パーフェクト種牡馬辞典


競馬道OnLine G1スペシャル予想〜エリザベス女王杯


3月に発売された『パーフェクト種牡馬辞典 2016−2017』(自由国民社)の関連企画として、同書の編集を担当した競馬道OnLineのサイトにて、この秋もスプリンターズSから有馬記念まで栗山求と望田潤がG1レースを交代で予想いたします。今週のエリザベス女王杯は栗山求の担当。有力馬分析は無料公開、予想は有料会員のみ閲覧できます。血統分析で取り上げた3頭がそのまま予想の順位となるわけではありません。よろしければご覧くださいませ。
http://www.keibado.ne.jp/sp2016/




ファンタジーSはミスエルテ


出遅れて後方に控えた○ミスエルテ(1番人気)が直線で外から伸び、逃げ粘るショーウェイ(12番人気)をとらえて重賞タイトルを手にしました。
https://youtu.be/aMiX7ee7uGk?t=14s

最内枠で出遅れたときは、1400m戦だけに厳しいと思ったのですが、外から楽々と突き抜けてしまいました。数字には表れない凄みがあったと思います。

デビュー戦でも感じたのですが、後肢のバネが他の馬と違うので、1頭だけ動く歩道の上を走っているかのような錯覚を覚えます。ディープインパクトに代表されるサンデー系の柔らかな切れ味とはまた別の、年長馬が1頭だけ混じっているかのような、体力の優位性を武器に他馬をねじふせている――といった感があります。フィニッシュラインを駆け抜けたときにふと思い出したのは、2つのG1を含めて重賞を5勝したファインモーションの姿です。デビュー戦から連戦連勝していたころはこんなレースぶりでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014106174/



父 Frankel は英愛リーディングサイアー Galileo の最高傑作で、現役時代はイギリスのマイル路線を中心に走って14戦全勝。ワールドサラブレッドランキングでは史上最高の「140」というレーティングを獲得しています。
http://www.pedigreequery.com/frankel3



今年から走り始めた初年度産駒は好調で、レーシングポスト紙の集計によると、現時点における英愛ファーストシーズンサイアーランキングでは第3位。1位 Sir Prancealot は327走、2位 Helmet は149走しているのに対し、Frankel は62走と数が少なく、この点で劣勢を強いられています。ただし、62走して22勝を挙げているので勝率は35%、デビューした28頭中15頭が勝ち上がっているので勝ち上がり率は54%ときわめて優秀です。内容的にはナンバーワンといえるでしょう。

ミスエルテの他に、Queen Kindly(ロウザーS−英G2)、Fair Eva(プリンセスマーガレットS−英G3)、Frankuus(コンデ賞−仏G3)、Toulifaut(オマール賞−仏G3)が重賞を勝っています。イギリスの2頭はスプリンターで、フランスの2頭は9ハロンと8ハロンの勝ち馬ですからマイラー〜中距離馬です。ミスエルテを含めた5頭中4頭が牝馬ですが、まずは仕上がりの早い牝馬から目立つ産駒が出てきたという印象で、来年のクラシックが近くなれば Frankel の牡馬も話題に上ることでしょう。

新馬−アイビーS(OP)を連勝したソウルスターリングは、母スタセリタが仏オークス(G1)、ヴェルメイユ賞(G1)、フラワーボウル招待S(米G1)などフランスとアメリカで6つのG1を制した名牝。Frankel が「Galileo×デインヒル」という Northern Dancer 系の主流血統同士の組み合わせなので、母方の Monsun が異系色の強いドイツ血統であることは好感が持てます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014105535/



ミスエルテの場合、母ミスエーニョがデルマーデビュタントS(米G1・AW7f)、ソレントS(米G3・AW6.5f)の勝ち馬。「Pulpit×ヘネシー×Saratoga Six」というパワー満点のアメリカ血統だけに、正直なところデビュー前は適性が見えづらく、日本の速い芝に対応できるのかどうか懐疑的でした。それだけに、芝1600mのデビュー戦で余裕綽々の勝ちっぷりを目の当たりにしたときには、いい意味でショックを受けました。Frankel は想像以上に凄い種牡馬かもしれない、と。

Frankel の父 Galileo は、先月行われた高速馬場の凱旋門賞でワン・ツー・スリーを決めたものの、日本に入ってきた産駒は鈍重さが否めず、日本でデビューした30頭のうちJRAで勝ち上がったのは半数以下のわずか12頭。ミスエルテ、ソウルスターリング級の産駒は見当たりません。Frankel は、2代父 Sadler's Wells、父 Galileo とは完全に別物といえます。馬体を見ると、母の父デインヒルにどんどん似てきており、とくに巨大なトモは特徴的です。ちなみに前出のファインモーションはデインヒル産駒です。

ノーザンファームは、ミスエルテの育成やデビュー戦で非凡さを認識したのか、凱旋門賞の直前にシャンティイで行われたアルカナアークセールで、オマール賞を含めて3戦全勝だった Frankel 産駒 Toulifaut を190万ユーロ(約2億1000万円)で落札ました。セリの翌日に行われたマルセルブサック賞(仏G1)では大外枠が響き、道中まったく伸びない外を回らされたあげく、直線で挟まれるという散々な競馬で8着。しかし、敗因がはっきりしているので評価を下げる必要はなく、オマール賞で見せた末脚は高い将来性を感じさせます。
http://www.pedigreequery.com/toulifaut



Frankel は高速馬場をこなす素軽さを秘めているので、たとえば「ディープインパクト×Frankel」の組み合わせは、「ディープ×Sadler's Wells」「ディープ×Galileo」に比べてはるかに日本向きの産駒を作りやすいでしょう。それを見越して、Frankel 牝馬はこれからどんどん輸入されることになると思います。

ミスエルテとソウルスターリングは、順調に行けば阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で対決します。今年の2歳牝馬は豊作で、それ以外にも大物感あふれる馬がそろっています。きっとおもしろいレースになるでしょう。サンデー系VS Frankel 産駒は今後の日本競馬のテーマのひとつになりそうです。

◎ドロウアカード(5番人気)は6着。スローの独り旅を期待したのですが今回は行く気がなかったようです。




みやこSはアポロケンタッキー


勝負どころで外からマクった◎アポロケンタッキー(4番人気)が残り200mで抜け出し、△グレンツェント(1番人気)、△ロワジャルダン(7番人気)の追撃をクビ、3/4馬身抑えました。
https://youtu.be/1Yklz3fapqk?t=13s

△モンドクラッセ(5番人気)が後続を引き付けて逃げたため、ペースはややスロー。アポロケンタッキーはこのところ2000m以上のレースを使われ続けてきたので、ペースが速すぎると追走に手一杯になる懸念があったのですが、緩めのペースだったためマクる脚を温存できました。勝負どころで自ら動いていく得意のレース運びでライバルを一蹴しました。

予想は◎△△で馬単4030円、3連単4万2390円的中。予想文を転載します。

「◎アポロケンタッキーは『ラングフール×ゴーンウエスト』という組み合わせ。父ラングフールはダンジグ産駒で、日本では芝短距離で強かったダイワマックワン(ストロングリターンの半兄)のイメージがあるものの、アメリカではジャンバラヤ(アーリントンミリオン)、インターパテイション(ターフクラシック招待S)などスタミナタイプが目立つ。母方にミスタープロスペクター、セクレタリアト、デピュティミニスター、ホイストザフラッグといったハイスペックな名血が入り、3代母スリンキーレディはリボーを3本抱えている。底力と成長力を感じさせる配合構成で、まだまだ強くなる余地を残していると思われる。休み明けだった前々走のシリウスS(G3)は、1着マスクゾロ、2着ピオネロが内ラチ沿いぴったりを回ったのに対し、この馬は終始外を回らされる距離ロスがあった。それでいて勝ち馬からクビ、アタマ差の3着。負けて強しの内容だった。1番人気に推された前走のブラジルC(OP)は8着と惨敗したが、おそらく57.5kgのトップハンデに加えて2走ボケもあったのだろう。今回は距離短縮となるが、前走で少し掛かり気味だったのでむしろ吉と出るのではないか。このメンバー相手に56kgは恵まれた」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012110098/



前走のブラジルCは、この馬の実力からするとまったく競馬をしていないので、力を出せない何らかの事情があったと見るべきでしょう。予想文に記したとおり2走ボケとトップハンデが原因ではないかと思います。

父 Langfuhr は現役時代、メトロポリタンH(米G1・ダ8f)、カーターH(米G1・ダ7f)、ヴォスバーグH(米G1・ダ7f)などを制しています。7ハロンがベストのスピードタイプでしたが、種牡馬としては Danzig 系らしく距離の融通性があり、Jambalaya(アーリントンミリオン)、Interpatation(ターフクラシック招待S)など中距離を問題なくこなすタイプを出しています。Nearctic 3×3なので、Wild Again(Nearco 3×4、Hyperion 4×3)に似たイメージで、芝はOKですがスパッと切れる脚はありません。

母は Mr.Prospector、Deputy Minister といった優れた骨格を持ち、3代母 Slinkylady は Ribot を3本抱えています。このあたりが中距離向きの大物感を感じさせる部分で、ダート馬としてさらにもうワンランク上に行けるのではないかと思います。

560kgという巨漢で、なおかつスタミナがあり、マクるレースができます。地方競馬で行われる中長距離重賞では相当やれるはずです。




京王杯2歳Sはモンドキャンノ


中団を追走した△モンドキャンノ(3番人気)が直線で外から豪快に脚を伸ばし、先に抜け出した◎レーヌミノル(1番人気)を半馬身とらえました。
https://youtu.be/4O2-8JQjq7k?t=17s

レーヌミノルはスローペースの2番手からソツなく抜け出し、それに3馬身差をつけられた後続馬群は力負けという内容。勝ち馬はこの馬群から1頭だけ違う脚いろで伸びて差し切ったわけですから、今回のメンバーのなかでは一枚上の実力を示したといえるでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014106235/



父キンシャサノキセキ、母の父サクラバクシンオーはいずれもスプリントG1の勝ち馬。母レイズアンドコールはアイビスサマーダッシュ(G3)3着馬。スピードに秀でた馬同士を掛け合わせて、期待どおりにスピード馬が誕生しました。

スピード馬同士を掛け合わせても、それを定着させるのは案外難しいものです。スプリンターの配合で重要なのは、隠し味にスタミナを入れることであり、逆にステイヤーの配合で重要なのは、隠し味にスピードを入れることです。父キンシャサノキセキの母の父はスタミナ型の Pleasant Colony、母の父サクラバクシンオーの母は天皇賞・春や有馬記念を勝ったアンバーシャダイの全妹です。

2代母モーリストンベルの父 Herat はダート10ハロンの米G2を勝ったスタミナタイプ。これがスピードを定着させた隠し味ではないかと思います。函館2歳S(G3)から大きな成長を見せました。血統的に距離が延びるのはマイナスですが、1200〜1400mならこの先も大いに楽しめそうです。

◎レーヌミノル(1番人気)は何の不利もなく自分の力を出し切りましたが、ゴール前で差されてしまいました。今回は勝ち馬を褒めるべきでしょう。

予想はマルチ設定だったので、△◎△で馬単2580円、3連単1万6080円的中です。




アルゼンチン共和国杯はシュヴァルグラン


中団を追走した▲シュヴァルグラン(2番人気)が残り200mで抜け出し、○アルバート(4番人気)の追撃を半馬身抑えました。
https://youtu.be/dYORRei0ep8

1100m通過69秒1は、過去10年間のうち良馬場で行われた9回のなかで最も遅いタイム。したがって、レースの上がり3ハロンは11秒7−11秒1−11秒4と速く、完全な決め手勝負となりました。シュヴァルグランがこうしたレースに強いというイメージはなかったのですが、このメンバーのなかでは地力が一枚上だったということでしょう。58kgのトップハンデを背負ってこのレースぶりは完勝といえるものです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104759/



ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル2回、クイーンC)とヴィブロス(秋華賞)の4分の3兄弟で、フレールジャック(ラジオNIKKEI賞)とマーティンボロ(新潟記念、中日新聞杯)の甥にあたります。ハルーワスウィートの子はすべて佐々木主浩さんの所有馬です。

ハルーワソング(f.1996.Nureyev)
  ハルーワスウィート(f.2001.Machiavellian)
  │ ヴィルシーナ(f.2009.ディープインパクト)
  │ シュヴァルグラン(c.2012.ハーツクライ)
  │ ヴィブロス(f.2013.ディープインパクト)
  フレールジャック(c.2008.ディープインパクト)
  マーティンボロ(c.2009.ディープインパクト)

前走の宝塚記念(G1)は、コンディションの悪い馬場の内側を走らされる不利があり、また距離短縮もこの馬には向かなかったと思います。

父ハーツクライは優れた長距離適性を伝える種牡馬で、芝3000m以上では他の追随を許しませんが、芝2500mでも連対率30.2%と優れた実績を残しており、当該距離の重賞に限ると連対率36.0%とさらに数字が上がります。当レースは14年のフェイムゲームに次いで2勝目となります。ハーツクライ産駒らしい成長力でここにきて本格化しています。姉ヴィルシーナ、妹ヴィブロスと同じくG1ウィナーになれるでしょうか。有馬記念(G1)や天皇賞・春(G1)が楽しみです。

◎モンドインテロ(1番人気)は4着。内から馬群を割って伸び掛かったものの、坂を上がってから脚が止まってしまいました。まだこのメンバー相手には荷が重いのでしょう。成長を待ちたいと思います。




北海道2歳優駿はエピカリス


ダッシュよくハナに立ったエピカリス(1番人気)が後続を大差にちぎって逃げ切りました。2着ヒガシウィルウィン(4番人気)とのタイム差は2秒4。デビュー以来これで3連勝です。
https://youtu.be/gn3_aQbiyeY?t=16s

月曜と火曜は北海道に滞在していたのですが、スケジュールの都合上、火曜夜のこのレースを観ることなく東京に帰ってしまいました。重賞でこれだけ差が付くレースは滅多に見られないので、もう1泊すべきだったかと後悔しています。

古い話で恐縮ですが、わたしが地方の競馬場で観戦した重賞のなかで大差勝ちとなったものを挙げると、ホクトベガのエンプレス杯(95年・川崎競馬場・3秒6差)、マルシンヴィラーゴの全日本アラブ争覇(92年・川崎競馬場・2秒4差)あたりでしょうか。もっとあったかもしれませんが、この2レースは印象が強烈でした。レギュラーメンバーのダービーグランプリ(00年・盛岡競馬場・2秒1差)は現地に行っていません。

エピカリスが強いということは、新馬戦(ダ1800m)を6馬身差、プラタナス賞(ダ1600m)を7馬身差で勝ったレースぶりからも明らかで、今回は単勝100円の元返しでした。実況アナウンサーが「これほどまでに強いのか」と叫んでいましたが、まったく同じ感想ですね。相手関係もあったのかもしれませんが、これほどの差をつけるとは思いませんでしたし、ゴール前は流す余裕がありました。

デビュー前から配合的に高く評価してきた馬で、1歳の夏に血統屋の『一口馬主好配合馬ピックアップ2015』で推奨しました。推奨コメントは以下のとおり。

「メイショウナルト(小倉記念、七夕賞)の4分の3弟。父はハーツクライからゴールドアリュールに替わりました。母方にマルゼンスキーが入るゴールドアリュール産駒は信頼性が高く、フーラブライド(中山牝馬S、愛知杯)、タケミカヅチ(ダービー卿CT)、トウカイパラダイス(大阪杯−2着)、トップカミング(日経新春杯−2着)などが出ています。連対率21.8%、1走あたりの賞金額268万円は、ゴールドアリュール産駒全体の17.0%、150万円を大きく上回っています。ダートに強い種牡馬でありながら、芝・ダートほぼ同じぐらいの成績を残しているというのがこの配合の特長。母の父カーネギーは『Sadler's Wells×Riverman』なので、父の代表産駒の1頭クリソライト(ジャパンダートダービーなど重賞3勝)の母クリソプレーズを彷彿させます。芝・ダートどちらでも行けるタイプで、中距離がベストでしょう」

キャロットクラブの募集価格は3600万円。お買い得でしたね。父ゴールドアリュールの代表産駒であるスマートファルコン、エスポワールシチー、コパノリッキーのような大物になりそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014103121/



配合については推奨コメントに書いたのでとくに付け足すことはありません。マルゼンスキーを抱えたゴールドアリュール産駒の大物は、芝でも走れるタイプが多く、しかもメイショウナルトの4分の3弟という血統的裏付けもあります。芝路線に転向してもそれなりに走れるのではないかと思います。ただ、芝向きの決め手はなさそうなので乗り方に工夫が必要でしょう。

母の父カーネギーはモーリスに続いて大物を出しました。母子2代で凱旋門賞を制覇を達成した良血馬でしたが、種牡馬としてはもうひとつで、カーネギーダイアン(青葉賞)とホオキパウェーブ(オールカマー、青葉賞−2着)を出したことから青葉賞血統とも言われました。スピードが乏しく、かといってダートは苦手というタイプだったので、活かし方が難しい血でした。しかし、超良血だけあって、母方に潜ってその良さが引き出されると、大物が誕生しています。

ドバイへ行くのか、ケンタッキーダービーを目指すのか、それとも国内で走り続けるのか、馬の状態次第だとは思いますが、注目したいですね。




天皇賞・秋はモーリス


中団の外を追走した◎モーリス(1番人気)が直線半ばで抜け出し、追いすがる△リアルスティール(7番人気)、○ステファノス(6番人気)を抑えて5つめのG1を制覇しました。
https://youtu.be/dNRfB5rL19I?t=27s

内枠を利して△エイシンヒカリ(2番人気)が逃げたものの、スピードの乗りがイマイチで、1000m通過60秒8のスローペース。昨年と同じく決め手勝負となりました。モーリスは折り合いを欠くことなく中団の外を追走。この時点で少なくとも凡走はないという印象でしたが、ムーア騎手に追い出されると他馬を問題にしない豪快な伸び脚で圧倒しました。



昨年と今年の安田記念(G1)は、長い直線を右手前のまま走っていました。しかし、今年は残り150mで左手前に替えました。堀調教師は「左手前のほうが得意な馬」と語っており、ムーア騎手もそれは認識していたはずです。そつなく右手前から左手前に替え、最後までしっかりと伸び続けました。



モーリスが勝った5つのG1のうち3つはムーア騎手。レース後のインタビューではいつもどおりニコリともせず淡々とレースを振り返っていました。暮れの香港がラストレースで、ムーア騎手が乗ることになります。そのあとはおそらく社台スタリオンステーションで種牡馬入りすることになるでしょう。



表彰式のあと、ウィナーズサークルでスタンドのファンに向けてもう一度インタビューがあり、それが終わると、ムーア騎手は脱兎のごとく馬道を駆け下りていきました。次の騎乗地であるオーストラリア(メルボルンCの開催)へ発つ便の出発時刻が迫っていたためです。モーリスよりも速かったですね。

予想は◎△▲で馬単3700円、3連単3万2400円的中です。予想文を転載します。

「◎モーリスは『スクリーンヒーロー×カーネギー』という組み合わせ。父スクリーンヒーローは現役時代にジャパンC(G1)を制し、種牡馬としては本馬のほかにゴールドアクター(有馬記念など重賞4勝)、ミュゼエイリアン(毎日杯)など5頭の重賞勝ち馬を出している。母の父カーネギーはサドラーズウェルズ系のスタミナタイプ。2代母メジロモントレーはアルゼンチン共和国杯(G2)をはじめ芝2000m以上の重賞を4勝した名牝。血統的にはマイル戦よりも2000mのほうが向いている。昨年の当レースは1000m通過60秒6というスローペースだったため、ラストは瞬発力勝負となり、そうしたレースに不向きなエイシンヒカリは2番手を追走したものの馬群に沈んだ。今年は同じ轍を踏むことはないと思われるので、仮にペースが遅ければエイシンがレース途中からでもハナを奪い、自ら馬群を引っ張る展開に持ち込むはず。少なくとも例年並みの平均的な流れ、すなわち1000m通過59秒程度のペースにはなると思われるので、モーリスが折り合いに苦心することはないだろう。能力的には一枚上の存在なので、中団でスムーズに折り合えば直線で突き抜ける」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011100655/



父スクリーンヒーローは現役時代、ジャパンC(G1)を制覇したほか天皇賞・秋(G1)ではカンパニーの2着と健闘し、ウオッカの追撃を抑えました。好位で流れに乗る器用さがあり、スローペースの上がり勝負になったときに好走する、というタイプで、ジャパンCと天皇賞・秋はいずれもこのパターンでした。競走馬としてのタイプはサンデーサイレンスやダイナアクトレス的な要素が強く出ていた馬だと思います。ダイナアクトレスは毎日王冠(G2)など5つの重賞を獲得し、京王杯オータムH(G3)では芝1600mの日本レコード(1分32秒2)を樹立しました。ジャパンCでは3着と健闘しています。G1こそ獲れなかったものの、まぎれもなく80年代を代表する強豪牝馬の1頭で、ノーザンテースト牝馬の最強馬だったと思います。2代父グラスワンダーは Roberto や Danzig の影響を強く受けたせいか、どちらかといえば中山や旧阪神を得意とし、安田記念はエアジハードのハナ差2着でした。

種牡馬として成功し、モーリスのほかにゴールドアクター(有馬記念など重賞4勝)、ミュゼエイリアン(毎日杯)、グァンチャーレ(シンザン記念)、トラスト(札幌2歳S)、クライスマイル(レパードS−2着)などの活躍馬を出しています。産駒成績を見ると、長い直線よりも小回りコースを、外回りコースよりも内回りコースを得意としています。

2代母メジロモントレーはかつてPOGで指名した馬で、デビュー戦から引退まで3年間応援し続けた馬でした。獲得した重賞タイトルはアメリカJCC(G2)、アルゼンチン共和国杯(G2)、金杯・東(G3)、クイーンC(G3)の4つ。3歳時は心身ともに幼さが目立ち、牝馬三冠レースではオークス(G1)5着、エリザベス女王杯(G1)7着と、ともに人気に推されながら結果を出せませんでした。しかし、「モガミ×フィディオン」という晩成型のステイヤー血統だけに古馬になって本領を発揮。アルゼンチン共和国杯→アメリカJCCを牡馬相手に連勝したときは、天皇賞・春(G1)を勝てるのではないかと夢を見ました。脚部不安がなければ……といまだに悔やまれます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1986106826/



モーリスの母メジロフランシスは、現役時代にJRAで7戦未勝利、NARで1戦未勝利という成績。また、繁殖牝馬としてもスクリーンヒーローを付けるまでは平凡な成績しか残していませんでした。Sadler's Wells、モガミ、フィディオンといったスタミナ血統を近い世代に抱えています。

モーリスが一介のマイラーでないのは、そうした迫力ある重厚な血を抱えているからでしょう。仮にスピードのない馬にこれらの血が入っていたら鈍重さの元凶としてやり玉に挙げられるところですが、モーリスのようにスピードに恵まれた馬に入っている場合、底力やスピードの持続力をサポートする重要な要素となります。

ちなみに、前出のメジロモントレーは、見た目からしてアマゾネス風の、牝馬にしては野性味あふれる筋肉質の馬体がセールスポイントで、ボディバランスに優れたタイプでした。モーリスの馬体を見るとその面影が感じられます。8月にレイクヴィラファームにお邪魔した際、お墓の前で手を合わせてきました。メジロマックイーンを母の父に持つオルフェーヴル、ドリームジャーニー、ゴールドシップの活躍は記憶に新しく、最近ではくるみ賞(2歳500万下)をメジロラモーヌ牝系のコウソクストレート(京王杯2歳Sに出走予定)が勝ち、デビュー2連勝を飾りました。着々とメジロ血統が復権を果たしつつあるのは喜ばしいかぎりです。



予想文に記したとおり、血統的には1600mよりも2000mのほうが向いています。それどころか2400mでも大丈夫と思えるほどです。適正距離が短めに出てしまったのは気性の影響でしょう。モンタヴァル、フィディオン、モガミ、カーネギーと、よくぞこれだけ気性の激しい種牡馬を掛け続けたと思うほど、母方の血は危険な香りがします。今年の安田記念のように、いったんスイッチが入ってしまうと折り合いがつかなくなってしまいます。逆に、今回のように折り合いさえつけば2000mでも問題ありません。



種牡馬としては、気性の激しさが伝わった子はスピードタイプになると思いますが、おっとりとした子なら2400mをこなすのではないかと思います。

天皇賞・秋が終わり、ストレイトガールの引退式を観たあと、紀尾井町に移動してホテルニューオータニで行われた社台グループ謝恩会にお邪魔してきました。出席者はなんと1500人! いろいろな方にお目に掛かることができ、愉しいひとときを過ごすことができました。ありがとうございました。





10月29、30日の血統屋コンテンツ推奨馬の結果速報


■『2013〜14年種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』で栗山求が推奨したサトノアラジン(牡5歳)が土曜京都11RスワンS(G2・芝1400m)を勝ちました。コメントは以下のとおり。

○サトノアラジン(牡・母マジックストーム)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104063/
新馬戦を素晴らしい瞬発力で差し切ったラキシスの全弟。ダートOPに出世したエスケープマジック(父 Maria's Mon)の半弟。母はモンマスオークス(米G2・ダ9ハロン)勝ち馬。「ディープ×Storm Cat」はアユサン、キズナ、ヒラボクディープなどと同じ。500kg前後の馬格があればかなり楽しみ。(栗山)

■『一口馬主好配合馬ピックアップ2015』で望田潤が推奨したパルティトゥーラ(牝2歳)が土曜東京5Rの未勝利戦(芝1600m)を勝ち上がりました。コメントは以下のとおり。

★キャロットクラブ
父マンハッタンカフェ
母フォルテピアノ(フレンチデピュティ)
http://db.netkeiba.com/horse/2014106097/
牝 募集価格:1600万円
母フォルテピアノはダ短距離で3勝、その全弟サウンドアクシスもダ短距離でオープンまで出世しました。Vice Regent≒ノーザンテースト3×2、Bold Ruler4×5、Princequillo6×6、Eight Thirty≒War Relic5×8・8、Bimelech≒Businesslike6×7など密な父母相似配合になっていて、短距離向きのパワーとスピードを確実に伝える繁殖牝馬です。自己主張が強い繁殖だけに出走産駒は2頭とも勝ち馬になっていますが、マンハッタンカフェとの配合が最もバランスがとれており、芝ダ兼用の1400m寄りマイラーとして、稼ぎ場所には困らない実用的な馬でしょう。ちなみにマンハッタンカフェ×フレンチデピュティの組み合わせは9頭出走で6頭が勝ち馬となっており、更に母系にノーザンテーストを引くものとなるとイルミリオーネもフレンチヴォーグも勝ち馬になっています。(望田)

■『2016〜17年種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』で望田潤が推奨したアンセム(牡2歳)が日曜京都5Rの新馬戦(芝1800m)を勝ちました。コメントは以下のとおり。

◎アンセム(牡、オータムメロディー)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014102149/
ピクシープリンセスの全弟で、ジョヴァンニやケルヴィンサイトの半弟。母オータムメロディーはスーパー名繁殖Fall Aspenの孫でNureyev≒Sadler's Wells3×2。名血名配合で強大なパワーとスタミナを伝える繁殖牝馬だから、牡のほうが更に大成するのではないかと考えた。ディーマジェスティのようにパワーでねじ伏せる中距離馬に完成してほしい。(望田)

■土曜京都11RスワンS2着 サトノルパン(ディープ・栗山)
■土曜東京11RアルテミスS2着 フローレスマジック(ディープ・望田&栗山)
■日曜東京10R紅葉S アストラエンブレム(一口&POG・望田、一口・栗山)
■日曜東京11R天皇賞・秋2着 リアルスティール(ディープ・栗山)




富士Sはヤングマンパワー


3番手を追走した▲ヤングマンパワー(3番人気)が直線で内を突いて抜け出し、△イスラボニータ(4番人気)に3/4馬身差をつけました。
https://youtu.be/ipxX4F4ANSI?t=22s

前後半800mずつのラップは48秒1−45秒9。翌日の500万下平場戦(芝1600m)が800m通過47秒3ですから、いかにスローだったかが分かると思います。上がり3ハロン最速(33秒4)の△ガリバルディ(6番人気)は5着、上がり2位(33秒6)の○ロードクエスト(1番人気)は9着と、このあたりは位置取りが厳しかったですね。上位4頭は好位につけた馬でした。

勝ったヤングマンパワーはインの3番手という最高の位置取り。好位でレースを進められる利を最大限に活かしました。これで3つめの重賞勝ち。着実に地力をつけているのでG1でも楽しみです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104685/



父スニッツェルはオーストラリアの種牡馬。過去2回日本でシャトル供用されており(現8歳と4歳世代)、本馬が唯一の重賞勝ち馬です。オーストラリアでは2011−12年のシーズンからトップ10をキープしており、2013−14年には2位という好成績。すでに10頭以上のG1馬を出しています。15−16年のシーズンには2歳馬が30頭勝ち上がりましたが、これは1975−76年に Without Fear が記録したオーストラリア記録に並ぶものです。

ヤングマンパワーのほかに、レオパルディナ(小倉2歳S−2着)、ルリニガナ(函館2歳S−3着)などが出ていますが、本国における華々しい成功に比べると、日本における成績はやや物足りなさを感じます。

オーストラリアで評判のスプリント血統――その多くはデインヒルや Green Desert の系統――は、日本のスプリント戦ではあまり実績を残していません。オーストラリアは世界に冠たる芝短距離王国ですが、日本の馬場はオーストラリアよりもやや軽く、掻き込みの強い Danzig 系の重厚なスプリント血統は微妙に合っていません。

本馬は、母の父サンデーサイレンスが日本向きの適性を与えているのでしょう。同じ Redoute's Choice 系のフルーキーと配合構成がよく似ています。いずれも母方にサンデーサイレンスと Nureyev を抱えているほか、Riverman と La Mesa も同じような血です。



◎ダノンプラチナ(2番人気)は3着。切れ負けという内容でしたが、次につながる敗戦だったと思います。この調子で体調が上がっていけば楽しみです。予想はマルチ設定だったので、▲△◎で3連単1万9900円的中です。




菊花賞はサトノダイヤモンド


中団につけた◎サトノダイヤモンド(1番人気)が残り300mで先頭に立ち、レインボーライン(9番人気)に2馬身半差をつけて初のG1タイトルを手にしました。
https://youtu.be/0I0EKPOAkzc?t=26s

3000mの勝ちタイムは3分03秒3。1000mずつ序盤・中盤・終盤と三分割すると、59秒9−64秒5−58秒9。中盤にラップが緩み、残り1000mからペースアップしてラスト3ハロンも速い(11秒6−11秒5−11秒6)という流れになりました。単純にサトノダイヤモンドが能力の違いを見せつけた勝利であり、ゴール前はまだまだ余裕がありました。

予想は◎だけ的中。予想文を転載します。

「◎サトノダイヤモンドは『ディープインパクト×オーペン』という組み合わせ。母マルペンサは南米アルゼンチンで芝・ダートを問わず活躍し、2000mのG1を3勝(芝1勝、ダート2勝)した名牝。いかにもディープインパクトと相性が良さそうな配合構成で、名繁殖牝馬ハルーワスウィート(ヴィルシーナとヴィブロスの母)と似ているだけでなく、ジェンティルドンナの母の父ベルトリニと同じ『ダンジグ×アリダー』のルアーを抱えている。母方にダンジグ、アリダー、ノーザンダンサーのクロスを持つディープ産駒は本馬のほかにドナウブルーとジェンティルドンナの姉妹、ミッキーアイル、サザナミなどが出ており、連対率は50%を超える。クラシックを勝つにふさわしい堂々たるクラシック配合だ。今回の菊花賞はメンバー構成的にハイペースになりそうもなく、残り1000mあたりからペースアップする展開になるだろう。それなりにスタミナは問われるものの、上がりも速くなると思われるので、外回り向きの決め手を持つ馬が有利。日本ダービーで落鉄しながらハナ差2着だったサトノダイヤモンドは、その点で申し分ない資質を備えている。ある程度前でレースを進められる馬が有利になると思われるので、好位につけられる自在性があるのもいい」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013106101/



『2015〜16年種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』で推奨した馬であり、この馬が落札されたセリの様子については13年7月10日のエントリー「セレクトセール2013:2日目」をご参照ください。当歳時の画像もあります。

予想文に記したとおり、母マルペンサは南米アルゼンチン産馬で、現役時代にコパデプラタ大賞(亜G1・芝2000m)、クリアドレス大賞(亜G1・ダ2000m)、ヒルベルトレレナ大賞(亜G1・ダ2000m)などを制した名牝です。

母の父 Orpen はモルニ賞(仏G1)の勝ち馬で、愛2歳チャンピオンに輝きました。クールモアで種牡馬となり、アイルランドとオーストラリアで供用され、05年からシャトル種牡馬となってアルゼンチンでも供用されました。亜年度代表馬 Lingote de Oro をはじめ多くの活躍馬を送り出し、2010年に同国のリーディングサイアーとなっています。Natalma のファミリーに属し、かつ Natalma のクロスを持ち、Ribot 系の血を持っているので、大種牡馬デインヒルと配合構成が似ています。父 Lure は「Danzig×Alydar」なのでジェンティルドンナの母の父 Bertolini と同じ組み合わせです。





ディープインパクトは柔らかさを伝える種牡馬で、馬体のサイズは小さく、晩成傾向も見られます。したがって、大柄、早熟、硬質なアメリカ血統を入れるのは常套手段で、Storm Cat やフレンチデピュティとの相性の良さはそうした部分が大きいと思います。Danzig、Alydar、Northern Dancer クロスを持つ母マルペンサは配合相手として申し分ないところで、前述のとおり Lure と Bertolini は同じ組み合わせなので、マルペンサとドナブリーニ(ドナウブルーとジェンティルドンナの母)は配合構成がやや似ています。



また、ヴィルシーナ&ヴィブロス姉妹の母ハルーワスウィートとも似た構成です。サトノダイヤモンド自身は Halo を3本持っていますが、アルゼンチンの重厚なファミリーに属し、なおかつ Devil's Bag とサザンヘイローというダート短距離を主戦場とするパワフルな種牡馬を経由しているので、軽すぎたり浮ついたところはありません。



レースセンスが抜群で、距離は万能。道悪にも対応します。クラシックが終わってみれば、これほどの馬が一冠しか取れなかったことに今年の3歳世代のレベルの高さを感じます。JRAが発表した公式レーティングを見ると、皐月賞、日本ダービー、菊花賞はいずれも過去最高のレースレーティング。古馬相手でもいい勝負をするでしょう。

2着レインボーライン(9番人気)はここにきて充実しています。札幌記念(G2)3着の成績が伊達ではないことを示しました。3000mではどうかと考えて無印にしてしまいましたが、中盤に流れが緩み、スタミナの絶対量で勝負が決するといったタフなレースにならなかったことも良かったですね。






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