パーフェクト種牡馬辞典


高松宮記念はカレンチャン


 2番手追走の◎カレンチャン(2番人気)が直線で早め先頭に立ち、後続の追撃を凌いで2つ目のビッグタイトルを獲得しました。
http://www.youtube.com/watch?v=ACrn8-HZFSw

予想は◎△○で馬単1750円、3連単5930円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』『netkeiba.com』『ウマニティ』に提供した予想文を転載します。

「◎カレンチャンはクロフネの最高傑作。母スプリングチケットは『トニービン×マルゼンスキー』という組み合わせで、これはシェルズレイとブラックシェルの母の父ウイニングチケットと同じ。つまり、この姉弟とカレンチャンは血統構成がきわめてよく似ている。昨年暮れの香港スプリントはさまざまな不利をはねのけて5着と健闘した。世界最高水準のメジャーレースでこの内容は驚異というしかなく、日本産芝スプリンターの海外におけるパフォーマンスとしては間違いなく史上最高のものだった。前走は休み明けとインしか伸びない馬場が敗因であり、パワー兼備の配合なので渋り気味の馬場を苦にするタイプではなく、中山のスプリンターズSで圧勝経験があるように急坂はむしろ好材料。一度叩いて55キロならまず勝ち負けになる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102807/


勝ちタイムは1分10秒3(良)。良馬場のG1でこのタイムはあまり見たことがありません。新中京競馬場の芝コースは路盤から新しくなりました。できたてなのでまだ固まっていないのかもしれません。今開催はほかの競馬場では出番がないようなパワー型の血統が激走するシーンが幾度も見られ、それが新鮮でした。稍重から回復したばかりだったとはいえ、良馬場でこれほど時計の掛かる馬場はほかにありません。旧中京競馬場の独自性(短い直線の左回り平坦コース)が失われた一方で、新たな独自性はしっかり存在していたと思います。ですから、個人的には中京競馬の馬券を買うのはスリリングで楽しく、気に入っていました。

カレンチャンは、日本よりも時計の掛かる香港の馬場に高い適性を見せたので、今回のようなコースコンディションは苦にしません。一言でいって横綱相撲、貫録勝ちでしたね。今開催の中京芝における種牡馬別勝利数を見ると、ハーツクライ産駒が4勝(2着2回)で第2位です。ハーツクライの母の父はトニービン。つまりカレンチャンと同じです。トニービン産駒の初G1勝ちはベガの桜花賞(93年)でしたが、当時の阪神芝は今開催の中京芝と同じように力のいる馬場だったのを思い出します。

2着△サンカルロ(3番人気)は、大外からこの馬らしい末脚で勝ち馬に迫りましたが、内が止まらない馬場になっていたのが痛かったですね。

3着○ロードカナロア(1番人気)は何の不利もない競馬だったので、これが現時点の実力でしょう。経験を重ねながらさらに強くなっていく馬だと思います。





10歳の誕生日を迎えたディープインパクト


“3月25日”はサンデー系にとって因縁めいた日です。サンデーサイレンス自身が86年に、同馬の産駒で一番最初に重賞を勝ったプライムステージが92年に、最高傑作のディープインパクトが02年にそれぞれ誕生しています。「サンデー記念日」を制定するなら3月25日でしょう。

ディープインパクトは10年前のこの日、産声をあげました。つまり本日が10歳の誕生日です。

今年はリーディングサイアー争いでトップのキングカメハメハと熾烈な戦いを繰り広げています。先週終了時点で約9900万円差(総合)。土曜日の毎日杯でディープインパクト産駒がワン・ツー・スリー・フィニッシュを決め、父の誕生10周年の前祝いをしましたが、日曜日の高松宮記念にはキングカメハメハ産駒のロードカナロアが1番人気で出走予定。土曜日に大きく差を詰めたものの、日曜日が終わった時点でどうなるかは分かりません。とりあえず土曜競馬終了時点のJRA勝利数はディープインパクト43勝、キングカメハメハ42勝。ずっと2位だったディープがついにトップに立ちました。ダートよりも芝で稼ぐタイプなので、芝の番組が増える春から秋が勝負でしょう。毎日杯の回顧は後日やる予定です。凄い競馬でした。

今年の夏にデビューする2歳世代は、昨年に比べて血統登録頭数が42頭減って117頭。これだけ減少すると、さすがに現3歳世代のように次から次へと重賞を勝つ、といったシーンはないように思います。配合のチェックはすべて終了し、ここでは発表できませんが上位20頭のラインナップも確定しました。

現3歳の17頭のOP馬のなかで、2歳に全弟、全妹のいるものはたった3頭しかいません。

・ボレアス&マウントシャスタの全弟
・ジョングルールの全妹
・オコレマルーナの全妹

ワールドエースの全妹もいたのですが、怪我のため競走馬になれないとのこと。残念です。

上の2世代は、2年連続で種付けをした繁殖牝馬が目に付き、重なる部分の多いメンバー構成でした。しかし、今年の2歳世代は違います。繁殖牝馬がだいぶ入れ替わったのでフレッシュな雰囲気です。人によって選ぶ馬はかなり違ってくるでしょう。




底光りするスタミナ、アドマイヤラピス


 中山金杯で骨折したアドマイヤコスモス(父アドマイヤマックス)が3月21日に死亡しました。2ヵ月半にわたって治療を続けてきましたが立ち直れませんでした。中山金杯でも◎を打ったように能力を評価していた馬だったので残念です。


アドマイヤコスモスは福島記念の勝ち馬。兄弟にはアドマイヤホープ(全日本2歳優駿、北海道2歳優駿)、アドマイヤフジ(日経新春杯、中山金杯2回)がいます。


アドマイヤコスモスを評価していたのは母アドマイヤラピスの影響も大きいですね。同馬は現役時代に馬券で追いかけていたほど気に入っていた馬でした。


「Be My Guest×Ela-Mana-Mou×Val de Loir」というコテコテのステイヤー血統。どう見ても日本の馬場への適性などなさそうですが、アドマイヤラピスは軽い芝にもうまく馴染んでいました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1992110153/



血統のなかで強調したいのは母の父 Ela-Mana-Mou です。Snurge(英セントレジャー)、Double Trigger(アスコットGC)、Eurobird(愛セントレジャー)など多くの名ステイヤーを送り出しました。ホワイトマズルの母の父でもあります。スタミナの源泉は Alycidon≒ハイハット4×2・5。Hyperion と Donatello をひっくり返して成立したこの2つの血を近い世代に集め、スタミナを固定しています。Alycidon は20世紀屈指の名ステイヤーです。



アドマイヤラピスは4歳夏まで2000m以下のレースを使われていました。体力がつくのを待っていたのかもしれません。長距離に出てきたら相当やれるだろうと思っていたので、その路線に行ってからは毎レース買っていました。牝馬ながら嵐山S(OP・芝3000m)を勝ち、ステイヤーズS(G2・芝3600m)で2着となってステイヤーとしての資質を証明しました。


先に述べたように、アドマイヤラピスは繁殖牝馬としても重賞勝ち馬を3頭送り出して大成功を収めています。きわめて良質な異系のステイヤー血統なので、何を交配しても走りますし、孫の代からも活躍馬が出始めています。もうひとつ、名牝バレークイーンと血統構成が近いことも、成功にまつわる何がしかのカギを握っているのかもしれません。



アドマイヤラピスの今年の2歳馬は、アグネスタキオンを父に持つ牝馬。タキオンと Be My Guest の組み合わせといえばジェルミナル(フェアリーS、桜花賞−3着、オークス−3着)が出ているので期待できるでしょう。





Woodman の影響を受けたオコレマルーナ


 日曜中山6Rの3歳500万下(芝1600m)は、重馬場をものともせずオコレマルーナ(1番人気)が馬群を割って抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=JB42cRr8ci4


スプリンターズS(G1)など4つの重賞を制したアストンマーチャンの半弟。母ラスリングカプスはスプリンターで、繁殖牝馬となってからは何を交配しても速い産駒を生んでいます。父ディープインパクトはスプリント色の強い繁殖牝馬との交配から、リアルインパクト、ドナウブルー&ジェンティルドンナなど、しっかりとしたマイラーを出しており、オコレマルーナもこの仲間です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106017/



半姉アストンマーチャンがスプリンターズSを制したときは不良馬場でした。母の父 Woodman は道悪巧者です。芝の馬場状態別連対率は以下のとおり。掻き込む力が強い高速パワータイプの種牡馬なので、馬場が悪化すればするほど成績は上昇します。


良 =15.6%
稍重=10.5%
重 =27.4%
不良=23.5%


ディープインパクト産駒も、総体的に見ると渋った馬場は決して下手ではなく、この配合なら道悪を苦にしません。2回中山の開幕週、重馬場の未勝利戦(芝1600m)を勝ったミッキーシャインは、「ディープインパクト×ヘクタープロテクター(その父 Woodman)」でした。





雨の重賞は Sadler's Wells


 フラワーC(G3・芝1800m)とファルコンS(G3・芝1400m)はいずれも重馬場。勝ったオメガハートランドとブライトラインはいずれも母方に Sadler's Wells を持っていました。


90年代以降、ヨーロッパ競馬の中心的存在である Sadler's Wells は、深い洋芝を得意とし、道悪も上手です。産駒が日本でほとんど活躍できなかったように、高速馬場向きの素軽さや決め手には欠けます。


ただ、世界を牛耳る中心血脈のひとつですから、並のポテンシャルではありません。用法や用量を守れば我が国でも素晴らしい成果を得ることができます。子は失敗したものの、孫の代ではテイエムオペラオー、メイショウサムソン、エルコンドルパサー、フサイチコンコルド、シーザリオなどそうそうたる名馬が誕生しています。劇薬のようなものですから濃すぎると副作用が生じて逆効果。1/4とか1/8といった形に希釈し、調合がうまくいけば抜群の薬効を発揮します。かつての Ribot なども似たようなキャラクターでした。


先に述べたように、Sadler's Wells は道悪巧者として有名で、雨が降ればオペラハウス(父 Sadler's Wells)の子が出走していないかどうかチェックするのが個人的な習慣です。


フラワーCを勝ったオメガハートランドは、キャプテントゥーレと同じくトニービンと Lyphard を併せ持つアグネスタキオン産駒ですから、基本的な配合形はいいですね(タキオン産駒は Lyphard と相性が良好)。母の父にエルコンドルパサーを挟んでいるので重厚さが表れており、渋った馬場を苦にせず、桜花賞よりはオークス向きです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105758/



一方のブライトラインは、快速サーガノヴェル(フェアリーS、クリスタルC)の甥で、母の父にキングオブキングスが入ります。キングオブキングスは英2000ギニー(G1・芝8f)の勝ち馬で、愛2000ギニー(G1・芝8f)やBCマイル(米G1・芝8f)を勝った Barathea と同じ「Sadler's Wells×Habitat」の組み合わせです。1年だけ日本で供用されました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105023/



フジキセキ産駒は Mr.Prospector や Princely Gift といった優秀なスピードをどこかに入れないと厳しいのですが、ブライトラインの場合、快速サーガノヴェルを産んだ2代母 Thunder Maid が On-and-On≒Leallah 3×3でスピード値が高く、このあたりで帳尻を合わせています。これにキングオブキングスが加わったことで道悪の鬼になった、というイメージです。







プロフィール

カレンダー

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     
<< April 2018 >>

最近の記事

カテゴリー

アーカイブ

recent comment

  • 『パーフェクト種牡馬辞典 2018−2019』本日発売開始!
    栗山求
  • 『パーフェクト種牡馬辞典 2018−2019』本日発売開始!
    jiumi
  • 「一口馬主好配合馬ピックアップ」でノルマンディーを1頭ピック
    栗山求
  • 「一口馬主好配合馬ピックアップ」でノルマンディーを1頭ピック
    ラリーホ
  • ジャパンCはシュヴァルグラン
    ゆーな
  • ジャパンCはシュヴァルグラン
    Y子
  • ラジオNIKKEI第1「枠順確定!ジャパンカップ大展望」出演
    ゆーな
  • 「一口馬主好配合馬ピックアップ」で栗山がキャロットを10頭ピック
    栗山求
  • 「一口馬主好配合馬ピックアップ」で栗山がキャロットを10頭ピック
    ボリュー
  • 「一口馬主好配合馬ピックアップ」で栗山がキャロットを10頭ピック
    栗山求

recent trackback

LINK

検索

携帯

qrcode