パーフェクト種牡馬辞典


本質的にはハイペース向きのジョングルール


 ■土曜中山7Rの新馬戦(芝2000m)は、スローペースの2番手を追走した◎ジョングルール(2番人気)が直線で鋭く抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=YZ_Vy-LaHMg

予想は◎○△で馬単710円、3連単6290円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ジョングルールは「ディープインパクト×ストームキャット」という組み合わせ。母方にはゴツいアメリカ血統が並んでおり、重厚なリボー系の血が入るので芝2000mも守備範囲。どちらかといえばパワー型なので中山の急坂小回りコースも合うだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105874/


直線のみの競馬となり、最後の2ハロンは11秒5−11秒4。半兄レッドシェリフ(父ハーツクライ)は緩慢なところがあるのですが、本馬はシャープかつダイナミックな脚さばきが印象的で、ぜんぜんタイプが違います。Storm Cat をはじめとするパワー型のアメリカ血統の影響なのか、510キロとディープインパクト産駒にしては身体も大きく、素材としてはなかなかのものです。今回はスローの上がり勝負でしたが、本質的にはハイペースのほうが持ち味が活きるでしょう。

母方に Storm Cat が入るディープインパクト産駒には、ダートで3連勝中のミッキーオーラ、カーネーションC(500万下)を勝ったサクセスシルエットなどがいます。全体的に見るとやはりパワー型に出る傾向がありますね。海外で活躍している Barocci(仏G3プランスドランジュ賞−2着)、Beauty Parlour(2戦2勝)の兄妹もこのパターン。力のいる芝に対する適性も十分です。

2歳リーディングサイアー争いは熾烈を極めています。ディープインパクトは先週4勝を上積みし、中央のみの賞金ではトップに立ちましたが、地方を含めるとダイワメジャーがまだ419万5000円の差でトップです。勝負の行方は年末まで分かりません。

■土曜小倉3Rの未勝利戦(芝2000m)は、中団追走から大外をマクって進出したグッドマイスターが2分01秒7のレコードタイムで勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=51Ztkmu_bYo

従来の記録を0秒7更新したのですが、2歳戦の小倉芝2000mは過去に7回しか行われていません。同日の古馬500万下特別が2分01秒0ですから、レベル的には際立って高いというわけではなく、まずまずといったところでしょう。

母セニョラージェは繁殖牝馬として堅実で、これまでにJRAで走った9頭の産駒はすべて勝ち上がっています。最も出世したのはセントライト記念(G2)を勝ったダイワワイルドボア(父アグネスタキオン)。グッドマイスターの全兄です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105834/


2代母の Alleged が効いています。同じ Ribot 系の Key to the Mint が入るディープスカイもそうですが、アグネスタキオン産駒の配合はこうした重厚なスタミナ血脈がワンポイント入ることで引き立ちますね。好きなパターンです。

■土曜小倉5Rの新馬戦(ダ1700m)は、2番手追走の◎ニシノコハク(2番人気)が抜け出し、後続の追撃を抑えました。
http://www.youtube.com/watch?v=SSZLYk-5VP0

予想は◎★△で馬単1万3370円、3連単17万8030円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ニシノコハクは『ゴールドアリュール×キングヘイロー』という組み合わせ。母ニシノフジムスメは新潟2歳S(G3)の2着馬で、2代母ブランドアートはフラワーC(G3)の勝ち馬と、活力のある牝系から誕生している。ゴールドアリュール産駒はダ1700mの2歳新馬戦で連対率36%と走っている。初戦向きの素軽さがありそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103388/


予想文に記したとおり、2代母ブランドアートはフラワーCの勝ち馬ですが、土砂降りの不良馬場で行われたため、芝1800mの勝ちタイムは1分54秒7と極度に遅いものでした。ダート馬といっても違和感のないパワー型の配合だったので、ゴールドアリュールと結びつくことで砂向きの資質が表れたのはごく自然なことだと思います。

ゴールドアリュール産駒は、ダ1600〜1700mの2歳新馬戦で連対率42.1%(19戦8連対)と圧倒的に強く、この条件ではつねに注意が必要です。逆に、ダ1200mでは連対率7.1%(28戦2連対)とまったくダメ。忙しい競馬には向いていません。このあたりのコントラストは覚えておいて損はありません。





ディープブリランテに強敵出現、ワールドエース


 土曜阪神7Rの新馬戦(芝1800m)は、中団追走から直線で外に持ち出した◎ワールドエース(1番人気)が楽々と抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=sqnvzRa0s-0

ゴール前で○レッドブレイゾン(2番人気)に差を詰められましたが、その時点で鞍上の福永騎手は流しており、馬も本気で走っていませんでした。しっかり追っていれば差は開いていたでしょう。

予想は◎○▲で馬単320円、3連単1370円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ワールドエースは『ディープインパクト×アカテナンゴ』という組み合わせ。母は独オークス(G2)3着馬で、その半弟には英仏でG1を3勝したドイツの雄マンデュロがいる。ハイライト≒マリアポリス5×5など母マンデラの配合は重厚で底力を感じさせる。やや時計のかかる現在の阪神芝にはぴったりだろう。稽古でも動いているので期待できる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106353/


ディープインパクト産駒らしい首をグッと下げた重心の低いフットワークで大物感があります。同産駒の2歳世代には、牡のディープブリランテ、牝のジョワドヴィーヴルと横綱がいるほか、クラシックの有力候補となりうる素質馬がすでに目白押しです。それでもなお、まだこれだけの逸材が新馬戦に出てくることに驚きを感じます。順調ならば2戦目も堅いでしょう。血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では◎評価、『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」でも推奨した馬です。

母の父 Acatenango は3年連続で西ドイツの年度代表馬に輝いた名馬です。ドイツが統一される前のことでした。名馬ダンシングブレーヴが勝った86年の凱旋門賞(G1)では7着。6つのG1を含めて12連勝中だったので、当時からその名声は轟いていました。引退後は独リーディングサイアーの座を5回獲得し、日本ではジャパンC(G1)を勝った Lando の父として有名です。

その父 Surumu は、テスコボーイ(トウショウボーイやサクラユタカオーの父)の甥にあたり、スピードがあって堅い馬場を苦にしません。Nearco すら持たないわけですから極上の非主流血統です。能力の高い非主流血統は、主流血統に対して新たな活力源となるため、世界中で求められています。Surumu はその役割を立派に果たしています。
http://www.pedigreequery.com/surumu


ドイツ血統の歴史について大まかに把握したい方は、『栗山求 Official Website』の「Works」をクリックし、「ドイツ・ダービーの父系」をご覧ください。
http://www.miesque.com/motomu/

また、旧ブログの10年4月22日のエントリー「勢力を拡大するドイツ血統」でも触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/post-5cf1.html

予想文に記したとおり、ワールドエースの母マンデラは、英仏でG1を3勝したドイツの雄 Manduro の半姉です。ポテンシャルの高さはかなりのものでしょう。ドイツ血統は異質な血であることに意義があり、主流血統にクロスで絡んでくることはあまりありません。ですから、質的に優れたものであることがなにより重要です。ブエナビスタやジョワドヴィーヴルを送り出した名牝ビワハイジは、その3代母 Suleika が当時の西ドイツを代表する飛び切りの名繁殖牝馬でした。

ワールドエースは、3代母 Mandelauge が Alycidon=Acropolis 4×3で、自身はそれを継続発展させる形で Highlight≒Mariapolis 5×5としています。


ディープインパクトの牝系は英王室が育んだことで知られる良血であり、これが底力とスタミナの根拠となっています。この部分や Northern Dancer をしっかり強化した上で、ドイツ血統の新風を取り入れているという綺麗な配合です。2代母の父 Be My Guest がアメリカ血統を十分に含んでいるのもいいですね。33秒台半ばの上がり勝負になったときにどうかという不安点はありますが、底力とスタミナには自信のあるタイプで、成長力にも期待できます。ディープブリランテに強敵出現、といった感じですね。





朝日杯フューチュリティSはアルフレード


 先週はシンボリクリスエス産駒が大活躍。土曜日の阪神C(G2・芝1400m)をサンカルロが、日曜日の朝日杯フューチュリティS(G1・芝1600m)をアルフレードが勝ち、2日連続重賞Vを決めました。
http://www.youtube.com/watch?v=uHOLF9_VdqA

800m通過が45秒9ですから例年よりも速い流れ。逃げ馬の後ろにつけた▲アルフレード(1番人気)が直線で最内から抜け出しました。1分33秒4はレースレコードと同タイム。もちろん馬は強かったのですが、ウィリアムズ騎手の完璧な騎乗にも感心しました。一分の隙もなく、毛ほどのロスもありませんでした。今年はNHKマイルC(G1)でグランプリボスを勝利に導き、ジャパンC(G1)ではトーセンジョーダンを2着に持ってきたように、大舞台でしっかり乗れる技術が光ります。有馬記念のトーセンジョーダンでもいい仕事をしてくれそうです。

シンボリクリスエス産駒が芝のG1を制したのはこれが初めて。Roberto 系だけあって切れ味を伝えるタイプの種牡馬ではなく、昨年と今年はダートの勝ち星が芝のそれを上回っています。瞬発力勝負では見劣るため、芝の中距離G1ではサンデー系に太刀打ちできず、ここ2〜3年、クラシックで期待できる種牡馬のカテゴリーからは緩やかに離脱していたように思います。

ただ、今年の2歳世代は、繁殖牝馬のラインナップが過去最高といえる水準です。アドマイヤグルーヴ、トゥザヴィクトリー、ローズバド、ダンスインザムード、ダンスパートナー、ダイヤモンドビコー、フサイチパンドラ、マイケイティーズ、クルーピアスター、スティンガー、チューニーといった名の知れた牝馬が集まりました。非サンデー系のなかでは断然トップです。2歳戦の競走成績も過去最高で、アルフレード以外にもサトノギャラント(ベゴニア賞)やフジマサエンペラー(東京スポーツ杯2歳S−2着)などが現れ、残り1週を残して自己最高だった08年の25勝に並び、獲得賞金は同年の2億9165万円を上回り3億円を突破しました。

シンボリクリスエス産駒は総じてダート巧者ですが、決してスピードがないわけではなく、切れる脚がないだけです。平均して速いラップを刻むレースでは無類の強さを発揮します。要するにハイペースに対する耐久力が優れている、ということです。アルフレードは、連勝した1、2戦目とも道中がスローだったため速い上がりを計時しましたが、本質的には今回のようなハイペースの競馬が向いているのでは、と思います。

アルフレードと同じ「シンボリクリスエス×サンデーサイレンス」は、過去に大量のサンプルがあるにもかかわらず、中央の平地重賞の勝ち馬はサクセスブロッケン(フェブラリーS)しかいませんでした。しかも同馬はダートホース。芝では平地重賞の勝ち馬がいないどころかOP特別を勝った馬すらいません。したがって、個人的には芝のレースで重い印を打たないようにしています。

朝日杯フューチュリティS(G1・芝1600m)は、毎年締まったラップになるため、Roberto 系のシンボリクリスエス産駒にとっては好走しやすい条件です。加えてアルフレードの場合、2代母ラトラヴィアータがサクラバクシンオーの全妹である点もハイペースへの適性を感じさせ、伸びのある大きなフットワーク、好調を感じさせる稽古の動きからもそれなりに評価しなければいけないだろうと考え、▲を打ちました。一線級とは初めての手合わせでしたが器が一枚上でしたね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106321/


シンボリクリスエスは一発長打が期待できる Roberto 系だけに、生涯に一頭ぐらいはクラシックで勝ち負けになる大物を出せるのではないかと思います。それがアルフレードである可能性もあるでしょう。ただ、これから距離が延びてペースが落ちたときにどう対応するのか、といった課題もあります。今回の勝利は完璧なものではありましたが、まだ楽観できるような段階ではないと思います。

アルフレードの母プリンセスカメリアはリビアーモ(府中牝馬S−4着)の4分の3姉で、2代母ラトラヴィアータはサクラバクシンオーの全妹という良血です。最近、サクラハゴロモのファミリーに活気があるような気がします。ミッキードリーム(朝日チャレンジC)やアドマイヤベルナ(三木特別を5馬身差で圧勝)などはこの牝系から出ています。

母プリンセスカメリアは昨年の優勝馬グランプリボスと配合構成が似ています。サクラバクシンオー(=ラトラヴィアータ)とサンデーサイレンスの組み合わせを持つ繁殖牝馬はこれからどんどん増えていくと思うので、それらの身の振り方の参考になりそうです。「バクシンオー×サンデー」は非力で柔らかすぎるところがあるので、シンボリクリスエスの立派な馬格、ダートを苦にしないパワーが合うのかもしれません。将来グランプリボスが種牡馬になった際にもこのパターンは応用できるでしょう。






朝日杯の後のお楽しみ、荒れる愛知杯


 日曜日の小倉メインは愛知杯(G3・芝2000m)。通常なら中京競馬場で行われるレースですが、昨年に引き続き中京競馬場のリニューアル工事のため小倉競馬場で行われます。

小回り、多頭数、ハンデ戦、という波乱要素満載のレース。荒れることを想定して馬券を買いたいですね。先週行われた中日新聞杯(G3)も、愛知杯と同じく中京→小倉の開催移動があったハンデ重賞でしたが、勝ったのは11番人気のコスモファントムで、3連単は20万馬券となりました。

今年の1番人気はレーヴディソール。いうまでもなく昨年の2歳牝馬チャンプです。力が抜けているのは明らかで、現在の単勝オッズは1.8倍。アッサリ勝つ確率はやはり高いと思います。ただ、前走は長期休養明けでいきなりのG1挑戦だったとはいえ11着と大敗しており、万が一まだ体調が戻りきっていないとしたら……。個人的にはレーヴディソールを買いつつ、それを含めない馬券も同じぐらい買う予定です。3連単ドリームを味わえるとしたらこういうレースでしょう。

1着=16番人気、2着=14番人気で決まった08年のレースは、馬単10万馬券、3連単144万馬券という大荒れの決着。1、2着馬はいずれも前走1000万特別に出走していた格下の軽量馬でした。今回の出走メンバーのなかで1000万特別から挑戦してきたのはエスピナアスールのみ。前走の亀田特別(1000万下・芝1800m)は大逃げを打ってまんまと逃げ切りました。今回も51キロの軽量を活かしてそんなレースができればおもしろいと思います。

当レースで過去2勝を挙げているセラフィックロンプがまた出てきました。勝った過去2回は16番人気、6番人気で、今回は現時点で9番人気。これも押さえたいですね。昨年2着のブロードストリートも侮れません。前走のエリザベス女王杯は10着だったとはいえ、前残りの展開のなかでまずまずの内容だったと思います。あとはラフォルジュルネ。昨年のこの時期に小倉で3連勝したように季節とコースがぴったりです。この舞台に戻っての復活があってもおかしくありません。

単勝20倍以上で狙ってみたいのは以上の4頭です。これに人気馬を少々からめて定置網を完成させ、大きな獲物が迷いこんでくるのを待ちたいと思います。





朝日杯フューチュリティS展望


 今年の朝日杯フューチュリティS(G1・中山芝1600m)は、目玉となるような馬の参戦がなく、レベル的にはやや低調かもしれません。ただ、それだけに馬券的にはおもしろく、1頭ずつ詳細に検討していると時間がいくらあっても足りません。


中山独特のクセのあるコースで行われるので、それをこなせるかどうかが重要なポイントです。瞬発力より持続力が求められます。したがって、いかにもサンデー系らしい柔らかな瞬発力タイプよりも、粘り強いアメリカ血統が信頼できます。Roberto、Storm Cat、Mr.Prospector あたりはいいですね。


過去5年の連対馬10頭のうちサンデー系はわずか2頭だけ。ただ、母の父サンデーサイレンスは3頭連対しています。今年の出走馬のなかで母の父サンデーはアルフレードのみです。


出走16頭の父を見ると、リーディングサイアーのキングカメハメハも、現時点で2歳リーディングサイアーのディープインパクトも見当たりません。最も多いのは3頭の出走馬(スノードン、ハクサンムーン、レオアクティヴ)を送り込んできたアドマイヤムーン。


アドマイヤムーンは当ブログで再三取り上げてきたように、今年の2歳世代が初年度産駒で、重賞勝ち馬2頭を送り出すなど大成功しています。ただ、距離別の連対率を見ると芝1600mの成績が陥没しています。


芝1200m 44.4%
芝1400m 40.0%
芝1600m  9.5% ★
芝1800m 23.8%
芝2000m 33.3%


また、中央場所4場の成績(芝)を比べてみると、中山の数値が最も低いという結果が出ています。


東京 13.3%
中山 11.1% ★
京都 26.9%
阪神 30.0%


アドマイヤムーンにとって中山芝1600mは歓迎とはいえないコース。この逆風をものともせず勝ったとしたら能力が相当高いということでしょう。


外枠が不利であることは中山芝1600mの常識で、このレースでは13番枠から外は割り引きです。できれば1〜8番枠の馬を中心に馬券を組み立てたいところです。


力が拮抗しているので展開や騎手の手腕に左右されやすく、どう転んでも僅差の勝負となるでしょう。高配当が期待できるレースです。


なお、『ウマニティ』の「予想のメキキ」という岡田大さん(編集長)のコラムのなかで、有力馬数頭についての見解を披露しています。よろしかったらご覧ください。トップページの「お知らせ」欄から飛べます。
http://umanity.jp/home/home.php







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