パーフェクト種牡馬辞典


また出たクロフネのニックス配合シゲルスダチ


 日曜阪神10RのマーガレットS(3歳OP・芝1400m)は、中団追走から直線で抜け出したシゲルスダチ(7番人気)がレオアクティブ(1番人気)の追撃を半馬身抑えました。
http://www.youtube.com/watch?v=4OvD3JG58QY


2着馬より斤量が1キロ軽く、血統的にも母の父にブライアンズタイムが入るので力のいる馬場を苦にしないタイプです。しかし、このメンバー相手に勝てるのですから、ここにきてグンと成長しているのは確かです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103012/



シゲルスダチの配合は、ここ数年のクロフネ産駒のなかではおなじみのパターン。近親のホーエルキャプチャ、ベストクルーズなどの活躍馬はいずれも同じ核心部分を抱えた血統構成となっています。



詳しくは2011年2月13日のエントリー「クイーンCはホーエルキャプチャ」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-6544.html


クロフネの血統で重要なのは、父フレンチデピュティに含まれる Blue Moon で、これと似たような血を母方に入れて刺激する配合がよく走っています。サンデーサイレンスにはそれと相似な血である Banish Fear が、ラバージョンには全妹 Blue Grotto が入るので、「チヨダマサコ(その父ラバージョン)+サンデーサイレンス」の血を抱えた繁殖牝馬はクロフネと相性抜群です。


とくにラバージョンは、フレンチデピュティの母 Mitterand とよく似た構成なので、クロフネとの関係が特別なものになるのかもしれません。両者を並べると、Blue Moon=Blue Grotto の全きょうだいクロス、Narullah クロス、Ambiorix≒My Babu という相似な血のクロスが生じます。



ホエールキャプチャ、ベストクルーズ、シゲルスダチ、すべてこのパターンですから、今後も同様の配合構成を持つ活躍馬が出てくるでしょう。今年の2歳には、ホエールキャプチャとベストクルーズの全妹が控えています。いずれも千代田牧場の生産馬。同牧場では同じ配合パターンを量産しているので嬉しいですね。明らかにニックスだと思うのでどんどん走るでしょう。


2着レオアクティブは、つねに後ろから行って大外を回して追い込む、という極端な戦法なので展開に左右されやすく、勝ちきれません。外回りならなんとかなったかもしれませんが……。





OP入りは春の嵐とともにエタンダール


 山吹賞(3歳500万下・芝2200m)は、1200m通過1分20秒9、という超スローペースで逃げたエタンダール(2番人気)がラスト2ハロンを10秒8−10秒5でまとめて逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=zNObbwqAe2o


この日は首都圏で電車が徐行またはストップするほどの春の嵐。4コーナーから1コーナー方向に強風が吹いていたため、最後の直線のラップは追い風参考記録ですね。5Rの未勝利戦(芝1800m)もラスト2ハロンが11秒3−11秒2でした。


エタンダールは本質的に上がりの勝負に強いタイプではないと思います。周りもジリっぽいタイプが多かったので、位置取りのアドバンテージが活きたということでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104372/



父はディープインパクトで、母の父は先週死亡した Montjeu。この馬については3月31日に追悼エントリーを記しましたのでご参照ください。
http://kuriyama.miesque.com/?eid=179


母ミスペンバリーは「Montjeu×ハイエステイト」というヨーロッパ型の重い配合なので、荒れ馬場や道悪馬場の中長距離で本領を発揮するタイプです。土曜日はたまにパラッと雨が落ちる程度の曇天で、芝が渋っていたわけではありません。しかし、2月25日から続く中山開催の芝は前週まで1レースたりとも良馬場で行われたことがなく、この週からBコースに替わったといってもそれなりに荒れています。パワーのあるエタンダール向きの馬場だったといえるでしょう。


2代母 Stitching が Mill Reef≒Shore 3×3、母ミスペンバリーが Special=Thatch 4×4、自身が Sans Le Sou≒Camenae 5×6という上品な展開。じつは全兄のクリサンセマムを某POGで指名(下位ですが)していたのですが、それはヨーロッパ型のディープ産駒として一発があっても……という期待からでした。思ったほど走らなかったのでエタンダールはスルーしました。弟のほうが器が大きいですね。


これでついにOP入り。良馬場の東京コースで末脚勝負となったときには伸び負けしそうですが、権利を獲ってもしダービーがドロドロの道悪となった場合、ロジユニヴァースのような芸当ができても不思議はないと思います。


『血統屋メールマガジン』の「今週の狙い馬」は毎週絶好調。望田潤さんが◎エタンダールでズバリ的中です! 6頭立てのレースでしたがいい配当でした。ちなみに栗山求も土曜中山5Rで◎ダノンジェラート(7番人気)が2着。この予想は土曜日の中山イベントで公開し、手前味噌になりますがその場にいらっしゃったお客様に喜んでいただくことができました。まぐまぐからご登録いただけますのでぜひどうぞ。
http://www.mag2.com/m/0001305873.html





ダービー卿チャレンジトロフィーはガルボ


 中団追走の◎ガルボ(3番人気)が直線で鋭く伸び、▲オセアニアボス(10番人気)の追撃をクビ差抑えました。
http://www.youtube.com/watch?v=OKTArqcUqVQ


『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』『ウマニティ』に提供した予想は◎▲で馬単1万910円的中。予想文を転載します。


「◎ガルボは『マンハッタンカフェ×ジェネラス』という組み合わせ。母方にカーリアンを持つマンハッタンカフェ産駒は成功しており、レッドディザイア、ジョーカプチーノ、テイエムオーロラ、マッハヴェロシティなどの活躍馬が出ている。本馬もこのパターン。前走の阪急杯は4コーナーで前が詰まってジョッキーが立ち上がる、という不利を被りながら立て直して5着に食い込んだ。引き続き稽古の動きは良好で、57.5キロもこなせる範囲内。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101163/



3月9日に発売された『パーフェクト種牡馬辞典 2012−2013』(自由国民社)のマンハッタンカフェの項は栗山求が執筆したのですが、その一部を抜粋します。


「ドイツ血統の名牝ビワハイジ(ブエナビスタやジョワドヴィーヴルの母)といとこ同士であるように、母方が非主流血統で固められているので、母がノーザンダンサーの強いクロスを持つ、といった主流血統を積極的に入れた配合が成功している。特に相性のいい血はカーリアンとブラッシンググルーム。ストームキャットも悪くない。ミスタープロスペクターとニジンスキーを併せ持つ配合も成功している。」


日曜日は東西の重賞をマンハッタンカフェ産駒が制覇。大阪杯を勝ったショウナンマイティは母の父に Storm Cat を持ちます。一方、ダービー卿チャレンジトロフィーを勝ったガルボは Caerleon を持ち、母は Northern Dancer 4×4。両馬とも父の成功パターンにきっちり当てはまる配合でした。


マンハッタンカフェは、法則どおりに産駒が走りやすい傾向が見られるので、走る産駒とそうでない産駒が見分けやすい種牡馬です。今年の2歳世代の配合にもすべて目を通しましたが、いいなと思う配合がいくつかありました。わたしのチョイスは『競馬王のPOG本 2012−2013』(白夜書房)の「栗山ノート」に発表予定です。もし皆さまが法則を基に馬を選べば、5頭中2〜3頭はダブる……かもしれません^^


母の父ジェネラスは晩成傾向があり、函館記念を3連覇したエリモハリアーが代表産駒です。したがって、ガルボはこれから本格化していきそうです。今回、カンカン泣きするタイプという評価を覆したので、安田記念でも好走して冬専用馬という評価を覆してほしいですね。





大阪杯はショウナンマイティ


 4コーナー最後方の△ショウナンマイティ(6番人気)が直線で鮮やかに突き抜けました。内回りでも楽々届く破壊力でした。
http://www.youtube.com/watch?v=dd5jamFJE5A


父マンハッタンカフェ自身は折り合いと瞬発力に優れたタイプで、産駒にも“スローペースの差し切り勝ち”という決まり手をよく目にします。今回は阪神競馬場だったのでイコピコの神戸新聞杯がオーバーラップしました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101020/



血統的に見ると、イコピコは母の父がジェイドロバリーだったのでG1の舞台でどうかなという面があったのに対し、ショウナンマイティの配合はパワー満点の Storm Cat を入れて Ribot 系の Alleged クロスで締める、という迫力ある構成。昨年のフラワーCを勝ち、桜花賞でも3着と健闘したトレンドハンターに似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100618/



今回はハマった印象もありますが、Ribot 系はスタミナと底力に優れ、成長力もあるので、これから本格化していく可能性は十分でしょう。


◎フェデラリスト(1番人気)は予想文に記したとおり、おそらくは長距離輸送を考慮したのだと思いますが、馬なり調教に終始した点が響いたように思います。目一杯の仕上げならこんなものではないでしょう。休み明けで本調子になかった▲トーセンジョーダン(2番人気)はさすがG1ホース、という粘り腰。魅せました。


『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は△◎▲で馬連990円、3連複1740円的中。『netkeiba.com』の「No.1予想」はマルチの買い目を設定していたので馬単2660円、3連単11540円的中です。


天皇賞・春は、まともならオルフェーヴルの首位不動という状況なのですが、周知のとおり阪神大賞典であのような結果となってしまいました。調教再審査に合格するかどうかは不透明です。土曜日に中山競馬場のイベントでご一緒した井内利彰さんは、レースの売り上げのこともあるので当然出てほしいというご希望を表明された上で、栗東での稽古を見た印象から「シブロクで出られないかもしれない」と分析されていました。出られる確率40%、出られない確率60%ということです。まったく予断を許さない状況です。





ドバイワールドCは Monterosso


 今年の日本馬はいいところがありませんでした。いい年もあれば悪い年もありますし、競走は運に左右されるスポーツですから、仕方がないかなという気はします。全体的に見れば惜しいという競馬はなかったですね。


逃げると目されたスマートファルコンはスタート直後バランスを崩したところで So You Think に寄られて万事休す。逃げたトランセンドは向正面で So You Think にインからねじ込まれ万事休す。今年は So You Think が日本馬ヒットマンとなった感があります。ただ、競馬には多少の有利不利はつきものですし、今年はかなりハードな流れになったので、スムーズな競馬だったとしても難しかったかもしれません。


勝った Monterosso は Dubawi 産駒。Dubawi は1世代を残して急逝した Dubai Millenium の忘れ形見。Dubai Millenium は2000年のドバイワールドCを勝つことを願ってモハメド殿下によって命名され、それを実現した名馬です。この系統でドバイワールドCを勝つのはモハメド殿下にとって格別の味でしょう。
http://www.pedigreequery.com/monterosso5



Dubawi は Danzig との相性が優れています。Monterosso の母の父は Barathea なので Sadler's Wells 系。「Dubawi×Sadler's Wells 系」で過去に活躍した数少ない馬は Fox Hunt、すなわち今年のドバイゴールドCで骨折して競走中止し、再レースの原因となった馬です。


Monterosso の牝系は19世紀からオーストラリアで続いてきたもので、母 Porto Roca は同国の芝1500mのG1ウィナー。オーストラリア血統といってもまったく知らないものではなく見覚えがあります。2代母の父 Salieri は Shaftesbury Avenue(シャフツベリーアヴェニュー:ジャパンC−3着などG1を6勝)や Schillaci(豪でG1を8勝)の父。3代母の父 Loosen Up は Better Loosen Up(ベタールースンアップ:ジャパンCなど日豪でG1を8勝)の父です。


「Dubawi×Barathea」はヨーロッパ仕様でやや重いのですが、2代母の部分がスピード値の高いオーストラリアの異系血統(Accipiter≒Loosen Up 2×2)なので、このあたりが単なるスタミナ型ではない奥深さを与えているような気がします。







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