パーフェクト種牡馬辞典


クイーンSはメイショウスザンナ


後方待機から末脚を伸ばした△メイショウスザンナ(7番人気)がゴール前で◎レッドリヴェール(1番人気)をクビ差とらえて重賞初制覇を飾りました。
https://youtu.be/ZUi7Xd5EO44

3歳春にフラワーC(G3)2着、桜花賞(G1)5着という成績がありますが、その後は鳴かず飛ばずの時期が長く、今年の春に福島牝馬S(G3)で3着となって重賞でもやれることを示し、今回、6歳夏にして初めて重賞を勝ちました。道中はレッドリヴェールをマークするような進路取りで、同馬が通った軌跡をなぞるように進出し、最後の追い比べで競り勝ちました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105230/



父アグネスデジタルは現役時代、香港C、天皇賞・秋、安田記念、マイルチャンピオンシップ、フェブラリーS、南部杯と、芝・ダート兼を問わずG1を勝ちまくった名馬です。母が「Chief's Crown×Alleged」というスタミナタイプなので、父がスピードタイプの Crafty Prospector でありながら中距離を苦にしませんでした。パワーを帯びているのでダートを得意としており、洋芝にも向いています。ヤマニンキングリー(札幌記念)、グランプリエンゼル(函館スプリントS:施行場所は札幌)に続いて札幌競馬場で3つめの重賞制覇となりました。


母グリーンオリーヴはフェブラリーH(G3)を勝ったメイショウホムラ(メイショウバトラーの父)の半妹。メイショウホムラは父ブレイヴェストローマンのパワーでダート馬となりましたが、本馬の2代母メイショウスキーは「マルゼンスキー×Sicambre×Vatellor」ですから、やや鈍重さは感じられるものの芝適性のあるファミリーです。本馬は、これにサンデーサイレンスと Mr.Prospector を加えて誕生しました。

札幌競馬場で重賞を勝った前出のヤマニンキングリー、グランプリエンゼル、そして本馬は、いずれも「アグネスデジタル×サンデーサイレンス」の組み合わせです。“サンデー+Mr.Prospector”はマイル〜中距離向きの手堅いスピードを伝えます。父アグネスデジタルがパワーを帯びている分、洋芝がちょうどいいのでしょう。09年の札幌2歳S(G3)で2着となったモズとも配合構成がよく似ています。



◎レッドリヴェール(1番人気)は2着。横綱相撲で勝ちに行ったのですが、メイショウスザンナの目標にされてしまいました。とはいえ、G3レベルではさすがに大崩れはしません。

予想はマルチ設定だったので、△◎で馬単9620円的中です。




2012JRAブリーズアップセール


 4月24日に中山競馬場で開催されました。JRAが各地のセールで購買した若駒を自前の育成場で鍛え上げ、購買者の前で実際に馬を走らせた上で売る、というトレーニングセールです。

昨年は東日本大震災の影響もあってかやや振るわない成績でしたが、今年は盛り返しました。総売却価格(税込)は前年比121%。一昨年比では99.9%ですから、震災前の水準に戻してきました。

千葉県船橋市では今年一番の23.7℃まで気温が上昇。セリ会場(バスターミナル横の中央門前)が熱気であふれていたのはそのせいばかりではありません。いい馬を上手に買おうというバイヤーの真剣さが会場にみなぎり、濃厚な空間を形作っていました。Ustream でリアルタイム中継されたのでご覧になった方も多いのではないかと思います。



この日の最高価格馬はヒップナンバー5番のレディインディの10。父はダイワメジャーで、騎乗供覧タイムは12.7−11.8。女性で統一されたビッドスポッターの手がポンポン上がり、最終的に4200万円(税込)でハンマーが打ち下ろされました。「トーセン」の冠号で知られる島川隆哉さんの名前がオークショニアから発せられると、「お〜」という低いどよめきが発生。やはり……というニュアンスでした。

牝馬でしたがダイワメジャー産駒らしく筋骨隆々としており、馬体重は500kg弱。これは良い値がつくだろうとなという事前の感触はありました。4200万円(税込)はブリーズアップセール史上最高価格。ほとんどセレクトセール並みですね。島川さんはこの1頭だけを買われて他の馬には手を出しませんでした。



「ダイワメジャー×A.P.Indy」はクイーンC3着のエクセラントカーヴと同じ。いまにも競馬に使えそうな雰囲気だったので仕上げに手間取ることはないでしょう。ローカルの早い時期に勝ち上がって2歳重賞でもいいところがあるのではないかと思います。過去、ブリーズアップセール出身で重賞を勝った馬には、セイウンワンダー、エイシンオスマン、モンストール、ダイワパッションがいます。昨年売却された馬からは、モンストールのほかにメイショウスザンナ、クイーンアルタミラ、エイシンキンチェム、ダームドゥラックが出ており、この優れた成績と情報開示の高い透明性がセールの人気を支えています。

高額落札馬ベスト3は以下のとおり。
http://jra.jp/news/201204/pdf/042401.pdf

■5番  ┌ ダイワメジャー
 牝馬 └ レディインディ(父 A.P.Indy)
      落札価格:4200万円(税込)
      購買者:島川隆哉
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010103194/

■74番  ┌ ネオユニヴァース
 牝馬 └ ヒットザボード(父 A.P.Indy)
      落札価格:3727万5000円(税込)
      購買者:久米田正明
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010102384/

■64番  ┌ ステイゴールド
 牡馬 └ キタサンバースデー(父マリエンバード)
      落札価格:3150万円(税込)
      購買者:林正道
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010101321/

ちなみに、JRAがこの3頭をセールで購買した際の価格(税抜)は、それぞれ1180万円、500万円、1020万円。今回の落札価格との差は、2820万円、3050万円、1980万円(税抜)。これがJRAの利益になるわけです。もちろん、下位価格で落札された馬のなかには原価を割るものも珍しくありません。

上場頭数は74頭で、すべて売却されました。ダイワメジャー産駒は3頭上場して4200万円、2677万5000円、2415万円(すべて税込)ですから人気があります。夏のセレクトセールでもいい値がつきそうです。





Chief's Crown のスタミナ


 Danzig は現役時代3戦全勝。そのいずれもが後続を引き離す圧勝でした。あまりに速すぎて脚がもたなかったという、Raise a Native(4戦全勝)に似たタイプです。YouTube でその雄姿を見ることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=XIXV-mHds5w


見てのとおり圧倒的なスピードを武器とし、デインヒルや Green Desert のラインがヨーロッパやオセアニアで大勢力を築いています。ただ、この系統がすべてスピードタイプかというとそうではなく、なかにはスタミナ色の強いラインも育っています。


その代表が Chief's Crown。現役時代にアメリカで7つのG1を制した名馬で、米2歳牡馬チャンピオンに選出されています。10ハロンのトラヴァーズS(米G1)やマールボロC招待H(米G1)も制しており、距離延長を苦にしないタイプでした。昨日のエントリーで取り上げたキャノンシュートとメイショウスザンナの両方に含まれる血ですが、そこまで説明が回らなかったので本日のエントリーで補足したいと思います。
http://www.pedigreequery.com/chiefs+crown



母 Six Crowns は「六冠」の意。その父 Secretariat は米三冠馬で、母 Chris Evert はNY牝馬三冠馬。合わせて六冠、というわけです。旺盛な活力を誇る素晴らしい名牝系です。


Miss Carmie(f.1966.T.V.Lark)
 Chris Evert(f.1971.Swoon's Son)NY牝馬三冠
 │Six Crowns(f.1976.Secretariat)
 │ Chief's Crown(c.1982.Danzig)BCジュヴェナイル
 │ クラシッククラウン(f.1985.Mr.Prospector)フリゼットS
 │  クラウンピース(f.1997.Seattle Slew)
 │   リーチザクラウン(c.2006.スペシャルウィーク)
 │                       マイラーズC
 Carmelize(f.1972.Cornish Prince)
 │アビ(f.1995.Chief's Crown)
 ││ディープスカイ(c.2005.アグネスタキオン)日本ダービー
 │Royal Dragon(c.1998.デインヒル)独2000ギニー
 All Rainbows(f.1973.Bold Hour)
  All Dance(f.1978.Northern Dancer)
  │タップダンスシチー(c.1997.Pleasant Tap)ジャパンC
  Winning Colors(f.1985.Caro)ケンタッキーダービー
   ゴールデンカラーズ(f.1993.Mr.Prospector)クイーンC2着
    チアフルスマイル(f.2000.サンデーサイレンス)
                        キーンランドC


Chief's Crown の母の父は米三冠馬 Secretariat。いうまでもなく現代のアメリカ競馬における最強馬です。その母の父 Princequillo の影響を強く受けたタイプなので、血統的なキャラクターはスピードよりもむしろスタミナ方面に傾いています。そして芝・ダートを問いません。Storm Cat、A.P.Indy、Gone West といった名種牡馬の母の父となっていることから、その存在感は年々強まっているように感じます。


Chief's Crown のサイアーラインは以下のように発展しています。


Chief's Crown(1982)
  Grand Lodge(1991)デューハーストS
  │ Sinndar(1997)凱旋門賞、英ダービー、愛ダービー
  │ │ Youmzain(2003)ヨーロッパ賞
  │ グランデラ(1998)愛チャンピオンS
  Key of Luck(1991)ドバイデューティーフリー
  │ アラムシャー(2000)愛ダービー、キングジョージ
  エルハーブ(1991)英ダービー
  チーフベアハート(1993)BCターフ
    マイネルキッツ(2003)天皇賞・春


デインヒルや Green Desert のラインとは明らかに様相が異なります。ですから、Chief's Crown を母方に持つ馬は、距離をこなすタイプが少なくありません。2000ベストのアグネスタキオン産駒でありながらディープスカイは日本ダービーを勝ち、短距離ベストの Crafty Prospector 産駒でありながらアグネスデジタルは天皇賞・秋を勝ちました。ディープスカイの母は Chief's Crown の3代母 Miss Carmie を4×3で持つという美しい配合です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005101358/



土曜中山の水仙賞(3歳500万下・芝2200m)に出走するゴールデンクラウンは、2代母の父が Chief's Crown。半兄ゴールデンハインドはクロフネ産駒でありながら芝3000mの万葉S(OP)を勝ちました。ダートの未勝利戦を勝ち上がって臨む一戦なので人気はありませんが、おそらく距離延長は歓迎でしょう。昨日のエントリーで取り上げたキャノンシュートとメイショウスザンナの双方に配合がよく似ています。狙ってみたい馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106152/







トニービンとアフリートの関係が鍵、キャノンシュート


 ■日曜東京5Rの新馬戦(芝1800m)は、好位追走の○キャノンシュート(1番人気)が残り1ハロンで内から先頭に立って押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=weY9xl4DArQ


スローペースの上がりの競馬で、切れ味のある馬が上位に来ましたが、そのなかでもキャノンシュートの脚力が抜けていました。生産者の藤沢武雄さんはこの馬を管理する藤沢和雄調教師の実父です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106779/



共同通信杯(G3)を勝ったハンソデバンド(父マンハッタンカフェ)の半弟。母クラウンアスリートはニューイングランド(種牡馬)の半妹、Woodman の姪で、良血だけに繁殖牝馬として成功しており、ハンソデバンドのほかにロングスローイン、ウェンブリー、ヘディングマキなど堅実に活躍馬を出しています。


「ハーツクライ×アフリート」はオースミイージー(新馬−ききょうSを連勝)と同じで、この関係の核となっているのはトニービンとアフリートでしょう。このふたつの血はニックスです。「アフリート×トニービン」の組み合わせからはミリオンディスク、ゼンノパルテノン、ビッグウルフなどが出ており、ひっくり返した「トニービン×アフリート」からはサイドワインダーが出ています。


本馬はサイドワインダー(京都金杯、京阪杯、関屋記念)にサンデーを入れたような配合です。2000m前後の中距離で切れるタイプでしょう。配合が優れ、クオリティも高いので期待十分です。



◎ミッキーナチュラル(2番人気)は2着。今回は相手が悪かったですね。次走はほぼ勝てそうです。


■日曜東京9Rのセントポーリア賞(2歳500万下・芝1800m)は、牝馬メイショウスザンナが上がり34秒1でまとめてギリギリ逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=L1NC6B10LWc


5ハロン通過が63秒5ですから超スローペース。メイショウスザンナはこれまで逃げたことはありませんでしたが、武豊騎手は好スタートを切ったので迷うことなくハナへ行きました。誰も競りかけていかないので思い存分ペースを落とし、まんまと逃げ切りました。作戦勝ちですね。


父アグネスデジタルは日高の繁殖牝馬を中心に交配し、初年度、2年目とまずまず成績でした。3年目、4年目はイマイチで、メイショウスザンナは5年目の産駒です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105230/



母グリーンオリーヴはフェブラリーH(G3)を勝ったメイショウホムラ(メイショウバトラーの父)の半妹。メイショウホムラは父ブレイヴェストローマンのパワーでダート馬となりましたが、本馬の2代母メイショウスキーは「マルゼンスキー×Sicambre×Vatellor」ですから、やや鈍重さは感じられるものの芝適性のあるファミリーです。本馬は、これにサンデーサイレンスと Mr.Prospector を加えて誕生しました。「アグネスデジタル×サンデーサイレンス」はヤマニンキングリー、グランプリエンゼルなどが出ており成功しています。“サンデー+Mr.Prospector”はマイル〜中距離向きの手堅いスピードを伝えます。


牡馬相手に勝ったことは評価できますが、展開に恵まれたのも確かなので、牝馬同士でもトップレベルにはまだ及ばないでしょう。ただ、オークスで今回のような恵まれた展開に持ち込めれば怖い1頭です。







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