パーフェクト種牡馬辞典


土曜日のロンシャン


土曜日のロンシャンは14時30分が第1R。日本のこの時刻は第9Rぐらいですからスタイルがまったく違います。ランチを食べたあと、そろそろ競馬が始まるから行こうか、といった感じです。

朝、ホテルを出たあと、どこへ行こうか考えたのですが、いい案が浮かばなかったのでモンマルトルの丘を登ることにしました。頂上にサクレクール寺院が聳える有名な観光地で、パリを訪れる人はたいてい一度は来る場所です。およそ10年ぶりぐらいにやってきたのですが、まったく変わっていません。パリを一望できる眺めが最高です。



頂上界隈は、カフェ、土産物屋、似顔絵や風景画を売る店が建ち並び、世界各国の観光客でごった返しています。裏側は、ユトリロなどの画家たちが好んで題材に取り上げた階段の風景です。左下にお熱い二人が写っておりました。すみません。



丘の上がり下りはもはや登山の領域です。気がつけばお昼時。運動をしたせいでいつも以上に空腹感を覚えたので、メトロでモンパルナスまで行き、「とんかつとんぼ」でフィレかつ定食を食べました。「ヒレかつ」ではなく「フィレかつ」がフランス流表記?です。



女将さんが日本人なので日本語が通じます。パンに飽きて和食を食べたいけれど、寿司や焼き鳥などの定番メニューもちょっとなぁ……という方のための心強い味方です。衣をつけた肉の塊を比較的低温の油で長時間じっくり揚げるタイプのカツは、たしか箱根の強羅あたりで食べて美味しかった記憶がありますが、こちらのカツも負けていません。おかわり自由のご飯をおかわりし、たいらげると登山の疲れも癒やされました。

そうこうしているうちに、思ったよりも時間がなくなってきたので、タクシーで競馬場へ。例年と同じく、入口付近には入場券を求める長蛇の列ができていました。

この日組まれた重賞は4つ。馬場状態はGOOD。

第1R ショードネイ賞(G2・芝3000m)
第3R ロワイヤリュー賞(G2・芝2500m)
第4R ドラール賞(G2・芝1950m)
第6R ダニエルウィルデンシュタイン賞(G2・芝1600m)

『レーシングポスト』紙は、今年の凱旋門賞の主役である Treve に紙面を割いています。いよいよだなぁと実感が湧いてきます。



第1Rのショードネイ賞はアガ・カーン四世殿下の Vazirabad が実績的に抜けており、馬券的に堅すぎて買えないので見るだけとしました。誰もが思ったとおり Vazirabad が快勝。

第3Rのロワイヤリュー賞も、アガ・カーン四世殿下の Candarliya が快勝。前走はヴェルメイユ賞(G1)で Treve の2着ですから、そりゃ勝つでしょうという結果です。せっかく来たのに見ているだけではつまらないので、単勝30ユーロ投入。しかし、1.7倍しかつきませんでした。第1Rに続いてスミヨン騎手の手綱です。大本命馬に乗って“負けづらい騎乗”をさせたら天下一品ですね。2着馬は Lady of Kyushu。「九州の女」でしようか。





アガ・カーンが幸先良く連勝し、今年の仏平地リーディングオーナー争いのトップを固めています。ただ、表彰式に彼の姿はなく、娘のザーラ王女が代理でカップを受け取っていました。どこかお体でも悪くされたのでしょうか。

Candarliya の表彰式の人混みの外に、アレック・ヘッドの姿が見えました。今年91歳。先月号の『サラブレ』の連載でも取り上げましたが、フランス競馬史に名を残す名調教師であり、フレディ・ヘッド調教師やクリスティアーヌ・ヘッド調教師の父であり、Treve を生産したケスネー牧場のオーナーであり、セリで Riverman と Lyphard を発掘してフランスに連れてきた人物でもあります。昨日のエントリーで取り上げたアリ・カーン殿下(アガ・カーン四世殿下の父)の馬を預かったことでも知られ、彼が交通事故で死ぬ数時間前、ロンシャン競馬場で言葉を交わしています。



生ける伝説ですから、さっそくテレビのリポーターに捕まり、インタビュアーの質問に何ごとか熱心に答えていました。インタビューが終わったらまた別のインタビュー、といった調子です。杖はついていたもののお元気そうで、とても91歳には見えません。

第4Rのドラール賞には9歳馬 Cirrus des Aigles が登場。G1を7勝している名馬にこんな呼び方は失礼かもしれませんが、わたしのなかでは“ミスター・ドラール賞”ですね。2010年から6年連続の出走で、過去5年間の成績は[3−1−0−1]。唯一の着外は昨年の1位入線→5着降着です。

凱旋門賞ウィークの名物男であり、ファンの支持があるので馬券はこの馬から売れます。しかし、正直なところ衰えは隠せず、なおかつ、向いているとはいえない堅い馬場ですから、どう考えても怪しい人気馬です。馬券は、Cirrus des Aigles を外して10ユーロずつ4頭のボックス買い(計60ユーロ)。

直線半ばで Cirrus des Aigles の脚いろが鈍ったときにはもう当たったと思ったのですが、2着にノーマークの馬が突っ込んできて不的中。残念な結果となりました。勝ったのは Free Port Lux。ジャルネ騎手がうまく仕掛けを遅らせて差し切りました。名人芸とはこのことでしょう。勝ちタイムは1分59秒58。ドラール賞で2分を切る時計はなかなか出ないので、馬場はかなり速いですね。



第6Rのダニエルウィルデンシュタイン賞は6頭立てで、勝ち負けに持ち込めそうなのは3頭。馬券の買い方を工夫する必要があったので、堅い馬場が得意な昨年の英1000ギニー馬 Miss France から極力点数を絞って2点買い。狙った3頭が上位を占めたのですが、Miss France は半馬身差の2着に敗れました。



勝った Impassable(手前のゼッケン4番)は3歳牝馬で重賞2勝目。ボワ賞(仏G3)を勝った Gwenseb の娘で、2歳の半弟 Attendu はラロシェット賞(仏G3)を勝っており、日曜日のジャンリュックラガルデール賞(仏G1・芝1600m)に出走を予定しています。これから伸びる馬でしょう。



日本馬が出ないため、今年は例年に比べて日本人の姿がほとんど見られません。マスコミの取材陣も同様です。ただ、来年のドゥラメンテ遠征を見据えたものなのか、堀宣行調教師はお見かけしました。来年の凱旋門賞はシャンティイ開催ですが、調教はもちろんシャンティイでしょうから、下見やその他いろいろあるのでしょう。




ニジンスキー、アリ・カーン、サンクルー


まだ夜の明けない5時に起床し、3時間ほどかけて予想の仕事を片付けたあと、ホテルの朝食を摂り、さてどこへ行こうかと考えを巡らしました。サンクルー競馬場の第1Rは13時20分。それまで暇を潰さなければなりません。

思いついたのがモンマルトル墓地へ行くこと。ホテルから歩いて行ける距離にあり、まだ行ったことがないので、散歩がてら行くことにしました。広大な敷地のなかに有名無名を問わず多くの人々が眠っています。有名人の墓を目当てにやってくる観光客も多いので、地図と人名を組み合わせた表示板が墓地の入口付近にあります。埋葬されている著名人をアルファベット順に並べ、それぞれに数字を振り、地図のなかに数字を示してその墓の在処が分かるようにしてあります。

リストをつらつら眺めていてぱっと目に入ったのが Nijinsky。馬名として馴染みのある綴りは脳が最優先で認識するようで、職業病の一種といえるでしょう。

道の両側に無数の墓石が並び、そこに朝の木漏れ日が射しています。19世紀に建てられた古い墓は、表面が摩耗したり苔が覆っていて文字が読み取れません。最近建てられた墓も少なくなく、なかには2015年没、といったものもありました。



ときどき鳥の鳴き声が聞こえるだけの静かな道を歩いていくと、目的のヴァーツラフ・ニジンスキー(1890〜1950)の墓がありました。入口から遠く離れたところです。彼をかたどった像が墓石の上に据えられたとてもユニークなものです。のちにサラブレッドに自分の名がつけられ、英三冠を制して競馬史に名を刻むことになるとは、本人は夢にも思わなかったでしょう。



サンラザール駅の一番線ホームから国鉄(SNCF)の L-Line に乗ると、サンクルー競馬場の最寄りとなるヴァルドール駅まで一本で行けます。時間的に余裕があったので、ヴァルドール駅を降りてから競馬場入口とは逆となる北方向へ歩き、モンヴァレリアン通りとアンリセリエ通りの交差点へ行きました。

1960年5月12日夜、この場所でアリ・カーン殿下が車を運転中に正面衝突を起こし、48歳で亡くなりました。



彼は世界一のプレイボーイと呼ばれ、父アガ・カーン三世殿下から引き継いだ競馬事業では並々ならぬ才覚を示し、ヨーロッパの大レースを次々と制覇していきました。死んだとき、Petite Etoile、ヴェンチア、Sheshoon、Charlottesville をはじめとする現役馬を所有しており、その他の多くの種牡馬や繁殖牝馬ともども息子に引き継がれました。いうまでもなく現在世界のトップを争う大オーナーブリーダーであるアガ・カーン四世殿下です。今年の凱旋門賞には Dolniya を出走させます。

事故現場には55年前の痕跡は何ひとつ残っていません。胸のなかで手を合わせてその場を立ち去りました。

本日のサンクルー開催の見どころは、第1Rと第3Rに組まれた牝馬と牡馬の新馬戦。これだけを観に来ました。

第1Rのアレダムール賞(芝1600m)。牝馬の新馬戦です。1番 Maquette は父が Tapit で、母がG1を2勝しているアメリカ産馬。2番 Beshara はベーカバドの全妹。7番 Classe Vendome は仏2000ギニー馬 Style Vendome の半妹。9番 Batlady はベリファ≒Madame Belga 4×2、という味な配合馬。良血馬揃いのハイレベルな一戦だろうと推察されます。

この4頭を組み合わせた馬券を買おうと思ったのですが、パドックを観てから窓口の列に並んだところ、前のほうでお爺さんがモタモタしていて締め切り間際になってしまい、仕方なくオーダーが簡単な4頭の単勝だけを買うことにしました。ほとんど出走直前で、馬券を受け取ってすぐにスタンドまで走ると、ちょうどスタートが切られたところでした。

結果は1番 Maquette の快勝。道中最後方から直線で大外に持ち出し、鮮やかに差し切りました。先頭の芦毛が Maquette です。



芝でこんな脚を使った Tapit 産駒は見たことがありません。母 Announce はオペラ賞とジャンロマネ賞(いずれも仏G1)の勝ち馬。Tapit は昨年の米リーディングサイアーで、アメリカのダートで強いタイプ。こんな産駒を出せるようならヨーロッパ勢がセリで Tapit 産駒に狙いを定めるかもしれません。来年の仏1000ギニーの話をするのは気が早すぎですが、順調に成長すれば楽しみです。
http://www.pedigreequery.com/maquette7



馬券は1番を買っていたので的中。しかし、配当は3.1倍だったのでトリガミです。単勝4点買いなどという馬鹿な買い方をしてはいけません。



第3Rのシャポールージュ賞(芝1600m)。牡馬とセン馬による新馬戦です。血統的には Floodlight が抜けています。父 Medaglia d'Oro はアメリカを代表する種牡馬の1頭。母 Flashing は A.P.Indy の娘で、テストSとガゼルS(いずれも米G1)の勝ち馬です。

父系は Sadler's Wells にさかのぼるといっても、ガチガチのアメリカンサイアーで、母の父も A.P.Indy。しかし、この馬以外は大きくレベルが落ちるので自信の単勝1点買いです。

結果は Floodlight の快勝。好位の外につけて危なげなく抜け出しました。ここでは地力が違います。



「Medaglie d'Oro×A.P.Indy」という組み合わせは Plum Pretty(ケンタッキーオークス、アップルブラッサムH)と同じ。ただ、2代母が 「Machiavellian×Danzig×Key to the Mint」なので、芝もこなす下地がありました。
http://www.pedigreequery.com/floodlight7



馬券は10ユーロを一点買いで的中。買ったときは4〜5倍ぐらいのオッズでしたが、払い戻しは24ユーロ。単勝2.4倍の堅い決着でした。



土曜日のロンシャンはG2が4レース組まれています。いずれも少頭数ですが、ドラール賞(仏G2・芝1950m)に Cirrus Des Aigles が出走するなど、楽しいレースが繰り広げられそうです。




パリは晴れ


今年もまたフランスに来ております。旅の予約をした後に、凱旋門賞に出走予定だった日本馬が1頭また1頭と戦線離脱していき、最後の頼みの綱だったルージュバックも回避が決定。とうとうゼロとなってしまいました。日本馬が出ない凱旋門賞は09年以来6年ぶりのことです。

それでも、Treve の3連覇が成るかどうかなど、見どころはそれなりにあります。現時点のウィリアムヒルのアンティポストは以下のとおり。

Treve    2
Golden Horn 5
New Bay   6.5
Found    17
Free Eagle  17
Flintshire  21

単勝一桁台の人気馬は3頭。そのなかで Treve の人気が抜けていますが、少し前に比べて Treve の人気が若干下がり、Golden Horn が上がっています。Jack Hobbs、Postponed は回避し、前者は英チャンピオンS(G1)に回る予定です。

パリの天候は晴れ。夜になると気温がぐっと下がります。画像はサンラザール駅の広場です。





社台スタリオンステーション訪問(後)


9月15日は再び社台スタリオンステーションへ。2015年の撮影ノルマは20頭。早ければ3〜4日で終わりますが、どうしても天候に左右されますし、馬によっては時間が掛かってしまうので、そう簡単ではありません。

この日は、ハービンジャー、ベルシャザール、エイシンフラッシュ、ワークフォース、ノヴェリスト、ロードカナロアを撮影しました。開始時間が遅かったわりにスイスイ進みました。

ハービンジャーは、暖かな陽気に馬の緊張も緩んだのか、突如ペニスが膨張してきて撮影ストップ。スタッフは手慣れたもので、水を入れたバケツとひしゃくを持ってきました。水をかけることで収まるのだそうです。実際にかける前に小さくなったので、程なく撮影が再スタートしました。

たとえば立ち姿の撮影では、スチール写真の場合、静止ポーズが一瞬でもあればそこでシャッターを押して終了するのですが、この仕事はビデオ撮影なので、静止した状態を6秒ほど持続させる必要があります。これが大変です。彫像のようにじっと立ち続ける馬は稀で、たいていは集中力が続かず、きょろきょろしたり、脚の位置をずらしたりしてしまいます。

それを防ぐため、馬がポーズを作った瞬間、馬の目線の先で、スタッフが奇声を発したり、音の出るオモチャを鳴らしたり、あらかじめ録音しておいた馬のいななきを再生したり、旗を持って揺らしたり、帽子を振りながらジャンプしたり……と、あらゆる手段で馬の注意を惹きます。馬がそれに興味を持ってじっと観察することで集中力が生まれ、余計ないたずらをしなくなり、静止状態が保たれるわけです。ビデオに収められるのはこのようなカットです。



……そして、フレーム外はこんな様子です。



立ち姿の画像や映像には、それなりの手間が掛かっています。

撮影の合間に、放牧地や種牡馬厩舎を見て回りました。9月4日に到着したばかりのフェノーメノが事務所脇の放牧地で元気に歩き回っていました。先週水曜日(9日)に報道陣向けのお披露目を済ませています。ステイゴールド系の大きな柱になれるでしょうか。



キングカメハメハとディープインパクトは馬房のなかで休憩中。干し草を食べてリラックスしています。キングカメハメハは13年から種付け数を制限していますが、種付けをすると大事な部分が痛くなるために数をこなせない、とのことです。体調そのものに問題はなく、元気そうです。

前日、史上31頭目の顕彰馬に選出されたオルフェーヴルは、放牧地でのんびりと遠くを眺め、こちらに気付くと寄ってきました。種付けで慌ただしい春とは違い、この季節は何をするわけでもなく一日中のんびり過ごしています。



この日の最後の撮影馬はロードカナロア。顕彰馬選定記者投票では次点に終わりましたが、選出されるのは時間の問題です。父キングカメハメハ譲りのまじめさがあり、聞き分けがいいですね。オーストラリアのスピード型種牡馬のような四角い馬体をしており、トモの肉付きは素晴らしく、動きは機敏で運動神経の良さを感じさせます。この日撮影したハービンジャー、ワークフォース、ノヴェリストといった欧州芝2400mタイプとは明らかに馬の作りが違います。



撮影を済ませると、地面に首を伸ばして延々と草を食べていました。食欲は凄いですよ、と担当の方は説明してくださいました。

12日間にわたる北海道滞在はこの日で終了。美野さん、長谷川さん、そして訪問した種馬場・牧場関係者の皆さま、どうもありがとうございました。心から感謝申し上げます。撮影した種牡馬映像は、日本競走馬協会のホームページの右下方、「Stallions in Japan 2015」で観ることができます。現在閲覧可能な動画は昨年またはそれ以前に撮影したもので、今年の映像は来年アップロードされるはずです。
http://www.jrha.or.jp/index.html




社台スタリオンステーション訪問(前)


9月14日は、朝起きると窓の外が白く、一瞬雪が降っているのかと思いましたが、そんなわけはなく、よく見ると霧でした。太陽が昇るとだんだん晴れてきました。



千歳から安平町の社台スタリオンステーションまでは車で約30分。日高にある種馬場までは最低でも1時間以上かかるので、移動の負担は小さくて済みます。訪れるのは1年ぶりです。

午前中にダノンシャンティ、スマートファルコン、ゴールドアリュールを、午後にジャスタウェイ、ヴィクトワールピサ、ディープブリランテを撮影しました。

ジャスタウェイは新人にもかかわらず聞き分けがよく、ポーズを取るのも上手で、まるでベテランのようでした。幼少時、前肢の格好がよくなかったので、2010年のセレクトセール1歳ではハーツクライの牡馬にしては比較的安値で取引されたのですが、結果的に、そうした弱点が問題にならないほど他の部分が良かったということです。それが産駒に伝わればトップを争う名種牡馬となってもおかしくありません。



午後3時からロードカナロアの種付けを見学しました。南半球で走らせる産駒を作るために、ごくわずかではありますが、特別にこの時期に種付けを行っています。今年、父キングカメハメハの記録を抜いて歴代ナンバーワンの交配数を記録したそうです。生産者からの支持は絶大です。



帰り際、アメリカへ帰国する直前のウォーエンブレムに会ってきました。種馬場から車で数分のところにある放牧地で草を食んでいました。



昨年、担当する筒井裕司さんにじっくりお話をうかがう機会があったのですが、こんなに頭のいい馬は他にいないとおっしゃっていました。普通に種付けができていればリーディングサイアーになっていたのでは、とも。少ない産駒からG1馬2頭を含む10頭近い重賞勝ち馬を出し、秋華賞を勝ったブラックエンブレムはブライトエンブレム、アストラエンブレムを産んで繁殖牝馬としての評価を高めています。

アメリカへ帰国後は、ケンタッキー州にある功労馬施設で余生を送るそうです。




日高SS、奥山牧場・育成センター訪問


9月10日は、まず浦河町の日高スタリオンステーションでダノンバラードを撮影。台風の影響で風が強まっており、ウォーキングまではなんとか撮ったものの、立ち姿の撮影を残してやむなく中止となりました。たてがみや尻尾が強風に煽られて巻き上げられてしまうため、撮影には不向きです。

日高スタリオンステーションは海沿いの高台にあり、風を遮るものがありません。入口から太平洋を望むと強い風を感じます。海岸線に沿って伸びる国道235号線を走っていると、やはりふだんの日よりも海のうねりが高く、波頭が激しく岸壁に砕けていました。



新冠町の優駿スタリオンステーションを再訪し、撮り残していたサダムパテックを撮影。こちらは短時間で終了しました。

昼食は幸王(静内)のポークステーキ。ひだかホエー放牧豚はうまみが違います。そのあとジェイエスへ寄り、カタログなどをいただいたあと、日高町正和の奥山牧場・育成センターへ。日高町厚賀から内陸へ約15km、山々に囲まれた場所にあるせいか、風はほとんど感じません。当歳馬や1歳馬をいろいろ見せていただきました。



起伏のある放牧地のなかで遊ぶ1歳馬たち。その光景は眼福の一語です。サラブレッド生産は産業であり、お金や名誉をもたらす優れた馬を求め、調教師や馬主は北の大地を東奔西走します。しかし、彼らを馬産地へと向かわせるモチベーションの一端には、こうした美しい光景に身を浸したいという願望もあるのではないでしょうか。案内していただいた奥山昌志さんに「綺麗な牧場ですね」と言ったところ、「この先にあるノースヒルズはもっと凄いですよ」。

ノースヒルズの牧場風景は、同牧場のサイトに川井博さんが撮影した写真が多数アップロードされています。川井さんのfacebookでもご覧いただけます。極限の美とはこのことでしょう。

恵庭温泉ラ・フォーレに寄ってホテルに戻り、夜は千歳の金太郎寿しで美野さん、長谷川さんと乾杯。毎食美味しいのでついつい食べ過ぎてしまいます。



11日金曜日は牧場めぐりの予定はなく、1日中原稿仕事です。




ビッグレッドファーム訪問


仕事が終わったあと、静内に移動して食事→飲み。美野さんが声を掛けて集まっていただいた若手生産者との会話が盛り上がったため、ホテルに帰ったのは真夜中を過ぎていました。酔いの回った身体をベッドに投げ、グーッと伸びをしたら、そのまま意識を失って朝になっていました。

そろそろ本日の撮影に出発しなければならないので、9日の行動をごく簡単に振り返っておきます。

訪問したのはビッグレッドファーム。3頭撮影しました。メインイベンターはアイルハヴアナザー。2012年の米二冠馬(ケンタッキーダービー、プリークネスS)で、日本に導入されると発表されたときには大きな話題になりました。来年の夏、産駒がデビューします。



まだ6歳馬ですから馬は若いですね。性格は前向きで、少々怒られてもへこたれないガッツがあるとのこと。3歳夏にやってきた当初は、馬体もガレていたのですが、3年経って幅が出て、背も高くなって種牡馬らしい身体つきになったそうです。動きに柔らかさがあり、ツナギも長く、芝でもやれそうな印象を受けました。

ビッグレッドファームのあとは、ハシモトファームで当歳馬を見て、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションで撮り残した馬の撮影をし、オリオンファームでブレイクランアウトを見学しました。

ブレイクランアウトは配合的に好きな馬で、出てくれば毎回馬券を買っていた記憶があります。着実に評価を高めて成功してほしい種牡馬です。眼が澄んでいてきれいでした。






優駿SS、イーストスタッド訪問


9月8日は、午前中に新冠の優駿スタリオンステーション、午後に浦河のイーストスタッドを訪問しました。この日、DVD撮影をした4頭の種牡馬のなかに、今回の旅で見たかったヘニーヒューズ(優駿SS)とダンカーク(イーストスタッド)が含まれていました。

新潟記念のレース回顧で、「社台スタリオンステーションにいま欠けているのは、ジェイドロバリーやエンドスウィープのような、非サンデー&非 Kingmambo のスピード型アメリカ血統ではないか」と記しましたが、ヘニーヒューズとダンカークはまさにそのタイプです。

優駿スタリオンステーションに繋養されているヘニーヒューズは、いまアメリカでG1を勝ちまくっている女傑 Beholder の父。すでにマル外として入ったアジアエクスプレス、ヘニーハウンド、ケイアイレオーネが重賞を勝ち、先週日曜日も新潟の両津湾特別(500万下・ダ1800m)でゴドリーが圧勝しました。いま日本で走っている馬たちは、アメリカのパワー型牝馬から誕生しているわけですが、それでも芝・ダートを問わず走っています。日本の繁殖牝馬を相手にすれば芝路線で活躍する産駒も問題なく出せるはずです。



近づきがたい威厳があり、馬体は充実した筋肉に覆われて力強いですね。性格はややうるさく、食べることが好きで、種付けは上手とのこと。ノーザンファームからも繁殖牝馬が送り込まれてきたそうです。

イーストスタッドのダンカークは、2013年の北米新種牡馬チャンピオン。その前にアメリカ側から買わないかというオファーがあり、イーストスタッド側が応じたようです。新種牡馬チャンピオンになってからでは買えなかったのではないでしょうか。

契約には買い戻しの条項もあるそうなので、ずっと日本にいられるかどうかは分かりません。契約年数が切れたら、日本に留まるのかアメリカへ戻るのか協議されるのでしょう。



全身真っ白の綺麗な芦毛。アメリカ馬らしくパワーを感じさせる馬体です。おとなしい馬で、人の言うことはよく聞くそうです。スピードと仕上がりに関しては何の不安もありません。これだけの馬なので周囲の期待も大きく、なんとか成功させたいと場長はおっしゃっていました。

優駿SSからイーストスタッドへ移動する途中、国道235号沿いにある東静内の「あさり浜」で海老天丼を食べました。活きのいい大きな海老が4本、丼からはみ出ており、これで1150円ですから安いですね。もちろん美味。あっという間にたいらげました。



種牡馬撮影が終わったあとはディアレストクラブに寄って元同僚の田中貴英さんと歓談。そのすぐ目の前にあるBTCを見学し、あまりの広大さに感嘆しました。




ブリーダーズ・スタリオン・ステーション訪問


美野真一さんのご好意に甘え、今年も種牡馬のDVD撮影の現場に同行させていただきました。カメラマンは長谷川貴士さん。本日訪問したのは北海道沙流郡日高町にあるブリーダーズ・スタリオン・ステーションです。

撮影したのは、ブラックタイド、ローズキングダム、トーセンホマレボシ、アッミラーレの4頭。

馬にはそれぞれ個性があり、おとなしいもの、うるさいものなどさまざまです。人間が思うとおりのポーズをすぐに作ってくれることは稀で、美野さんに伺ったところ、過去、最もスムーズに撮影が終了したのはキングカメハメハの15分ほど。おそらく賢いのでしょう。1時間以上かかることはザラで、本日も粘り強くカメラを回し続けました。

撮影した馬のなかで最後のアッミラーレは途中で日没サスペンデッドとなり、後日あらためて、ということになりました。

4頭のうち、今年最も種付け頭数が多かったのはブラックタイド。約190頭に交配しました。テンションは高めで、気が強いところがある反面、とても賢く、種付けも嫌がらずに真面目にこなすとのこと。キタサンブラックがスプリングS(G2)を勝ったあたりからグンと種付け申し込みが増えたそうです。日本ダービーに3頭出走したインパクトは大きいので、種付け料次第では来年はもっと増えるかもしれません。ディープインパクトの1歳上の全兄なので今年14歳です。



撮影の前、平取町にあるサイレンススズカの墓に立ち寄り、3人で手を合わせてきました。稲原牧場の敷地内の、木立に囲まれた静かな一角に墓所がありました。この馬が種牡馬となっていたら日本の血統地図は少なからず変わっていたでしょう。






札幌競馬場に来ています


札幌パルコ内のスタバで予想の仕事を片付けたあと、競馬場へ。水曜日に84.5ミリという大量の雨が降った影響で馬場コンディションは芝=稍重、ダート=重。11時ごろに通り雨があり、その後は日射しが出てきたり、雲に隠れたり、の繰り返しです。東京の肌感覚でいえば10月ぐらいの気候ですね。陽が翳って風が強くなると寒いくらいです。



第5Rの新馬戦(芝1500m)は Kitten's Joy 産駒の外国産馬キングライオンがロケットスタートを決め、ハナ差でぎりぎり逃げ切りました。パドックでは馬っけを出したり、鳴いたり、若さ丸出しでしたが、レースではしっかり能力を出しました。



父は2013年の米リーディングサイアーで、Roberto とのニックスが有名ですが、日本で走らせる場合、Roberto クロスは少々重いので、もう少し軽い配合のほうがいいような気がします。母方に Storm Cat が入る配合も走っており、Stephanie's Kitten(フラワーボウルSなど米G1を3勝)や Bobby's Kitten(ブリーダーズCターフスプリント)などが出ています。キングライオンはこのパターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013110021/



今日と明日は、競馬が終わったあとに会食する予定なので、当日夜の重賞回顧は余力があれば……という感じになります。






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