パーフェクト種牡馬辞典


マイルチャンピオンシップはエイシンアポロン


 朝から晴れていたものの、大量に降った雨の影響が残り、先に行った馬、内を回った馬が上位を占めました。1着△エイシンアポロン(5番人気)、2着フィフスペトル(11番人気)はまさにそうした競馬をした馬です。
http://www.youtube.com/watch?v=QRCqtRKB_zY

3着△サプレザ(4番人気)は上位勢のなかで唯一の二桁ゼッケンで、1頭だけ大外に回して飛んできました。もったいない競馬でした。

勝ったエイシンアポロンは「Giant's Causeway×Sadler's Wells」という組み合わせ。ヨーロッパ的なパワーに恵まれ、切れ味には欠けるものの粘り強いというキャラクターです。今回のような馬場や展開はぴったりでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110020/


父 Giant's Causeway は現役時代、アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属し、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝(セントジェームズパレスS→エクリプスS→サセックスS→英インターナショナルS→愛チャンピオンS)。“鉄の馬(アイアン・ホース)”の異名を取りました。種牡馬としてはヨーロッパと北米の双方でトップクラスの産駒を送り出し、『BloodHorse.com』の集計では09、10年と連続して北米繋養種牡馬のトップに立っています。ただ、産駒数の多さがモノを言っている部分も確かにあり、初期の産駒群に比べると質の面でやや低下してきているような印象もあります。今年は現時点で4位です。

レース後、松永昌博調教師と馬主側が報道陣に囲まれながら次走について立ち話をしていました。香港交際競走への出走を問われた松永昌博調教師は、芝2000mの香港カップにしか予備登録がないことを気にしている様子でしたが、馬主側は「主催者から招待されれば予備登録は必要はないはず」と語り、マイルに招待されることを期待している様子でした。エイシンアポロンは香港の粘っこい芝に向きそうなイメージがあります。同馬主のエイシンプレストンが01年に勝っているゲンの良さも見逃せません。期待したいですね。

池添騎手に関して週刊誌に書かれたことは、一方の言い分だけなので真偽は不明です。ただ、こういう騒動になると、どうしても気力が萎えてくると思いますし、じっさいにパドックでは野次られていました。このネガティヴな状況を跳ね返してアッサリG1を勝つのですから卓越した精神力です。やはり大舞台に強いジョッキーはひと味違います。

◎リアルインパクト(1番人気)は5着。福永騎手は「(馬場は)ノメるまではいかなかったけど、こういう馬場は初めてだし……」と語りました。ペースが遅かったので結果的にはもう少し前で競馬を進めるのがよかったのかもしれません。





東京スポーツ杯2歳Sはディープブリランテ


 不良馬場であることを考慮してもペースは遅かったと思います。そのため序盤は折り合いを欠く馬が続出しました。2番手を追走した○ディープブリランテ(1番人気)もその1頭。残り400m地点まで岩田騎手がなんとか辛抱し、ここでGOサインを出すと、解き放たれた猟犬のように加速し「11秒5」のラップを刻みました。不良馬場でこのスピードですから追いすがる馬はいません。最後の1ハロンは半分流しながら12秒2。後続に3馬身差をつける完勝でした。
http://www.youtube.com/watch?v=JVoxVDFQG7Q

心身ともに未成熟な2歳馬は、こういう酷い馬場になるとフォームがバラバラになってしまうことも珍しくないのですが、ディープブリランテは重心の低い安定したフォームを崩すことなくゴールを駆け抜けました。これは見事ですね。道悪が上手いのは確かですが、それ以前に単純に能力が抜けていたと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105084/


全姉ハブルバブルはフラワーC(G3・芝1800m)の2着馬。新馬戦を5馬身差で圧勝したあとの2戦目(500万下・芝1400m)は、距離不足に加えてイレ込みがキツく、これが4着凡走の敗因となりました。今回、ディープブリランテが行きたがったのは、スローペースのみに起因するものではなく、姉が一度使ってテンションが高くなったように、内面に何かしら高揚するものがあったのかもしれません。それでも楽勝するのですから器の大きさは歴然としてます。来春のクラシックに向けて世代の中心馬が登場した感が強いですね。

配合については、ハブルバブルが新馬戦を勝った直後の3月3、4日に、「ハブルバブルとブサック血統(前・後)」という2回にわたるエントリーを記しました。詳しい説明はそちらをご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/03/post-bd37.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/03/post-dc7f.html

といいつつ、それだけで流してしまうのも素っ気ないので、ごく簡単に数行にまとめてご説明します。

母ラヴアンドバブルズには、アガ・カーン四世殿下の Akarad と、彼が寵愛した Never Bend が近い世代に含まれています。この2つの血を結び付けているのはフランスの伝説的な名生産者マルセル・ブサックが創り出した血統です。ヨーロッパの重厚なスタミナ血統が豊富に織り込まれたラヴアンドバブルズは、本邦輸入種牡馬コンデュイット(ブリーダーズCターフ2回、キングジョージ六世&クイーンエリザベスSなど)とよく似ており、スタミナと底力に関しては申し分ありません。ダービー向きの堂々たるクラシック配合です。


重厚感を感じさせるフットワークは大物感たっぷり。2代母の父 Akarad は重馬場の凱旋門賞を勝った女傑 Akiyda の全兄で、高い道悪適性を伝えます。水かきがついているかのような今回の走りはこのあたりの影響ではないでしょうか。Crepello−Busted のラインをクロスさせたディープインパクト産駒は、現在5戦4勝のムーンリットレイクや2瀬1勝のダノンムーンなどと同じ。注目したい配合パターンです。
http://www.pedigreequery.com/akarad


配合的に高く評価している馬なので、『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で取り上げ、白夜書房で行われた「POG公開ドラフト」で指名し、netkeiba.com の「私のオススメ10頭」にも入れました。血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では○評価です。出走15頭中最も遅い5月8日生まれですから、まだまだ成長の余地は大きいでしょう。
http://www.miesque.com/c00005.html

◎エネアド(4番人気)は5着。良〜稍重の切れ味勝負ならディープブリランテを上回るだろう、との見立てでした。不良馬場まで悪化し、切れ味が削がれる馬場になってしまったのは残念でした。福永騎手は折り合いを欠いたことを敗因に挙げています。不本意な競馬ながら掲示板を外さなかったのは高い能力の証しです。この馬の実力はいずれ別の機会に証明されることでしょう。





きょうだいで重賞V


 ■11月16日(水)に船橋競馬場で行われた2歳重賞の平和賞(ダ1600m)は、ホッカイドウ競馬所属の牝馬エンジェルツイート(7番人気)が逃げ切って優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=GhXSTJFQ7xs

10月5日の鎌倉記念(川崎ダ1500m)もホッカイドウ競馬所属のニシノファイターが勝っており、南関東の2歳重賞は北海道勢強し、です。そのニシノファイターは今回の平和賞では4着でした。

平和賞は牝馬のワンツーフィニッシュでしたが、10月12日のハイセイコー記念(大井ダ1600m)も牝馬のワンツーフィニッシュだったので、今年の2歳世代は牝馬上位かもしれません。ちなみにハイセイコー記念を勝ったドラゴンシップは、平和賞ではなく11月11日に行われた牝馬限定のローレル賞(川崎ダ1600m)に回り、難なく快勝しています。エンジェルツイートとドラゴンシップの激突はおそらく大晦日の東京2歳優駿牝馬(大井ダ1600m)でしょう。エンジェルツイートはこのあと南関東に転厩するようです。

エンジェルツイートはタイキシャトル産駒で、半兄は兵庫の雄オオエライジン(黒潮盃、兵庫ダービー、岐阜金賞など9戦全勝)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101312/


母フシミアイドルは繁殖牝馬として優秀ですね。現役時代は船橋で走り1戦1勝。2着を9馬身ちぎる大楽勝でした。無事に競走生活をまっとうしていればかなりの活躍が期待できたのではないでしょうか。2代母フシミラッキーは道営の北海優駿(岩見沢ダ2600m)を制しています。

父タイキシャトルはどちらかといえば芝向きですが、配合次第ではメイショウボーラー(フェブラリーS)やサマーウインド(JBCスプリント)のようなダートの猛者も送り出しています。エンジェルツイートは母の2代目に Alydar とブレイヴェストローマンが並び、このあたりがパワーの源です。距離的にはマイル前後がベストでしょう。

■11月12日(土)に仏サンクルー競馬場で行われた2歳重賞のクリテリウムドサンクルー(G1・芝2000m)は、デビュー戦を勝ってここに臨んだ Mandaean(1番人気)が2馬身半差で優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=K3yYjHcJdqQ

逃げ切った10月16日のデビュー戦(芝1800m)は、鞍上が直線で何度も後ろを振り返り、最後は手綱を抑える大楽勝。その勝ちっぷりと、半姉にサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)を勝った Wavering がいるという良血が評価され、ここは圧倒的な1番人気でした。

直線で先頭に立つと、右へ左へ蛇行するというお行儀の悪さを見せましたが、内容的には完勝といえるものでした。
http://www.pedigreequery.com/mandaean2


父 Manduro はドイツで誕生し、フランス移籍後にイスパーン賞(仏G1・芝1850m)、プリンスオブウェールズS(英G1・芝10f)、ジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)などを制覇。1600mから2400mまで幅広い距離をこなしました。今年の2歳世代が初年度産駒で、秋になっても一向に活躍馬が現れず心配していたのですが、シーズン最後にG1を獲りました。クリテリウムドサンクルーは2000m戦なのでスピード検定としては機能せず、勝ち馬のその後を見るとやや苦戦の傾向が見られます。

前述のとおり Mandaean は半姉にG1馬 Wavering を持ちます。そして、Be My Guest≒Zawaahy 3×2というおもしろいクロスを持つので期待したいところです。来年は2400m路線でしょう。

■土曜日の東京スポーツ杯2歳S(G3・芝1800m)は、雨の影響が勝負を分けそうです。朝方のこの時間から降り始めたので、レース時の馬場状態は重に近い稍重ぐらいでしょうか。内伸びなのか外伸びなのか、前残りなのか差しが利くのか、といった馬場コンディションを確認してから馬券を買いたいところです。

上位人気馬の血統を見ると、上に活躍馬がいるものが目立ちます。中央も地方も、日本も海外も、基本的に良血馬が強い傾向は変わりません。





イモータルヴァースの血統


 これが円高効果なのか、この秋はハイレベルな欧州馬が日本にやってきています。3歳牝馬のイモータルヴァース(Immortal Verse)は欧州マイル路線のトップクラスの1頭です。http://www.pedigreequery.com/immortal+verse



周知のとおり今年の欧州マイル路線は Frankel という怪物が牛耳り、それ以外の馬はどうしても影が薄くなりがちですが、イモータルヴァースは2走前のジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)で断然人気の Goldikova を差し切り、ビッグネームの仲間入りを果たしました。このときはサプレザ(Sahpresa)にも先着しています。
http://www.youtube.com/watch?v=0NzSuVQ3Kpw

その前走、ロイヤルアスコットのコロネーションS(英G1・芝8f)を後方一気で差し切った際は、同じ3歳牝馬が相手ということもあり、展開や馬場に恵まれた部分があったのかな、という気がしていました。
http://www.youtube.com/watch?v=5Wvqu5Hzl4Q

初の古馬挑戦となった前述のジャックルマロワ賞は、鞍上のGOサインに応えて抜け出すときの脚が目を瞠るほど速く、展開など関係なくこれは相当な器であると認識を改めました。

父 Pivotal は Nureyev 系の名種牡馬で、英愛サイアーランキングでは一桁台が定位置。ベスト5に入ることも珍しくありません。スピードが最大の武器で、スプリンターやマイラーを多く出していますが、母方にスタミナを入れると Sariska(英オークス、愛オークス)のようなクラシックディスタンス向きの産駒も出します。引き出しの多い種牡馬といえるでしょう。
http://www.pedigreequery.com/sariska2



イモータルヴァースの母 Side of Paradise は「Sadler's Wells×Mill Reef」というクラシックタイプ。しかし、イモータルヴァース自身は Sariska のようにはならず、適正距離はマイルに落ち着きました。母は名種牡馬ラストタイクーンの4分の3同血です。

Pivotal 産駒も、その父 Polar Falcon 産駒も、日本に買われて走った数頭は凡庸でしたが、04年の京王杯スプリングC(G2・芝1400m)に出走したUAEのフィートソーファスト(Feet So Fast)は8番人気ながら3着に食い込みました。前肢の掻き込みの強い大型馬ながら日本の馬場にうまく対応しました。
http://www.pedigreequery.com/feet+so+fast



イモータルヴァースは、フィートソーファストとは比べものにならない大物なので、馬場適性さえあればまとめて面倒をみるだけの力はあるでしょう。堅い馬場を走った経験がなく、今回好走するには持ち時計を大幅に詰める必要があります。また、Nureyev≒Sadler's Wells 3×2も軽い馬場に向くクロスではありません。

しかし、勝負どころで繰り出す切れ味は非凡の一語。重たいフットワークではないので、馬場が渋って外差しのコンディションにでもなれば十分適応できるのではないかと思います。買い目から外すのはリスキーです。





ゴール前の決め手非凡ヒストリカル


 ■日曜京都5Rの新馬戦(芝2000m)は、中団追走の▲ヒストリカル(2番人気)が馬群をすり抜けるように伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=VIo84EkitNk

母ブリリアントベリーの繁殖成績は非常に優秀で、これまでにカンパニー(天皇賞・秋、マイルCSなど重賞9勝)、レニングラード(アルゼンチン共和国杯)、ニューベリー(京都金杯−2着)などの活躍馬を送り出しています。ヒストリカルを含めて中央で走った13頭中10頭が勝ち上がっているのですから素晴らしい繁殖牝馬です。

ヒストリカルは母が19歳時の産駒。「ディープインパクト×ノーザンテースト」はこれまでめぼしい結果を出していませんでした。新馬戦を勝ったのはこれが初めてです。2代母クラフティワイフのファミリーは、カンパニー、トーセンジョーダン、レニングラード、バトルバニヤンなど、トニービン系との好相性が目立ちます。サンデー系との交配ではダークメッセージ、ニューベリーが出世頭で、いずれも重賞では2着が最高成績です。本馬の父はサンデー系のディープインパクト。それらを上回る活躍を期待したいところです。馬込みに平気で突っ込める精神力、ゴール前の鋭い決め手は非凡な資質を感じさせます。

クラフティワイフに含まれる Mr.Prospector、In Reality、Secretariat、Buckpasser といったアメリカ血統は、いずれも現代を代表する名血であり、ディープインパクトとの相性も悪くありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106315/


ただ、この牝系はやや完成の遅いところが見られ、本当に良くなるのは古馬になってから。懸念材料を挙げるとすればそのあたりでしょう。ヒストリカルと同血(父が同じで母同士が全姉妹)のトーセンホマレボシ(トーセンジョーダンの半弟)も近々デビューする予定です。こちらにも注目です。

◎ベールドインパクト(1番人気)は5着。怖がりな面があり、鞍上が馬群に入れない競馬を心がけたため、終始大外を回る競馬となりました。かなりの距離ロスがありながら0秒3差の5着まで押し上げたことを考えると相当な能力の持ち主でしょう。次走は逃げるかもしれませんね。

■日曜京都6Rの新馬戦(ダ1400m)は、中団から徐々にポジションを上げた▲マシュマロ(2番人気)が直線で抜け出しました。注目の白毛馬ということで、ゴール前ではスタンドから拍手と歓声が沸き起こり、大いに盛り上がりました。
http://www.youtube.com/watch?v=3NNVwV1-56w

母シラユキヒメは突然変異で誕生した白毛馬。これまでに産んだ8頭中7頭が白毛馬です。残りの1頭ママズディッシュは芦毛馬で、馬体が灰色なので白毛とは容易に区別できます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106172/


突然変異の白毛馬はごく稀に誕生します。日本でもハクタイユーやカミノホワイトといったところが知られています。もちろん、日本だけでなく世界各地でポツポツと誕生しており、たとえば White Beauty 系のように数代にわたって白毛を維持しているファミリーもいくつかあります。
http://www.pedigreequery.com/white+beauty


そうしたファミリーの多くは白毛という以外に価値が薄いのに対し、シラユキヒメの系統は高い競走能力を備えています。マシュマロの全姉ユキチャンは8馬身差で圧勝した関東オークス(Jpn2)を含めて3つの重賞を制しました。今回のマシュマロは牡馬相手に2馬身半差の完勝。牝馬同士なら上のクラスでも即通用しますし、いずれは重賞でもやれそうです。







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