パーフェクト種牡馬辞典


天皇賞・秋はモーリス


中団の外を追走した◎モーリス(1番人気)が直線半ばで抜け出し、追いすがる△リアルスティール(7番人気)、○ステファノス(6番人気)を抑えて5つめのG1を制覇しました。
https://youtu.be/dNRfB5rL19I?t=27s

内枠を利して△エイシンヒカリ(2番人気)が逃げたものの、スピードの乗りがイマイチで、1000m通過60秒8のスローペース。昨年と同じく決め手勝負となりました。モーリスは折り合いを欠くことなく中団の外を追走。この時点で少なくとも凡走はないという印象でしたが、ムーア騎手に追い出されると他馬を問題にしない豪快な伸び脚で圧倒しました。



昨年と今年の安田記念(G1)は、長い直線を右手前のまま走っていました。しかし、今年は残り150mで左手前に替えました。堀調教師は「左手前のほうが得意な馬」と語っており、ムーア騎手もそれは認識していたはずです。そつなく右手前から左手前に替え、最後までしっかりと伸び続けました。



モーリスが勝った5つのG1のうち3つはムーア騎手。レース後のインタビューではいつもどおりニコリともせず淡々とレースを振り返っていました。暮れの香港がラストレースで、ムーア騎手が乗ることになります。そのあとはおそらく社台スタリオンステーションで種牡馬入りすることになるでしょう。



表彰式のあと、ウィナーズサークルでスタンドのファンに向けてもう一度インタビューがあり、それが終わると、ムーア騎手は脱兎のごとく馬道を駆け下りていきました。次の騎乗地であるオーストラリア(メルボルンCの開催)へ発つ便の出発時刻が迫っていたためです。モーリスよりも速かったですね。

予想は◎△▲で馬単3700円、3連単3万2400円的中です。予想文を転載します。

「◎モーリスは『スクリーンヒーロー×カーネギー』という組み合わせ。父スクリーンヒーローは現役時代にジャパンC(G1)を制し、種牡馬としては本馬のほかにゴールドアクター(有馬記念など重賞4勝)、ミュゼエイリアン(毎日杯)など5頭の重賞勝ち馬を出している。母の父カーネギーはサドラーズウェルズ系のスタミナタイプ。2代母メジロモントレーはアルゼンチン共和国杯(G2)をはじめ芝2000m以上の重賞を4勝した名牝。血統的にはマイル戦よりも2000mのほうが向いている。昨年の当レースは1000m通過60秒6というスローペースだったため、ラストは瞬発力勝負となり、そうしたレースに不向きなエイシンヒカリは2番手を追走したものの馬群に沈んだ。今年は同じ轍を踏むことはないと思われるので、仮にペースが遅ければエイシンがレース途中からでもハナを奪い、自ら馬群を引っ張る展開に持ち込むはず。少なくとも例年並みの平均的な流れ、すなわち1000m通過59秒程度のペースにはなると思われるので、モーリスが折り合いに苦心することはないだろう。能力的には一枚上の存在なので、中団でスムーズに折り合えば直線で突き抜ける」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011100655/



父スクリーンヒーローは現役時代、ジャパンC(G1)を制覇したほか天皇賞・秋(G1)ではカンパニーの2着と健闘し、ウオッカの追撃を抑えました。好位で流れに乗る器用さがあり、スローペースの上がり勝負になったときに好走する、というタイプで、ジャパンCと天皇賞・秋はいずれもこのパターンでした。競走馬としてのタイプはサンデーサイレンスやダイナアクトレス的な要素が強く出ていた馬だと思います。ダイナアクトレスは毎日王冠(G2)など5つの重賞を獲得し、京王杯オータムH(G3)では芝1600mの日本レコード(1分32秒2)を樹立しました。ジャパンCでは3着と健闘しています。G1こそ獲れなかったものの、まぎれもなく80年代を代表する強豪牝馬の1頭で、ノーザンテースト牝馬の最強馬だったと思います。2代父グラスワンダーは Roberto や Danzig の影響を強く受けたせいか、どちらかといえば中山や旧阪神を得意とし、安田記念はエアジハードのハナ差2着でした。

種牡馬として成功し、モーリスのほかにゴールドアクター(有馬記念など重賞4勝)、ミュゼエイリアン(毎日杯)、グァンチャーレ(シンザン記念)、トラスト(札幌2歳S)、クライスマイル(レパードS−2着)などの活躍馬を出しています。産駒成績を見ると、長い直線よりも小回りコースを、外回りコースよりも内回りコースを得意としています。

2代母メジロモントレーはかつてPOGで指名した馬で、デビュー戦から引退まで3年間応援し続けた馬でした。獲得した重賞タイトルはアメリカJCC(G2)、アルゼンチン共和国杯(G2)、金杯・東(G3)、クイーンC(G3)の4つ。3歳時は心身ともに幼さが目立ち、牝馬三冠レースではオークス(G1)5着、エリザベス女王杯(G1)7着と、ともに人気に推されながら結果を出せませんでした。しかし、「モガミ×フィディオン」という晩成型のステイヤー血統だけに古馬になって本領を発揮。アルゼンチン共和国杯→アメリカJCCを牡馬相手に連勝したときは、天皇賞・春(G1)を勝てるのではないかと夢を見ました。脚部不安がなければ……といまだに悔やまれます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1986106826/



モーリスの母メジロフランシスは、現役時代にJRAで7戦未勝利、NARで1戦未勝利という成績。また、繁殖牝馬としてもスクリーンヒーローを付けるまでは平凡な成績しか残していませんでした。Sadler's Wells、モガミ、フィディオンといったスタミナ血統を近い世代に抱えています。

モーリスが一介のマイラーでないのは、そうした迫力ある重厚な血を抱えているからでしょう。仮にスピードのない馬にこれらの血が入っていたら鈍重さの元凶としてやり玉に挙げられるところですが、モーリスのようにスピードに恵まれた馬に入っている場合、底力やスピードの持続力をサポートする重要な要素となります。

ちなみに、前出のメジロモントレーは、見た目からしてアマゾネス風の、牝馬にしては野性味あふれる筋肉質の馬体がセールスポイントで、ボディバランスに優れたタイプでした。モーリスの馬体を見るとその面影が感じられます。8月にレイクヴィラファームにお邪魔した際、お墓の前で手を合わせてきました。メジロマックイーンを母の父に持つオルフェーヴル、ドリームジャーニー、ゴールドシップの活躍は記憶に新しく、最近ではくるみ賞(2歳500万下)をメジロラモーヌ牝系のコウソクストレート(京王杯2歳Sに出走予定)が勝ち、デビュー2連勝を飾りました。着々とメジロ血統が復権を果たしつつあるのは喜ばしいかぎりです。



予想文に記したとおり、血統的には1600mよりも2000mのほうが向いています。それどころか2400mでも大丈夫と思えるほどです。適正距離が短めに出てしまったのは気性の影響でしょう。モンタヴァル、フィディオン、モガミ、カーネギーと、よくぞこれだけ気性の激しい種牡馬を掛け続けたと思うほど、母方の血は危険な香りがします。今年の安田記念のように、いったんスイッチが入ってしまうと折り合いがつかなくなってしまいます。逆に、今回のように折り合いさえつけば2000mでも問題ありません。



種牡馬としては、気性の激しさが伝わった子はスピードタイプになると思いますが、おっとりとした子なら2400mをこなすのではないかと思います。

天皇賞・秋が終わり、ストレイトガールの引退式を観たあと、紀尾井町に移動してホテルニューオータニで行われた社台グループ謝恩会にお邪魔してきました。出席者はなんと1500人! いろいろな方にお目に掛かることができ、愉しいひとときを過ごすことができました。ありがとうございました。





キーンランドCはブランボヌール


中団から外を回って追い上げた◎ブランボヌール(2番人気)が直線で鋭く脚を伸ばし、逃げた○シュウジ(1番人気)をゴール前で半馬身とらえました。
https://youtu.be/dcMClU7iCOk?t=10s

馬体重は前走比+20kg。NHKマイルC(G1)に出走した際は、腹回りが寂しく華奢に映りましたが、3ヵ月半ぶりに姿を現した今回は、トモのボリュームが増して身体全体がしっかりしてきました。昨年夏の函館2歳S(G3)を思い出させる鮮やかな末脚でした。短距離戦と洋芝に対する適性の高さを感じます。

予想は◎○△で馬単2020円、3連単1万550円的中。予想文を転載します。

「◎ブランボヌールは『ディープインパクト×サクラバクシンオー』という組み合わせ。母ルシュクルはファルコンS(G3)3着馬で、2代母アジアンミーティアはアンブライドルズソングの全妹にあたる良血。4分の3同血(父が同じで母同士が親子)に新潟大賞典(G3)を勝ったダコールがいるほか、2歳牡馬チャンピオンのダノンプラチナ(朝日杯FS、富士S)は『ディープインパクト×アンブライドルズソング』なので配合構成が酷似している。血統的なポテンシャルは高い。ディープインパクト産駒は札幌芝1200mで連対率29.4%と優れた成績を挙げており、2年前の当レースでは同産駒のレッドオーヴァルが2着となっている。本馬は母の父がサクラバクシンオーなのでスプリンター寄りの適性の持ち主。前走のNHKマイルC(G1)6着は、勝ち馬からわずか0秒3差で、適性を超えた距離だったことを考えれば強い内容だった。同じ洋芝で行われた昨年夏の函館2歳S(G3)は後続を3馬身半ちぎる圧勝。今回はそれ以来となる1200m戦だけに楽しみが大きい。51kgなら突き抜ける」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013101835/



母方に Unbridled を持つディープインパクト産駒はニックスで、連対率32.5%、1走あたりの賞金額564万円は、ディープインパクト産駒全体の24.2%、1走あたり331万円を大きく上回ります。

予想文に記したとおり、本馬はダコールと4分の3同血で、ダノンプラチナとも配合構成がよく似ています。



ダコールと同じように本馬も平坦コースで重賞を勝っているのですが、阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)やNHKマイルC(G1)の内容は決して悪くありませんでした。中央場所でもスプリント戦なら十分戦えるでしょう。

フィニッシュラインを駆け抜けたあと、戸崎騎手はテレビの画面からもそれと分かるほど喜びを露わにしていました。前日夜、グリーンチャンネルの「KEIBIコンシェルジュ」に出演させていただいたのですが、共演の辻三蔵さんが「戸崎ジョッキーが51kgで乗るのは2014年7月以来2年ぶり。それぐらい気合いが入っています」とおっしゃっていました。苦しい減量に耐えた甲斐があったと思います。位置取り、仕掛けどころ、いずれも完璧でした。もしスプリンターズS(G1)に向かうとしたら、戸崎騎手はストレイトガールというお手馬がいるので、おそらく乗り替わりでしょう。誰が手綱を取るのでしょうか。

先週の北九州記念(G3)はサクラバクシンオー産駒のワンツーフィニッシュ。今回のキーンランドC(G3)は母の父にサクラバクシンオーを持つブランボヌールの快勝。サクラバクシンオーの血は偉大です。




安田記念はロゴタイプ


意表をつく逃げの手に出たロゴタイプがマイペースに持ち込み、2番手を追走したモーリスの追撃を1・1/4馬身差退けて逃げ切りました。
https://youtu.be/SuvYQaQ4ixk?t=31s

昼過ぎに稍重から良に馬場コンディションが回復したとはいえ、800m通過47秒0は古馬マイルG1では超スローペース。86年以降、良馬場の安田記念で47秒以上を要したのは今回を含めてわずか2回しかありません(もう1回はタイキブリザードが勝った97年)。

気分良くハナを切るロゴタイプとは対照的に、モーリス、リアルスティールといった人気どころは引っ掛かっていました。とくにモーリスは酷く、直線ではきっと後続馬群に呑み込まれるだろうと思ったのですが、2番手を譲らずフィニッシュしたのには驚きました。素晴らしい地力です。

勝ったロゴタイプは3つめのG1制覇。13年4月の皐月賞(G1)以来3年3ヵ月ぶりの勝利となりました。田辺騎手の大胆な騎乗がいままでにない持ち味を引き出しました。以前、武豊騎手とお話をしたときに、田辺騎手を高く評価していたことが印象に残りました。名手は名手を知るというところでしょうか。天才的な閃きで人気薄をしばしば上位に持ってきます。閃き、というと勘に頼っているかのようですが、展開を正確に読んで大胆な位置取りでレースを進め、ハマることが多いような気がします。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010103783/



父ローエングリンは現役時代に中山記念(G2)とマイラーズC(G2)を2回ずつ制しています。潜在能力が優にG1クラスだったことは、ムーランドロンシャン賞(仏G1・芝1600m)2着、香港マイル(G1・芝1600m)3着といった海外における好成績が証明しています。

気性の難しさと、一瞬の脚がないこと。これが最大のネックでした。前者は、母カーリングが抱える Sicambre、Worden、Fine Top といった血が影響していたような気がします。後者は、Sadler's Wells 系にありがちな特徴で、“切れないけれど持続力がある”という特長が活きる小回りコースで4つのG2をものにしています。安田記念ではゴール前で切れる馬の餌食になっていました。

重賞で3着以内に入ったことがあるロ−エングリン産駒は、いまのところロゴタイプとゴットフリートの2頭で、いずれも母の父がサンデーサイレンスです。“切れないけれど持続力がある”という父に、瞬発力の権化であるサンデーサイレンスが組み合わさることで、足りないものをそれなりに補っています。両者は相互補完の関係にあるのでうまく行くのでしょう。つけ加えれば、Glorious Song とその全きょうだい(Devil's Bag、Sainto Ballado、Angelic Song)は、基本的にサンデーサイレンスとの相性が良好です。同パターンのダノンシャンティヴィルシーナストレイトガールはいずれも東京芝マイルのG1を制しています。

とはいえ、ロゴタイプが小回り向きであることはこれまでの戦績が物語るところです。小回りコースでは重い印を打ち、直線の長いコースでは軽視するという方針があったので、今回は無印でした。スピードの持続力で勝負するタイプなので、平均的に脚を使うレースには向いていますが、トップスピードにギアを入れてしまうと使える脚はさほど長くありません。これまで直線の長いコースでは、これがネックとなって勝ち切れなかったのですが、今回は超スローペースに落として余力を蓄え、溜めに溜めていた脚をラストの短い区間で爆発させました。位置取りの利と有力各馬が自滅したことも幸いしました。

ロゴタイプは、溜めて切れるサンデー系とは違った個性の持ち主ですが、日本の競馬にこうした血も必要だと思います。G1を3勝したのでおそらく将来は種牡馬になるでしょう。どんな産駒を出すのか楽しみです。

2着に敗れた○モーリス(1番人気)は、残念ながら連勝記録が途絶えてしまいましたが、体調八分であれほど引っ掛かって連対したのですからさすがです。

◎リアルスティール(2番人気)は11着。序盤に引っ掛かったとはいえこれほど負ける馬ではありません。実力を出し切った海外遠征からの帰国緒戦だけに、仕上げが難しかったのかもしれません。




ヴィクトリアマイルはストレイトガールが連覇


中団につけたストレイトガール(7番人気)が馬群を縫って抜け出し、◎ミッキークイーン(1番人気)、▲ショウナンパンドラ(2番人気)に2馬身半差をつけて連覇を達成しました。
https://youtu.be/xHAysOQjilY?t=24s

当レースの連覇は13、14年のヴィルシーナに次いで2頭目。ヴィルシーナの2年目は不振に陥っていたため11番人気とまったく無視された存在でしたが、ここ一番で底力を見せて復活Vを果たしました。12年1着、13年2着となったホエールキャプチャも、2年目は5戦連続の二桁着順から巻き返しました。

今回のストレイトガールはそれらよりマシとはいえ、直近の2戦は香港スプリント(G1)、阪神牝馬S(G2)でいずれも9着と見どころがなく、全盛期に比べると見劣りは否めませんでした。7歳以上の牝馬がG1を勝ったのはグレード制導入以後初めてのことで、本来であれば昨年暮れの香港スプリントがラストランのはずでした。そこから方針転換して現役を続行し、G1を制覇したのですから異例ずくめです。

前後半45秒7−45秒8とほぼイーブンの流れとはいえ、東京芝は土曜日から差しが決まっており、後方に控えた馬が台頭しやすい競馬となりました。ストレイトガールはスピードの持続力を必要とするレースに強いタイプで、だからこそこれまで1200mと1600mのG1を制してきました。今回は緩みのない締まった流れとなり、持ち味を十分に発揮することができました。対するミッキークイーンとショウナンパンドラは、瞬発力を武器とするディープインパクト産駒で、本質的には中距離タイプ。適性面でストレイトガールが上回った形です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100301/



配合については15年5月17日のエントリー「ヴィクトリアマイルはストレイトガール」から転載します。

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「フジキセキ×タイキシャトル」だけを見れば平坦ローカル向きの軽いスプリンター、といったイメージですが、この馬の場合、2代母の父デインヒルの底力と成長力が効いているのでしょう。あらためて説明するまでもなく、現在のヨーロッパやオセアニアを代表する主流血統のひとつです。

エイジアンウインズとは配合構成がよく似ています。母方にデインヒルを抱えているだけでなく、母の父の母ウェルシュマフィンとエイジアンウインズの3代母 Bound が相似な血となっています。





ちなみに、デインヒル産駒で札幌記念など4つの重賞を制したエアエミネムは、「デインヒル+Nijinsky+Lt.Stevens(=Thong)」。シックスセンス、デルフォイ、スペルバインドの母デインスカヤは、「デインヒル+Nijinsky+Ridan(=Thong)」。ストレイトガールの母ネヴァーピリオド、エイジアンウインズの母サクラサクと同じパターンはよく目につきます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1998110210/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a006721/





「デインヒル+Nijinsky」は、Redoute's ChoiceDansiliFastnet Rock など、デインヒルの最重要後継種牡馬に見られるパターンです。「Buckpasser≒Flaming Page」が好相性の鍵ではないかと思います。


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◎ミッキークイーン(1番人気)は2着。先週水曜日にアップロードした競馬スピリッツのコラム「血統の裏庭」で、「距離的には中距離ベスト」と記したとおり、この距離は少々忙しい印象です。それでも2着を確保したのですから地力は高く、ディープインパクト産駒らしい成長力でもう一段階上に行くことができれば天皇賞・秋(G1)やジャパンC(G1)でも好勝負に持ち込めそうです。




シルクロードSはダンスディレクター


好位のインを追走した○ダンスディレクター(2番人気)が残り100mでローレルベローチェ(5番人気)をとらえて重賞初制覇を飾りました。
https://youtu.be/_5tP3gNJ_eU?t=16s

ローレルベローチェが作ったペースは600m通過33秒7。例年に比べると速めでしたが、5馬身ほど離れていた2番手以下は楽なペースだったと思います。結局、馬場のいいインコースを通った先行勢が上位を占め、外から追い上げた馬は末脚が不発に終わりました。

勝ったダンスディレクターは通算16戦中13戦で馬券に絡むという堅実派。京都コースでは[5−3−0−0]と完璧に近い成績です。重賞初挑戦だった昨年5月の京王杯スプリングC(G2)は12着と惨敗したものの、直線で包まれて前が開かなかったことが敗因でした。その次のCBC賞(G3)2着、骨折休養明けだった前走の阪神C(G2)2着はいずれも好内容。重賞制覇は時間の問題でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010103303/



父アルデバランIIは、ダンスディレクターが属する6歳世代が日本における初年度産駒。それ以前、マル外として日本に入ったダノンゴーゴーがファルコンS(G3)を勝っています。アメリカ時代にはブリーダーズCターフ(G1)など芝G1を4連勝した Main Sequence を出しています。

母マザーリーフは未勝利馬ですが、2代母スカラシップはダービー馬ウイニングチケットの全妹にあたる良血で、現役時代にフラワーC(G3)4着などの成績を残しました。

アルデバランIIは、他の多くの Mr.Prospector 系種牡馬と同じくサンデーサイレンスと相性が良好。サンデーの父 Halo と相似な血の関係にある Sir Ivor を抱えているのでなおさらです。また、アルデバランIIは Buckpasser を持つので、Flaming Page≒Buckpasser 2×2のマルゼンスキーが入るのは効果的でしょう。全体の配合構成はヌーヴォレコルトに少し似ています。



現役続行となったストレイトガールを中心に、ウリウリ、ミッキーアイル、そして本馬などが高松宮記念の上位人気を形成すると思われますが、何が勝つかはまったく分かりません。今年は大混戦です。

◎ビッグアーサー(1番人気)は5着。内を通った先行馬で決着したレースなので、外に回した差し馬にとっては厳しかったですね。展開が向けばいつでも重賞を勝てる馬です。




ファンタジーSはキャンディバローズ


4番手追走から直線で伸びた▲キャンディバローズ(5番人気)が逃げ粘る△メジェルダ(6番人気)を交わして重賞初制覇を飾りました。
https://youtu.be/QcW7U9x6uIw?t=12s

800m通過47秒7は、00年以降では2番目に遅いスローペース。にもかかわらず馬群は縦長となったので、第一集団の4頭はすべて掲示板を確保しました。後方馬群にいた馬のなかでは◎ワントゥワン(4番人気)が上がり最速(33秒1)で伸びてきたものの4着。同じく後方につけた△メイショウスイヅキ(2番人気)は6着が精一杯でした。この2頭は展開が向きませんでした。

勝ったキャンディバローズは、8月の札幌新馬戦(芝1500m)でクビ差2着と敗れたものの、同コースで行われた未勝利戦(芝1500m)をレコード勝ちして初勝利を挙げ、3戦目がこのファンタジーSでした。このレースに4頭出ていたディープインパクト産駒のなかでは最も小さく、馬体重は412kgしかありません。来春のクラシックを狙うためにもさらなる馬体の成長が待たれます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013103606/



母アフレタータは優れた繁殖牝馬で、これまでにファインチョイスとアットウィルの姉弟を産んでいます。この2頭の父はいずれもアドマイヤムーン。ファインチョイスは函館2歳S(G3)を制したあと4年前のこのレースで3着となっています。アットウィルは函館2歳Sの5着馬。現在も準OPで活躍中です。

2代母チャイナブリーズは Poker≒Envoy 4×2を核として Nasrullah が5本というスピード配合。2代母の父 Capote は米2歳牡馬チャンピオンなので仕上がりが早く、ボストンハーバーやセレクトグリーンなどの父でもあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a006672/





母の父タイキシャトルも素軽いスピードを武器としており、母の父としてはストレイトガール(ヴィクトリアマイル、スプリンターズS)、ワンアンドオンリー(日本ダービー)などを出しています。タイキシャトルの母の父の母 Foreseer は「Round Table+Royal Charger」なので、「Round Table(Monarchy)+Nasrullah」の Poker、Envoy と似ています(Foreseer と Poker はいずれも La Troienne 牝系)。Royal Charger と Nasrullah は4分の3同血です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1994109686/



要するに母アフレタータは Foreseer≒Poker≒Envoy 4×5・3。軽快なスピード血脈の塊といった配合なので、浮かんでくるイメージは平坦、短距離、2歳戦……です。ファインチョイスとアットウィルが2歳重賞で活躍したのもうなずけます。

これにディープインパクトを交配して誕生したのがキャンディバローズ。意外にも「ディープインパクト×タイキシャトル」の組み合わせはこれが初めてです。いきなり重賞勝ち馬となりました。

タイキシャトルの父 Devil's Bag は、父と抜群の相性を誇る Glorious Song、Angelic Song の全きょうだい。この牝馬2頭が入るディープインパクト産駒は走っていたのですが、牡馬の Devil's Bag、Saint Ballado が入るパターンはサンプルの少なさもあってもうひとつの成績でした。しかし先週、Devil's Bag が入るキャンディバローズとサトノダイヤモンドがいい勝ち方をしたので、今後は傾向が変わってくるのかもしれません。タイキシャトルにはさらにもうひとつ、父と相性がいい Caerleon が入るので配合的にはいいと思います。素軽いマイラーを作ろうと思えば「ディープインパクト×タイキシャトル」は手堅いと思います。キャンディバローズは1800m以下が良さそうです。

◎ワントゥワン(4番人気)は4着。上がり最速(33秒1)で猛然と追い込んだものの、勝ち馬まではアタマ、クビ、ハナ差届きませんでした。このメンバーに入り、休み明けのデビュー2戦目で不利な展開を克服しての4着ですから前途洋々です。




スプリンターズSはストレイトガール


中団を追走した◎ストレイトガール(1番人気)が馬群を割って伸び、サクラゴスペル(11番人気)を4分の3馬身抑え、ヴィクトリアマイルに次いでふたつ目のG1を獲得しました。3着は大外から伸びたウキヨノカゼ(9番人気)。
https://youtu.be/S-xmAypGG4Q

前半600mの通過タイムが34秒0(実際は34秒1)と画面表示されたのを見て目を疑いました。スプリンターズSは32秒台が当たり前で、不良馬場だった07年でさえ33秒1ですから、記録的なスローペースといっていいでしょう。ハイペースに慣れたG1級の馬たちにとっては勝手が違うので、スムーズな走りができない馬も目に付きました。こうなると忍耐力が問われるので、経験の浅い馬にとっては厳しく、6歳馬ストレイトガール、7歳馬サクラゴスペルという百戦錬磨のベテランが1、2着を占めました。ストレイトガールは勝負どころで外に回す選択もありましたが、それでは届かないと判断して馬群を割った戸崎騎手の判断も見事だったと思います。

予想は◎ストレイトガールでしたが、サクラゴスペル、ウキヨノカゼは無印でした。予想文を転載します。

「◎ストレイトガールは『フジキセキ×タイキシャトル』という組み合わせ。母方にデインヒルを持つフジキセキ産駒なので、同じくG1を勝ったエイジアンウインズ(ヴィクトリアマイル)と配合構成が似ている。12年9月以降[6−4−3−3]という成績で、馬券圏内を外したのは昨年6月の函館スプリントS(G3)、今年3月の高松宮記念(G1)、そして前走セントウルSの3レースしかない。函館スプリントSは馬群に包まれて直線でまったく追えず、高松宮記念は荒れ馬場、大外枠、海外遠征帰りというハンディキャップがあり、セントウルSは直線で前を行く馬が外にヨレて進路を立て直す不利があった。良馬場でスムーズなレースができたときには、コースや距離を問わず崩れたことがない。前走の仕上がりも悪くはなかったが、当初から目標はここスプリンターズS。一度使ったことで上積みも期待できるだろう。2番枠を引いたので、包まれないようある程度の位置を取りに行くはず。今年は極端なハイペースにもスローペースにもなりそうになく、平年並みではないかと思われるので、過去のデータ通り中団より前につけた馬が有利だろう。G1で再三好走した実力をラストの決め手勝負で見せつけるはず」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100301/



おそらくストレイトガールはペースが速かったとしても勝ち負けに持ち込んだでしょう。2着サクラゴスペルは時計的に限界があり、スローペースに実績がある馬なので、今回の流れは大きな追い風となりました。

配合については5月17日のエントリー「ヴィクトリアマイルはストレイトガール」から転載します。

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「フジキセキ×タイキシャトル」だけを見れば平坦ローカル向きの軽いスプリンター、といったイメージですが、この馬の場合、2代母の父デインヒルの底力と成長力が効いているのでしょう。あらためて説明するまでもなく、現在のヨーロッパやオセアニアを代表する主流血統のひとつです。

エイジアンウインズとは配合構成がよく似ています。母方にデインヒルを抱えているだけでなく、母の父の母ウェルシュマフィンとエイジアンウインズの3代母 Bound が相似な血となっています。





ちなみに、デインヒル産駒で札幌記念など4つの重賞を制したエアエミネムは、「デインヒル+Nijinsky+Lt.Stevens(=Thong)」。シックスセンス、デルフォイ、スペルバインドの母デインスカヤは、「デインヒル+Nijinsky+Ridan(=Thong)」。ストレイトガールの母ネヴァーピリオド、エイジアンウインズの母サクラサクと同じパターンはよく目につきます。





「デインヒル+Nijinsky」は、Redoute's ChoiceDansiliFastnet Rock など、デインヒルの最重要後継種牡馬に見られるパターンです。「Buckpasser≒Flaming Page」が好相性の鍵ではないかと思います。



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暮れの香港スプリントが引退レースとなります。昨年はクビ、3/4馬身差の3着。流れひとつ、乗り方ひとつで勝てるところまで来ているので、期待したいですね。




セントウルSはアクティブミノル


ダッシュよくハナを切った△アクティブミノル(10番人気)が直線でもよく粘り、馬群を割って追い込んだ△ウリウリ(1番人気)をハナ差抑えました。
https://youtu.be/v9lAvus9S-A?t=52s

セントウルSは前に行った馬が残りやすいレースです。馬場がきれいな開幕週であることに加え、例年、前半がさほど速くならないことも見逃せない要素です。今年も34秒0−33秒8と、前後半がほぼ均等に近いラップでした。果敢にハナを奪って平均ペースに落としたこと。これがアクティブミノルの勝因でしょう。

10番人気ながら△を打ったのは、配合的な完成度の高さと、1200m戦でマイペースに持ち込むことができれば残り目もある、と踏んだことです。スタチューオブリバティ産駒でどう見ても1200mの馬ですから、マイル戦は明らかに長く、1400mでも終いは甘くなります。昨年夏に函館2歳S(G3)を勝ったあと、1400〜1600mのレースばかり使われてきて、今回は待望の1200m戦でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103486/



配合については、2014年7月21日のエントリー「函館2歳Sはアクティブミノル」から引用します。

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父スタチューオブリバティは4世代目にして初の重賞勝ち馬を出しました。とはいえ、これは日本だけの話で、海外ではすでに3頭の重賞勝ち馬を出しています。なかでも最大の大物である Hay List はオーストラリアで28戦15勝(2着6回)、3つのG1を含む7つの重賞を制した名スプリンターでした。25戦全勝の女傑 Black Caviar に6回挑んで一度も勝てなかったのは相手が悪かったとしか言いようがありません。違う時代に生まれていればもっと多くのG1タイトルをモノに出来たでしょう。
http://www.pedigreequery.com/hay+list



母方に Raja Baba が入り、Gay Missle≒Raja Baba 4×3という相似な血のクロスを持っています。

アクティブミノルの母の父アグネスタキオンは、母の父がロイヤルスキーで、その父が Raja Baba。つまり、アクティブミノルは Hay List と同様の配合パターンとなっています(Gay Missle≒Raja Baba 4×5)。これが配合上の鍵でしょう。

スタチューオブリバティは A.P.Indy と配合構成が酷似しています。



母方に A.P.Indy が入るアグネスタキオン産駒はヒカルアマランサス(京都牝馬S)を筆頭に成功しており、連対率22.1%、1走あたりの獲得賞金額207万円という成績です。アグネスタキオン産駒全体の連対率は19.3%、1走あたり190万円ですから成績は上昇します。

父アグネスタキオンに限らず、5代以内に Raja Baba と A.P.Indy の組み合わせを持つ馬には、アピロボーイ(1戦1勝、新馬戦を5馬身差で圧勝)、レッドフェザー(ディープスカイ産駒ながら[1・2・3・0]という好成績)などがいます。有効な組み合わせといえるでしょう。

「スタチューオブリバティ×アグネスタキオン」は期待できる組み合わせだと思うのですが、残念ながらスタチューオブリバティは2年前にオーストラリアに輸出されてしまいました。Hay List の活躍によってオーストラリアの生産者からオファーがあり、それに応じたものです。

「A.P.Indy 系×アグネスタキオン」という配合は、父がパイロやシニスターミニスターである限り、ダート向きの産駒しか想像できません。芝向きの産駒を出せるスタチューオブリバティの流出は惜しまれます。
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浦河のイーストスタッドに、「Unbridled's Song×A.P.Indy」という組み合わせのダンカークが繋養されています。9月9日のエントリー「優駿SS、イーストスタッド訪問」でも取り上げましたが、2013年の北米新種牡馬チャンピオンに輝いた若手有望株です。アグネスタキオン牝馬とダンカークの組み合わせは悪くないでしょう。ただ、基本的にはダート向きなのかなと思います。
http://www.jbis.or.jp/horse/0001127395/pedigree/



◎ストレイトガール(3番人気)は4着。直線に入った地点でメイショウイザヨイ(15番人気)が外にヨレ、進路を立て直す不利がありました。3着△バーバラ(5番人気)とはハナ差だけに悔やまれます。




ヴィクトリアマイルはストレイトガール


前で飛ばす馬を眺めつつ5番手を追走したストレイトガール(5番人気)が直線で力強く伸び、2番手から先頭に立ったケイアイエレガント(12番人気)をゴール直前でアタマ差とらえました。思い切って逃げたミナレット(18番人気)が3着。
https://youtu.be/r1k0bGLTdFs

800m通過45秒5、1000m通過56秒9という速い流れだったこともあり、勝ち時計の1分31秒9はレースレコードタイ。ただ、ミナレットの大逃げは決して暴走ではなく、同タイムだった11年は800m通過44秒6、1000m通過55秒9と、今年よりもさらに速いペースでした。アパパネが勝ったこのレースはオウケンサクラが飛び出したのですが、今年のような大逃げではなく、5〜6馬身のリードで後続馬群が射程圏に入れつつレースを進めていました。

それに比べると今年は前と後ろの差が開きすぎた印象です。十数馬身はあったでしょうか。勝ったストレイトガールの上がり3ハロンは33秒0ですから後続馬群はスローペースでした。差し損ねた有力各馬も32秒台後半から33秒台前半の脚を使っているので、位置取りの問題だったと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100301/



勝ったストレイトガールは文句なしの内容でした。前走の高松宮記念は1番人気で13着と、まったく見どころのないレースぶりだったので、ひょっとしたら6歳を迎えて年齢的な衰えが兆しているのかなと考えて印を打たなかったのですが、判断ミスでした。昨年のこのレースでは内の狭いところに突っ込み、追いづらいシーンがありながら3着と健闘しています。

父フジキセキは東京芝1600mで3頭のG1勝ち馬を出しており、ヴィクトリアマイルではコイウタ(07年)とエイジアンウインズ(08年)という2頭の優勝馬を出しています。

「フジキセキ×タイキシャトル」だけを見れば平坦ローカル向きの軽いスプリンター、といったイメージですが、この馬の場合、2代母の父デインヒルの底力と成長力が効いているのでしょう。あらためて説明するまでもなく、現在のヨーロッパやオセアニアを代表する主流血統のひとつです。

エイジアンウインズとは配合構成がよく似ています。母方にデインヒルを抱えているだけでなく、母の父の母ウェルシュマフィンとエイジアンウインズの3代母 Bound が相似な血となっています。





ちなみに、デインヒル産駒で札幌記念など4つの重賞を制したエアエミネムは、「デインヒル+Nijinsky+Lt.Stevens(=Thong)」。シックスセンス、デルフォイ、スペルバインドの母デインスカヤは、「デインヒル+Nijinsky+Ridan(=Thong)」。ストレイトガールの母ネヴァーピリオド、エイジアンウインズの母サクラサクと同じパターンはよく目につきます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1998110210/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a006721/





「デインヒル+Nijinsky」は、Redoute's ChoiceDansiliFastnet Rock など、デインヒルの最重要後継種牡馬に見られるパターンです。「Buckpasser≒Flaming Page」が好相性の鍵ではないかと思います。



2着ケイアイエレガントは母が「A.P.Indy×Roberto」、3着ミナレットは「スズカマンボ×ウォーニング」ですから持続力タイプの血統で、これまでの戦績からも先に行ってナンボ。持ち味を出し切ったと思います。

◎ヌーヴォレコルト(1番人気)は6着。道中はストレイトガールの後ろにつけていたのですが、直線では離される一方でした。長めの距離に良績を残すハーツクライ産駒なので、この距離は忙しかったということなのでしょうか。




高松宮記念はエアロヴェロシティ


好位2〜3番手を追走した香港調教馬△エアロヴェロシティ(4番人気)が直線でしぶとく伸び、ゴール直前でハクサンムーン(6番人気)を半馬身とらえました。3着はハナ差で△ミッキーアイル(3番人気)。
https://youtu.be/jUGW1-c9gQE

午前中から雨が落ちてきて馬場状態は稍重。タイムは1分08秒5とそこそこ速かったのですが、馬場の外を回る馬が多く、コンディションは悪かったと思います。勝ったエアロヴェロシティはニュージーランド生まれの香港調教馬。少し時計のかかる中京芝は歓迎で、雨が降ったことで持ち前のパワーがさらに活きたのだと思います。レース前、馬体重が16kg減と発表されてから単勝人気が急落したのですが、関係ありませんでしたね。レベルの高い香港短距離界でナンバーワンとなった実力を見せつけました。

先週水曜日に公開した競馬スピリッツのコラム「血統の裏庭」には以下のように記しました。

「香港からの遠征馬エアロヴェロシティは昨年暮れの香港スプリントの覇者。トムフール(バックパサーの父)系という珍しいラインに属している。3代父ランチタイムはイギリスでデューハーストS(G1)を勝ち、引退後、オーストラリアに渡って種牡馬として入って成功を収めた。2代父スニペッツはシャトル種牡馬として二度日本で種付けを行ったスニッツェル(アーリントンCを勝ったヤングマンパワーの父)の母の父でもある。父ピンズはVRCオーストラリアンギニーズ(G1・芝2000m)の勝ち馬で、種牡馬としてはアンビシャスドラゴン(香港年度代表馬2回)、エルセグンド(豪G1コックスプレート)、ケイティーリー(NZ1000ギニー、同2000ギニー)などを出している。距離の融通性があり本質的にはマイラーだが、エアロヴェロシティ自身は生粋のスプリンターで、全勝ち星を1200〜1300mで挙げている。コマンズの叔父にあたる母の父カープスタッドのスピードが効いているのかもしれない。地元のレースとはいえ香港スプリントでストレイトガールに先着しているので当然争覇圏内だ。少し時計のかかる中京芝なら問題なくこなす」
http://www.pedigreequery.com/aerovelocity



Lunchitime、Star Kingdom、Sir Tristram、Star Way など、二昔以上前のオセアニア血統で構成された馬で、懐かしさを覚えます。

母 Exodus は、Sir Tristram と Star Way を近い世代で持っています。96年のジャパンC当日朝に出走を取り消した Saintly(セイントリー)や、同馬のライバルだった Filante など、90年代にはよく見られた配合です。Saintly は予想で◎を打ったので思い入れがあり、出走していれば Singspiel やファビラスラフインといい勝負だったのでは、といまだに少し残念です。
http://www.pedigreequery.com/saintly2



Sir Tristram の2代母 All My Eye と Star Way の母 New Way はよく似た構成で、これが好相性の鍵ではないかと思います(クロス表示された馬以外に Bobsleigh≒Solfo があります)。



父 Pins はニュージーランドのサイアーリストの上位常連で、05−06年に4位に食い込んで以来、現在進行中の14−15年を含めて10年連続でトップ5をキープしています。06−07年、08ー09年、09−10年、10−11年の4回、2位となっています。ただ、リーディングサイアーの座についたことはありません。これまで日本で走った産駒もいませんでした。

日本で活躍したニュージーランド産馬といえば、ホーリックス(ジャパンC)、ロックドゥカンブ(セントライト記念、ラジオNIKKEI賞)、セントスティーヴン(中山グランドジャンプ)、グリーンバーディー(セントウルS−2着)、ヤマニンバイタル(鳴尾記念−2着)、ザフィルバート(ジャパンC−3着)などがいます。いずれも中距離以上がベストなので、エアロヴェロシティは異質です。優れた短距離馬を作る香港のトレーナーの調教技術もあるのでしょう。ポール・オサリバン調教師はニュージーランド出身で、父デイヴ・オサリバンはジャパンCをレコード勝ちしたホーリックスを管理し、弟ランス・オサリバンはその手綱を握っていました。ニュージーランドの著名な競馬ファミリーの出です。

2着ハクサンムーン、3着ミッキーアイルは、良馬場のスピード勝負が合うタイプだと思っていたのでよく頑張ったと思います。ミッキーアイルは序盤引っ掛かってこの内容ですから能力はかなりのものです。

◎ストレイトガール(1番人気)は13着。直線に入って大外に持ち出し、ここから伸びるかと思ったのですが、今回はまったく反応しませんでした。去年の極悪馬場でも3着に食い込んでいるので、馬場以外に何か原因があったのかもしれません。




スプリンターズSはスノードラゴン


中団の外を追走したスノードラゴン(13番人気)が直線で外から伸び、◎ストレイトガール(2番人気)、▲レッドオーヴァル(5番人気)を差し切ってG1ウィナーの仲間入りを果たしました。
http://youtu.be/F85yYfUh9m0

春の高松宮記念で2着と健闘しているものの、重賞勝ちはこれが初めて。連続開催の最終週、馬場が荒れてきているところに雨の影響もあり、簡単な競馬にはなりませんでした。人気に推されたハクサンムーン、コパノリチャードは馬群に沈んでいます。

もともとダートで出世してきた馬で、パワーに関しては優れたものを持っています。中山ダートでインを器用に立ち回って豪快に馬群を割る、という競馬をしていたころは、芝のG1で外から伸びて勝つ、という競馬はとても想像できませんでした。父アドマイヤコジーンは12年前、同じ新潟競馬場で行われたスプリンターズSでビリーヴの2着。父の雪辱を果たしたことになります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104268/



「アドマイヤコジーン×タヤスツヨシ」という組み合わせで、Cozzene、サウスアトランティックと、気性的に難しい血を近い世代に抱えているため、長め距離は我慢できず、一気に突っ走るスプリント戦が合っているのでしょう。中山コースを得意としたので坂は苦にしませんが、Caro 3×4なので平坦適性もあります。母の父タヤスツヨシのパワーは、その2代母 Magic が抱えるアメリカ血統に由来するものですが、今回荒れ馬場をこなしたのは、このあたりに由来するパワーがモノを言ったと思います。
http://www.pedigreequery.com/magic



Magic は Dr.Fager の半妹にあたる良血で、Busanda≒Better Self 2×2を核とした父母相似配合。こういう血は代を経ても影響力があります。Magic の曾孫 Unbridled はケンタッキーダービーとブリーダーズCクラシックを勝った名馬で、種牡馬としても大成功しました。Unbridled の配合は、Aspidistra 4×4という牝馬クロスを通じて、Magic が抱える La Troienne 血脈を中心としたアメリカ血統を継続しています。
http://www.pedigreequery.com/unbridled



◎ストレイトガール(2番人気)は2着。インの苦しいところから抜けてきたのは地力の高さゆえでしょう。G1を勝てる力はあるのですが、もうひとつ運に恵まれない印象です。




函館スプリントSはガルボ


中団を追走したガルボ(8番人気)が58kgをものともせず力強く抜け出し、△ローブティサージュ(6番人気)の追撃をクビ差抑えました。
http://youtu.be/AUZxk7_vkxA

単勝1.6倍の断然人気に推されたストレイトガールは11着。レースを見てのとおり前が壁になって進路が開かず、何もできないままフィニッシュ。2年前のこのレースで2着に敗れたロードカナロアも、1番枠から馬群を捌いて外に持ち出すのに苦労し、ドリームバレンチノの2着に敗れました。どんな実力馬であろうと小回りコースの短距離戦ではときどきこうした事態に遭遇するので怖いですね。今回のストレイトガールはロードカナロアのときよりもはるかにひどく、まったく競馬をさせてもらえませんでした。次走のリベンジを期待したいですね。

勝ったガルボは12年4月のダービー卿チャレンジトロフィー(G3・芝1600m)以来の重賞制覇。通算4個目のタイトルです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101163/



配合は、マンハッタンカフェ産駒の典型的な走るパターンです。母方に Caerleon を持つマンハッタンカフェ産駒は、ガルボのほかにレッドディザイア(秋華賞)、ジョーカプチーノ(NHKマイルC)、テイエムオーロラ(府中牝馬S)、マッハヴェロシティ(青葉賞−2着)などがいます。このほか、レッドアゲート(フローラS)は Caerleon の全妹 Video を持っているので、この仲間に含めてもいいでしょう。

母に Northern Dancer の強いクロスを持つ、というパターンも成功法則のひとつです。母ヤマトダマシイは Northern Dancer 4×4で、もう少し丁寧に記せば Nijinsky≒Far North 3×3です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1997100148/



マンハッタンカフェの代表産駒の1頭で天皇賞・春を勝ったヒルノダムールは、その母シェアエレガンスが Nijinsky≒The Minstrel 2×3。Far North と The Minstrel の全兄弟なので、ガルボとヒルノダムールの配合構成はきわめてよく似ています。参考までに両馬の母の血統を組み合わせてみます。



マンハッタンカフェは、法則どおりに産駒が走りやすい傾向が見られるので、走る産駒とそうでない産駒が比較的見分けやすい種牡馬です。




ヴィクトリアマイルはヴィルシーナ


好スタートから押して先頭に立ったヴィルシーナ(11番人気)がマイペースに持ち込み、△メイショウマンボ(3番人気)、△ストレイトガール(6番人気)を抑えて逃げ切りました。
http://youtu.be/GrmfC-OVDv0

内ラチから3〜4頭分の狭い走路だけが伸び、そこを通らないと勝負にならない馬場になっていることは、それまでに行われたいくつかの芝レースで明らかでした。

当日は中山競馬場のパワーアップセミナーで講師をしており、ヴィクトリアマイルの検討では、「過去の連対馬が大活躍」「ディープインパクト産駒が強い」という傾向と合わせて、「データ面だけで推奨するならヴィルシーナですが」と解説したのですが、続けて「近走成績がこれでは厳しいでしょう」と終わらせてしまいました。

昨年、それまで成績不振だったホエールキャプチャが2着に来たときも「過去の連対馬が大活躍」というデータにやられたのですが、わかっていても買いづらいですね。実力のない馬はどうあがいても勝てませんが、勝つだけの実力に恵まれた馬は、調子が戻ったり、得意条件が揃えば勝てます。今回のヴィルシーナはまさにこれでした。前後半のラップは46秒2−46秒1とほぼ同じ。先週のNHKマイルCの回顧にも記したように、府中の芝マイル戦で逃げ切りやすい前後半平均的なラップを作れたことも勝因でしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106264/



フレールジャック(ラジオNIKKEI賞)とマーティンボロ(中日新聞杯)の兄弟の姪で、これら3頭は父が同じなので4分の3同血です。4代母 Glorious Song は父と相性が良好です。

母ハルーワスウィートは Mr.Prospector と、Special 牝系の Northern Dancer 系(Nureyev)の組み合わせを持っています。このパターンのディープインパクト産駒も成功しています。

オーストラリアで活躍した Atlantic Jewel(MRC1000ギニーなど豪G1を4勝)と Commanding Jewel(MRC1000ギニー)を産んだ名牝 Regard は、ヴィルシーナと配合組成がそっくりです(Halo≒Sir Ivor、Alzao、Highclere、Nureyev、Blushing Groom が共通)。ヴィルシーナの繁殖牝馬としての価値は高いでしょう。



2着メイショウマンボ(3番人気)はこのレースに向いたタイプではありませんが、ポジショニングとコース取りが上手かったですね。地力の高さもさすがといえるものです。

◎スマートレイアー(1番人気)は伸びない外を避けるため馬群のなかに入れる作戦だったのでしょう。ただ、直線でいつも大外に持ち出す競馬をしていたので、馬のほうが躊躇してしまった感があります。6着に敗れた昨年暮れの愛知杯は捻挫明けで体調が本物ではなかったにしろ、やはり馬群に入れてラストの伸びを欠きました。ホワイトマズルはムラっ気で揉まれ弱いところを伝え、逃げたり追い込んだりといった極端なレースで成功する産駒が目立ちます。スマートレイアーの気性に母の父ホワイトマズルの影響が垣間見えます。

この日の競馬が終わったあと、19時00分から市ヶ谷でKADOKAWAのちょくマガ主催のPOGイベントがあり、木村拓人さん、津田麻莉奈さんと出演させていただきました。予定時間を30分もオーバーする盛況でした。足をお運びいただいた皆さま、ありがとうございました。会が終わったあとは出演者とスタッフで深夜まで飲み会。楽しかったです。




高松宮記念はコパノリチャード


2番手を追走した○コパノリチャード(3番人気)が直線で馬場中央から豪快に抜け出しました。2着は大外から飛んできたスノードラゴン(8番人気)、3着は◎ストレイトガール(1番人気)。
http://youtu.be/eNliPpewcXo?t=7s

出走馬の関係者も、予想家や馬券を買うファンも、雨に振り回されたレースでした。個人的には稍重ぐらいだろうと考えていたので、ドロドロの不良馬場になってしまったのは想定外でした。ハクサンムーン(2番人気)が出負けして後方からの競馬を強いられたことで、エーシントップが楽にハナを切り、競り合って飛ばすという展開にはなりませんでした。

2番手を進んだコパノリチャードは、揉まれずに済んだので理想に近い展開だったと思います。外差しの馬場だった前日とは打って変わって、不良馬場となったこの日は前に行った馬がよく残っていました。昨年夏の函館芝もそうでしたが、馬場が極度に悪化すると速い脚が使えなくなるので、末脚を伸ばすのが難しくなり、位置取りだけの競馬になってしまいます。今回はそこまで酷い馬場ではありませんでしたが、好位追走の実力馬にとっては不利の少ないレースとなりました。

86年以降、芝1400mのG2〜G3において、後続に4馬身以上の差をつけて勝った馬は本馬を含めて9頭います。そのうち7頭がG1馬となり、残る2頭もG1で3着以内に入っています。前走の阪急杯のレースぶり(4馬身差勝ち)は高く評価できるものでした。

配合については3月4日のエントリー「阪急杯はコパノリチャード」から引用します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010106552/



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母ヒガシリンクスは不出走馬で「トニービン×Caerleon」という組み合わせ。本馬の前にコパノオーシャンズ(父アグネスタキオン/北九州記念−4着)を産んでいるように繁殖成績は優秀です。トニービンと Caerleon は相性がよく、計7頭が出走し、半数以上の4頭が重賞で連対を果たしました(テンザンセイザ、ロードクロノス、ハッピールック、キョウワノコイビト)。上品さが感じられる芝血統で、底力も感じられます。以前にも記しましたが、トニービンと Nijinsky の組み合わせは好きなパターンで、たとえば名スプリンターのカレンチャンは「トニービン×マルゼンスキー」の母から誕生しており、これに当てはまります。

トニービンは Hyperion を主体とするスタミナ血統で、現役時代に凱旋門賞を勝ちました。それだけに、母方に入るとスタミナ、底力、成長力といった要素の供給源となるのですが、コパノリチャードやカレンチャンの配合では「スピードの持続力の担保となるスタミナ」となっています。ヨーロッパでは Rainbow Quest や Alleged といった血がそうした役割を果たすことがあります。芝2000mで1分56秒1という驚異的な日本レコードを樹立したトーセンジョーダンはトニービンの直系の孫であり、近い世代にノーザンテーストを持っているのでコパノリチャードと重なる部分があります。距離適性は違いますが両馬ともスピードの持続力を武器としており、いずれも一定のペースで走ってバテません。



ダイワメジャーは Drone とニックスの関係にありますが、コパノリチャードの母方に入る Red God はこれと配合構成がよく似ています(Spring Run≒Tom Fool、Nasrullah≒Royal Charger が共通)。これも配合上のひとつのポイントとして挙げられます。


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父ダイワメジャーはカレンブラックヒルに続いて2頭目のG1勝ち馬を出しました。内訳はNHKマイルCと高松宮記念ですから、いずれもスピードを問われるレースです。1800mにG1はなく、2000m以上はディープインパクト、ステイゴールド、ハーツクライなどこの路線に強い種牡馬がひしめいているので、ダイワメジャー産駒は苦しくなります。コパノリチャードは本質的にはスプリンターではなく、デビュー以来初めての芝1200m戦でG1制覇という珍しい例となりました。サンデー系の主力がカバーしきれないスプリント路線は、ダイワメジャー産駒にとって2000m以上よりもはるかに勝ちやすいカテゴリーです。同産駒は基本的にパワーの要る馬場を苦にしません。

◎ストレイトガール(1番人気)は3着。予想文に記したように稍重までならなんとかなったかもしれませんが、牝馬だけにこの不良馬場はかわいそうでした。それでも3着を確保したのは高い能力の証しです。




阪急杯はコパノリチャード


1番枠を利してハナを奪った○コパノリチャード(2番人気)が後続の追撃を振り切って4馬身差で逃げ切りました。2着は最内から追い込んだ△サンカルロ(8番人気)。
http://youtu.be/5kcNjvqBGd4?t=38s

800m通過44秒9−1000m通過56秒1というハイペース。2番手を追走した◎ガルボ(3番人気)が直線で一杯になってしまったのも無理はありません。逃げ馬が速すぎたため、展開頼みの追い込み馬サンカルロが届きました。ラスト1ハロンは12秒8と歩いているのですが、それでも後続に4馬身差をつけました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010106552/



昨年のアーリントンC、スワンSに続く3つめの重賞制覇。同じ1400mの重賞でもスワンSは800m通過46秒8と、同レースの過去20年間で最も遅い流れで、正直なところ展開に恵まれた印象は否めなかったのですが、今回は厳しいペースを自ら作り出しての逃げ切りであり、馬の成長が感じられます。高松宮記念が近づいてきたことでスプリント仕様にモデルチェンジしてきた感もあります。スタートは決して速くなく、鞍上が押してハナに立っているのですが、いったんスピードに乗ってしまうと楽ですね。

母ヒガシリンクスは不出走馬で「トニービン×Caerleon」という組み合わせ。本馬の前にコパノオーシャンズ(父アグネスタキオン/北九州記念−4着)を産んでいるように繁殖成績は優秀です。トニービンと Caerleon は相性がよく、計7頭が出走し、半数以上の4頭が重賞で連対を果たしました(テンザンセイザ、ロードクロノス、ハッピールック、キョウワノコイビト)。上品さが感じられる芝血統で、底力も感じられます。以前にも記しましたが、トニービンと Nijinsky の組み合わせは好きなパターンで、たとえば名スプリンターのカレンチャンは「トニービン×マルゼンスキー」の母から誕生しており、これに当てはまります。

トニービンは Hyperion を主体とするスタミナ血統で、現役時代に凱旋門賞を勝ちました。それだけに、母方に入るとスタミナ、底力、成長力といった要素の供給源となるのですが、コパノリチャードやカレンチャンの配合では「スピードの持続力の担保となるスタミナ」となっています。ヨーロッパでは Rainbow Quest や Alleged といった血がそうした役割を果たすことがあります。芝2000mで1分56秒1という驚異的な日本レコードを樹立したトーセンジョーダンはトニービンの直系の孫であり、近い世代にノーザンテーストを持っているのでコパノリチャードと重なる部分があります。距離適性は違いますが両馬ともスピードの持続力を武器としており、いずれも一定のペースで走ってバテません。



ダイワメジャーは Drone とニックスの関係にありますが、コパノリチャードの母方に入る Red God はこれと配合構成がよく似ています(Spring Run≒Tom Fool、Nasrullah≒Royal Charger が共通)。これも配合上のひとつのポイントとして挙げられます。



次走は高松宮記念。同型馬ハクサンムーンとのハナ争いがカギとなります。出脚の鋭さはハクサンのほうが上。控える競馬でどれだけやれるかでしょう。強豪牝馬のストレイトガールとレディオブオペラなども待ち受けており、ロードカナロアが抜けたとは思えない熱いスプリント王決定戦が期待できそうです。




シルクロードSはストレイトガール


逃げた◎レディオブオペラ(1番人気)の直後につけた○ストレイトガール(2番人気)が直線で鮮やかに抜け出しました。
http://youtu.be/DBe_0x5n0zo?t=38s

500万下から4連勝で臨んだ昨年8月のキーンランドCでは、フォーエバーマークの2着に敗れて重賞初制覇はお預け。半年経って凄味が増し、スプリント戦では圧勝といえる2馬身半の差をつけて初の重賞タイトルをものにしました。4歳後半から5歳にかけてここまで強くなる牝馬も稀です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100301/



「フジキセキ×タイキシャトル」だけを見れば平坦ローカル向きの軽いスプリンター、といったイメージですが、この馬の場合、2代母の父デインヒルの底力と成長力が効いているのでしょう。あらためて説明するまでもなく、現在のヨーロッパやオセアニアを代表する主流血統のひとつです。

08年のヴィクトリアマイルを勝ったエイジアンウインズは、4歳春に準OPの心斎橋Sを勝つと、続く阪神牝馬S、ヴィクトリアマイルと3連勝してあっという間にG1ウィナーに上り詰めました。ストレイトガールの上昇ぶりと重なるものがあります。「フジキセキ×デインヒル」という配合で、なおかつ3代母 Bound がストレイトガールの母の父の母ウェルシュマフィンと相似な血なので、両者の配合構成はよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103179/





ちなみに、デインヒル産駒で札幌記念など4つの重賞を制したエアエミネムは、「デインヒル+Nijinsky+Lt.Stevens(=Thong)」。シックスセンス、デルフォイ、スペルバインドの母デインスカヤは、「デインヒル+Nijinsky+Ridan(=Thong)」。ストレイトガールの母ネヴァーピリオド、エイジアンウインズの母サクラサクと同じパターンはよく目につきます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1998110210/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a006721/





「デインヒル+Nijinsky」は、Redoute's Choice、Dansili、Fastnet Rock など、デインヒルの最重要後継種牡馬に見られるパターンです。「Buckpasser≒Flaming Page」が好相性の鍵ではないかと思います。



◎レディオブオペラ(1番人気)は2着。中2週で馬体重が14kg減った影響は確かにあったと思います。500万下から4連勝のあと重賞2着、という軌跡は今回勝ったストレイトガールの戦績と重なります。今回がこの馬のピークではありませんし、立て直せば重賞を勝てる器です。




キーンランドCはフォーエバーマーク


最内枠から先手を奪った△フォーエバーマーク(4番人気)が▲ストレイトガール(1番人気)の追撃を抑えて逃げ切りました。
http://youtu.be/m6bZIAyypwQ

勝ち時計が1分11秒7。タフな馬場となったのでパワーあふれる牡馬、なかでも◎パドトロワ(3番人気)にとって有利ではないかと思ったのですが、4コーナーではすでに手応えがなく、14着と惨敗。荒れ馬場は決して下手ではなく、稽古でも動いていたので、不可解な惨敗というほかありません。女の子ばかりのレースで緊張してしまったのでしょうか?
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103048/



新潟2歳Sを勝ったハープスターは母の父がファルブラヴでしたが、こちらは父がファルブラヴ。両馬ともファルブラヴとサンデーサイレンスの組み合わせを持っています。

ファルブラヴは11年前に中山競馬場で行われたジャパンC(G1)の覇者。イタリア調教馬としては近年最強であり、5歳時はイギリスでエクリプスS(G1)、英インターナショナルS(G1)、クイーンエリザベス2世S(G1)などを制しました。種牡馬としては父 Fairy King の特徴をよく受け継ぎ、パワーを帯びたスピードを伝えています。アイムユアーズ、ダンスファンタジア、エーシンヴァーゴウ、トランスワープに次いでフォーエバーマークが5頭目の重賞勝ち馬となります。荒れ馬場は得意としており、距離も短いほうがいいタイプです。

フォーエバーマークは以前、パワーを要する馬場はあまり得意ではなかったと記憶しているのですが、年齢を重ねて身体が完成し、そうした馬場を苦にしなくなったのかもしれません。「ファルブラヴ×ダンスインザダーク」は、フォーエバーマークのほかにとくに目立った活躍馬がいるわけではありません。ただ、ダンスファンタジア(フェアリーS)は母ダンスインザムードがダンスインザダークの全妹なので、配合構成がよく似ています。



スティンガー、サイレントハピネス、アーバニティの姪にあたる良血で、すでにサンデーサイレンスは3代目の位置にあるので、将来繁殖牝馬となったときにサンデー系種牡馬を避ける必要がないのが強みです。






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