パーフェクト種牡馬辞典


ダート向きに傾斜させるノーザンテーストの影響力


 ■日曜中山3Rの新馬戦(ダ1200m)は、◎カヒリ(3番人気)が激しい競り合いを制して逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=QoUshUk2kqg


予想は◎▲★で馬単1950円、3連単3万7040円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。


「◎カヒリは『キングカメハメハ×サンデーサイレンス×ノーザンテースト』。この組み合わせはアドマイヤロイヤル(武蔵野S−3着)、ソリタリーキング(レパードS−3着)などが出ておりダートが得意。ダート新馬戦では連対率50%、ダ1200mでは連対率38.5%を記録している。この条件はぴったり。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106091/



カヒリの3代母ウイルプリンセスはメイショウサムソンの2代母でもあります。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」はローズキングダム、トゥザグローリー、ミッキードリームなど芝向きの大物を出していますが、その奥にノーザンテーストが入ると、一気にダート向きの色を帯びます。この配合で芝向きに出たエーブチェアマン(エプソムC−2着)は、2代母が芝重賞を3勝したサマニベッピンで、パーソロン、セダンという柔らかな芝血統を抱えています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101122/



ノーザンテーストは種牡馬ランキングで10回首位(JRAでは11年連続)に立った大種牡馬で、芝、ダート、短距離、長距離、障害とあらゆるカテゴリーで優れた成績を残した万能型です。ダイナガリバー、アンバーシャダイ、ギャロップダイナなど名馬を挙げればきりがないのですが、個人的にノーザンテーストの本質的な姿を最もよく表していたと感じる馬はダイナレターです。ダート1400〜1800mあたりに強いダートのスピード馬で、成長力があり頑健、440キロ台と馬格は小型ながら62キロを背負って勝つタフさを備えていました。
http://www.youtube.com/watch?v=Cj8xNdd0uOQ


ノーザンテーストの血はさまざまな牝系に刻まれ、他の血と交わりながらその影響は拡散しています。もちろん芝適性もあるのですが、血の質としてのプレーンなキャラクターは、ダイナレター的なものではないかと感じます。


■日曜中山6Rの新馬戦(ダ1800m)は、好位追走の◎ゴールドヘクター(5番人気)が馬群の真ん中を割って抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=PUkClwLHknE


予想は◎○△で馬単2830円、3連単1万5650円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。


「◎ゴールドヘクターは『フジキセキ×ヘクタープロテクター』という組み合わせ。半兄ゴールドアグリは新潟2歳Sの勝ち馬。フジキセキ産駒は中山ダ1800mの新馬戦で連対率33.3%と走っている。母方にウッドマンとノーザンテーストを併せ持つフジキセキ産駒にはタガノエクリプス、コルポディヴェントがおり、中山ダ1800mでは連対率50%と抜群の相性を誇る。ここは勝ち負けに持ち込めるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105841/



これもノーザンテーストが重要な役割を果たしています。Mr.Prospector 系とノーザンテーストが結びつくとダート向きとなりやすい傾向が見られます。Woodman も例外ではありません。ピッチ走法に出やすいので、芝向きのスピード血脈と結びつけばアストンマーチャンやカノヤザクラのような優れたスプリンターになりますし、サンデー系の中距離血統と結びつけばクォークスターのような小回り巧者となります。フジキセキはやや硬いところがあるので、これと結びつくとダート巧者になりやすいようです。この配合の中山ダ1800mの連対率は50%を超えました。





「アグネスタキオン×Rahy」のメイショウジェーン、マジカルツアー


 ■土曜京都6Rの新馬戦(芝1600m)は、2番手追走の◎メイショウジェーン(1番人気)が逃げ馬との一騎打ちに持ち込み、これに競り勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=01eXS-56a1A


予想は◎★△で馬単1万7630円、3連単20万3830円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。


「◎メイショウジェーンは『アグネスタキオン×ラーイ』という組み合わせで、半兄にメイショウクオリア(京都新聞杯)がいる。グローリアスソングを経由したヘイロークロスは好ましく、ミスタープロスペクターが入るのでスピードや切れ味も十分。ブルースウォーズ=ブルーヘイズ6×7・7も好ましい。完成度の高い配合で稽古も動いているので凡走はない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100614/



先週の京都芝はインコースのコンディションが良かったのか、先に行った馬の前残りばかりが目立ちました。このレースはその典型です。2着の★ジャスティシア(9番人気)は、父キングカメハメハ、母クロッサンドラといういかにもワンペース型の配合。こういうタイプが先行力を活かして粘り込めるような馬場でした。


予想文にも記したとおり、勝ったメイショウジェーンはメイショウクオリアの半妹です。父がアグネスタキオンに替わって切れ味が出てくるのかなと思ったのですが、レースぶりをみると競馬に対して前向きなタイプで、切れ味よりも先行力が持ち味のようですね。


母の父 Rahy はやや一本調子なところがあり、母アンノウンウォーターズは「Rahy×Mr.Prospector」ですから、行って粘るタイプだったトキオパーフェクト(中日スポーツ賞4歳S、クリスタルC)と同じ。このあたりの影響が強いようです。


Rahy の母 Glorious Song は、Devil's Bag、Saint Ballado、Angelic Song と全きょうだいの関係にあります。基本的にパワー型で硬い血です。これらを取り込んでうまく消化するには、その種牡馬が柔らかくなければならず、サンデー系は総じて良好な結果を残しています。


最も優れているのはディープインパクト。このパターンの配合を持つJRA出走馬わずか6頭から、ダノンバラード、フレールジャック、アダムスピーク、ヴィルシーナなどの活躍馬を誕生させ、フランスに渡った Barocci と Beauty Parlour の兄妹も非凡な能力を披露しています。


■日曜京都6Rの新馬戦(芝1800m)は、先手を奪った▲マジカルツアー(5番人気)が超スローペースに落とし、まんまと逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=zTdZCVXjfbo


このレースも行った行ったの決着。そして、奇遇なことに勝ったマジカルツアーは前出のメイショウジェーンと同じく「アグネスタキオン×Rahy」という組み合わせです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102452/



上がりは34秒1と出走馬中1位タイの速さ(ラスト2ハロンは11秒2−11秒3)であり、先行力を活かした競馬が得意であるにしても、“逃げ馬”と結論付けるのは早計かもしれません。牝馬三冠馬スティルインラブのいとこであり、父系も同じなので血統構成は似ています。


半姉ダノンプリマドンナ、半兄ナポレオンバローズ(いずれも父シンボリクリスエス)はダート馬。父がサンデー系のアグネスタキオンに替わり、配合的には格段に面白味が増しました。その鍵は3代母の父 Creme dela Creme です。同馬は Heliopolis の孫なので、それとニックスの関係にあるサンデーサイレンスと抜群の相性を誇りました。


母方に Creme dela Creme を持つサンデー産駒はわずか9頭ながら、名馬デュランダルとスティルインラブのほか、サイキョウサンデー(中日スポーツ賞4歳S)、ピサノパテック(セントライト記念−3着)、マルカサワヤカ(準OP)、プリティプリンセス(準OP)などが現れています。マジカルツアーが出た Barely Even のファミリーはサンデー系との相性がいいはずです。2年前の毎日杯で命を落としたザタイキ(アーリントンC−2着)は、この牝系から誕生したアグネスタキオン産駒ですから、マジカルツアーと似ています。怪我なく無事に行ってほしいものです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105556/



◎シェイクスピア(1番人気)は6着。前が止まらない馬場で超スローペースですから、4コーナー10番手ではさすがに厳しかったですね。





青森の名牝系から誕生した砂の快速馬フリップフロップ


 ■土曜京都2Rの未勝利戦(ダ1200m)は、好位追走のフリップフロップ(2番人気)が直線半ばで抜け出すと、残り1ハロンで後続に10馬身差をつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=Pi18VQ1jAhk


タイムの1分12秒8は上々です。同日同距離で行われた1勝馬同士のレースは1分12秒6なので、0秒2劣っていますが、道中のペースが遅かったので内容的に劣ることはありません。昇級した次走では◎が並ぶでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100744/



父リンカーンは現役時代に芝の中長距離で活躍した馬で、デルマドゥルガー(クイーンC−3着)の父です。産駒の傾向を見るとダートよりも芝のほうがよく、距離はマイル以上あったほうがいいタイプです。したがって、この馬のスピードと砂巧者ぶりは主に母方から受け継いだものでしょう。


半姉ネフェルメモリー(父アジュディケーティング)は地方競馬で走り、東京2歳優駿牝馬、浦和桜花賞、東京プリンセス賞を勝ちました。青森産の母ケイアイメモリーは「フォーティナイナー×ロイヤルスキー」という軽快なダート血統。2代母カシワズプリンセスは南関東で走り、牝馬ながら羽田盃(中央の皐月賞に相当)を制したほか、黒潮盃、京浜盃などを勝った名牝です。3代母シャドウも、南関東で浦和桜花賞、関東オークス、報知オールスターC、キヨフジ記念を勝ちました。


青森牧場がイギリスから輸入した5代母インザシャドウズ以来、青森の馬産に大きな足跡を残した名牝系です。母は生まれ故郷の青森から浦河へ渡り、現在は松田牧場で繁殖生活を送っています。


「サンデーサイレンス×トニービン」の種牡馬は、ハーツクライにしてもそうですが、露骨にアメリカ血統を入れる配合パターンがうまく行きます。母の父に Mr.Prospector 系が入るのは父の代表産駒デルマドゥルガーと同じです。


■土曜京都3Rの新馬戦(ダ1400m)は、好ダッシュから先頭に立った◎ガンジス(1番人気)が楽々と逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=lBetSyXaMCA


予想は◎▲△で馬単730円、3連単3210円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。


「◎ガンジスは『ネオユニヴァース×シルヴァーデピュティ』という組み合わせ。母ジュメイラビーチはパワフルなアメリカ血統で構成され、ミスタープロスペクター3×4の影響もあり、ダート短距離戦に適性があった。ネオユニヴァース産駒は中距離のダートがベストだが、母のスピードから1400mはぴったりだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106186/



ネオユニヴァース産駒は昨年、芝44勝、ダート84勝という成績。ほぼダブルスコアでダートが上回りました。芝の長距離ヒッターからダートのアベレージヒッターへとキャラクターを変更しつつあります。今年の正月3日間の成績は、芝〔1・0・2・18〕、ダート〔3・4・2・22〕。やはりダートが圧倒的に優勢でした。今年はキングカメハメハ、クロフネとの熾烈なダート勝利数争いが見ものです。


母の父が高いダート適性を伝える Deputy Minister 系ですから、ダート向きの配合としては鉄板でしょう。母方にこの血が入るネオユニヴァース産駒には、現在のところ同産駒で唯一のダート重賞連対馬となっているタカオノボル(レパードS−2着)がいます。





日経新春杯トゥザグローリー


 58.5キロのトップハンデがどうか。それが馬券検討の焦点でしたが、ここでは手合い違いでしたね。◎トゥザグローリー(1番人気)が有馬記念3着の実力を見せつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=V7oegh51048


予想は◎△で馬単660円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。


「◎トゥザグリーリーは『キングカメハメハ×サンデーサイレンス』という組み合わせ。母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯(G1)を勝ったほかドバイワールドC(G1)でも2着となった名牝。スケールの大きさを感じさせる血統でいつG1を獲ってもおかしくない。昨春後半から崩していた調子がようやく元に戻り、暮れの有馬記念では昨年と同じ3着。ならば、昨春に京都記念→日経賞を連勝したパフォーマンスの再現が期待できる。外回りコースでスローペース必至なら58.5キロでもこの馬の瞬発力が上回るだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103265/



末脚がしっかりしているのがこの馬のセールスポイントで、まともな調子ならG2レベルでは力が違います。有馬記念で2年連続3着ですからもちろんG1でも通用します。母トゥザグローリーは5歳時にドバイワールドCで2着となり、エリザベス女王杯を勝ちました。本格化はこれからではないかという期待を抱かせます。


フェアリードールのファミリーはパワーと底力に恵まれ、成長力もあります。そうした特長の源泉は、同馬にほとんど執拗といってもいいくらいに練り込まれた8本の Hyperion です(5代以内には3本)。



母トゥザヴィクトリーがドバイワールドCで2着に粘ったのも、この迫力ある配合がもたらす底力の賜物ではないかと思います。息子のトゥザグローリーも、日本の軽い馬場よりは案外海外のタフな馬場に向いているのではないか――という気はします。地響きが聞こえてくるような力強い末脚がメイダン競馬場で爆発するシーンを見たいものです。





京成杯はベストディール


 ディープインパクト産駒の3歳世代で重賞を勝ったのはこれで5頭目。まだ3歳シーズンが始まったばかりの時点でこの成績は、サンデーサイレンスの全盛期を彷彿させます。


勝った○ベストディール(2番人気)は中団追走から直線で大外を突き抜けました。通算成績は4戦3勝。これといった癖もなくどんな競馬にも対応できそうです。勝負どころでマクっていく姿に一瞬お父さんの面影がダブりました。
http://www.youtube.com/watch?v=obiaqFUwsYE


全姉ウィッシュが戦績的にイマイチ(現在6戦未勝利)なので、現役時代に2着の山を築いた母の父 Marchand de Sable や、鈍重さを帯びた2代母の父 Tropular あたりの影響が出ているのかと考え、デビュー前の配合評価では高いポイントは与えなかったのですが、Borealis≒Sirrima 6×5はなかなかおもしろく、本馬にはこの影響がうまく表れたのかもしれません。



母方はスタミナ豊富で、気性面の不安もないため、距離は2400mでも問題ありません。関西の大物に比べるとまだ一歩及ばない気もしますが、成長力にも期待できる血統なのでクラシック本番までに帳尻を合わせたいところです。スタートのセンスがよく、鞍上の指示に素直に従い、どの位置でも競馬ができるという優れた操作性は、多頭数のクラシックでアドバンテージとなるでしょう。


母の父は Nureyev 系。Northern Dancer 系全般にいえることでもありますが、この系統はとくに筋肉の強さを伝えます。「サンデーサイレンス×Nureyev」の組み合わせからゴールドアリュールやサイレントディールをはじめ何頭かの優秀なダートホースが誕生したのも、Nureyev のもたらすパワーが理由だと思われます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105792/



ディープインパクト産駒は全般的に細身で、やや非力なところも見られます。したがって、Nureyev のような血が入るのは悪くないと思います。ディープブリランテや、4分の3同血の関係にあるフレールジャックとヴィルシーナも母方にも Nureyev が存在します。


昨年の12月以降、ディープインパクト産駒は1週を除いて毎週重賞で連対を果たしています。先週は京成杯を勝ち、日経新春杯ではダノンバラードが2着となりました。不思議なことに、過去に重賞で連対したディープインパクト産駒延べ22頭のうち、1番人気だったのは3頭しかいません。実力以上に人気を集めやすいディープインパクト産駒にしてはおもしろい現象です。


◎レッドシャンクス(3番人気)は逃げバテて8着。序盤にコスモアンドロメダが競りかけてきたためペースが速くなってしまったのは誤算でした。最初の3ハロン通過35秒1は京成杯が2000mに変更された99年以降最速。このペースで粘れるほどの力はまだありませんでした。







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