パーフェクト種牡馬辞典


『パーフェクト種牡馬辞典 2012−2013』発売!


 明日3月9日(金)、栗山求&望田潤がメイン執筆者として関わった『パーフェクト種牡馬辞典 2012−2013』(自由国民社)が全国の書店で発売になります。


“配合”に比重を置いたという点で過去の類書とは一線を画しています。5代血統表を掲載し、種牡馬ごとの配合ポイント、成功するパターン、馬券になる得意条件などを記したほか、種牡馬ランキング20位までの馬については、今年のPOGの狙い馬を3代血統表付きで2頭ずつ取り上げています。


また、グリーンチャンネルでおなじみの辻三蔵さんが種牡馬ごとの調教傾向を解説し、久保和功さんが同様にパドックの見方をレクチャーしています。競馬道 OnLine 編集部と野本秀樹さんの協力により、データ分析部分を一新。情報量は昨年までの約10倍(!)という大増量となりました。


このほか、栗山求は「種牡馬にとって大切な『血統と配合』」と題する文章を寄稿しています。400字詰め原稿用紙20枚ほどの分量で、血統表をどう解釈するかといった基礎的な血統講座と、サラブレッドがどのような歴史をたどって現代に血を伝えてきたかという血統興亡史が柱です。


馬券はもちろんPOGや生産にも応用可能な新時代の種牡馬辞典であり、まさに全方位型の決定版、といった趣です。配合の教科書としてもお使いいただけると思います。お買い上げいただけましたら幸いですm(_ _)m
http://www.amazon.co.jp/dp/4426113911





Sea-Bird 生誕50周年


 1999年12月31日付けの英『Racing Post』紙に、「20世紀の世界最強馬ベスト100」が一挙掲載されました。栄えあるトップの座についたのは Sea-Bird(仏・1962年生)。


本日、2012年3月8日は、Sea Bird が誕生した1962年3月8日から50年目にあたります。
http://www.pedigreequery.com/sea-bird



19世紀最強馬といわれる Gladiateur は、1862年にフランスで生まれました。19世紀と20世紀の最強馬が、ちょうど100年違いでフランスに誕生している事実は、偶然とはいえおもしろいと思います。


Sea-Bird は通算8戦7勝。史上空前といわれたハイレベルなメンバー構成の凱旋門賞(1965年)を6馬身差で圧勝したほか、英ダービー、サンクルー大賞典などを楽勝しました。英『タイムフォーム』誌で獲得した「145」というレイティングは歴代最高です。


唯一の黒星は仏2歳チャンピオン決定戦のグランクリテリウム(現ジャンリュックラガルデール賞)。スタートで出遅れ、ゴール前で猛然と追い上げたものの Grey Dawn の逃げをとらえられませんでした。


Sea-Bird の父 Dan Cupid は仏ダービー2着馬。そのときの優勝馬はのちに種牡馬として成功した Herbager でした。Herbager は前出の Grey Dawn の父です。つまり、Dan Cupid−Sea-Bird の親子は、Herbager−Grey Dawn の親子に2代にわたって負かされたという因縁があります。


Sea-Bird はアウトブリードの産物です。父母の異なる個性がぶつかったことで、世にも稀なきわめて有益な化学反応が生じ、いいとこ取りの怪物が誕生しました。父 Dan Cupid は Native Dancer を父に持つ最新型のアメリカ血統。一方、母 Sicalade は伝統的なフランス血統で構成され、5代以内に Rabelais を4本持つという異様な凝縮があります。
http://www.pedigreequery.com/sicalade



調教師のエティエンヌ・ポレは、Sea-Bird を預かるちょっと前に、Hula Dancer という牝馬を管理していました。同馬は2歳から3歳にかけて、グランクリテリウム、英1000ギニー、ジャックルマロワ賞、ムーランドロンシャン賞、英チャンピオンSなどを勝ちまくった女傑で、Native Dancer を父に持つアメリカ産馬でした。したがって、Native Dancer 系の素晴らしさ、アメリカ血統の優秀さを身をもって感じていたことでしょう。Hula Dancer の活躍が Sea-Bird を預かる契機となった可能性もあります。
http://www.pedigreequery.com/hula+dancer



Sea-Bird はわずか11歳で早世したので、産駒数は多くありません。それでも、70年代のフランス最強牝馬 Allez France(凱旋門賞、仏オークス、仏1000ギニー)や、米二冠馬 Little Current(プリークネスS、ベルモントS)などを出しました。


サイアーラインは Sea-Bird → Arctic Tern → Bering  →Pennekamp と続いているものの、現在はほとんど勢いがありません。母の父としては Bikala と Assert の兄弟を出しています。我が国では重賞を4勝したシーバードパークや、02年の日本ダービーを制覇したタニノギムレットの母方に含まれています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999100226/



YouTube には Sea-Bird の英ダービーや凱旋門賞などの映像がアップロードされています。しかし、競走生活を通して見るには、短編のドキュメンタリーが最適でしょう。さまざまなレース映像を見ることができ、ポレ調教師も出演されて Sea-Bird について語っています。
http://www.youtube.com/watch?v=BXaWeZLmlC4


彼曰く、Sea-Bird を特別たらしめたものは身体能力とのこと。1歳時から他の馬とはギャロップが違っていたため、走りが普通ではないことを吹聴していたそうです。長じて Sea-Bird はグレートホースとなって彼の言葉を証明しました。のちに振り返ったとき、最も強く印象に残っているのは、偉大な競走生活ではなく、1歳時に見せた動きだそうです。「並はずれていたよ、信じがたいほどに」。……ちょっといい話です。





中日新聞杯はスマートギア


 日曜中京11Rの中日新聞杯(G3・芝2000m)は、好位追走の△スマートギア(6番人気)が直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=ZMNCyAB08XU


先週は土日のメインレースが荒れに荒れ、人気サイドが勝ったのは土日6レースを通じて日曜阪神(仁川S)のゴルトブリッツ(1番人気)のみ。このレースも6番人気の伏兵が勝って波乱の決着でした。


これまで重賞では〔0・4・2・11〕という成績。7歳にして初の重賞制覇です。リニューアルした中京競馬場の芝コースは、開幕週だけに高速決着になるのかなと漠然と考えていたのですが、同時に生えている野芝と洋芝のうち後者の芝丈が14〜18センチと長く、土日とも時計が掛かり気味でした。ちなみに中山は10〜14センチ、阪神は12〜16センチ。競馬場ごとに違い出しています。


土曜日のレースを見ていると、芝レースの勝ち馬に東京実績のある馬が多いということに気づき、それもあって◎ダノンスパシーバ(3番人気)としたのですが、意外に伸びませんでした。スマートギアも東京で2戦1勝ですから適性は低くないでしょう。


日曜日は小雨が降り始めた午後から重厚な血統が勝利を挙げていまいた。8R(芝2200m)はアルカセット産駒、10R(芝1400m)は母が「コマンダーインチーフ×Darshaan」でした。スマートギアも「マーベラスサンデー×パドスール」ですから重厚です。直線が長く、坂の勾配が急で、芝が深いとくれば、ヨーロッパ仕様の馬場であることがうかがえます。新しい中京芝コースに適性がありそうな血統傾向を早くつかむことができればいい馬券が取れそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105204/



母スケアヘッドラインは昨年11月21日、フジテレビのザ・ノンフィクションで放送された「愛と涙をのせて 〜北海道日高 牧場物語〜」のなかに登場した馬で、残念ながら作中に骨折で安楽死処分となりました。スマートギアは、スケアヘッドラインが大林ファームに渡る以前に大栄牧場で誕生しています。


母方に Mill Reef が入るマーベラスサンデー産駒には、ネヴァブションやオーゴンサンデーがいます。いずれも渋り気味の馬場に適性がありました。Mill Reef 自身、小柄ですが道悪の得意な馬でした。





オーシャンSはワンカラット


 土曜中山のオーシャンS(G3・芝1200m)は、好位追走のワンカラット(9番人気)が馬群を割って抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Zt47R-XpNhQ


1番人気に推された◎カレンチャン(1番人気)は4着。久々、56キロ、伸びない外を回らされる、といった複合的な悪条件が思いのほか堪えたということでしょう。この時季の仕上げの難しさというのもあったかもしれません。○グランプリエンゼル(5番人気)、ベイリングボーイ(14番人気)が2、3着ですから、かなり力のいる馬場でした。


高松宮記念(3月25日・中京競馬場)の1番人気はこれでロードカナロアでしょう。カレンチャンもこれを使って一変するはずなので、いい勝負になるはずです。


ワンカラットは、デビュー時の馬体重が472キロ。2走前の阪神Cでは544キロ。じつに72キロも増えています。前走で4キロ減り、今回はさらに18キロ減って522キロ。一昨年夏、北海道で重賞を連勝したときが508〜514キロなので、このあたりが最も走りやすいのではないでしょうか。道中、ラチ沿いのいちばん走りやすいコースを通ることができたのが大きかったですね。平坦コースが合っているようなイメージを持っていたので今回はノーマークでした。次走の高松宮記念がラストランの予定。いい繁殖牝馬になるような気がします。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103025/



半妹のサンシャイン(父ハーツクライ)は、先月エルフィンS(OP)を勝ってクラシック戦線に名乗りをあげました。本馬とは似ても似つかない小柄な馬です(前走時416キロ)。母バルドウィナはペネロピ賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬で、純ヨーロッパ風の、ほとんど傍流の血で構成されたユニークなタイプの繁殖牝馬です。スピード面が心配になるのですが、娘2頭は鈍重さのかけらもなく、スピードを武器としています。加えて、母は丈夫な体質も伝えているので素晴らしいですね。


母パルドヴィナの3代前には、Kendie(Djebel 3×3、Tourbillon 4×4・4)、Torbella(Tourbillon 2×3)という、Tourbillon−Djebel のラインを凝縮した血が並んでいます。父ファルブラヴは、こうした血と相性がいい Djeddah(Bold Reason の母の父)を含み、なおかつ母にとって新鮮な活力となる Northern Dancer や Seattle Slew といった影響力の強いアメリカ血統を持っていることがよかったのでしょう。



現2歳はディープインパクト産駒の牝馬。グリーンファーム愛馬会の募集馬で、音無秀孝厩舎所属、募集価格は3000万円。楽しみな馬です。





弥生賞はコスモオオゾラ


 毎年スローペースになる弥生賞。今年は逃げ先行馬がそろったので、遅い流れにはならないだろうと考えたのですが、例年以上のスローペースになりました。牽制しあったということなのか、本番前の試走ということで折り合いや末脚の性能を試したい騎手が多かったのか、あるいは単なる成り行きなのか、そのあたりは不明です。


日曜日は外差しに変わるのでは……という気もしていたのですが、相変わらずの内有利の馬場。同じようなコンディションだった1月の京都開催もそうでしたが、スローペースで展開すると、後方につけたり外を回らされた馬は出番がありません。結局、ラチ沿いの好位につけた馬が1、2、3着を占めました。
http://www.youtube.com/watch?v=JmlkY90POqA


今回の結果が本番につながるかというと、上位入線した馬を悪く言うわけではありませんが、そうはならないのでは、と思います。さまざまなバイアスが感じられたレースであり、今回の枠順、展開、馬場コンディションに最も適した馬が好走したという印象です。


とはいえ、勝ったコスモオオゾラ(9番人気)の勝ちっぷりは見事なものでした。好位馬群でうまく立ち回り、力強く坂を駆け上がって前をとらえるという、昨年暮れの葉牡丹賞とまったく同じような競馬。道悪は過去2戦2連対なのでパワーが必要な馬場は抜群に上手いですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105185/



母方は、2代母ザナック、母マイネシャローナという、70年代のロックシーンをご存知の方ならニヤリとする洒落のきいた繋がりです。母が走っていた10年ぐらい前は、ウォーニングムスメとかオオトリヘプバーンとか、この系統の名前をよく目にした気がします。


コスモオオゾラの配合を見ると、母には Drone≒Halo 4×4があり、それを Devil His Due≒Machiavellian 2×3で継続発展させています。



父ロージズインメイは異系色の強い血なので、Northern Dancer、Raise a Native、Hail to Reason といった主流血脈の多重クロスを持つ母マイネシャローナの配合は悪くないでしょう。「ロージズインメイ×コマンダーインチーフ」ですから、パンパンの良馬場では狙いづらい馬で、いかにも小回りコースの荒れ馬場が合いそうなタイプ。本番も人気にはならないと思いますが、馬場が渋るなら怖い1頭です。


父ロージズインメイは芝・ダート兼用タイプで、これまで重賞では2着(2回)が最高成績でした。これが初の重賞勝ちです。昨年は芝1400〜1600mで17勝を挙げたのですが、これは全種牡馬のなかで第5位に相当する優れたものです。ロージズインメイが輸入された当時、この分野で強いとは想像できませんでした。トニービンや Mr.Prospector と好相性を示しています。


◎アダムスピーク(1番人気)は8着。坂路の追い切りでフラつくところがあり、そこからレースまでに良化することを期待したのですが、当日のパドックではしきりに尾を振っていたのが気になりました。初の長距離輸送や、伸びない外を回らされて4コーナーで何度かぶつけられるなど、経験の浅い馬だけに戸惑うところがあったのかもしれません。これもロスの多い競馬だった○フェノーメノ(2番人気)にしてもそうですが、今回の弥生賞で外を回って負けた馬たちは、それほど悲観することはないと思います。フェノーメノは皐月賞出走が厳しくなったので、おそらく目標をダービーに切り替えてくると思うのですが、今回の敗戦が結果的に良かったといわれるような結果を残してほしいですね。大トビなので小回りコースで機敏に動けるタイプではありませんが、東京コースなら話は別です。ダービー候補の1頭でしょう。







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