パーフェクト種牡馬辞典


スマートファルコンが東京大賞典を連覇


 勝つには勝ったけれど……。そんなふうに思ってしまうのはスマートファルコンが歴史的名馬だからです。昨年秋のJBCクラシックから今年の帝王賞まで、スマートファルコンの比較対象となる存在はクロフネだけでした。


しかし、秋緒戦の日本テレビ盃、2戦目のJBCクラシックは、それまでの暴力的な強さが影を潜めていました。レースぶりからそれを感じ取った方は少なくなかったと思いますし、当ブログでも指摘してきました。6歳の暮れ、通算32戦目。どれほど偉大な馬でもマシーンではないので、衰えが兆してきたとしても不思議ではありません。


残り100mでワンダーアキュートが外から迫り、もはや絶体絶命かと思われたところからギリギリ残したのは、スマートファルコンの名馬としての意地でしょうか。並の逃げ馬がああいう態勢に持ち込まれると粘り切るのは至難の業です。年末の大一番にふさわしい熱いレースでした。
http://www.youtube.com/watch?v=bHKk8WbYNI4


配合については旧ブログ9月24日のエントリー「日本テレビ盃(G2・船橋ダ1800m)はスマートファルコン」をご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/09/post-1735.html


スマートファルコンは本格化してから大井競馬場のダート2000mで4戦しています。以下は主催者が発表したラップタイムです。


★10年東京大賞典(勝ちタイム2分00秒4=レコード)
 12.2- 11.1- 11.5- 12.2- 11.9- 12.1- 12.1- 12.3- 11.9- 13.1
★11年帝王賞(勝ちタイム2分01秒1)。
 12.2- 11.0- 12.0- 12.3- 12.3- 12.6- 12.7- 12.6- 11.3- 12.1
★11年JBCクラシック(勝ちタイム2分02秒1)
 12.6- 11.8- 12.4- 12.1- 11.8- 12.0- 12.1- 12.3- 11.9- 13.1
★11年東京大賞典(勝ちタイム2分01秒8)
 12.3- 11.2- 12.0- 12.1- 11.9- 12.0- 12.1- 12.7- 12.3- 13.2


逃げ馬の調子は上がりのタイムに表れます。調子が良ければスイスイと逃げ切りますし、悪ければバテます。以下は上がり4ハロンと3ハロンの比較です。


49.4- 37.3(10年東京大賞典)
48.7- 36.0(11年帝王賞)
49.4- 37.3(11年JBCクラシック)
50.3- 38.2(11年東京大賞典)


スマートファルコンは速いペースで逃げて、なおかつ上がりもしっかりしているのがセールスポイントです。今回はちょっと鈍りましたね。もちろん、それぞれ微妙な馬場差があるので単純比較はできないのですが、絶好調時のスマートファルコンなら相手が何であれ馬体を接してゴールするようなシーンは考えられませんでした。今回のレース結果を受けて小崎憲調教師は、来年のドバイ遠征を行うか断念するか迷いが生じてきているようです。


東京大賞典2連覇、昨年秋のJBCクラシックから8連勝、今年に入ってから5戦全勝。この実績は過去に類例がないほど素晴らしいものです。ただ、もはや歴史的名馬ではないのかもしれない……という寂しさも感じます。この感想が早合点であったと笑われるような走りを、来年のスマートファルコンには期待したいところです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005100097/






鮮やかな牝馬クロスを持つショウナンタケル


 ■日曜阪神5Rの新馬戦(芝2000m)は、◎ショウナンタケル(1番人気)が2番手追走から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=VeEeG2DeqKo

予想は◎○△で馬単790円、3連単6610円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ショウナンタケルは『アグネスタキオン×マルゼンスキー』という組み合わせ。アグネスレディー=ヤングサリー3×3という全姉妹クロスがある。イチかバチかという大胆な配合だが、稽古時計を見るかぎり吉と出ているようだ。クロスさせたアグネスレディーはオークス馬なので距離はもつだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106466/



予想文に記したとおり、鮮やかな全姉妹クロスがあります。とはいえ、リマンド付近を強化したアグネスタキオン産駒は鈍重さを帯びる傾向があります。今回は時計が掛かる阪神芝コースの、レースの上がりが36秒7というレースに向いていたといえるでしょう。2番手からじわじわ伸びたレースぶりはアグネスタキオン的というよりもリマンド的でした。今後の課題は軽い切れ味が求められるレースに対応できるかどうかですね。

■日曜中山7RのホープフルS(2歳OP・芝2000m)は、好位で流れに乗ったアドマイヤブルーがゴール前で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=-ZHsjcRINrM

デビュー2連勝。過去10年、新馬戦→ホープフルSを連勝したのはニュービギニング、アリゼオに次いで3頭目です。2代母アサーションの一族からはアドマイヤジュピタ(天皇賞・春)とアドマイヤメイン(青葉賞)が出ています。馬主孝行な良牝系です。

ラストタイクーン≒Assert 3×3という硬めのクロスがあるので、これを解きほぐすようにサンデー系の血を挟んでいるのはいいですね。とはいえ、どちらかといえばパワー型だと思うので、しなやかな瞬発力は期待できず、先行してしぶといタイプでしょう。それを見抜いて4番手でレースを進めたメンディザバル騎手は上手かったと思います。直線の坂で若干モタつき、坂上からグンと伸びたシーンを見ると、本質的には平坦コースに向いたタイプかもしれません。2代母アサーションは重厚なスタミナを伝えているので距離が延びても問題ないでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106182/






クラスが上がっても楽しみヤマニンファラオ


 ■土曜阪神7Rの新馬戦(芝1600m)は、○ヤマニンファラオ(5番人気)が終始外を回りながらも直線でもよく伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=VoenbeKLZYU


OPクラスまで出世したヤマニンウイスカー(父マンハッタンカフェ)の半弟。母マダニナは Sadler's Wells×Blushing Groom なので、テイエムオペラオー(2代父 Sadler's Wells、母の父 Blushing Groom)によく似た構成です。本馬もテイエムオペラオーも栗毛なのでイメージが重なるところがありますね。3代母 Riverqueen は薔薇一族の祖ローザネイの2代母です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104983/



「ダイワメジャー×Sadler's Wells」はマナウス(京都2歳S−3着)と同じ。2歳戦で台頭しやすい配合は、母方に Mr.Prospector などのスピード血統を抱えたタイプですが、大舞台における底力勝負では、やはり Sadler's Wells のような重厚な血を抱えた馬のほうが信用できます。


ダイワメジャーも Sadler's Wells も、スパッと切れるタイプではないので、上がりの速い決着となったときにどうなるかという懸念があったのですが、今回は大外を回って上がり34秒3。いまの阪神は時計が掛かっていますから、前半800m50秒7というスローペースだったにしてもまずまずの数字といえるでしょう。昇級してもいい勝負になりそうです。


ダイワメジャーは初年度にJRAで31勝を挙げました。94年のサンデーサイレンス(30勝)を抜き、新種牡馬では歴代2位の記録です。出走頭数、出走回数は2歳種牡馬ランキングのなかでいずれもトップ。仕上がりが早く、丈夫で回数を使えるというセールスポイントは、生産者に対して大きなアピールとなります。


■小倉10Rの樅の木賞(2歳500万下・ダ1700m)は、3番手追走のレッドクラウディアが競り勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=ahrwytHoiso


芝1800mのデビュー戦で断然人気を背負い3着と敗れたあと、ダート路線に転じて1着→2着→1着。いい決断でした。現2歳世代の石坂正厩舎は、本馬のほかにアダムスピーク(ラジオNIKKEI杯2歳S)、エピセアローム(小倉2歳S)、ジェンティルドンナ(2戦1勝)を擁しており、いいリズムを保っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106164/



「アグネスタキオン×コマンダーインチーフ」はリトルアマポーラ(エリザベス女王杯など重賞3勝)と同じ。コマンダーインチーフの父はダンシングブレーヴで、アグネスタキオンはダンシングブレーヴとニックスの関係にあります。スワンS(G2)を制したリディルもこのパターンです。


アピーリングストーリーの一族は、デュアルストーリーとデュアルスウォードの母子など、活躍馬のほとんどがダート向きです。リトルアマポーラと同じ「アグネスタキオン×コマンダーインチーフ」ながら、本馬がダート向きに出たのはこの牝系の影響です。


アグネスタキオンの2歳世代は先週7勝と大爆発。今年の2歳戦の勝利数を30勝とし、ディープインパクトの35勝、ダイワメジャーの31勝に次ぐ第3位に食い込みました。先週はメイショウコンカーやマルカファインのように、芝→ダート替わりで勝った馬が目につきました。いざとなればダートで潰しがきくところがアグネスタキオン産駒のいいところです。





気性面に難しさはあるが能力高いベールドインパクト


 土曜阪神5Rの未勝利戦(芝1800m)は、後方追走のベールドインパクト(1番人気)が豪快にマクって4コーナーで先頭に立ち、そのまま押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=ymuti2S87t4

3戦目での初勝利です。怖がりな面があるので馬群に潜り込むことができず、初戦も2戦目も距離損覚悟で大外を回る競馬。初戦はとくに酷く、外に膨れる癖も出して1頭だけ相当余計な距離を走っていました。デビュー前から抜群の時計を出していたように走力だけならかなりのもの。相手弱化と外差しの馬場にも助けられて勝ち上がりました。

父はディープインパクト。半姉にG1ウィナーのコイウタ(ヴィクトリアマイル、クイーンC)、伯母にビハインドザマスク(スワンS、京都牝馬S、セントウルS)、従兄弟にアグネスアーク(天皇賞・秋−2着)がいる良血です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105730/


母の父ドクターデヴィアスは、父としては日本向きのスピードに欠けるところがありました。ただ、非主流血脈が強いので、母の父としては悪くありません。繁殖牝馬として成功したロンドンブリッジ(ダイワエルシエーロ、ダイワディライトの母)とヴァイオレットラブ(本馬とコイウタの母)は、それぞれ母の父に Danzig、Mr.Prospector というアメリカのスピード血統が入っています。

ドクターデヴィアスの母の父 Alleged は、現役時代に凱旋門賞を2連覇した Ribot 系の名馬で、重厚なスタミナを伝えます。ディープインパクトやアグネスタキオンなど、切れ味や素軽さに定評のある種牡馬にこういった血が入るのはいいですね。昨年のPOGで指名したシュプリームギフトに配合構成が似ています。同馬は体質が弱く出世できずにいますが、デビュー戦でアヴェンチュラを差し置いて1番人気に推されたほどですから潜在能力は高いでしょう。


クラスが上がれば強いメンバーが待ち受けているわけですから、これまでのようなロスの大きな競馬では勝つのは難しいと思います。やはり気性面の成長がほしいですね。芝向きの中距離タイプです。

中央競馬の全日程が終了し、ディープインパクトのJRA2歳リーディングが確定しました。NARを合わせた2歳総合ランキングでも逃げ切り濃厚です。初年度産駒、2年目の産駒が連続して2歳リーディングに輝いたのはキングカメハメハ(08、09年)以来のことです。





有馬記念はオルフェーヴル


 強い馬はペースも距離も馬場状態も関係なし。2011年の◎オルフェーヴル(1番人気)の足跡を振り返るとしみじみそう思います。1000mの通過タイムが1分03秒8という超スローペースで、中盤では14秒4−14秒3という信じられないようなラップを刻みました。

11秒4−11秒3−11秒3という猛烈な上がりになるのは当然で、この流れを最後方からマクって勝ったオルフェーヴルを形容するとすれば、ただ一言“ケタ違い”。搭載しているエンジンの性能が違いすぎます。
http://www.youtube.com/watch?v=RIkauXgubyo

池江泰寿調教師はレース後、「古馬から2キロもらっているので、3馬身ぐらいは離せるかなと思っていた」と語りました。もちろん、今回のようなスローペースでは無理な話ですが、通常のペースならばそれぐらいの差はつけられたのでは、と感じました。池添騎手は「イメージよりは(位置取りが)後ろで、キツイなと。スローペースだし、掛かってるし。我慢してくれと思っていた。仕掛けると沈むような感じで、ねじ伏せるように豪快に伸びてくれた」と語りました。

2着エイシンフラッシュ(7番人気)は、同じように記録的なスローペースだった昨年の日本ダービーの勝ち馬です。こういう競馬に向いているのでしょう。この馬を無印にしてしまったので、予想は1着のみ的中でした。予想文を転載します。

「◎オルフェーヴルは『ステイゴールド×メジロマックイーン』という有名なニックス配合で、ドリームジャーニー(有馬記念、宝塚記念、朝日杯フューチュリティS)の全弟にあたる良血。父、母の父から受け継いだ恐るべき成長力によって、いまやその実力は日本競馬史を彩った偉大な名馬たちと比較しても劣るところはない。順調なら来年の凱旋門賞を勝つ可能性も十分あるだろう。折り合い面の不安はすでに解消しており、全兄が制したレースなので適性に関してはまったく問題ない。スタミナ、スピード、切れ味を兼ね備え、道中で自在に動ける機動力もあるので負けづらい馬だ。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/



菊花賞後の記者会見で池江調教師が表明したとおり、来年の最大目標はフランスで行われる凱旋門賞(G1・芝2400m)です。もう一段階グレードアップし、現地での調整がうまく行けば、2400m路線に Frankel 級の怪物が現れないかぎり勝てるのではないかと思います。ディープインパクトとの比較を問われた池江調教師は「あの馬(ディープ)は別格ですから」という答え。ただ、オルフェーヴルの心肺能力についてはただならぬものがあると感じているようで、レースから戻って検量室前で曳かれるオルフェーヴルを指差して「息がぜんぜん乱れてないでしょ」と誇らしげに語っていました。



父ステイゴールドは気性が悪く、小柄な子が多いといったマイナス点がありますが、その一方で故障が少なく、成長力があり、パワーがあるので力のいる芝を苦にしないというプラス点があります。同じ父を持つナカヤマフェスタが凱旋門賞2着ですからフランス遠征には大いに期待が持てるでしょう。

「ステイゴールド×メジロマックイーン」の組み合わせはニックスで、全兄のドリームジャーニー(有馬記念、宝塚記念、朝日杯フューチュリティS)をはじめ、フェイトフルウォー(セントライト記念、京成杯)、ゴールドシップ(ラジオNIKKEI杯2歳S−2着、札幌2歳S−2着)などが出ています。今年のPOGでゴールドシップは密かに人気化していました。来年はニックスに気づいた方が増えるので、この配合がかなりの人気を集めそうです。

▲ブエナビスタ(2番人気)は7着。トップスピードに乗るまでに時間が掛かるタイプなので窮屈な競馬や短い直線が堪えたでしょうし、11秒台前半の速いラップが続いたことでなし崩しに脚を使わされた面もあったかと思います。しかし、やはり直接的な原因は、ジャパンCの目に見えない疲れでしょう。最終レース終了後の引退式は思った以上に感慨深いものがありましたね。日本の宝ですから無事に引退することができてホッとしました。

○アーネストリー(5番人気)は10着。持続力に持ち味のある馬で、タップダンスシチーのような強気のロングスパートを期待していたのですが、結果的にちょっとペースが遅すぎましたね。それ以前にパドックでは太く映り、天皇賞・秋からそれほど良くなっていないのでは、とも感じました。佐藤哲三騎手が強気の騎乗をためらう何らかの理由があったのかもしれません。







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