を見ると、上に活躍馬がいるものが目立ちます。中央も地方も、日本も海外も、基本的に良血馬が強い傾向は変わりません。





ゴール前の決め手非凡ヒストリカル


 ■日曜京都5Rの新馬戦(芝2000m)は、中団追走の▲ヒストリカル(2番人気)が馬群をすり抜けるように伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=VIo84EkitNk

母ブリリアントベリーの繁殖成績は非常に優秀で、これまでにカンパニー(天皇賞・秋、マイルCSなど重賞9勝)、レニングラード(アルゼンチン共和国杯)、ニューベリー(京都金杯−2着)などの活躍馬を送り出しています。ヒストリカルを含めて中央で走った13頭中10頭が勝ち上がっているのですから素晴らしい繁殖牝馬です。

ヒストリカルは母が19歳時の産駒。「ディープインパクト×ノーザンテースト」はこれまでめぼしい結果を出していませんでした。新馬戦を勝ったのはこれが初めてです。2代母クラフティワイフのファミリーは、カンパニー、トーセンジョーダン、レニングラード、バトルバニヤンなど、トニービン系との好相性が目立ちます。サンデー系との交配ではダークメッセージ、ニューベリーが出世頭で、いずれも重賞では2着が最高成績です。本馬の父はサンデー系のディープインパクト。それらを上回る活躍を期待したいところです。馬込みに平気で突っ込める精神力、ゴール前の鋭い決め手は非凡な資質を感じさせます。

クラフティワイフに含まれる Mr.Prospector、In Reality、Secretariat、Buckpasser といったアメリカ血統は、いずれも現代を代表する名血であり、ディープインパクトとの相性も悪くありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106315/


ただ、この牝系はやや完成の遅いところが見られ、本当に良くなるのは古馬になってから。懸念材料を挙げるとすればそのあたりでしょう。ヒストリカルと同血(父が同じで母同士が全姉妹)のトーセンホマレボシ(トーセンジョーダンの半弟)も近々デビューする予定です。こちらにも注目です。

◎ベールドインパクト(1番人気)は5着。怖がりな面があり、鞍上が馬群に入れない競馬を心がけたため、終始大外を回る競馬となりました。かなりの距離ロスがありながら0秒3差の5着まで押し上げたことを考えると相当な能力の持ち主でしょう。次走は逃げるかもしれませんね。

■日曜京都6Rの新馬戦(ダ1400m)は、中団から徐々にポジションを上げた▲マシュマロ(2番人気)が直線で抜け出しました。注目の白毛馬ということで、ゴール前ではスタンドから拍手と歓声が沸き起こり、大いに盛り上がりました。
http://www.youtube.com/watch?v=3NNVwV1-56w

母シラユキヒメは突然変異で誕生した白毛馬。これまでに産んだ8頭中7頭が白毛馬です。残りの1頭ママズディッシュは芦毛馬で、馬体が灰色なので白毛とは容易に区別できます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106172/


突然変異の白毛馬はごく稀に誕生します。日本でもハクタイユーやカミノホワイトといったところが知られています。もちろん、日本だけでなく世界各地でポツポツと誕生しており、たとえば White Beauty 系のように数代にわたって白毛を維持しているファミリーもいくつかあります。
http://www.pedigreequery.com/white+beauty


そうしたファミリーの多くは白毛という以外に価値が薄いのに対し、シラユキヒメの系統は高い競走能力を備えています。マシュマロの全姉ユキチャンは8馬身差で圧勝した関東オークス(Jpn2)を含めて3つの重賞を制しました。今回のマシュマロは牡馬相手に2馬身半差の完勝。牝馬同士なら上のクラスでも即通用しますし、いずれは重賞でもやれそうです。





ダイワメジャーのニックス配合ジョーオリオン


 ■土曜東京5Rの新馬戦(ダ1600m)は、◎ジョーオリオン(1番人気)が勝負どころで好位に接近し、残り400mで抜け出すと後続を8馬身ちぎりました。
http://www.youtube.com/watch?v=q66ThY7z4OQ

予想は◎△で馬単2810円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ジョーオリオンは『ダイワメジャー×ジェイドロバリー』という組み合わせ。パワー型のスピードを感じさせる配合なのでダート適性は問題ないだろう。ダイワメジャーはその2代父ヘイローと相似な血の関係にあるドローンやサーアイヴァーと好相性を示している。本馬はヘイロー≒サーアイヴァー3×4。奥がありそうだ。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100434/



新種牡馬ダイワメジャーは現在22勝。2歳勝利数ランキングでは、先週5勝したディープインパクトに1勝差まで詰め寄られたものの、依然としてトップをキープしています。出走頭数72頭、出走回数190回は断然首位。毎週、新馬戦の予想をしていると、ほとんど無尽蔵のように次から次へとデビューしてくるダイワメジャー産駒に戦慄を覚える瞬間があります。2歳の早い時期からどんどん使えるというのは体質が丈夫な証拠。幼駒時代から幅のあるガッシリとした体形が印象的で、サンデーサイレンスというよりは母の父ノーザンテーストが強く出ているような気がしました。丈夫で能力が高く、芝・ダートを問わないことが分かったわけですから、来春の種付けは盛況でしょう。

現時点で芝連対率は28.3%、ダート連対率は19.4%です。ただ、ここ3週に限ると、芝20.0%、ダート36.4%。2歳戦におけるダートの割合が増えてくるにしたがってダートの成績が上昇しています。芝では1着17回、2着28回と競り負けることが多いのですが、ダートでは1着5回、2着1回と勝負強さを見せています。決め手の有無が問われないからでしょう。

ダイワメジャーの2代父 Halo は、Drone または Sir Ivor とニックスの関係にあります。ジョーオリオンは Halo≒Sir Ivor 3×4ですからセオリーどおりです。



ダイワメジャー産駒はこのニックスが高い確率で成功しています。現時点で母方に Drone または Sir Ivor を持つ馬はJRAで7頭デビューし、6頭勝ち上がっています。日曜東京の赤松賞(2歳500万下・芝1600m)を勝ったトーセンベニザクラもこのパターンです。

Halo は、Sun Princess≒Mahmoud 4×3が配合構成の中核を形成しており、それゆえに代表産駒がことごとく Mahmoud クロスを持つという際立った特徴がありました。サンデーサイレンスも例外ではありません。


そして、ダイワメジャーは4代母 La Menina が Sun Princess≒Mahmoud 2×3ですから、Halo のエッセンスをしっかり継続した配合です。要するに、ダイワメジャーはもともと Sun Princess≒Mahmoud を強化して成立した配合なので、この部分を継続(Drone や Sir Ivor を入れる)した配合が効果的なのでしょう。
http://www.pedigreequery.com/la+menina


現時点で最も成功しているのが「ダイワメジャー×ホワイトマズル」で、3頭デビューして2頭がOP入りを果たし(ダローネガ、トーセンベニザクラ)、1頭が新馬戦を勝っています(ダイワミストレス)。ホワイトマズル牝馬を持っている方はダイワメジャーへGO!という感じですね。

■日曜東京5Rの新馬戦(芝1600m)は、後方を追走した◎アーカイブ(2番人気)が直線で大外を突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=CvM16ZFC8f0

予想は◎★で馬単7600円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎アーカイブは『ディープインパクト×ロイ』という組み合わせ。母データはアルゼンチンのG1で2着が2回ある。母方にファピアノを持つディープインパクト産駒は、ダノンバラード、ダコール、サイレントソニックなど出走した5頭がすべて勝ち上がっており、新馬戦では5戦5連対とパーフェクト。初戦から動けるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106244/


先週はディープインパクト産駒が8勝を挙げるという活躍ぶり。なかでも母方に Fappiano を持つアーカイブ、ダノンバラード、ダコールは〔2・0・1・0〕という好成績でした。アーカイブは、稽古では重苦しさが否めなかったのですが、実戦タイプだったようです。

母の父 Roy は、90〜00年代にかけて、南米における最も優れた Mr.Prospector 系種牡馬の1頭でした。チリで9回、アルゼンチンで2回リーディングサイアーとなり、Freddy(亜年度代表馬:G1を3勝)、Barrio Chino(チリ年度代表馬:G1を6勝)、Gran Ducato(チリ年度代表馬:G1を5勝)など多くの名馬を送り出しています。

アーカイブは、ディープインパクトと Fappiano のニックスのほか、Halo≒Sir Ivor≒Gay Hostess 3・5×5、Borealis≒Gay Marcia 6×5などを持ちます。前者の Gay Hostess はダイワメジャーの4代母 La Menina の全姉であり、前述のダイワメジャー産駒のニックスとそっくり同じ構造です。後者は新馬−百日草特別を連勝したベストディール(Borealis≒Sirrima 6×5)を思わせる配合です。


血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では○評価、『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」でも推奨しました。追ってから味のある馬で、距離が延びても大丈夫でしょう。稽古で動くようになれば一皮剥けるかもしれません。そうなれば楽しみが広がります。





スパッと切れたジョワドヴィーヴル


 土曜京都5Rの新馬戦(芝1600m)は、中団の外目追走の◎ジョワドヴィーヴル(1番人気)が直線で鮮やかに抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=9Ff2ZF4Uhjw

今シーズンのPOGで1、2を争う人気馬です。これだけの血統背景ですから当然でしょう。予想は◎○で馬単1100円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ジョワドヴィーヴルは『ディープインパクト×カーリアン』という組み合わせで、トーセンレーヴの全妹、ブエナビスタ、アドマイヤオーラ、アドマイヤジャパンの半妹にあたる注目の良血馬。サンデー系種牡馬を配された兄姉の新馬戦成績は〔3・0・1・0〕。唯一3着だったブエナビスタのレースはいわゆる“伝説の新馬戦”で超ハイレベルだった。通常レベルの新馬戦ならまず取りこぼさない、というきょうだいなので、稽古で抜群の動きを見せる本馬も勝ち負け必至だろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106278/



420キロと小柄で、全兄トーセンレーヴによく似た首の低いフットワーク。馬込みに入ると余計小さく見えます。勝負どころで手応えが怪しくなったものの、福永騎手によれば「まだ遊びながら走っていた」(週刊競馬ブック)とのこと。ラストはビワハイジ産駒らしい切れ味でスパッと抜け出しました。血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では◎評価、『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」でも推奨した馬です。

トーセンレーヴは2月半ばのデビューで、クラシックに間に合わすために無理をせざるを得ませんでした。それよりも3ヵ月早くデビュー勝ちを果たした妹は、余裕を持ったローテーションを組むことができそうです。

ビワハイジが伝える瞬発力は、主に Sir Gaylord に由来していると思われます。Sir Gaylord は抜群の切れ味を誇った Sir Ivor の父であり、瞬発力のお化けだったダンシングブレーヴの血統においても大きな役割を果たしています。レーヴディソールはその母レーヴドスカーが Sir Gaylord 4×4です。ビワハイジは Sir Gaylord の主要な構成要素である Turn-to と Princequillo を継続し、Foreseer≒Sir Gaylord 2×3としています。これが瞬発力の安定供給を可能としている鍵ではないか、と思われます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109481/



ビワハイジの最高傑作ブエナビスタは、Nijinsky 4×3によって底力を獲得しました。瞬発力は往々にして柔らかさを母体とし、そこには非力さも見え隠れしますから、大レース向きの底力や大物感といったものを生み出すには、剛健な血を合わせることが近道です。ブエナビスタはそれに成功しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103319/


ジョワドヴィーヴルはこれとはタイプが異なります。父ディープインパクトはビワハイジとよく似た構成の Alzao を抱えており、Sir Gaylord をはじめとする主要な構成要素をそっくり継続しています。Alzao≒ビワハイジ3×1といってもいいでしょう。この配合は過激です。剛健さは感じられないものの母の圧倒的なポテンシャルでカバーしています。


全兄トーセンレーヴは昨シーズンのPOGにおいて全体の1位指名でした。道悪の日本ダービーで大敗したのは、軟弱な部分が顔を覗かせた結果でしょう。軽い捌きを活かせる馬場なら重賞級ですし、いずれG1でも……という期待を抱かせます。全妹のジョワドヴィーヴルも兄に似たタイプだと思われます。





エリザベス女王杯はスノーフェアリーが連覇


 大逃げのシンメイフジ(18番人気)が7着に粘り、好位勢がそのまま上位に雪崩れ込んだので、前に有利な展開でした。○スノーフェアリー(1番人気)は上位に食い込んだ馬のなかでは最も後ろに位置し、メンバー中最速の上がり33秒8の豪脚で馬群を割りました。馬場が悪いインを通ってあの脚勢ですから能力が違いましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=DeXK4VyOn_g


11月12日のエントリーでも少し触れましたが、今年のスノーフェアリーは勝ち星こそないものの、牡馬の一線級と差のない競馬をしており、昨年よりも明らかにパワーアップしています。ローテーションと枠順。これが付け入る隙だったわけですが、死角になりませんでした。ジャパンCに出ていても勝ち負けに持ち込んでいたと思います。配合については昨年の当レースを勝った際に記しているので転載します。


「Snow Fairy はおもしろい血統です。父 Intikhab、母の父 Charnwood Forest、2代母の父 Marju、3代母の父 Persian Bold はいずれもマイラー。にもかかわらず、自身は英オークス(G1・芝12f10yds)と愛オークス(G1・芝12f)を連勝し、秋には英セントレジャー(G1・芝14f132yds)に挑戦しました。


パッと見はマイラーという配合で、アメリカのスピード血統も多く含まれています。したがって、脚の回転は速く、それが日本向きの軽快さとなって表現されているではないかと感じました。ただ、日本馬のようなしなやかさはなく、そのフットワークはパワーに任せて収縮を繰り返す力強いピッチ走法です。このあたりは父 Intikhab によく似ていると思います。


父 Intikhab は、Red Ransom を経て Roberto にさかのぼる系統。4歳春にデットーリ騎手とのコンビでダイオメドS(英G3・芝8f114yds)を5馬身差、クイーンアンS(英G2・芝8f)を8馬身差で連勝しました。インターナショナルクラシフィケーションでは130という高評価を与えられています。ただ、種牡馬としては期待ほどの成績を挙げているわけではありません。」



アイルランド産馬ですが、父はアメリカ産馬で、母にもアメリカ由来の血が多く入っており、このあたりが軽い馬場に対する適性の根拠でしょう。Intikhab の子はスノーフェアリー以外、日本では1頭も走ったことがありません。


エドワード・ダンロップ調教師はイギリスきっての国際派として知られています。11月1日に豪フレミントン競馬場で行われたメルボルンC(G1・芝3200m)に、管理馬の Red Cadeaux を送り込んだものの写真判定の末にハナ差2着。非常に悔しい思いをしました。それだけに今回の勝利は嬉しいでしょう。


ちなみに、Red Cadeaux の父はスプリンターの Cadeaux Gerereux。こういう血統をステイヤーとして走らせているのは、もともとそういう素質があるのかは育て方に独特の手法があるのか判りませんがユニークです。一見マイラー血統の Snow Fairy が長い距離を苦にしないこととも微妙につながっているような気がします。



2着▲アヴェンチュラ(2番人気)は完全な勝ちパターンでした。相手が悪かったとしか言いようがありません。いったん交わされたあと差し返しに行っているところが非凡です。スノーフェアリー相手にクビ差ですから有馬記念に出てきても勝負になりそうです。


◎フミノイマージン(8番人気)は8着。上がり34秒3はスノーフェアリー(33秒8)、アヴェンチュラ(34秒2)に次ぐ3番目の速さでした。追い込みタイプだけに今回のような展開はつらいですね。これで人気が下がるようなら次走は楽しめそうです。





京王杯2歳Sはレオアクティブ


 後方待機のレオアクティブ(5番人気)が大外を突き抜けました。気持ちのいいゴボウ抜きでしたね。ただ、個人的な予想は1、2着馬とも無印で、本命は11着のエーシンブラスター(8番人気)ですから、まったく気持ちよくありません(笑)。完敗でした。
http://www.youtube.com/watch?v=oFfIEtadQpk

昨日のエントリーでお知らせしたように、東京競馬場のセンターコートで行われた「リアルタイム情報ステーション」に出演していたのですが、市丸博司さん、井内利彰さん、そしてわたしと、いずれもレース後は「う〜ん……」という感じで言葉が出ませんでした。

レース後、司会の竹山まゆみさんにコメントを求められて、1〜3着がすべて新種牡馬の子であること、レオアクティブの父アドマイヤムーンが非常に優秀であることを述べました。社台のバックアップなしにこれだけの成績を残すのは凄い、と。

レオアクティブは浦河町の谷口牧場の生産馬。もう1頭の重賞勝ち馬ファインチョイスは浦河町の富田牧場の生産馬です。

旧ブログ9月22日のエントリー「トウショウボーイの再来? アドマイヤムーン」で以下のように記しました。

「アドマイヤムーン産駒は幅広い配合パターンから勝ち馬を送り出しています。函館2歳S(G3)を勝ったファインチョイスは、母が『タイキシャトル×Capoteというスピード血統。こうしたタイプから2歳戦の活躍馬が出ることに関しては意外性はありません。

しかし、アドマイヤムーンの非凡な点は、Roberto、Graustark、Sadler's Wells、チャイナロックなど、重厚な血を抱えたやや鈍重とも思える牝馬からポンポンと勝ち馬を送り出していること。抜群の素軽さですね。社台系と比べると見劣りが否めない日高の牝馬が中心となってこの成績ですから立派です。もしこの先、何頭かのG1ホースを送り出すようならトウショウボーイの再来でしょう。」

レオアクティブは後者のタイプ。母の父は Sadler's Wells 系のオペラハウスです。オペラハウスは母の父としてかなり鈍重な性質を表しており、あまり成功しているとはいえません。こういう繁殖牝馬から2歳戦の重賞勝ち馬を出すわけですからアドマイヤムーンの素軽さは抜群です。2歳のこの時期ですから結論めいたことを言うのは憚られますが、着実にトウショウボーイへの道を歩んでいるように思います。


○モンストール(1番人気)は、坂路の追い切りでラスト1ハロン11秒5を出し、これは凄いなと思ったのですが、レース後の尾関調教師のコメントには「息遣いが苦しかった」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とあり、デキが本当ではなかったようです。直線では内にササって鞍上が追いづらいシーンが見られました。

◎エーシンブラスター(8番人気)は、ギアの持ち合わせが少ないという印象です。思ったよりも走りがワンペースでした。最後の直線で11秒2のラップを刻んだ地点でついていけなくなりました。





ダンシングレインの血統


 主な勝ち鞍は、英オークス(G1・芝12f10yds)、独オークス(G1・芝2200m)、英チャンピオンズフィリーズ&メアズ(G2・芝12f)など。



戦績はそれなりに立派ですが、愛オークス(G1・芝12f)で完敗を喫したあと、一線級へのチャレンジを諦めて裏街道に回ったので、同じく英オークスを勝った昨年のスノーフェアリー(Snow Fairy)に比べるとはっきり一枚落ちます。スノーフェアリーは4歳を迎えた今年さらに成長し、勝ち星はないものの牡馬の一線級と互角の勝負に持ち込んでいますから、現時点における両馬の力量には大きな差があります。


母 Rain Flower は英ダービー馬ドクターデヴィアスの4分の3妹。良血だけあっていいものを伝えており、娘の Dancing Rain のほか、孫の代から Maybe(牝2歳)という名牝を送り出しています。Maybe は通算5戦全勝、モイグレアスタッドS(愛G1・芝7f)を含めて3つの重賞を制し、カルティエ賞の2歳牝馬部門の最有力候補です。



父 Danehill Dancer はマイラー型の種牡馬。これまで Speciosa(英1000ギニー)、Mastercraftman(愛2000ギニー)、Again(愛1000ギニー)などギニー戦線で良績を残してきました。産駒がオークスまたはダービーを勝ったのはダンシングレインが初めてです。


行って粘るという脚質どおり、近い世代にタメが利く血が希薄です。パワー型のスピードでグイグイ逃げてどこまで粘れるか、というタイプなので、並びかけられたらそこで終了でしょう。大逃げに活路を見出すしかありません。両前肢に熱を持って馬場入りを休んだという報道もあり、万全の状態でない可能性が高く、馬券的には買いづらいですね。


一方のスノーフェアリーは、昨年の勝ち馬ですから適性についてはあらためて説明するまでもありません。馬の能力は昨年よりもアップしています。大外枠でも普通に能力を発揮すれば勝ち負けでしょう。







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