パーフェクト種牡馬辞典


エリザベス女王杯はスノーフェアリーが連覇


 大逃げのシンメイフジ(18番人気)が7着に粘り、好位勢がそのまま上位に雪崩れ込んだので、前に有利な展開でした。○スノーフェアリー(1番人気)は上位に食い込んだ馬のなかでは最も後ろに位置し、メンバー中最速の上がり33秒8の豪脚で馬群を割りました。馬場が悪いインを通ってあの脚勢ですから能力が違いましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=DeXK4VyOn_g


11月12日のエントリーでも少し触れましたが、今年のスノーフェアリーは勝ち星こそないものの、牡馬の一線級と差のない競馬をしており、昨年よりも明らかにパワーアップしています。ローテーションと枠順。これが付け入る隙だったわけですが、死角になりませんでした。ジャパンCに出ていても勝ち負けに持ち込んでいたと思います。配合については昨年の当レースを勝った際に記しているので転載します。


「Snow Fairy はおもしろい血統です。父 Intikhab、母の父 Charnwood Forest、2代母の父 Marju、3代母の父 Persian Bold はいずれもマイラー。にもかかわらず、自身は英オークス(G1・芝12f10yds)と愛オークス(G1・芝12f)を連勝し、秋には英セントレジャー(G1・芝14f132yds)に挑戦しました。


パッと見はマイラーという配合で、アメリカのスピード血統も多く含まれています。したがって、脚の回転は速く、それが日本向きの軽快さとなって表現されているではないかと感じました。ただ、日本馬のようなしなやかさはなく、そのフットワークはパワーに任せて収縮を繰り返す力強いピッチ走法です。このあたりは父 Intikhab によく似ていると思います。


父 Intikhab は、Red Ransom を経て Roberto にさかのぼる系統。4歳春にデットーリ騎手とのコンビでダイオメドS(英G3・芝8f114yds)を5馬身差、クイーンアンS(英G2・芝8f)を8馬身差で連勝しました。インターナショナルクラシフィケーションでは130という高評価を与えられています。ただ、種牡馬としては期待ほどの成績を挙げているわけではありません。」



アイルランド産馬ですが、父はアメリカ産馬で、母にもアメリカ由来の血が多く入っており、このあたりが軽い馬場に対する適性の根拠でしょう。Intikhab の子はスノーフェアリー以外、日本では1頭も走ったことがありません。


エドワード・ダンロップ調教師はイギリスきっての国際派として知られています。11月1日に豪フレミントン競馬場で行われたメルボルンC(G1・芝3200m)に、管理馬の Red Cadeaux を送り込んだものの写真判定の末にハナ差2着。非常に悔しい思いをしました。それだけに今回の勝利は嬉しいでしょう。


ちなみに、Red Cadeaux の父はスプリンターの Cadeaux Gerereux。こういう血統をステイヤーとして走らせているのは、もともとそういう素質があるのかは育て方に独特の手法があるのか判りませんがユニークです。一見マイラー血統の Snow Fairy が長い距離を苦にしないこととも微妙につながっているような気がします。



2着▲アヴェンチュラ(2番人気)は完全な勝ちパターンでした。相手が悪かったとしか言いようがありません。いったん交わされたあと差し返しに行っているところが非凡です。スノーフェアリー相手にクビ差ですから有馬記念に出てきても勝負になりそうです。


◎フミノイマージン(8番人気)は8着。上がり34秒3はスノーフェアリー(33秒8)、アヴェンチュラ(34秒2)に次ぐ3番目の速さでした。追い込みタイプだけに今回のような展開はつらいですね。これで人気が下がるようなら次走は楽しめそうです。





京王杯2歳Sはレオアクティブ


 後方待機のレオアクティブ(5番人気)が大外を突き抜けました。気持ちのいいゴボウ抜きでしたね。ただ、個人的な予想は1、2着馬とも無印で、本命は11着のエーシンブラスター(8番人気)ですから、まったく気持ちよくありません(笑)。完敗でした。
http://www.youtube.com/watch?v=oFfIEtadQpk

昨日のエントリーでお知らせしたように、東京競馬場のセンターコートで行われた「リアルタイム情報ステーション」に出演していたのですが、市丸博司さん、井内利彰さん、そしてわたしと、いずれもレース後は「う〜ん……」という感じで言葉が出ませんでした。

レース後、司会の竹山まゆみさんにコメントを求められて、1〜3着がすべて新種牡馬の子であること、レオアクティブの父アドマイヤムーンが非常に優秀であることを述べました。社台のバックアップなしにこれだけの成績を残すのは凄い、と。

レオアクティブは浦河町の谷口牧場の生産馬。もう1頭の重賞勝ち馬ファインチョイスは浦河町の富田牧場の生産馬です。

旧ブログ9月22日のエントリー「トウショウボーイの再来? アドマイヤムーン」で以下のように記しました。

「アドマイヤムーン産駒は幅広い配合パターンから勝ち馬を送り出しています。函館2歳S(G3)を勝ったファインチョイスは、母が『タイキシャトル×Capoteというスピード血統。こうしたタイプから2歳戦の活躍馬が出ることに関しては意外性はありません。

しかし、アドマイヤムーンの非凡な点は、Roberto、Graustark、Sadler's Wells、チャイナロックなど、重厚な血を抱えたやや鈍重とも思える牝馬からポンポンと勝ち馬を送り出していること。抜群の素軽さですね。社台系と比べると見劣りが否めない日高の牝馬が中心となってこの成績ですから立派です。もしこの先、何頭かのG1ホースを送り出すようならトウショウボーイの再来でしょう。」

レオアクティブは後者のタイプ。母の父は Sadler's Wells 系のオペラハウスです。オペラハウスは母の父としてかなり鈍重な性質を表しており、あまり成功しているとはいえません。こういう繁殖牝馬から2歳戦の重賞勝ち馬を出すわけですからアドマイヤムーンの素軽さは抜群です。2歳のこの時期ですから結論めいたことを言うのは憚られますが、着実にトウショウボーイへの道を歩んでいるように思います。


○モンストール(1番人気)は、坂路の追い切りでラスト1ハロン11秒5を出し、これは凄いなと思ったのですが、レース後の尾関調教師のコメントには「息遣いが苦しかった」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とあり、デキが本当ではなかったようです。直線では内にササって鞍上が追いづらいシーンが見られました。

◎エーシンブラスター(8番人気)は、ギアの持ち合わせが少ないという印象です。思ったよりも走りがワンペースでした。最後の直線で11秒2のラップを刻んだ地点でついていけなくなりました。





土曜日に東京競馬場のイベントに出演します


 11月12日(土)、東京競馬場のセンターコートで行われる「リアルタイム情報ステーション」に出演します。時間はだいたい14時30分ごろから16時30分ごろまで。司会は竹山まゆみさん、共演は市丸博司さん、井内利彰さんです。




ダンシングレインの血統


 主な勝ち鞍は、英オークス(G1・芝12f10yds)、独オークス(G1・芝2200m)、英チャンピオンズフィリーズ&メアズ(G2・芝12f)など。



戦績はそれなりに立派ですが、愛オークス(G1・芝12f)で完敗を喫したあと、一線級へのチャレンジを諦めて裏街道に回ったので、同じく英オークスを勝った昨年のスノーフェアリー(Snow Fairy)に比べるとはっきり一枚落ちます。スノーフェアリーは4歳を迎えた今年さらに成長し、勝ち星はないものの牡馬の一線級と互角の勝負に持ち込んでいますから、現時点における両馬の力量には大きな差があります。


母 Rain Flower は英ダービー馬ドクターデヴィアスの4分の3妹。良血だけあっていいものを伝えており、娘の Dancing Rain のほか、孫の代から Maybe(牝2歳)という名牝を送り出しています。Maybe は通算5戦全勝、モイグレアスタッドS(愛G1・芝7f)を含めて3つの重賞を制し、カルティエ賞の2歳牝馬部門の最有力候補です。



父 Danehill Dancer はマイラー型の種牡馬。これまで Speciosa(英1000ギニー)、Mastercraftman(愛2000ギニー)、Again(愛1000ギニー)などギニー戦線で良績を残してきました。産駒がオークスまたはダービーを勝ったのはダンシングレインが初めてです。


行って粘るという脚質どおり、近い世代にタメが利く血が希薄です。パワー型のスピードでグイグイ逃げてどこまで粘れるか、というタイプなので、並びかけられたらそこで終了でしょう。大逃げに活路を見出すしかありません。両前肢に熱を持って馬場入りを休んだという報道もあり、万全の状態でない可能性が高く、馬券的には買いづらいですね。


一方のスノーフェアリーは、昨年の勝ち馬ですから適性についてはあらためて説明するまでもありません。馬の能力は昨年よりもアップしています。大外枠でも普通に能力を発揮すれば勝ち負けでしょう。





キンカメ産駒の上級配合ハイクラウン


 ■日曜東京5Rの新馬戦(ダ1400m)は、2番手追走の◎ダイワミストレス(3番人気)が直線で楽々と抜け出し、後続に3馬身半差をつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=eG_XOELVPP8

予想は◎★で馬単11500円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ダイワミストレスは『ダイワメジャー×ホワイトマズル』という組み合わせ。これはダイワメジャーの代表産駒ダローネガ(デイリー杯2歳S−2着)と同じ。ヘイロー≒ラメニナ≒ターントゥリーズン3・5×4は、父の配合構成の中核を形成するロイヤルチャージャーとマームードを継続するものなので好感が持てる。ウィストラムの近親でありダートもこなすだろう。」


「ダイワメジャー×ホワイトマズル」は、これまでに3頭デビューしてすべて勝ち上がっています。JRAで勝ち上がったダイワメジャー産駒は計15頭ですから、まだサンプルが少なく偏りが生じやすい状況とはいえ、かなりの確率ですね。ホワイトマズルの父はダンシングブレーヴで、ダンシングブレーヴはサンデーサイレンスの父 Halo とニックスの関係にあります。ダイワメジャーはとりわけこのニックスが決まりやすい種牡馬なのかもしれません。予想文に「ヘイロー≒ラメニナ≒ターントゥリーズン3・5×4」とありますが、正しくは「Halo≒La Menina≒Drone≒Turn to Reason 3・5×4・5」なので訂正します。このほかオメガホームランも母方にダンシングブレーヴを持っています。

先週はこのほか、500万下のダート戦でもダイワメジャー産駒のメジャーアスリートが勝ちました。JRAの2歳戦は、6〜9月は芝とダートの割合が4対1、10〜11月は2対1、12月はほぼ1対1です。いまの時季はだんだんダート戦の割合が増えているので、ダートで目覚めるダイワメジャー産駒もだんだん現れてくるのではないかと思います。

芝でそこそこのレースをしたダイワメジャー産駒のダート鞍替え。これは狙い目かもしれません。母方にダート向きの血を抱えていればなおいいですね。ダイワミストレス自身は芝でもやれそうな血統ですが、その場合、やや決め手が甘いのかな……という気はします。

■日曜東京6Rの新馬戦(芝1800m)は、直線でいったん抜け出した◎ダイワネクサス(1番人気)を、外から○ハイクラウン(2番人気)が一気に差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=WZlbF3pW52E

決め手の有無が残酷なまでのコントラストとなって表れたレースでした。2着ダイワネクサスはダイワファルコンの全弟という良血ですが、走りがパワフルで弾けるようなフットワークではありません。一方、勝ったハイクラウンはシャープで軽い脚さばき。今回のようなスローの決め手勝負になれば後者が勝ちます。もし力のいる馬場やハイペースの粘り勝負になれば前者に分があるかもしれません。

ハイクラウンはニューイングランド(現種牡馬)の半弟。母が19歳時の産駒です。父キングカメハメハは「Nothern Dancer+Seceretariat」の構成を持つ血と相性が良好です。ローズキングダム(ローザネイ)、ロードカナロア(Storm Cat)、ベルシャザール(セクレト)、エオリアンハープ(シークレットシェアラー)、ビンテージチャート(Storm Cat)など、この組み合わせはよく目にします(カッコ内は Nothern Dancer+Seceretariat の血)。


キングカメハメハの母の父ラストタイクーンは「Northern Dancer+Mill Reef」。Mill Reef は前出の Secretariat と同じく Nasrullah と Princequillo の組み合わせなので、「Nothern Dancer+Seceretariat」と構成がよく似ています。共通点を分かりやすく示すために、ローズキングダムに含まれるラストタイクーンとローザネイを組み合わせてみます。


ハイクラウンは、母の父 Chief's Crown がこの「Nothern Dancer+Seceretariat」。まさにセオリーどおりの配合です。


ちなみに、ラストタイクーンに含まれる Sex Appeal は、La Troienne 牝系を重ねて成り立っている血ですが、ハイクラウンの2代母プレイメイトも同様の構成です。要するに、ラストタイクーンとクラウンフォレストは血統構成が非常によく似ており、緩めの解釈をすれば、ハイクラウンはラストタイクーン≒クラウンフォレスト3×1といってもいいでしょう。

キングカメハメハ産駒の配合としてはよく出来ています。サンデーの血を含まないにもかかわらずここまで切れるというのは想定外でした。上のクラスでも通用すると思います。







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