パーフェクト種牡馬辞典


アドマイヤムーン産駒らしい切れ味発揮セイクレットレーヴ


 ■土曜東京6Rの新馬戦(芝1400m)は、○カフヴァール(1番人気)が中団から鋭く抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=VEqYsb81DZk


最後の2ハロンが11秒5−11秒5という上がりの勝負を、1頭だけ違う脚いろで突き抜けたのですから能力が完全に上でした。稽古の良さをそのまま実戦で活かしました。


父デュランダルは昨年のオークス馬エリンコートの父。マイル以下で活躍した現役時代とは違い、距離面の融通性があります。エアラフォン(関屋記念−2着)、カリバーン(オールカマー−3着)、フラガラッハ(阪神C−3着)など、古馬になってから台頭する子が目立つのも特徴です。新馬戦(芝)の成績は並で、得意でも苦手でもありません。本馬は母の父が Mr.Prospector 系の Gulch で、半兄にリザーブユアハート(函館3歳S)がいる血統。仕上がりの早さはこのあたりの影響でしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106202/



配合的なポイントとして挙げられるのは Creme dela Creme≒Lucky Mel 4×5。父デュランダルはサンデー産駒の成功パターンである Gulf Stream≒Heliopolis 5×5という4分の3同血クロスを持っています。Creme dela Creme と Lucky Mel はいずれも Heliopolis の孫。デュランダルの配合的急所を強化する配合なので評価できます。



先述のとおりデュランダル産駒は距離が延びても問題ない子が目立つのですが、この馬はスピード型の配合なのでマイル以下がよさそうです。昇級しても即通用するでしょう。


■土曜東京10RのクロッカスS(2歳OP・芝1400m)は、後方を追走したセイクレットレーヴ(3番人気)が距離ロスのないインを突いて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=jpt6lMu0jFQ


東京競馬場のイベントで披露した予想は◎セイクレットレーヴだったので単勝的中。ただし2着キングオブロー(6番人気)には手が回りませんでした。


アドマイヤムーン産駒で、母が「ブライアンズタイム×Sadler's Wells」という重厚な配合。父は素軽いスピードと瞬発力が武器なので、こうしたタイプの繁殖牝馬を料理するのは得意です。母方に Sadler's Wells を持つアドマイヤムーン産駒といえば、今回と同じコースで行われた京王杯2歳S(G2)の勝ち馬レオアクティヴと同じ。同産駒は芝1200〜1400mで最も安定しています。開幕週なので基本的に先に行った馬が有利ですが、飛ばす馬がいるので差せるだろう、という見立てでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102554/



実際は、この距離にしては落ち着いたペースとなり、決め手勝負となりました。セイクレットレーヴの上がり3ハロンは33秒3。98年のレース創設以来、勝ち馬の上がりタイムとしては最速です。馬場コンディションのいいインをすくったことも勝因でしょう。アドマイヤムーン産駒の切れ味はやはりいいものがあります。





根岸Sはシルクフォーチュン


 最後方追走の▲シルクフォーチュン(4番人気)が最後方から大外一気の差し切り勝ち。伝家の宝刀が冴えました。
http://www.youtube.com/watch?v=U5uZSBlBhWg


根岸Sの追い込み勝ちといえば、00年のブロードアピールを思い出します。良馬場のダート1400mで上がり34秒3、という驚愕の末脚でした。
http://www.youtube.com/watch?v=6xbRmif0atc


シルクフォーチュンはまだその域には達していないかもしれませんが、過去にダート1200mで上がり34秒1、という脚を使っているので、やはり並の馬ではありません。重賞初制覇となった昨年7月のプロキオンS(G3)では、距離ロスを抑えて馬群のなかを縫って追い込んできました。今回は堂々たる大外一気。501mという長い直線だからこそ余裕を持って外に回せたのでしょう。1600mでは脚が溜まらない印象で、以前と違って1200mでは忙しすぎます。この距離が合っていますね。


昨年7月12日のエントリー「異能シルクフォーチュン重賞初制覇」から血統解説部分を引用します。


「ダート短距離の追い込み馬は、“適正距離が本来もう少し長いのではないか?”と思える血統の馬がなりやすいイメージがあります。シルクフォーチュンは『ゴールドアリュール×Alwuhush』ですから、短距離的な匂いはしません。Nureyev 3×3が気性面に影響を与え、極端なレース運びをする要因になっているのかもしれません。父ゴールドアリュールはスマートファルコン、エスポワールシチー、オーロマイスターの父。ダート向きのサンデー系種牡馬のなかではベストです。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/07/post-1068.html



◎ダノンカモン(1番人気)は5着。能力上位でも確実に勝てるタイプではないのが弱みで、今回は直線でスムーズな競馬ができませんでした。福永騎手のコメントを読むと休み明けの影響もあったようです。





カントリー牧場、オンワード牧場が歴史を閉じる


 いずれも1960年代の前半に誕生した名門牧場です。これだけの歴史を積み重ねた事業を撤退するのですから、その理由はひとつではないとは思いますが、報道によると後継者の不在が直接の原因のようです。カントリー牧場に関しては、今世紀に入ってからタニノギムレット、ウオッカ、ビッグウィークを出すなど、中堅規模の牧場としては目を瞠る成果を残していただけに、正直びっくりしました。


海外でもウィンドフィールズファーム、オーヴァーブルックファーム、カルメットファームなど、名の知れた大牧場が消える例は珍しくありません。理由はいうまでもなく経営不振ですが、代替わりに端を発することが少なくないですね。牧場経営は専門的な知識や技術に加え、リーダーの熱意が必須ですから、後継者が誰でもいいというわけにはいきません。アメリカのメドウステーブルは、牧場を経営していた人物の後継者に、それまで主婦をしていた娘が手を挙げ、さまざまな困難にぶつかりながらも乗り越えて米競馬史上に残る名馬 Secretariat を送り出しました。稀な成功例といえるでしょう。


カントリー牧場、オンワード牧場とも、我が国の競馬を盛り上げた功績は絶大です。心から感謝したいです。





京都牝馬Sはドナウブルー


 最初の1ハロンを除いて12秒台のラップが一度もない、という締まったペース。昨年、一昨年のように勝ち馬が33秒台半ばの切れ味を発揮するようなレースにはならず、総合力が問われました。勝った◎ドナウブルー(2番人気)は好位のインでうまく立ち回り、直線でも最後まで着実に伸び続けました。
http://www.youtube.com/watch?v=9EQ5jxvTaXg


『netkeiba.com』の「No.1プロ予想」に提供した予想は◎○▲で馬単2010円、3連単1万930円的中です。


「◎ドナウブルーは『ディープインパクト×ベルトリーニ』という組み合わせ。全妹ジェンティルドンナは当レースと同じ京都外回り芝1600mで牡馬相手にシンザン記念(G3)を勝った。母ドナブリーニはイギリスのG1ウィナー。ポテンシャルの高い血統で、母方に入るスプリント血統の影響か、回転の速いフットワークがセールスポイント。京都牝馬Sは末脚の切れが要求されるレースで、ここ2年、勝ち馬の上がり3ハロンは33秒3、33秒6。本馬は2戦目の白菊賞で上がり33秒4の鬼脚を繰り出して差し切った。このレースに向いた鋭さを秘めている。小柄な馬だけに52キロの軽量で出られるのは大きい。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103250/



馬体重は自己最高タイの436キロ。昨年春は心身ともに幼さが目立ち、これは当分難しいかなぁという印象でしたが、昨年秋からようやく良くなってきました。ハイレベルな昨年のシンザン記念(1着レッドデイヴィス、2着オルフェーヴル、3着マルセリーナ)で1番人気に推されたほどの馬ですから、素質の高さは疑いようがありません。ちなみにそのレースは終始引っ掛かって5着でした。前走の1000万下を勝ったときも、今回のレースでも、引っ掛かるシーンはありませんでした。気性的な成長がうかがえます。


全妹のジェンティルドンナは今年のシンザン記念の勝ち馬。姉妹そろって重賞ウィナーとなりました。1月9日のエントリー「シンザン記念はジェンティルドンナ」から血統解説の部分を転載します。
http://kuriyama.miesque.com/?eid=82


「母ドナブリーニは、チェヴァリーパークS(英G1・芝6f)とチェリーヒントンS(英G2・芝6f)の勝ち馬。どちらも2歳重賞です。母の父 Bertolini は『Danzig×Alydar』という力強いアメリカ血統で、名種牡馬 Green Desert の4分の3同血。現役時代はスプリント路線で活躍しました。


ディープインパクトはスプリント血統との相性が良好です。スプリンターは往々にしてガッチリとした体型で筋力があり、回転の速いフットワークを伝えます。小柄でしなやかでトビが大きいディープインパクトに足りない要素です。相反するふたつの個性を掛け合わせて、それらを併せ持つ馬が簡単に現れるなら、馬産に携わる人間は誰も苦労はしません。ディープインパクトは、相手牝馬に備わったスプリンター的なスピードをフットワークの鋭さに転化し、自身の芝向きの優雅さを損なうことなく産駒に伝え、優れたマイラーや中距離馬に仕立て上げます。ものすごく簡単な種牡馬なので、ある意味配合が楽かもしれません。」


1月の競馬が終了した時点で11の重賞が行われ、キングカメハメハが4勝、ディープインパクトが3勝という成績。2頭のマッチレースとなっています。今年のリーディングサイアー争いは熱いです。


ドナウブルーの手綱を取ったクリスチャン・デムーロ騎手は、ミルコ・デムーロ騎手の13歳下の弟。まだ19歳ですが、昨年、イタリアで222勝を挙げてリーディングジョッキーとなりました。この土日は〔2・3・2・9〕という上々の成績。昨年のこの時期、南関東で乗っていたときにも思いましたが、技術が確かでしっかり乗れる騎手です。このまま成長を続けたらデットーリ級になれるかも?





シルクロードSはロードカナロア


◎ロードカナロア(1番人気)の楽勝。単勝1.4倍の断然人気に応えました。ゴール直前で右ムチに反応して外にヨレたことを除けば完璧な勝利でした。
http://www.youtube.com/watch?v=uxWYkCGXoSM


予想は◎○で馬単850円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。


「◎ロードカナロアは『キングカメハメハ×ストームキャット』という組み合わせで、半兄ロードバリオスもOPクラスまで出世している。2代母サラトガデューは米G1を2勝した名牝。母の父ストームキャットは「ノーザンダンサー+セクレタリアト」という構成で、このパターンは父キングカメハメハと好相性を示している。ストームキャットは硬質なスピードを伝え、時計勝負にも強いタイプ。以前は一本調子なところが見られたが、ここ2戦は脚質にも幅が出てレースぶりは余裕綽々。このメンバー相手に取りこぼすことはなさそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103552/



キングカメハメハと Secretariat の相性が良好なのは、同じ「Nasrullah 系×Princequillo」の Mill Reef をキングカメハメハが持っているからでしょう。ロードカナロアは、母レディブラッサムが Secretariat=Syrian Sea 3×4なので、より効果的なのかもしれません。この素軽い構成によって、Graustark=His Majesty 6×4という重厚なクロスが活きているような気がします。軽いスピード血統のみを寄せ集めても大物スプリンターは出てきません。


高松宮記念(3月25日・G1・芝1200m)が行われる新中京競馬場の直線は412.5m。新潟外回りと東京には及ばないものの、直線距離は日本で3番目の長さとなります。新潟外回りと東京に芝1200m戦はありません。したがって、日本一直線の長い芝1200m戦、ということになります。


たっぷり直線があるので、末脚の伸びで勝負が決する可能性が高くなります。ロードカナロアとカレンチャンはどちらもいい決め手を持っています。この対決は楽しみですね〜。カレンチャンはぶっつけ本番なので、ロードカナロアが1番人気の可能性もありそうです。







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