パーフェクト種牡馬辞典


フィリーズレビューはアイムユアーズ


 直線に入って1、2番手が早々にバテたため、3番手追走の◎アイムユアーズ(1番人気)が抜け出すタイミングはちょっと早かったのですが、最後までしっかり踏ん張りました。地力の違いでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=Ggmez8xpjpQ#t=1m8s


フィリーズレビューは、同じ1400mのファンタジーS(G3)と結びつきのあるレースで、ラインクラフト、アストンマーチャン、ワンカラットといった勝ち馬が同レースの連対経験を持っていました。アイムユアーズもフィリーズレビューを勝っています。この距離だと走りのリズムがいいですね。前走の阪神ジュベナイルフィリーズ(2着)ではゲート入りをゴネたため、今回は1頭だけ先入れとなりましたが、影響はありませんでした。


予想は◎だけ的中。『netkeiba.com』の「No.1プロ予想」に提供した予想を転載します。


「◎アイムユアーズは『ファルブラヴ×エルコンドルパサー』という組み合わせで、近親にエアグルーヴやルーラーシップなど多数の活躍馬がいる名牝系に属している。フェアリーキング=サドラーズウェルズ2×4(あるいはファルブラヴ≒サドラーズギャル1×3)は力強く、パワーが必要な現在の阪神芝コースにも対応できるはず。久々だが稽古ではシャープな脚さばきを見せており、仕上がり関しての不安はない。能力を発揮できれば順当に勝ち負けになるだろう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106210/



通常レベルで平均ペースなら、良馬場で1分21秒台が出るレースなので、1分22秒8という勝ちタイムはこのところの雨の影響ですね。


Fairy King、Sadler's Wells、Nureyev など、Special 牝系から出た相似な血は、総じて道悪が上手です。母の父エルコンドルパサーは、Special=Lisadel 4×4・3、Nureyev≒Sadler's Wells 3×2というクロスを持ちます。ペネトロメーター5.1という極悪馬場の凱旋門賞で2着に粘った走りは、この血統構成が支えたものでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108742/



予想文に記したとおり、アイムユアーズは Fairy King=Sadler's Wells 2×4ですが、エルコンドルパサーには上記の多重クロスが仕込まれているので、もう少し深度のある配合です。父ファルブラヴはやや底力に欠けるので、エルコンドルパサーの重さによって弱点を補っている部分はあるでしょう。2代母セシルカットは父サンデーサイレンス、母ダイナカールという素軽い芝血統。このあたりで晴雨兼用の帳尻を合わせている感じです。


ちなみにセシルカットは、ハナズゴール(チューリップ賞)の父オレハマッテルゼの4分の3同血馬です。この牝系の真打は、牝馬ながら年度代表馬に輝いたエアグルーヴなのですが、それを経由しないラインがこれだけ存在感を主張しているのですから優秀という以外にありません。


アイムユアーズは派手さこそないものの、晴雨兼用で、馬込みを苦にしない精神力、着実に伸びる末脚を持っているので、桜花賞がどんなレースになろうとも上位争いに加わってくるでしょう。ここしばらく馬場状態が不安定だったせいか、毎週重賞が荒れに荒れており、2月5日のきさらぎ賞をワールドエースが勝ったのを最後に重賞1番人気馬は13連敗中でした。アイムユアーズはこれをストップさせたわけですから素晴らしい安定感です。





当てるのが最も難しい重賞・中山牝馬S


 中山牝馬S(G3・芝1800m)は、全重賞のなかで的中させるのが最も難しいレースです。昨年の1〜7着馬は以下のような人気でした。


1着=10番人気
2着=14番人気
3着=13番人気
4着=9番人気
5着=18番人気
6着=16番人気
7着=11番人気


どんな予想をしてもこの馬券は当たらない自信があります^^


レースには2種類あります。ロジックで詰めていけば的中に近づけるものと、そうでないもの。中山牝馬Sは後者でしょう。昨年、わたしが印を打った6頭はすべて8着以下でした。力関係が拮抗した牝馬同士のハンデ戦。しかも小回りでごちゃつきやすい舞台設定。さらには馬場状態や展開のバイアス。


『競馬王』3月号の「重賞スクランブル Crystal」というコーナーにこう記しました。


「まぎれの多いハンデ戦なので、やはりというか荒れている。06年を最後に1、2番人気は連絡みしておらず、3番人気も1回だけ。昨年は阪神競馬場で行われ、1着10番人気、2着14番人気、3着13番人気で3連単は240万馬券だった。場所を移してもこれだけ荒れるので、実力拮抗の牝馬によるハンデ戦、という設定が大荒れの原因なのだろう。今年も荒れるのは確定的。
 不思議なことに、過去10年間、前走を勝って連対した馬が1頭もいない。勝ったことによりハンデが上がてしまうことがよくないのかもしれない。前走が京都牝馬Sなら2〜5着あたりがほどよい負け方。牡馬混合重賞なら10着以下に負けた馬でもOK。準OPを勝って臨んできた馬が毎年穴人気になるものの、よくて3着という結果が出ている。
 血統的には過去3回連対しているフジキセキ産駒に注目。最近は6歳馬の活躍が目立ち、乗り役では蛯名正義騎手がいい。」


レースが行われる2ヵ月以上前に書いた展望記事なので、蛯名正義騎手が騎乗していなかったり、京都牝馬Sの2〜5着馬が出走してこなかったことはご容赦ください。上記の傾向に付け加えるとすれば、年明け初戦の馬がもうひとつ走っていないこと。今年はこのパターンに当てはまる馬が7頭もいます。


中山牝馬Sは、馬の個性を考慮せず、馬場や展開に悩むこともなく、単純にデータからバシバシと決め打ちしてボックス買いでもしたほうが当たるのかもしれません。


土曜日の中山芝は、先週までとは違い、徐々に外差しも利くようになっていました。ただ、日曜日がどうなるかは馬場の乾き方次第なので不透明です。日曜日は曇りの予報ですから、これまた微妙なところです。稍重ぐらいまで回復するかどうか、といったところでしょうか。


中山牝馬Sの結論は『ウマニティ』と『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供しましたのでご参照ください。





ディープ+Vaguely Noble の新たな期待馬エロイカ


 ■日曜阪神5Rの新馬戦(芝1800m)は、好位追走の◎エロイカ(1番人気)が直線で楽に抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=44ejVwZy1V8


予想は◎▲で馬単3580円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。


「◎エロイカは『ディープインパクト×ダンジグ』という組み合わせで、シンボリインディ(NHKマイルC、京成杯オータムH)の半弟にあたる。土曜日の新馬戦(芝1800m)を勝ったエアカリナンに先週の稽古で大きく先着しており、素質はかなり高そう。母は「ダンジグ×ヴェイグリーノーブル」というパワーを感じさせる配合なので、水分を含んだ今週の芝コースは合うだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009109141/



母方に Danzig が入るディープ産駒といえばドナウブルー(京都牝馬S)とジェンティルドンナ(シンザン記念)の姉妹が有名です。Danzig は掻き込みの強い走法、パワー、前向きな気性を伝えるので、近い世代にこの血を持つ馬は道悪を苦にしないものが多いですね。昨年11月、京都芝の不良馬場で見せたドナウブルーのパフォーマンスは圧倒的なものでした。今回のエロイカのレースは、良馬場ながら水分を含んだ馬場だったので、道悪適性がモノを言ったのだろうと思います。ドナウブルーは今週日曜日の中山牝馬Sに出走を予定しています。雨が残る馬場は追い風でしょう。


2代母の父 Exceller は、種牡馬として成功した Capote(ボストンハーバーなどの父)の半兄で、ヨーロッパとアメリカを合計してG1を11勝した名馬です。父が Vaguely Noble で、母は Nasrullah 2×3ですから、スタミナとスピード、どちらのタイプに出てもおかしくない配合でしたが、競走成績を見ると、父 Vaguely Noble のスタミナが勝っていたようです。道悪も上手な馬でした。
http://www.pedigreequery.com/exceller



現役生活のハイライトは78年のジョッキークラブゴールドC(米G1・ダ12f)。Seattle Slew、Affirmed という2頭の米三冠馬が出走するという豪華メンバーでしたが、後方から追い上げた Exceller がシューメーカーの懸命のムチに応え、Seattle Slew との叩き合いを制して優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=zZFr6N2lNY4


ディープインパクトにはこうした重厚な血がワンポイントでも入ると、中距離向きの底力や、道悪を苦にしない図太さが出てきます。Exceller の3代父 Aureole は、ディープインパクトの5代母 Hypericum と4分の3同血の関係にあります。つまり Hypericum≒Aureole 6×6です。この関係が生じるためか、母方に Vaguely Noble が入ったディープインパクト産駒はよく走っています。5代以内に持つ8頭中7頭が勝ち上がり、そのなかからボレアスとマウントシャスタの兄弟、トーセンラーとスピルバーグの兄弟などが出ています。エロイカは良馬場でどれぐらいの脚が使えるか見てみたいですね。前途洋々です。


■日曜中京3Rの未勝利戦(芝1400m)は、マスクオフ(1番人気)がゴール前で目が覚めるような末脚を繰り出して差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=exKQHcTtvCY


4コーナーではまだインの後方と、かなり厳しい位置取りではありましたが、外に持ち出してスパッと切れました。『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で取り上げ、血統屋の『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では○評価だった馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105916/



サンデーサイレンスとホワイトマズルは、Halo と Drone の関係を介したニックスです。ディープインパクトの場合、Halo≒Sir Ivor 2×4で、しかも母の父 Alzao とホワイトマズルの父ダンシングブレーヴが相似な血の関係にあるので、他のサンデー系との組み合わせに比べてかなりきつい配合になります。Alzao とダンシングブレーヴはいずれも Lyphard 産駒で、母の父が相似な血の関係にある Sir Ivor と Drone。



というわけで、ディープインパクトにダンシングブレーヴを持ってくる配合は、若干やりすぎ感が漂うものなので、多かれ少なかれギャンブル性があります。「ディープ×ダンシングブレーヴ」「ディープ×コマンダーインチーフ」の計3頭のうち、勝ち上がったのは1頭だけ。「ディープ×ホワイトマズル」は、マスクオフのみデビューし、今回勝ち上がりました。母ビハインドザマスクはスワンS(G2)など重賞を3勝したスピード馬で、コイウタ(ヴィクトリアマイル)やアグネスアーク(天皇賞・秋−2着)の近親。Mr.Prospector が入ると複雑な配合が簡単になるのでいいですね。このあたりが利いている感じがします。ディープインパクトは快速型の繁殖牝馬と相性抜群です。


レース間隔が開き、熱発明けでこの勝ちっぷりですから、能力を感じさせます。414キロと小さい馬なので長い目で見たい馬です。





ダート重賞でも勝ち負けになるイジゲン


 ■土曜阪神6Rの新馬戦(芝1800m)は、好位追走の▲エアカリナン(2番人気)が直線で最内をついて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=EUTWUj1UkQI&list


この日のメインレースは大本命馬ジョワドヴィーヴルが3着と敗れましたが、5Rのグランプリブラッド、6Rのエアカリナンは同じディープインパクト産駒。前者の母の父はブライアンズタイム、後者は Point Given なので、いずれもパワー型の血を抱えていました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106095/



母エポカブラヴァは、パーソナルエンスンH(米G1・ダ10f)を勝った Passing Shot の半妹にあたる良血で、Relaunch 4×2というパワフルなクロスを持ちます。母の父 Pont Given は米二冠を含めてG1を6勝した超大物。こういう繁殖牝馬から芝向きの子を出せるところがディープインパクトの個性です。どうでもいい豆知識ですが、Point Given のデビュー戦に乗ったのは武豊騎手です。つまり、父も母の父も武豊騎手が手綱を取ったことがあります。


ディープインパクトに含まれる Alzao の3代母 How は、本馬の3代母 Sham の母 Sequoia の全姉なので、本馬は How=Squoia 6×5という全きょうだいクロスを持ちます。Ack Ack(2代母 Cherokee Rose が How と Sequoia の全きょうだい)を通じた How=Cherokee Rose の全きょうだいクロスはそこそこ数がいて、初年度産駒から注目し、POGでも指名したのですが、いまのところ大物感がありません。1勝は挙げるけれどその後は……というタイプがほとんどです。母方に Sham が入って How=Squoia ができる配合は初めてなので、今後の競走生活に注目したいところです。ちなみに現2歳に全妹がいます。


■土曜中山3Rの未勝利戦(ダ1800m)は、スタートで大きく出遅れたイジゲン(1番人気)が道中少しずつポジションを上げ、4コーナーで大外からかぶせるように先頭に立つと、直線で後続を寄せ付けず4馬身差で圧勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=LeXjhiuIXak


勝ちタイムは6Rの3歳500万下より0秒8速く、スタートで大きく出遅れたこと、終始外を回る距離ロスがあったことなどを考えると、古馬1000万条件に匹敵する内容だったと思います。出遅れなければダート重賞でも十分勝ち負けになる素質馬でしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110094/



父エンパイアメーカーは、中山金杯、中山記念を連勝したフェデラリストを筆頭に産駒が走りまくっており、当ブログでもしょっちゅう取り上げている印象があります。今年に入ってから〔6・2・1・2〕という成績ですから手が付けられません。基本的にはダート向きですが、配合次第では芝もこなし、フェデラリストの配合から考えるとサンデー牝馬との相性は良好です。この配合から芝向きの大物がどんどん出てくるようなら、日本の血統地図が変わってくる可能性があります。


母の父 Dixieland Band はブルードメアサイアーとして優秀で、5代以内に Hyperion を4本持っているためスタミナと底力を伝えます。こういう血が入るとダート向きの大物感が出てきます。トニービン(Gainsborough−Hyperion が血統構成の核)を母の父に持つトランセンドのようなタイプですね。ダート1800〜2000mあたりに適した中距離タイプでしょう。マイル戦は能力の高さでこなせるかどうか、といったところです。





『パーフェクト種牡馬辞典 2012−2013』発売!


 明日3月9日(金)、栗山求&望田潤がメイン執筆者として関わった『パーフェクト種牡馬辞典 2012−2013』(自由国民社)が全国の書店で発売になります。


“配合”に比重を置いたという点で過去の類書とは一線を画しています。5代血統表を掲載し、種牡馬ごとの配合ポイント、成功するパターン、馬券になる得意条件などを記したほか、種牡馬ランキング20位までの馬については、今年のPOGの狙い馬を3代血統表付きで2頭ずつ取り上げています。


また、グリーンチャンネルでおなじみの辻三蔵さんが種牡馬ごとの調教傾向を解説し、久保和功さんが同様にパドックの見方をレクチャーしています。競馬道 OnLine 編集部と野本秀樹さんの協力により、データ分析部分を一新。情報量は昨年までの約10倍(!)という大増量となりました。


このほか、栗山求は「種牡馬にとって大切な『血統と配合』」と題する文章を寄稿しています。400字詰め原稿用紙20枚ほどの分量で、血統表をどう解釈するかといった基礎的な血統講座と、サラブレッドがどのような歴史をたどって現代に血を伝えてきたかという血統興亡史が柱です。


馬券はもちろんPOGや生産にも応用可能な新時代の種牡馬辞典であり、まさに全方位型の決定版、といった趣です。配合の教科書としてもお使いいただけると思います。お買い上げいただけましたら幸いですm(_ _)m
http://www.amazon.co.jp/dp/4426113911







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