パーフェクト種牡馬辞典


青森の名牝系から誕生した砂の快速馬フリップフロップ


 ■土曜京都2Rの未勝利戦(ダ1200m)は、好位追走のフリップフロップ(2番人気)が直線半ばで抜け出すと、残り1ハロンで後続に10馬身差をつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=Pi18VQ1jAhk


タイムの1分12秒8は上々です。同日同距離で行われた1勝馬同士のレースは1分12秒6なので、0秒2劣っていますが、道中のペースが遅かったので内容的に劣ることはありません。昇級した次走では◎が並ぶでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100744/



父リンカーンは現役時代に芝の中長距離で活躍した馬で、デルマドゥルガー(クイーンC−3着)の父です。産駒の傾向を見るとダートよりも芝のほうがよく、距離はマイル以上あったほうがいいタイプです。したがって、この馬のスピードと砂巧者ぶりは主に母方から受け継いだものでしょう。


半姉ネフェルメモリー(父アジュディケーティング)は地方競馬で走り、東京2歳優駿牝馬、浦和桜花賞、東京プリンセス賞を勝ちました。青森産の母ケイアイメモリーは「フォーティナイナー×ロイヤルスキー」という軽快なダート血統。2代母カシワズプリンセスは南関東で走り、牝馬ながら羽田盃(中央の皐月賞に相当)を制したほか、黒潮盃、京浜盃などを勝った名牝です。3代母シャドウも、南関東で浦和桜花賞、関東オークス、報知オールスターC、キヨフジ記念を勝ちました。


青森牧場がイギリスから輸入した5代母インザシャドウズ以来、青森の馬産に大きな足跡を残した名牝系です。母は生まれ故郷の青森から浦河へ渡り、現在は松田牧場で繁殖生活を送っています。


「サンデーサイレンス×トニービン」の種牡馬は、ハーツクライにしてもそうですが、露骨にアメリカ血統を入れる配合パターンがうまく行きます。母の父に Mr.Prospector 系が入るのは父の代表産駒デルマドゥルガーと同じです。


■土曜京都3Rの新馬戦(ダ1400m)は、好ダッシュから先頭に立った◎ガンジス(1番人気)が楽々と逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=lBetSyXaMCA


予想は◎▲△で馬単730円、3連単3210円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。


「◎ガンジスは『ネオユニヴァース×シルヴァーデピュティ』という組み合わせ。母ジュメイラビーチはパワフルなアメリカ血統で構成され、ミスタープロスペクター3×4の影響もあり、ダート短距離戦に適性があった。ネオユニヴァース産駒は中距離のダートがベストだが、母のスピードから1400mはぴったりだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106186/



ネオユニヴァース産駒は昨年、芝44勝、ダート84勝という成績。ほぼダブルスコアでダートが上回りました。芝の長距離ヒッターからダートのアベレージヒッターへとキャラクターを変更しつつあります。今年の正月3日間の成績は、芝〔1・0・2・18〕、ダート〔3・4・2・22〕。やはりダートが圧倒的に優勢でした。今年はキングカメハメハ、クロフネとの熾烈なダート勝利数争いが見ものです。


母の父が高いダート適性を伝える Deputy Minister 系ですから、ダート向きの配合としては鉄板でしょう。母方にこの血が入るネオユニヴァース産駒には、現在のところ同産駒で唯一のダート重賞連対馬となっているタカオノボル(レパードS−2着)がいます。





日経新春杯トゥザグローリー


 58.5キロのトップハンデがどうか。それが馬券検討の焦点でしたが、ここでは手合い違いでしたね。◎トゥザグローリー(1番人気)が有馬記念3着の実力を見せつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=V7oegh51048


予想は◎△で馬単660円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。


「◎トゥザグリーリーは『キングカメハメハ×サンデーサイレンス』という組み合わせ。母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯(G1)を勝ったほかドバイワールドC(G1)でも2着となった名牝。スケールの大きさを感じさせる血統でいつG1を獲ってもおかしくない。昨春後半から崩していた調子がようやく元に戻り、暮れの有馬記念では昨年と同じ3着。ならば、昨春に京都記念→日経賞を連勝したパフォーマンスの再現が期待できる。外回りコースでスローペース必至なら58.5キロでもこの馬の瞬発力が上回るだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103265/



末脚がしっかりしているのがこの馬のセールスポイントで、まともな調子ならG2レベルでは力が違います。有馬記念で2年連続3着ですからもちろんG1でも通用します。母トゥザグローリーは5歳時にドバイワールドCで2着となり、エリザベス女王杯を勝ちました。本格化はこれからではないかという期待を抱かせます。


フェアリードールのファミリーはパワーと底力に恵まれ、成長力もあります。そうした特長の源泉は、同馬にほとんど執拗といってもいいくらいに練り込まれた8本の Hyperion です(5代以内には3本)。



母トゥザヴィクトリーがドバイワールドCで2着に粘ったのも、この迫力ある配合がもたらす底力の賜物ではないかと思います。息子のトゥザグローリーも、日本の軽い馬場よりは案外海外のタフな馬場に向いているのではないか――という気はします。地響きが聞こえてくるような力強い末脚がメイダン競馬場で爆発するシーンを見たいものです。





京成杯はベストディール


 ディープインパクト産駒の3歳世代で重賞を勝ったのはこれで5頭目。まだ3歳シーズンが始まったばかりの時点でこの成績は、サンデーサイレンスの全盛期を彷彿させます。


勝った○ベストディール(2番人気)は中団追走から直線で大外を突き抜けました。通算成績は4戦3勝。これといった癖もなくどんな競馬にも対応できそうです。勝負どころでマクっていく姿に一瞬お父さんの面影がダブりました。
http://www.youtube.com/watch?v=obiaqFUwsYE


全姉ウィッシュが戦績的にイマイチ(現在6戦未勝利)なので、現役時代に2着の山を築いた母の父 Marchand de Sable や、鈍重さを帯びた2代母の父 Tropular あたりの影響が出ているのかと考え、デビュー前の配合評価では高いポイントは与えなかったのですが、Borealis≒Sirrima 6×5はなかなかおもしろく、本馬にはこの影響がうまく表れたのかもしれません。



母方はスタミナ豊富で、気性面の不安もないため、距離は2400mでも問題ありません。関西の大物に比べるとまだ一歩及ばない気もしますが、成長力にも期待できる血統なのでクラシック本番までに帳尻を合わせたいところです。スタートのセンスがよく、鞍上の指示に素直に従い、どの位置でも競馬ができるという優れた操作性は、多頭数のクラシックでアドバンテージとなるでしょう。


母の父は Nureyev 系。Northern Dancer 系全般にいえることでもありますが、この系統はとくに筋肉の強さを伝えます。「サンデーサイレンス×Nureyev」の組み合わせからゴールドアリュールやサイレントディールをはじめ何頭かの優秀なダートホースが誕生したのも、Nureyev のもたらすパワーが理由だと思われます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105792/



ディープインパクト産駒は全般的に細身で、やや非力なところも見られます。したがって、Nureyev のような血が入るのは悪くないと思います。ディープブリランテや、4分の3同血の関係にあるフレールジャックとヴィルシーナも母方にも Nureyev が存在します。


昨年の12月以降、ディープインパクト産駒は1週を除いて毎週重賞で連対を果たしています。先週は京成杯を勝ち、日経新春杯ではダノンバラードが2着となりました。不思議なことに、過去に重賞で連対したディープインパクト産駒延べ22頭のうち、1番人気だったのは3頭しかいません。実力以上に人気を集めやすいディープインパクト産駒にしてはおもしろい現象です。


◎レッドシャンクス(3番人気)は逃げバテて8着。序盤にコスモアンドロメダが競りかけてきたためペースが速くなってしまったのは誤算でした。最初の3ハロン通過35秒1は京成杯が2000mに変更された99年以降最速。このペースで粘れるほどの力はまだありませんでした。





88年の日本ダービー馬サクラチヨノオー死す


 2年前の夏、オグリキャップが死んだ際、旧ブログにこう記しました。


「自分とオグリキャップの個人的な関係を語れば、3歳時は“幻のダービー馬”と呼ばれていることに不快感を持っていました。本物のダービー馬サクラチヨノオーのファンだったからです。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-3b21.html


なぜファンになったかというと、理由は単純明快、POGで指名していたからです。同世代にはオグリキャップを筆頭にサッカーボーイ、スーパークリーク、ヤエノムテキ、バンブーメモリーなどそうそうたる名馬がそろっていました。それらの実力はもちろん認めますが、いちばん好きな馬はサクラチヨノオーのまま揺るぎませんでした。デビュー戦から引退レースまで100円の単勝馬券を買い続けてコレクションにしたほどです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1985100743/



何年か前にグリーンチャンネルで須田鷹雄さんとご一緒したときに、お互いPOGでサクラチヨノオーを持っていた、という共通点で話が盛り上がりました。結論は「当時のPOGは簡単だった」。


POG誌がない時代で、情報源といえば『週刊競馬ブック』に掲載される名簿ぐらいしかありません。それだけでどうやって走る馬を探すのかというと、大手馬主の良血馬を指名する、というただそれだけです。情報が少ないと悩む必要がありません。当時は社台よりもメジロ、サクラ、シンボリ、トウショウあたりが人気でしたね。


サクラチヨノオーはサクラトウコウ(七夕賞、函館3歳S)の全弟。単純にそれだけで選んだ馬でした。しかし、血統は同じでも、馬体には違いがあります。兄トウコウがガッチリとした短距離向きの体形だったのに対し、弟チヨノオーは細身でしなやかなタイプ。兄と違って2400mをこなした理由はここにありました。ちなみに、馬名は当時の横綱千代の富士から採られたものです(朝日杯3歳Sを勝った半弟のサクラホクトオーは同門の後輩横綱北勝海から)。


日本ダービーは小島太騎手(現調教師)の名騎乗といっていいでしょう。騎乗ぶりにムラがあるため競馬場で野次られることの多かったジョッキーですが、ハマったときの鮮やかさは比類がありません。誰にも真似ができない乗り方だったと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=SwM6mi71q5Q


ゴール後の派手なガッツポーズには賛否両論がありました。当時購読していた『週刊競馬通信』の読者投稿欄にそれを咎める投書が載ると、翌週、「ダービーを勝って我を忘れるほど嬉しいのは当然じゃないか、ジョッキーだけじゃなくチヨノオーだってガッツポーズをしていたんだよ」という熱い反論がありました。それに対する再反論は「そんな写真があるならぜひ見せてください」という冷ややかなもの。思わず笑ってしまいました。ダービーのガッツポーズに目くじらを立てなくても……という心情だったので、翌週の誌面にチヨノオーのガッツポーズ写真が掲載される神展開を期待していたのですが、さすがにそれはありませんでした(笑)。


話を血統に戻します。セダン(伊ダービー馬)を通じた Prince Rose クロスは、府中の中長距離に実績があります。日本ダービー馬コーネルランサーや、3200mだった時代の秋の天皇賞を制したスリージャイアンツなどがそうでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000b9e/



Prince Rose は長くいい脚を使えるスタミナ血統なので、このクロスは東京コースに合います。たとえば、ミルジョージ産駒のこのパターンはだいたい東京向きでしたね。ジャパンC2着のロッキータイガー、オークス馬エイシンサニーがその代表例です。ロッキータイガーは Prince Rose 5×5・6。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1981105953/



種牡馬としてのサクラチヨノオーはイマイチでした。重賞勝ち馬はサクラエキスパート(愛知杯)とマイターン(東海ウインターS)のみ。あとはナリタブライアンが勝った皐月賞で2着となったサクラスーパーオーが目立つ程度です。同世代の名馬たちはサッカーボーイを除いておおむね種牡馬としては不振でした。競馬場を賑わした名馬がそのまま種牡馬としても成功する現在とはだいぶ状況が異なります。


ここ1〜2年で、スーパークリーク、オグリキャップ、サッカーボーイ、サクラチヨノオーと、この世代の名馬が立て続けに鬼籍に入りました。残っているのはヤエノムテキとバンブーメモリーぐらいでしょうか。あの時代がどんどん遠くなっていきます。





タイキシャトルと Storm Cat のニックスで走るバンザイ


 ■月曜京都5Rの新馬戦(芝1600m)は、好スタートから先頭に立った★バンザイ(6番人気)が逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=mjymeWNqogg


稽古でさほど目立っていたわけではなく、人気もそこそこ。強気の逃げが功を奏しました。粘り強かったですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104164/



「タイキシャトル×Storm Cat」はメイショウボーラー、レッドスパーダ、ツルマルオトメ、トラバントなどが出ているニックス。その好相性を解く鍵は Caerleon と Storm Cat にあると思います。


まず、Caerleon の父 Nijinsky と、Storm Cat の父 Storm Bird は相似な血の関係にあります(5代目の Omaha と Flares は全兄弟)。



そして、Caerleon の母 Foreseer は Royal Charger と Princequillo が配合構成の核であり、Storm Cat の母の父 Secretariat は Nasrullah と Princequillo で成り立っています。


2010年4月14日のエントリー「マルゼンスキーと Storm Cat」のなかで、スペシャルウィークと Storm Cat のニックスを、マルゼンスキーと Storm Cat の関係から解説したことがあります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/storm-cat-897-1.html


Caerleon とマルゼンスキーは同じ Nijinsky 系で、牝系は La Troienne の流れを汲み、Princequillo が入る、といった具合に配合の要点が似ています。したがって、マルゼンスキーと Storm Cat の好相性が成り立つなら Caerleon と Storm Cat も……という連想が働きます。


バンザイの配合は、母の父アフリートの影響を考えるとマイルは1ハロン長いかなという感触がありました。思った以上にしぶとかったですね。この頑張りは底力に秀でた Key to the Mint(3代母の父)の影響もあったかもしれません。


■月曜京都9Rの福寿草特別(3歳500万下・芝2000m)は、好スタートから先頭に立ったサイレントサタデー(10番人気)が逃げ切り、通算成績を2戦2勝としました。
http://www.youtube.com/watch?v=wESxsFynd_8


初戦は不良馬場で僅差の逃げ切り勝ち。スピード競馬への適性が未知数だったので人気がありませんでした。上がり3ハロンが34秒1(11秒4−11秒0−11秒7)ですから、気性的な問題がなければ控える競馬もできそうですね。なんとなくアリゼオとイメージがダブります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105981/



母マニックサンデーはザッツザプレンティ(菊花賞)の4分の3姉という良血で、サンスポ賞4歳牝馬特別(現フローラS)の勝ち馬。サンデー産駒で、Mr.Prospector と Buckpasser が入り、Hyperion の手厚いサポートもあり、競走成績が優秀で近親も走っている、というケチのつけようのない繁殖牝馬です。ポテンシャルが高いので基本的には何をつけても走るというタイプでしょう。


サイレントサタデーの全きょうだいにはプレンティフェスタ(準OP)とワールドコンパス(1000万下)がいるほか、半兄のエポワス(父ファルブラヴ)は2戦2勝です。


母方に Mr.Prospector を持つシンボリクリスエス産駒にはストロングリターンやサンカルロがいます。本馬はサンデーサイレンスが入るので距離適性はもう少し長めの中距離タイプです。シンボリクリスエス産駒の現3歳世代は、繁殖牝馬の質がかなり高かったのでシーズン開幕前からかなりやれるのではないかという下馬評でした。実際、朝日杯フューチュリティ(G1)を勝ったアルフレードを筆頭に例年とはひと味違う結果を出しています。







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