パーフェクト種牡馬辞典


中日新聞杯はスマートギア


 日曜中京11Rの中日新聞杯(G3・芝2000m)は、好位追走の△スマートギア(6番人気)が直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=ZMNCyAB08XU


先週は土日のメインレースが荒れに荒れ、人気サイドが勝ったのは土日6レースを通じて日曜阪神(仁川S)のゴルトブリッツ(1番人気)のみ。このレースも6番人気の伏兵が勝って波乱の決着でした。


これまで重賞では〔0・4・2・11〕という成績。7歳にして初の重賞制覇です。リニューアルした中京競馬場の芝コースは、開幕週だけに高速決着になるのかなと漠然と考えていたのですが、同時に生えている野芝と洋芝のうち後者の芝丈が14〜18センチと長く、土日とも時計が掛かり気味でした。ちなみに中山は10〜14センチ、阪神は12〜16センチ。競馬場ごとに違い出しています。


土曜日のレースを見ていると、芝レースの勝ち馬に東京実績のある馬が多いということに気づき、それもあって◎ダノンスパシーバ(3番人気)としたのですが、意外に伸びませんでした。スマートギアも東京で2戦1勝ですから適性は低くないでしょう。


日曜日は小雨が降り始めた午後から重厚な血統が勝利を挙げていまいた。8R(芝2200m)はアルカセット産駒、10R(芝1400m)は母が「コマンダーインチーフ×Darshaan」でした。スマートギアも「マーベラスサンデー×パドスール」ですから重厚です。直線が長く、坂の勾配が急で、芝が深いとくれば、ヨーロッパ仕様の馬場であることがうかがえます。新しい中京芝コースに適性がありそうな血統傾向を早くつかむことができればいい馬券が取れそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105204/



母スケアヘッドラインは昨年11月21日、フジテレビのザ・ノンフィクションで放送された「愛と涙をのせて 〜北海道日高 牧場物語〜」のなかに登場した馬で、残念ながら作中に骨折で安楽死処分となりました。スマートギアは、スケアヘッドラインが大林ファームに渡る以前に大栄牧場で誕生しています。


母方に Mill Reef が入るマーベラスサンデー産駒には、ネヴァブションやオーゴンサンデーがいます。いずれも渋り気味の馬場に適性がありました。Mill Reef 自身、小柄ですが道悪の得意な馬でした。





オーシャンSはワンカラット


 土曜中山のオーシャンS(G3・芝1200m)は、好位追走のワンカラット(9番人気)が馬群を割って抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Zt47R-XpNhQ


1番人気に推された◎カレンチャン(1番人気)は4着。久々、56キロ、伸びない外を回らされる、といった複合的な悪条件が思いのほか堪えたということでしょう。この時季の仕上げの難しさというのもあったかもしれません。○グランプリエンゼル(5番人気)、ベイリングボーイ(14番人気)が2、3着ですから、かなり力のいる馬場でした。


高松宮記念(3月25日・中京競馬場)の1番人気はこれでロードカナロアでしょう。カレンチャンもこれを使って一変するはずなので、いい勝負になるはずです。


ワンカラットは、デビュー時の馬体重が472キロ。2走前の阪神Cでは544キロ。じつに72キロも増えています。前走で4キロ減り、今回はさらに18キロ減って522キロ。一昨年夏、北海道で重賞を連勝したときが508〜514キロなので、このあたりが最も走りやすいのではないでしょうか。道中、ラチ沿いのいちばん走りやすいコースを通ることができたのが大きかったですね。平坦コースが合っているようなイメージを持っていたので今回はノーマークでした。次走の高松宮記念がラストランの予定。いい繁殖牝馬になるような気がします。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103025/



半妹のサンシャイン(父ハーツクライ)は、先月エルフィンS(OP)を勝ってクラシック戦線に名乗りをあげました。本馬とは似ても似つかない小柄な馬です(前走時416キロ)。母バルドウィナはペネロピ賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬で、純ヨーロッパ風の、ほとんど傍流の血で構成されたユニークなタイプの繁殖牝馬です。スピード面が心配になるのですが、娘2頭は鈍重さのかけらもなく、スピードを武器としています。加えて、母は丈夫な体質も伝えているので素晴らしいですね。


母パルドヴィナの3代前には、Kendie(Djebel 3×3、Tourbillon 4×4・4)、Torbella(Tourbillon 2×3)という、Tourbillon−Djebel のラインを凝縮した血が並んでいます。父ファルブラヴは、こうした血と相性がいい Djeddah(Bold Reason の母の父)を含み、なおかつ母にとって新鮮な活力となる Northern Dancer や Seattle Slew といった影響力の強いアメリカ血統を持っていることがよかったのでしょう。



現2歳はディープインパクト産駒の牝馬。グリーンファーム愛馬会の募集馬で、音無秀孝厩舎所属、募集価格は3000万円。楽しみな馬です。





弥生賞はコスモオオゾラ


 毎年スローペースになる弥生賞。今年は逃げ先行馬がそろったので、遅い流れにはならないだろうと考えたのですが、例年以上のスローペースになりました。牽制しあったということなのか、本番前の試走ということで折り合いや末脚の性能を試したい騎手が多かったのか、あるいは単なる成り行きなのか、そのあたりは不明です。


日曜日は外差しに変わるのでは……という気もしていたのですが、相変わらずの内有利の馬場。同じようなコンディションだった1月の京都開催もそうでしたが、スローペースで展開すると、後方につけたり外を回らされた馬は出番がありません。結局、ラチ沿いの好位につけた馬が1、2、3着を占めました。
http://www.youtube.com/watch?v=JmlkY90POqA


今回の結果が本番につながるかというと、上位入線した馬を悪く言うわけではありませんが、そうはならないのでは、と思います。さまざまなバイアスが感じられたレースであり、今回の枠順、展開、馬場コンディションに最も適した馬が好走したという印象です。


とはいえ、勝ったコスモオオゾラ(9番人気)の勝ちっぷりは見事なものでした。好位馬群でうまく立ち回り、力強く坂を駆け上がって前をとらえるという、昨年暮れの葉牡丹賞とまったく同じような競馬。道悪は過去2戦2連対なのでパワーが必要な馬場は抜群に上手いですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105185/



母方は、2代母ザナック、母マイネシャローナという、70年代のロックシーンをご存知の方ならニヤリとする洒落のきいた繋がりです。母が走っていた10年ぐらい前は、ウォーニングムスメとかオオトリヘプバーンとか、この系統の名前をよく目にした気がします。


コスモオオゾラの配合を見ると、母には Drone≒Halo 4×4があり、それを Devil His Due≒Machiavellian 2×3で継続発展させています。



父ロージズインメイは異系色の強い血なので、Northern Dancer、Raise a Native、Hail to Reason といった主流血脈の多重クロスを持つ母マイネシャローナの配合は悪くないでしょう。「ロージズインメイ×コマンダーインチーフ」ですから、パンパンの良馬場では狙いづらい馬で、いかにも小回りコースの荒れ馬場が合いそうなタイプ。本番も人気にはならないと思いますが、馬場が渋るなら怖い1頭です。


父ロージズインメイは芝・ダート兼用タイプで、これまで重賞では2着(2回)が最高成績でした。これが初の重賞勝ちです。昨年は芝1400〜1600mで17勝を挙げたのですが、これは全種牡馬のなかで第5位に相当する優れたものです。ロージズインメイが輸入された当時、この分野で強いとは想像できませんでした。トニービンや Mr.Prospector と好相性を示しています。


◎アダムスピーク(1番人気)は8着。坂路の追い切りでフラつくところがあり、そこからレースまでに良化することを期待したのですが、当日のパドックではしきりに尾を振っていたのが気になりました。初の長距離輸送や、伸びない外を回らされて4コーナーで何度かぶつけられるなど、経験の浅い馬だけに戸惑うところがあったのかもしれません。これもロスの多い競馬だった○フェノーメノ(2番人気)にしてもそうですが、今回の弥生賞で外を回って負けた馬たちは、それほど悲観することはないと思います。フェノーメノは皐月賞出走が厳しくなったので、おそらく目標をダービーに切り替えてくると思うのですが、今回の敗戦が結果的に良かったといわれるような結果を残してほしいですね。大トビなので小回りコースで機敏に動けるタイプではありませんが、東京コースなら話は別です。ダービー候補の1頭でしょう。





チューリップ賞はハナズゴール


 単勝1.3倍の◎ジョワドヴィーヴル(1番人気)は4着。福永騎手はレース後、「休み明けのせいでしょうか、返し馬の感じが前走とは違っていました」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメントしています。アパパネのように久々はもうひとつなのかもしれません。


加えて、渋り気味の馬場コンディションが影響した部分もあったと思います。『netkeiba.com』の予想には以下のように記しました。「小柄で華奢な馬体だけに、パワー優先の馬場はプラスには働かないだろう」。発表は良馬場ですが、週の半ばから金曜日まで繰り返し雨が降りました。阪神の芝コースは水を吸うと見た目以上にパワーが問われる馬場になります。それでも問題はないと見たのですが……。予想以上にこたえた感じです。


半姉ブエナビスタは Nijinsky 4×3という力強いクロスがありました。ジョワドヴィーヴルの配合にはそれがなく、剛健さでは一歩譲ります。良馬場では素晴らしい切れ味を発揮するのですが、パワーという面では若干弱みになっているのかもしれません。このあたりを克服するにはもう少し馬体が増えてきてほしいですね。


一度使ったことで状態は上向くでしょうし、本番が良馬場なら依然として主役候補のナンバーワンだと思います。力のいる馬場で激走するとダメージが残ることもあるので、しっかりケアしてほしいものです。


大外を鮮やかに突き抜けたハナズゴール(4番人気)は、ジョワドヴィーヴルより小柄な414キロの馬体重。カイ食いが落ちて最終追い切りが軽めだったので、ちょっと厳しいのかなと思ったのですが、驚きの大爆走でした。
http://www.youtube.com/watch?v=7oCi2Fp7QoU


「オレハマッテルゼ×シャンハイ」という配合も驚きです。父オレハマッテルゼは現役時代に高松宮記念(G1)と京王杯スプリングC(G2)を制覇。『ノーザンファームの情熱』(古谷友三著・宝島社)という本に、ノーザンファームのイヤリング部門厩舎長の森田敦士氏が、オレハマッテルゼについてこんな思い出を語っています。


「この馬の幼少期はほとんど放牧できず、狭い囲いの中で過ごしていました。肢に問題を抱えていたんです。さらに、広い放牧地で仲間たちとの集団生活を送れなかったことに起因して、性格がわがままになっていたんです。何か人の成長とも似ている気がしませんか?」


「こちらとしては競走馬になれるかどうかと不安に思い経過を見ていただけに、競走馬になってからの活躍ぶりには本当に脱帽しました」


具体的に「オレハマッテルゼ」という馬名が書かれているわけではないのですが、成績から推理すると該当馬はこの馬だけです。焼死したエガオヲミセテ(マイラーズC、阪神牝馬特別)の全弟で、年度代表馬エアグルーヴの甥、オークス馬ダイナカールの孫にあたります。


種牡馬としてはハナズゴールの現3歳世代が初年度産駒です。JRAでは同馬を含めて28頭がデビューし、5頭が勝ち上がっています。繁殖牝馬のレベルを考えればまずまずで、ハナズゴールを出したことで種牡馬としての未来を自ら切り開いたといえるでしょう。このクラスの種牡馬からこれだけの馬が出てくるのですから、あらためてサンデー系恐るべしです。現在は浦河のイーストスタッドで繋養中。種付料は受胎条件で50万円、出生条件で70万円、種付証明書引換で100万円です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106872/



サンデーとノーザンテーストを併せ持つ種牡馬(ダイワメジャー、ステイゴールド、デュランダル、アドマイヤマックスなど)に Mr.Prospector 系を入れると、渋った馬場を苦にしなかったり、ダートを得意とするタイプが出がちです。力のいる良馬場をこなした今回のパフォーマンスは、そのあたりのパワーがモノをいったのだと思います。反面、このタイプは底力に欠けるところもあります。ハナズゴールは、3代母の父に Ribot 系の Tom Rolfe が入るほか、What a Pleasure≒ボールドラッド5×5などがあり、このあたりで補っているのでしょう。


ハナズゴールが出現するまで、“母の父シャンハイ”で収得賞金が最も高かったのはダブルオーセブン(共同通信杯−5着)でした。ハナズゴールとこの馬は驚くほど配合構成が似ています。サンデーサイレンス、シャンハイ、ジャッジアンジェルーチのほかに、組み合わせ血統表には表れていませんがノーザンテーストも共通しています。



体調万全とはいえない状況でこの勝ちっぷりは驚きです。まともなら本番でもまず勝ち負けでしょう。力のいる馬場で目一杯走ったあとなので、反動がないことを祈りたいです。





デイビー・ジョーンズ氏死去


 60年代にザ・モンキーズのボーカルを務めたデイビー・ジョーンズ氏が2月29日、米フロリダ州で亡くなりました。66歳。


ザ・モンキーズは企画モノとして作られたアイドルグループでした。優秀なソングライター陣が楽曲を提供していたので、音楽性に関しては侮ることができないものがあります。スタンダードナンバーの『デイドリーム・ビリーバー』以外にもいくつかの名曲を残しています。
http://www.youtube.com/watch?v=nU615FaODCg


ジョーンズ氏はイギリスのマンチェスターで生まれ、14歳のときにニューマーケットで騎手を目指して働き始めました。その後、運命のいたずらでショービジネスの世界に入って行くのですが、俳優や歌手として成功したあとも競馬を忘れることはなく、1996年、50歳にして英リングフィールド競馬場のアマチュア騎手レースに優勝しました。自宅がある米フロリダ州インディアンタウンの農場には、1周1マイルのコースが作られ、そこで自ら馬にまたがりトレーニングをしていたそうです。
http://www.biography.com/imported/images/Biography/Images/Galleries/Davy%20Jones/davy-jones-14-sized..jpg


彼の出身地マンチェスターから電車で1時間ほどのところにリバプールがあります。リバプールといえばエイントリー競馬場がある場所で、そこで行われる障害レースのグランドナショナルは世界的に有名です。彼はいつかグランドナショナルを勝ちたいという夢を抱いていたそうです。残念ながらそれを果たすことはありませんでしたが、米バージニア州のコロニアルダウンズ競馬場のスポークスマンを務めたり、イギリスやアメリカで多数の競走馬を所有し、競馬の世界でもそれなりに名を成しました。


所有馬の1頭、T E Jones(2000年生)という牝馬は、2001年のキーンランドセプテンバーイヤリングセールで購買(7500ドル)し、通算10戦1勝(2着1回)という成績を残しました。「Grand Slam×Danzig」という組み合わせで、2代母がNY牝馬三冠馬 Davona Dale ですからなかなかの良血馬です。Davona Dale は Miz Clementine=Two Lea 3×3というユニークな全きょうだいクロスの持ち主であり、本馬は Tim Tam 5×4でそれを継続しています。意欲的な配合ではありましたが大成はしませんでした。
http://www.pedigreequery.com/t+e+jones



彼は3回結婚し、4人の娘がいました。ザ・モンキーズのメンバーとして活動中の1968年に誕生した長女は、名前をタリア・エリザベス・ジョーンズといいます(Talia Elizabeth Jones)。T E Jones という馬名はおそらくこの娘さんから採ったものでしょう。


晩年は、長女より10歳若い33歳年下の女性と結婚し、ボディビルを始めて体を鍛え、元気そのものだったそうです。持病もなく、亡くなる当日朝まで異変の兆候は何もなかったとのこと。まったく突然の出来事だったようです。







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