パーフェクト種牡馬辞典


同一種牡馬の芝&ダート同日重賞制覇は5回目でした


 1月24日のエントリー「平安Sはヒラボクキング」のなかで、「同一種牡馬が芝とダートの重賞を同週に制覇する例はたまにありますが、同日となると記憶にありません。ひょっとしたら初めてではないでしょうか?」と記したところ、ライターの伊吹雅也さんが過去4例あったことをデータから掘り起こし、ブログに記していらっしゃいます(対象期間は86年以降)。トラックバックもいただきました。
http://kuriyama.miesque.com/?eid=97
http://ibukist.seesaa.net/article/248500994.html


さらに、3場メインジャックの例が、キングカメハメハよりも以前にあったこともメールにて教えていただきました。06年3月11日のブライアンズタイムです(千葉S=ニシノコンサフォス、ファルコンS=タガノバスティーユ、大阪城S=マチカネメニモミヨ)。


伊吹さんはJRAサイトのなかで重賞データの記事を担当されています。調べ方が難しいテーマで、正直なところわたしもどう調べたらいいのかうまい方法が思いつかなかったのですが、サクッと正答を出されるあたり、さすがとしか言いようがないですね。ご指摘ありがとうございました。





Blushing Groom の忘れられた全兄


 先週の日曜日、小倉の未勝利戦(ダ1700m)で、タヤスツヨシ産駒のハヤブサという馬が初勝利を挙げました。六社特別(1000万下・芝1600m)を勝ったツーピースの半弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102801/



この血統には面白い血が入っています。


ベイラーン(牡・1971年生・父 Red God)


「TARGET frontier JV」と「netkeiba.com」の5代血統表を見ると、母馬の欄が空白となっています。そこに入る馬名は Runaway Bride。父は Red God ですから、要するに Blushing Groom の全兄弟です。



現役時代はフランスでG3を2勝し、引退直後の1975年に輸入され、77年にわずか6歳で死亡しました。供用されたのは76年の1年のみ。もちろん海外に残した産駒はいません。こうして人知れず消えていく輸入種牡馬は珍しくないのですが、この馬はふたつの点で際立った特長がありました。


ひとつは、先に述べたとおり Blushing Groom の全兄にあたる良血であること。ベイラーンが輸入されたとき、Blushing Groom はまだデビュー前でした。もし生まれる順番が違っていたら――仏2000ギニー(G1)やグランクリテリウム(G1)など5つのG1を制した全弟が先に生まれていたら――値段が跳ね上がって日本に入っていたかどうか怪しいと思います。似たような例としてはホープフリーオンがあります。同馬は Alydar の全兄で、輸入されたとき弟はデビュー前で、G1を3勝した半妹 Our Mims も頭角を現す前でした。これらの導入を決めた方がどなたかは存じ上げませんが、慧眼だったと思います。


もうひとつは、産駒成績がきわめて優秀だったこと。「JBISサーチ」によれば、馬名登録されたベイラーン産駒はわずか32頭で、そのなかからネオキーストン(福島記念)、テルノホープ(金鯱賞)、ホースメンヤマト(シンザン記念−3着)、スターフライト(百万石賞)、ファンタスティック(上山優駿樹氷賞)が現れました。もし無事に長生きしていれば……と思わずにはいられません。せめて5世代ぐらい産駒を残していれば、我が国の生産界に十分な影響を及ぼすことができ、これほど低い知名度に甘んじることもなかったはずです。


産駒うち、福島記念を勝ったネオキーストンが種牡馬となりました。そして、南関東の重賞で繰り返し入着したカゴヤツヨシ(黒潮盃−2着、東京王冠賞−3着、東京ダービー−4着、羽田盃−5着、東京大賞典−5着)の父となりました。89年に3歳だったので女傑ロジータの同期です。カゴヤツヨシが走っていた当時、ベイラーンの血を受け継ぐネオキーストンの子、という希少性からすでに知る人ぞ知る存在でした。いつも差して届かずというじれったい馬でしたね。


ネオキーストンが13年間の種牡馬生活で送り出した産駒はわずか43頭。このうち種牡馬となったものはなく、繁殖牝馬となった馬もごく少数です。92年生まれのサリーキーストンが血を繋ぎ、これがツーピースとハヤブサの2代母となっています。


Nijinsky と Blushing Groom はニックスで、ラムタラ、Kahyasi、ファンタスティックライト、Sky Beauty、Quest for Fame、Pursuit of Love、Peaks and Valleys など多くの名馬が誕生しています。ツーピースとハヤブサの母フジリューには Nijinsky とベイラーンの組み合わせがあります。ベイラーンは Blushing Groom の全兄ですから、上記のニックスがそのまま適用できるはずです。「エアダブリン×ネオキーストン」という地味な組み合わせながら上々の繁殖成績なのは、このニックスに秘密がありそうです。





あけましておめでとうございます


 年末はどこにも遠出をせず自宅で過ごしました。大晦日が締め切りの原稿を執筆し、血統屋のスタッフと今後の方針について打ち合わせをし、大井競馬場で重賞レースを観戦し、ブログや年賀状を書いていました。何も起こらない静かな年の瀬です。

ここ何年か、年末年始には必ずどこかへ旅をし、自宅を留守にしていました。競馬の仕事をしていると毎週途切れなくレースがやってくるので、エアポケットのようなこの時期に、無性にどこかへ行きたくなります。昨年はいろいろなことが起こり過ぎたので、なんとなくそんな気分になりませんでした。

家にずっといるとどうしても酒量が増えますね。いつもの年の3倍ぐらい飲んでいたような気がします。ケースで買った缶ビールが猛スピードで減っていきました。2012年の抱負として大きなことは思いつかないのですが、とりあえず運動をして酒を抜きたいです(笑)。

大晦日は大井競馬場へ。メインレースの東京2歳優駿牝馬(S1・ダ1600m)は、エンジェルツイート(2番人気)が逃げ切りました。エミーズパラダイス(1番人気)が2着。行った行ったの決着です。
http://www.youtube.com/watch?v=Up7XHZXXkDg

両馬ともホッカイドウ競馬でデビューし、南関東に転厩してきました。勝ったエンジェルツイートは平和賞に続く重賞連勝。配合については11月19日のエントリー「きょうだいで重賞V」で触れています。兵庫の雄オオエライジンの半妹です。
http://kuriyama.miesque.com/?eid=27


手綱を取った森泰斗騎手(船橋・30歳)は、2011年の南関東で最も躍進した騎手といえるでしょう。169勝を挙げ、戸崎圭太騎手(327勝)、御神本釧史騎手(203勝)に次ぐ第3位に食い込みました。10年は113勝で第6位、09年は65勝で第18位でした。年々ジャンプアップして順位を上げ、いまや南関東を代表する名手のひとりです。もともと北関東でデビューし、同地の競馬が05年に廃止になると、船橋競馬に移ってきました。関東で今年ブレイクした田辺裕信騎手もそうですが、腕の冴えた若手騎手が頭角を現していくときのオーラは独特なものがあります。

新しく何かが台頭し、何かが衰え、その繰り返しで競馬は新しくなっていきます。馬も人も、毎年同じようで同じではありません。2012年の競馬はスターホースがそろっているので楽しくなりそうです。春のクラシックでディープインパクト産駒が本領を発揮するのか、秋の凱旋門賞でオルフェーヴルがどんな競馬をするのか、興味が尽きません。個人的にはぜひフランスへ行ってレースを観戦したいです。

今年もよろしくお願いいたします。





年末雑感


 ■2011年の競馬を振り返ると、一番印象に残ったのは東日本大震災による開催中止です。次に四冠馬オルフェーヴルの出現。そしてヴィクトワールピサのドバイワールドC制覇でしょうか。
■個人的な競馬との関わりでいえば『血統屋』を立ち上げたことですね。春のクラシックシーズンを前にOPENするはずが、地震によってそれどころではなくなり、5月に延びました。広告を出す間もない見切り発車のスタートで、はたしてお客さまがいらっしゃるのだろうかと不安があったのですが、みなさまのご支援によって軌道に乗ることができました。心から感謝いたします。来年は早く早野仁さんの「種牡馬大系」を出したいです。
■血統屋のトップページを少々いじり、ブログの新着エントリー表示機能を設置しました。栗山求、望田潤、桑原拓三のブログがそれぞれ更新されると、1時間以内に血統屋トップページの窓に表示されます。表示をクリックすれば直接エントリーに飛ぶことができます。
http://www.miesque.com/
■本日、大井競馬場で東京2歳優駿牝馬(S1・ダ1600m)が行われます。南関東の2歳女王決定戦ですね。前売りの単勝1番人気(1.2倍)はエミーズパラダイス(父フサイチコンコルド)。ホッカイドウ競馬から転入馬で、転入初戦の前走みずどり特別(ダ1600m)を4馬身差で圧勝しました。川島正行厩舎所属で戸崎圭太騎手、それに社台グループの生産馬となれば、昨年の覇者クラーベセクレタを連想します。母エミーズスマイルはアグネスタキオンとホワイトマズルのニックスを持ち、個人的に好きな馬でした。つい最近まで走っていたような気がするので、子供がもう競走年齢に達していることに驚きです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105748/



■元旦の夜10時から、グリーンチャンネルで「新春BIG対談〜吉田照哉&岡田繁幸〜」が放送されます。これは見逃せません。1月4日までに3回ほど再放送があるようなので見逃した方でも大丈夫です。







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