パーフェクト種牡馬辞典


まるで古馬のようなトリップ


 ■土曜日の京都9R・京都2歳S(芝2000m)は、単勝1.6倍の1番人気に推されたトリップが順当に勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=rzGqwtJAVhA

クロフネの牡馬で新馬−特別を連勝したのはじつはこれが初めてです。東京スポーツ杯2歳S(G3)→朝日杯フューチュリティS(G1)と連勝したフサイチリシャールは新馬戦で負けています。2分01秒5の勝ちタイムも上々です。

デビュー戦を勝ったときにも感じましたが、レースぶりが大人びています。馬込みを苦にせず、スローペースでもぴたりと折り合い、他の馬と接触してもひるまないメンタル面の強さもあります。そして、ラストは確実に伸びてくるのですから欠点が見当たりません。肉体面の完成はまだ先だと思いますが、クレバーなレースぶりは早い時期の競馬では大きなアドバンテージです。操縦しやすい馬だと思うので重賞でも崩れることはないでしょう。

配合については11月10日のエントリーに記しました。転載します。

「初戦のレースぶりとしては満点でしたね。母ビーポジティブはクイーン賞(G3・ダ1800m)の勝ち馬で、これにクロフネですから、ダートのほうがいいタイプではないか、という疑念が捨てきれませんでした。全姉シルバーフォックスはパワー型のダート馬ですし、まったく同じ配合(父が同じで母同士が全姉妹)のバトードールはダート戦で活躍しました(ユニコーンS−2着、ジャパンダートダービー−3着)。

しかし、トリップの走りはトビが大きくしなやかで、芝でもまったく問題なし。父クロフネと同じように首の使い方が上手いですね。重心が低くフットワークが伸びます。かなりの器でしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106282/


2代母フェアリードールは Hyperion を8本持っており、その影響である種の硬さ――ダート適性と言い換えても構いません――を伝えることもありますが、うまく柔らかさを注入すれば底力のある芝馬を出します。この牝系から出たトゥザグローリーはその代表例です(母トゥザヴィクトリーはビーポジティブの全姉)。トリップには芝向きの資質がうまく伝わったようです。懸念があるとすれば、この牝系にやや完成の遅い傾向が見られるところ。本当に良くなるのは3歳夏を越してからかもしれません。」
http://kuriyama.miesque.com/?eid=16

■土曜東京7Rの新馬戦(芝1600m)は、好位追走の○ヴァリアシオン(1番人気)が鋭く抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=bN8AUFtKoNc

東京競馬場のレーシングエキスパートセミナー(REXS)の講師として、このレースは生徒の方々と一緒にパドックのなかに入り、解説をさせていただきました。母の父 Nureyev の影響を感じさせる腹袋のしっかりした体形であることを考慮してもやや余裕が感じられたので、「わたしの目からはやや太く映ります」とコメントしました。それでもこの勝ちっぷりですから力が違いました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106484/


父ハーツクライは初年度にウインバリアシオンという大物を出し、2歳戦では18勝を挙げました。今年は現時点で7勝。たしかに勝ち星を挙げるペースは落ちたのですが、ジャスタウェイや本馬のような大物がいるので、トータルの内容は決して悪くありません。先週、日曜京都5Rの新馬戦に出走(4着)したナリタポセイドンもなかなかいい馬です。

本馬はアルビレオ(京都金杯−2着、中山記念−3着)の半弟。2代目にサンデーサイレンスと Nureyev を持っていますが、これは前記のトリップの母ビーポジティブに構成要素が似ています。

「サンデーサイレンス×Nureyev」はゴールドアリュールやサイレントディールのようなダート馬も出しました。Nureyev は主にヨーロッパのマイル路線を得意とする種牡馬でしたが、母の父としては軽快さよりも力強さが前面に出てきます。父に比べて母の父はパワー2割増といったイメージですね。

父ハーツクライはこうしたパワー兼備の血と相性が良好です。先に挙げたウインバリアシオンとジャスタウェイも、母方にパワー型の血が色濃く流れています。このあたりがハーツクライ産駒に大物感を与えるひとつの有力な方法といえるかもしれません。

太目の馬体だったので、一度使って絞れてくれば上積みは大きいと思います。距離は2000m以下がいいでしょう。スローペースだったので勝ちタイムは遅いものの、能力の非常に高い馬です。





ジャパンCはブエナビスタ


 直線に入ってまもなく馬券の不的中を悟ったので、ゴール前の攻防は私情を交えずに冷静に観察することができました。それだけに○ブエナビスタ(1番人気)の頑張りが胸に沁みました。偉い牝馬です。
http://www.youtube.com/watch?v=GQANlssjBMw

検量室前に戻ってきたブエナビスタを眺めているうちに、降着となって勝利を逃した昨年の光景が脳裏に甦りました。異例の長い審議、スミヨン騎手の青ざめた表情、松田博資調教師の怒号……。それから1年、ブエナビスタは完全な勝者となって戻ってきました。検量室前の雰囲気は祝福一色。この馬に出資されている草野仁さんはテレビでは見たことがないような笑顔で喜ばれていました。

3コーナーから安藤勝己騎手のウインバリアシオンがマクり上げていき、眠っていたレースが動き始めます。残り1000mを過ぎたあたりからゴールまで過酷なロングスパート戦となりました。ラスト1000mの「57秒6」は日本の芝2400m戦における歴代2位の数字。ラスト1ハロンが12秒0を要したところに厳しさが見て取れます。

ブエナビスタは優れた決め手の持ち主で、長所を存分に発揮できる東京コースを得意としています。母ビワハイジはあらためて説明するまでもなく、ブエナビスタのほかにアドマイヤオーラ、アドマイヤジャパン、トーセンレーヴ、ジョワドヴィーヴルといった活躍馬を送り出している特別な名牝です。

11月15日のエントリー「スパッと切れたジョワドヴィーヴル」のなかで以下のように記しました。
http://kuriyama.miesque.com/?eid=23

「ビワハイジが伝える瞬発力は、主に Sir Gaylord に由来していると思われます。Sir Gaylord は抜群の切れ味を誇った Sir Ivor の父であり、瞬発力のお化けだったダンシングブレーヴの血統においても大きな役割を果たしています。レーヴディソールはその母レーヴドスカーが Sir Gaylord 4×4です。ビワハイジは Sir Gaylord の主要な構成要素である Turn-to と Princequillo を継続し、Foreseer≒Sir Gaylord 2×3としています。これが瞬発力の安定供給を可能としている鍵ではないか、と思われます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109481/


ビワハイジの最高傑作ブエナビスタは、Nijinsky 4×3によって底力を獲得しました。瞬発力は往々にして柔らかさを母体とし、そこには非力さも見え隠れしますから、大レース向きの底力や大物感といったものを生み出すには、剛健な血を合わせることが近道です。ブエナビスタはそれに成功しました。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103319/


このほか、レッドディザイアやジョーカプチーノによく似た配合構成であることも当ブログで繰り返し説明してきたとおりです。近い世代でサンデーサイレンス、Caerleon、Santa Luciana が共通します。


正直なところ、競走馬としてのピークは過ぎているように感じますが、それでもなおこの強さですから偉大です。口取りの記念撮影が行われている最中、ウィナーズサークルから地下通路へと続く坂道を下っていると、頭上から「ブエナ〜! ブエナ〜!」という女性の声が降ってきました。見上げると、柵の最前列には多くの女性たちの姿がありました。ウオッカのときもそうでしたが、こういうのはいいものです。

2着トーセンジョーダン(6番人気)はウィリアムズ騎手の好騎乗です。「前走の天皇賞(秋)をDVDで何度も見ました。あの勝利は決してフロックではなく、実力だと思いました。だから自信を持って乗りました。ピンナ騎手が来日していて、彼と馬の癖や作戦について話し合いもしました。距離が延びることはいいとも思っていました。レース前は4、5番手くらいでと思っていましたが、ミッションアプルーヴドがハナを切ったのでスローになると思い2番手につけました。」(ラジオNIKKEI競馬実況web)。大外枠の不利を打ち消し、なおかつ有利なポジションでレースを進めた判断は見事というしかありません。得意のロングスパート戦になったことも良かったですね。

6着▲デインドリーム(1番人気)の関係者は、ネクタイやマフラーを勝負服のオレンジ色に統一していたのですぐ分かりました。敗戦後はさばさばした表情で暗さはありませんでした。惨敗したわけではないので評価が難しいのですが、勝負どころで11秒そこそこの速いラップが刻まれる展開に対応しづらかったのではないかという気がします。

◎ペルーサ(3番人気)は最下位。パドックで腹から汗が滴っていたのが気になりました。横山典弘騎手は敗因を「精神的なもの」と語っています。レース前から高まっていたテンションが何かの拍子に切れてしまい、走る気を失ってしまったのかもしれません。

最終レースの前、山本英俊オーナーが藤沢和雄調教師に「(ジャパンCが)終わったらすぐ帰ろうと思ったけど、最終レースに(出走馬が)残ってたよ」と、笑顔で語りかけていました。藤沢調教師も笑顔でした。さすがに笑ってやりすごすしかないという結果だったのでしょう。最終レースに出走した山本オーナーの所有馬2頭のうちノーステアが2着。父はペルーサと同じゼンノロブロイでした。

夕暮れの競馬場を後にして新宿へ移動し、望田潤さんなど昔の同僚4人で飲み会。住む場所がバラバラなので久々に集まりました。いつもは焼肉ですが今回は鍋、そして湯豆腐。冬はやっぱりコレですね〜。馬券はお寒い結果でしたが楽しい会話と美味しい料理で温まりました。





京阪杯はロードカナロア


 ■土曜京都11Rの京阪杯(G3・芝1200m)は、好位のインを追走した◎ロードカナロア(1番人気)が楽々と突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=otxnsrkFriI

才能の違い。この一言に尽きます。安田隆行厩舎の短距離王国ぶりは特筆すべきもので、カレンチャン、ダッシャーゴーゴー、トウカイミステリーに続く現役4頭目の短距離重賞ウィナーが誕生しました。土曜日に東京競馬場のイベントでご一緒した井内利彰さんが、以前、安田調教師にその秘密を問うたところ、「わからない」という返事だったそうです^^

ロードカナロアに◎を打ったまではよかったのですが、魅力的な穴馬が多かったため、そちらに印を回したところ、2着グランプリエンゼル(3番人気)の印が抜けてしまいました。失敗でした……。予想文を転載します。

「◎ロードカナロアは『キングカメハメハ×ストームキャット』という組み合わせで、半兄ロードバリオスもOPクラスまで出世している。2代母サラトガデューは米G1を2勝した名牝。母の父ストームキャットは『ノーザンダンサー+セクレタリアト』という構成で、このパターンは父キングカメハメハと好相性を示している。ストームキャットは硬質なスピードを伝え、時計勝負にも強いタイプ。前々走の葵S(OP)までは逃げ・先行の一本調子な競馬だったが、前走は中団に控えてゴール前で強烈な決め手を発揮した。スプリンターとして相当な奥の深さを感じさせる大器だ。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103552/


11月11日のエントリー「キンカメ産駒の上級配合ハイクラウン」で以下のように記しました。

「父キングカメハメハは『Nothern Dancer+Seceretariat』の構成を持つ血と相性が良好です。ローズキングダム(ローザネイ)、ロードカナロア(Storm Cat)、ベルシャザール(セクレト)、エオリアンハープ(シークレットシェアラー)、ビンテージチャート(Storm Cat)など、この組み合わせはよく目にします(カッコ内は Nothern Dancer+Seceretariat の血)。」
http://kuriyama.miesque.com/?eid=17

2代母サラトガデューは優れた競走実績だけでなく、異系色の強い血統構成や馬体の素晴らしさも兼ね備えた名牝です。その娘、つまりロードカナロアの母レディブラッサムは、Secretariat≒Syrian Sea 3×4という全きょうだいクロスを持ちます。Secretariat が上記のニックスの鍵だとしたら、ロードカナロアの場合、この全きょうだいクロスを持つことでさらに効果的だろうと思われます。

先行力があってズドンと弾けるわけですから負けづらい馬ですね。3歳馬だけに成長の伸びシロもあるでしょうから、同厩のカレンチャンも枕を高くして寝られません。

■土曜日の東京芝はインコース天国でした。前に行った馬がなかなか止まりません。東京最終レースはスローの逃げ馬に誰も競りかけなかったので、1〜3番手の馬が順序を入れ替えただけでそのままゴールになだれ込みました。

ジャパンCの予想をした金曜日の段階ではスローの瞬発力勝負、と読んでいたのですが、こういう馬場になると先に行こうとする馬が増え、そこそこペースは上がるでしょう。極端な上がり勝負にはならないと思います。

日曜日はダービー前に芝のレースが5つ行われます。これで内側が多少荒れてくれば、内外の伸びに関してはそれなりにバランスのとれた馬場コンディションになるかもしれませんね。ただ、それでも基本的には内枠の先行勢が有利でしょう。





ジャパンC外国馬の血統診断(後)


 ■ミッションアプルーヴド Mission Approved(牡7歳・父 With Approval)

マンハッタンH(米G1・芝10f)の勝ち馬で、アメリカの芝路線では常連といえる存在です。アメリカの芝10fのG1連対馬は、一昔以上前のジャパンCではよく馬券になりました。ルグロリュー、ペイザバトラー、オード、ゴールデンフェザント、パラダイスクリーク……。しかし、このパターンは最近ダメですね。最後に馬券になったのは02年の2着馬サラファン。アメリカの中距離芝路線の停滞と、日本のレベル上昇で勝負にならなくなりました。力量的に厳しいと思います。
http://www.pedigreequery.com/mission+approved



父 With Approval はカナダの三冠馬。当初はダートを中心に走っていましたが、Caro 産駒ということでやがて芝向きの素質が見いだされ、4歳以降はほぼ芝専用。ブリーダーズCターフ(米G1・芝12f)では In the Wings の2着と健闘しています。

日本ではエイシンキャメロン(デイリー杯3歳S、アーリントンC)、マルターズスパーブ(フラワーC)を出しました。ジャパンCには05年に孫のベタートークナウ Better Talk Now が出走しましたが12着に敗れています。

ミッションアプルーヴドの配合は、レースぶりどおり軽快さに欠ける重たいもので、日本向きとはいえません。

■サラリンクス Sarah Lynx(牝4歳・父 Montjeu)

フランスでポモーヌ賞(G2・芝2500m)を勝ち、牝馬のトップクラスがそろうヴェルメイユ賞(G1・芝12f)で4着なったあと、大西洋を渡ってカナディアン国際S(G1・芝12f)を4馬身差の圧勝。これが評価されて来日しました。

カナディアン国際組は毎年のように来日しますが苦戦続きです。昨年も1着ジョシュアツリー Joshua Tree、2着モアズウェルズ Mores Wells がそろい踏みしたものの本番はそれぞれ10着、13着。最後に馬券になったのは96年の勝ち馬シングスピール Singspiel ですからはるか15年前のことです。

カナディアン国際Sは、70〜80年代は世界を代表する大レースのひとつでしたが、90年代はその余光でかろうじて地位を保っている状態で、00年代以降は語るべきものがありません。

シングスピールはカナディアン国際Sを勝ったあと、まだレベルが高かった時代のブリーダーズCターフ(G1・芝12f)でピルサドスキーの2着と健闘し、この路線で世界最高レベルにあることを証明しました。それに比べるとサラリンクスは物足りません。
http://www.pedigreequery.com/sarah+lynx


「Montjeu×デインヒル」という配合は重いですね。大雨で馬場がぐちゃぐちゃになれば上位に紛れ込む余地が出てきます。

■シャレータ Shareta(牝3歳・父 Sinndar)

前走の凱旋門賞は15番人気とまったくノーマークの存在。しかし、2番手追走から直線に入って先頭に立ち、デインドリームには交わされたものの、後続馬の追撃を抑えて2着に粘りこみました。3着が Snow Fairy、4着が So You Think なので価値があります。

1着デインドリームは11番人気、2着シャレータは15番人気、という大波乱の原因は、いうまでもなく馬場状態です。例年のコンディションとは大きく異なる堅い馬場だったため、高速決着に適性のある馬が大駆けを果たしました。

シャレータの父 Sinndar は、アガ・カーン四世殿下が生み出した傑作の1頭で、凱旋門賞、英ダービー、愛ダービーなど8戦7勝の成績を残しました。道悪の愛ダービーを9馬身ちぎる一方、パンパンの良馬場だった凱旋門賞を2分25秒8というレース史上2位のタイム(当時)で勝つという万能型の名馬でした。その父 Grand Rodge は堅い馬場を得意とするマイラーだったので、そうした特徴も受け継いでいたのでしょう。
http://www.pedigreequery.com/shareta


Grand Lodge のスピードは Secretariat≒Sir Gaylord 3×3がその源泉ですが、シャレータはこの部分を継続発展させる形で Habitat 4×4としています。また、Secretariat と同じく Nasrullah と Princequillo で構成された Mill Reef を4×5で持ちます。Shinndar のなかのスピードを担う血を積極的に強化した配合であり、これが高速決着に適応した原因ではないかと思われます。

同じくアガ・カーン四世殿下が生産した Shawanda(愛オークス、ヴェルメイユ賞)とは4分の3同血の関係にあります。Shawanda の愛オークスは5馬身差の圧勝で、勝ちタイム2分27秒1は現在も破られていないレースレコード。この血統は堅い馬場に対する適性があります。


シャレータの2着は“たまたま”ではなく、同じ馬場コンディションで同じメンバーを走らせれば、何度やっても上位に食い込むでしょう。トビが大きいので東京コースにもフィットしそうです。切れ味勝負では分が悪く、ルメール騎手のペース判断が勝負を左右する鍵となりますが、展開次第では上位に粘ることも十分考えられます。





ジャパンC外国馬の血統診断(前)


 十数年ぐらい前までは、ジャパンCがやって来るたびに、過去の優勝馬の国別内訳表といったものが新聞に載っていました。各国の優勝回数が拮抗していたため、どの国が強いのか、あるいは日本の競馬に向いているのか、といったことが関心事でありえたわけです。

しかし、ここ10年以上、そうした表は目にした記憶がありません。地元日本馬が断然強すぎて、そうした資料の意義が失われてしましました。

ときどき懐かしく思い出すことがあります。強い外国馬への畏怖と憧れ。日本馬がんばれ!という純粋な情熱。トウカイテイオーが日本馬として7年ぶりに優勝を果たした92年のレースは、東京競馬場がひとつになったかのような高揚感がありました。その前年までにジャパンCは11回行われ、日本馬の優勝はわずか2回。勝つことの難しさゆえにジャパンCは高根の花だったのです。

01〜10回……8頭
11〜20回……4頭
21〜30回……2頭

これは、ジャパンCの実施回数を3期に分けて、外国馬がそれぞれ何頭優勝したかを示した表です。10回ごとに外国馬の優勝は半分ずつ減っていることが分かります。もしこの表のとおりにこれからも推移するなると、31〜40回は1頭しか優勝馬が出ないことになります。

ただ、今年は久々に強い外国馬が上陸しました。アルファベット順に見ていきたいと思います。戦績などの細かな情報は新聞雑誌等にあふれているので省略します。

■デインドリーム Danedream(牝3歳・父 Lomitas)

凱旋門賞を5馬身差のレコードタイムで圧勝した直後、旧ブログに以下のように記しました。血統表を補いつつ転載します。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/10/danedream-e5a2.html

「Danedream の父 Lomitas は、一昨年のエリザベス女王杯に来日(4着)したシャラナヤ Shalanaya の父。このほか、Silvano(アーリントンミリオン−米G1)、Belenus(独ダービー−独G1)などを送り出し成功しています。Lomitas の母の父 Surumu は、旧来の重苦しいドイツ血統とは肌合いを異にする現代的な特長を持ちます。それはすなわち堅い馬場を苦にしないということです。詳しくは10年4月22日のエントリー「勢力を拡大するドイツ血統」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/post-5cf1.html

母 Danedrop はキンシャサノキセキの母ケルトシャーンと構成が似ています(近い世代で Northern Dancer、His Majesty、Lady Berry が共通)。


母の父にデインヒルが入り、自身は Ribot 5×5を持つので馬力や底力は十分ですが、Nijinsky や High Top は堅い芝もOKなので、凱旋門賞のレースレコード(2分24秒49)を出せる下地はあったと思います。たとえば、05年のジャパンCを2分22秒1のレコードで勝ち、日本の堅い芝で新たな才能を開花させたイギリス馬アルカセットは、母チェサブラナが Niniski×High Top という組み合わせ。Danedream も近い世代に Niniski と High Top を持ちます。 」
http://www.pedigreequery.com/danedream


Danedream に更新されるまでレコードだったのは、97年にパントレセレブルが樹立した2分24秒6。この年の3着馬はドイツ産の牝馬 Borgia でした。その2代父は Surumu で、この馬はテスコボーイの甥にあたり、引用した文章に記したように堅い馬場に対する適性があります。ちなみに、95年のジャパンCを制したランド Lando も Surumu の孫です。

その3年後、2分25秒8とまたもや早いタイムが出ましたが、このときの1着馬 Sinndar、2着馬 Egyptband は、いずれも High Top の息子 Top Ville を持っています。このラインも堅い馬場を苦にしません。

Danedream には、Surumu も High Top も含まれています。時計の速い決着に対応できることは凱旋門賞で証明済み。東京競馬場の芝に苦しむことはないでしょう。ただ、33秒台前半の極限の切れ味を要求されるレースになった場合、サンデーサイレンスの血を持った馬に対抗できるかというと、そこまでの瞬発力は期待できないのではないかと思います。母の父がデインヒルですから、本質的にはハイペースの粘り勝負に適性があるでしょう。天皇賞・秋のような流れなら相当強いと思います。昨年のダービーのような極端な上がり勝負になるとやや不安があります。







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